ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

ホーム > コミュニティ > サークル、ゼミ > 半蔵門かきもの倶楽部 > トピック一覧 > 第30回 コヤンイ作 『よくわ...

半蔵門かきもの倶楽部コミュの第30回 コヤンイ作 『よくわかんない』

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コミュ内全体

とても魅力的な瞳だった。視えない光がその大きな双つの瞳から
まっすぐ彼の目を射通して心まで深々と突き刺さった。
「ねぇ、何飲むの?」 ねぇなにのむの ネェナニノムノ nee nani nomuno
彼は頭に浮かんだことを口にする。
「とりあえずビールかな」
腕を組んだ形でテーブルに乗せそれに寄りかかるように彼女は彼の方に身を乗り出していた。
そうしていると胸のふくらみが腕のどの辺に押し付けられているのだろうか。と愚にもつか
ないことを考えながら、彼は真近にある彼女のつやつやとした唇がビールの泡にまみれてる
ところを想像した。しかし今日もその想像は想像で終わりそうだった。
「わたしはこれね」
と彼女がメニューを彼の方に広げて指をさした。そこには聞いたこともない、やたら長い名前の
カクテルが、写真つきで載っていた。
ヘアトニックのようなどぎつい色で彼にはとても人が飲むための液体には見えなかった。
彼女は右手を挙げて親指と人差し指の間になにかを挟んでいるかのように少し隙間をあけ、
彼のこめかみのあたりに近づけると「カチャカチャ」と言って手首ごと二回ひねった。
彼が何だ?といった顔をすると彼女は
「鍵を開けて下さ〜い」と言った。
「いつもわたしばっかり話してるでしょ。今日はキミがいっぱい話してその頭の中に蔵ってあるもの
全部出してみてよ」
そう言われて、なにもないわけではないけど、急に言われると頭の中に色んな思いが言葉にならずに
渦巻いているだけで何をどう話せばいいのか。
いつもはほとんど一方的に彼女が話している。彼女はとてもおしゃべりで彼はそのおしゃべりを聞いて
いるのが好きなので、なんの不都合もなかった。
でもこんな風に彼女に自分のことを話してほしいと促されるのは、やはり嬉しかった。

「え〜と、そうだな。・・・SFなんかでテレパシーってあるでしょ?他人の頭の中を覗ける能力。
言葉を使わずに話せたりする、これってどうなのかな。
まだ自分の頭の中で考えが整理されてなくて言葉にならないものも読み取れたり、他人に送れるのかな?
もし言葉になる前のもやもやした思いをそのまま他人の脳に直接送れるのだとしたら、それは微妙な
ニュアンスを含めて完璧に他人に自分の思いを伝えられるのだと思うのだけれど、そこまで細かく設定が
わかる作品て、ボクの知る限りないんだよね。どう思う?」
最後の“思う?”にかぶって彼女がクシュンとかわいいくしゃみをした。
バッグからティッシュを出して大胆に鼻をかんで彼女は言った。
「ごめん、よくわかんない」


おしまい

コメント(11)

三つのワードが絶妙に組み込まれていますね。
二人の関係性が微笑ましいです。
最後の彼のセリフは、甲高い声+めっさ早口
で、再生しました。
>>[3]さん はじめまして
テレパシーの話をしたのは、この作品の裏テーマがコミュニケーションだからです。
詳しいところは当日直接お話しします。
お会いするのを楽しみにしています^^
>>[1]
最近半蔵門にいらっしゃらないですね。
寂しいです。
ハルトさんに会いたいよぉ涙


>最後の彼のセリフは、甲高い声+めっさ早口
で、再生しました。
 
彼女じゃなくて、彼ですか?


>>[6]

なかなか都合がつかず、参加出来ていません…
ご無沙汰しておりますー泣き顔

あ、最後から2番目でしたね。すみません。
長回しのセリフです。
>>[008]
うわぁそういう風に素直に受け取ってくれるのも嬉しいけど、裏に隠されたダークな部分を文芸部で言おうと思ってたんだけど言いにくい冷や汗
笑っていいものかどうか……彼女は、実はどういう人なのか、構えて読んでしまいました。

「人の話を聞くほうが楽しい」と思っている時に、いきなり頭の中で思っていることを話すように言われると困ってしまいますよね。

彼女は、全然聞いていないのだと思いました。くしゃみまでは可愛いけど、大胆に鼻をかんだというラストが、彼女の気持ちの何を表しているのか、お話を伺いたいです。

頭の鍵という発想は、とても良いと思いました。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

半蔵門かきもの倶楽部 更新情報

半蔵門かきもの倶楽部のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。