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王子様の言う通り☆コミュのただのネタ帳6

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コミュ内全体

〜魔法学園物語〜



☆和泉学園☆

幸月(一年生)、魔力で生成した掃除用具で戦う唯月の従妹。

悠治(一年生)、死霊を操る明るい男の子。

鳴舞(二年生)、体液を様々な薬物に出来るお姫様系女子。

唯月(二年生)、魔力で武器を生成出来る常識人。

鷹夜(三年生)、冷気を操るお兄ちゃん系イケメン。



☆三野学園☆

囚星(一年生)、人形遣いのヤンデレな妹。

囚李(二年生)、霧を操る御調子者。

囚夜(三年生)、魔力で武器を生成し遠隔操作も可能。実は弟妹想い。



☆藤峰学院☆

一陰(二年生)、風使いでフェロモン体質。

バロン
メア (三年生)、半分夢魔の血を引いた双子。



☆白槽学園☆

瑠偉(一年生)、雷や電撃を操る大きな子供。

琥楼(二年生)、影使い。苦労性。

砂音(三年生)、砂使い。医学に興味あり。



☆大和学院☆

沙兎(一年生)、大地を操る乱暴者。

茶醒(二年生)、幻術魔法を使うエロナル男子。

永久(三年生)、光を操る穏やかな青年。



☆CJPN 学園☆

蔵騎(三年生)、倒した人外を札に封じて使役する。

睦霧(二年生)、治癒タイプだが前衛でガンガン戦う。

郎琶(二年生)、念力特化でsimple the best。

若洲(一年生)、水を操る補佐タイプ。




魔法使いを養成する学園は幾つかあり、卒業後は必ずギルドに所属する。
彼等が死ぬまで、彼等が依頼で得た報酬の一割が両親に給付金として与えられる。
彼等が在学中に死んでも、一切異議申し立てをしてはならない。
体育祭、文化祭、学園対抗オリンピアの見学は誰もが自由に行える。

武器は基本、任務の時以外は武器庫に収納されている。
例外として、日用品等が武器の場合は常に持ち歩いていたり部屋に置かれている場合もある。

人外の幻術と違い、人間が“魔法”によって織り成す幻術は対象に触れなければ掛けられない。


そんな各学園の物語。

コメント(120)

〜三野学園・寮〜

「がうっ!?救助活動依頼!?セイに!?」
「うっさい死ね」
朝、いつものように朝食を摂る囚李と囚星。

「そー言えば最近、局地的な豪雨が続いてたもんなぁ?川が氾濫したり土砂崩れが起きたり、大変だってニュースでやってたぞぉ(汗)」
「生きた人間を送り込んでも死傷者が増えるだけだ。だから“人形遣い”のアタシが選ばれた。そのくらい察しろ馬鹿」
「馬鹿言うな!!俺だって兄ちゃんなんだから敬え!!」
「馬鹿に馬鹿って言って何が悪い。事実を突きつけられて逆ギレすんなキモイ」
相変わらずのやりとりである。

「で、いつ出発なんだ!!」
「今夜から月曜の朝まで。最悪、月曜は昼から登校になる」
「・・・」
そんな弟妹の会話を聞いているのかいないのか、長男は黙々と朝食を食べるのであった・・・




『mission13、救助活動』


〜被災地・夜〜

「その土砂は向こうの広場へ!!」
「あっちの瓦礫も広場で良いぞ!!」
「硝子に気を付けて!!」
「怪我人が見つかったぞー!!」
金曜日の夜、明かりを灯しながら作業をする救援部隊。

この時間は自衛隊や魔法学園の生徒が働いている。

「ふぅ・・・」
「わっ!?に、人形!?」
《ガコンッ》
囚星が“人形”達に瓦礫を運ばせていたら、誰かが“人形”に躓(つまず)きそうになった。

「悪い悪い!!小さくて見えなかった!!てか随分いっぱい使役してるな!!凄いじゃん!!」
「働け」
「むっ!!何だよ!!分かってるよ口より手を動かすよ!!君も、その“手足”の多さで頑張ってよね!!」
「・・・何だアイツ」
《ズンッ》
話し掛けて来たのは、中性的な面持ちのジャージ姿の学生。

何と、壊れた車や大きな岩を軽々と浮遊魔法で持ち上げて広場まで運んでいた。

学生で、そこまでの重量を軽々と。

「郎琶君、囚星ちゃん、こっち手伝って!!」
「ういっ!!すぐ行きます!!」
「・・・」
《タッ》
自衛隊に呼ばれ、その学生と囚星は場所を移動した。




〜午前2時〜

「起きろーっ!!」
「うわぁあぁあっ!?」
「!?」
《バターンッ》
数時間働いて、仮眠を取っていた学生達。

そこへ自衛隊が飛び込んで来た。

「また大雨が来たぞ!!自衛隊で土嚢の準備をするから、君達は被害がこれ以上拡大しないよう対処してくれ!!」
「はいっ!!」
「・・・」
《ダッ》
一番に動いたのは、郎琶と囚星。

他の数人の学生は、魔力を使用した疲労と眠気で少々動きが遅い。

「あ、さっきの“人形遣い”!!君は“手足”が多いよね!?僕が使えそうな岩や瓦礫を運ぶから、簡易の石垣を組んで水の流れを操作出来る!?」
「さっさとやれ」
《バシャンッ》
素早くレインコートを着て、二人は作業にかかった。

のだが。

「ぎゃあぁあっ!?妖怪だぁあ!?」
「「っ!?」」
《バキャアッ》
そこにタイミング悪く、巨大な魚に手足が生えたような妖怪が現れた・・・




『mission13、救助活動』
〜・・・〜

天候は雨、足場は最悪、魔力も決してMAX ではない。

そんな状態で、妖怪と遭遇した囚星と郎琶。

『ウェエ・・・』
「ひっ!?」
「ボサッとしてんな!!退避だ退避!!」
《ベッシャアァアッ》
妖怪が自衛隊に近付こうとしたので、郎琶が大量の泥の塊を“浮遊魔法”で妖怪に投げ付けた。

「妖怪が出たんじゃ自衛隊さんはお役御免だ!!魔法学園の生徒を全員叩き起こして対応させて下さい!!」
「わ、分かった!!」
《バッ》
自衛隊は学生達の元へ走った。

「悪い!!豪雨対策は任せて良いか!?僕が戦う!!」
「いちいち言われなきゃ動けないクズと一緒にするな」
《ガコンッ》
郎琶が振り向くと、囚星は既に石垣作りに専念していた。

口は悪いが、状況と役割の判断なら当然出来る。

何故なら囚星は、一年生にして二年と三年の知識を兄達から盗んでいるのだから。

「よ、妖怪が!?」
「凄い雨!!」
「ど、どっちに回ろう!?」
《バババッ》
一方、遅れて飛び出して来た学生達は、判断を迷っていた。

何せ、実は郎琶以外は全員が一年生なのだ。

妖怪が出るなど予想だにせず、ただの救助活動任務だったハズなのだから。

「私は妖怪退治に回る」
「え」
《ヒュッ》
そんな中、一人の女子が動いた。

「元々が救護要員だったから、雨樋とか組むの、向いてないしね」
『ウェエ・・・』
《ビシュッ》
女子は人差し指と親指だけ立てて鉄砲の形を作り、そこから妖怪に向けて何か液体を発射した。

豪雨に遮られる事なく、液体は妖怪に命中。

《ドジュウゥウッ》
『ウェエーッ・・・』
「妖怪の相手は、私と彼で充分。早く済ませて眠りたいな、疲れてるもん」
「二人で充分なのも眠いのも分かったが、僕は女だよ?」
本当に眠たそうに目を擦る女子に、郎琶は溜め息をついた・・・




『mission13、救助活動』
「・・・あ」
「どうした!?」
《ドゴォンッ》
妖怪の周りを走ったり飛んだりしながら、指から ̄“毒の弾丸”を放つ女子。

彼女が声を上げたので、瓦礫をブン投げていた郎琶が目を見開く。

「自己紹介、してない」
「はぁあ!?良いよ後で!!」
「私は鳴舞。イヴって呼んで?貴方は?」
「郎琶・・・じゃなくて!!戦闘に集中しろ!!」
《ドゴォンッ》
妖怪に瓦礫を投げ付けながら、郎琶が叫ぶ。

「郎琶君、郎君?あっちの黒髪メッシュの子は?」
「囚星って呼ばれてたけど・・・だから戦闘に集中しろってば!!」
《ドピュンッ》
鳴舞はマイペースに喋りながら、妖怪に“毒”を飛ばす。

「くっそ!!ただ戦うだけなら楽なのに!!」
「向こう(石垣の堤防)に行かせちゃ駄目だし、あんまり周りに被害出せないし、足場は悪いし・・・」
《ズニュッ》
豪雨のせいでぬかるんで滑る足場に、二人の顔が歪む。

「でも妖怪さん、もう動けなくなるから」
「え、何で・・・おわっ!?」
《ズシャアァアッ》
ふと動きを止めた鳴舞。

次の瞬間、妖怪は全身が麻痺して倒れた。

「どんな“毒”が効くか試してたの。ビンゴ。本当は致死性のを撃ち込みたかったけど、うっかり土壌汚染したらマズイからね」
「凄いじゃんイヴ!!でかした!!後は五体を捻り切るだけだな!!」
《ミシミシミシッ》
雨に打たれて寒そうな鳴舞を横目に、郎琶が妖怪の体を“念力魔法”で捻る。

処刑方法がグロテスクだな。

「これで・・・えっ!?」
《ドォンッ!!》
しかし、完全に捻り切れる直前、何と妖怪の頭が勝手に発射された!!

向かう先は、堤防を作っている生徒の方!!

「嫌ぁっ!!」
「え」
《ゴキャアァアッ》
妖怪の頭が直撃しそうになった女子が、事もあろうに、別の生徒を盾にした。

盾にされた生徒が、破壊される。

「ヘマしてんな馬鹿野郎!!」
《グシャアッ》
妖怪の頭は囚星の“人形”が叩き潰したが、他人を盾にした女子は腰を抜かして動けない。

「堤防は完成し・・・」
「何してんの、お前?」
「ぐひゃっ・・・!?」
《グァッ》
囚星が堤防の完成を告げるが、郎琶は聞いていない。

腰を抜かした女子を“浮遊魔法”で地上5mくらいまで持ち上げて睨み付ける。

「お前、良く見たら知った顔だな?久し振りじゃん紫(ゆかり)?」
「ろ、う・・・うぇえぇえっ!!」
《ベキベキゴキッ》
郎琶は、笑顔で女子を締め上げる。

「小学生以来か?“魔力持ち”として二人で誘拐されて、お前は僕を囮にして逃げた。ここで会ったが百年目、殺してやるよ・・・っと?」
「無駄に魔力を使うな単細胞」
《パァンッ》
殺気立つ郎琶に、“人形”が発砲。

弾丸は“念力魔法”に弾かれたが、一触即発だ・・・



『mission13、救助活動』
「邪魔するのかよ?」
「当たり前だ」
《ピリッ》
女子を空中で締め上げたまま、郎琶が囚星を見やる。

「だったら、お前も・・・」
「任務中に無駄に魔力を使うな。殺すなら依頼が済んでからにしろ」
「・・・は?」
「足手まとい増やすな面倒臭い」
が、囚星の制止の理由は任務の為だった。

「妖怪は片付いたし、堤防も出来たし、部屋に戻って寝よ?仲間を盾にする子なんか、豪雨の中に放置しちゃえば良いと思うよ?」
「イヴ」
「同感だな。アタシは戻るぞ。これ以上ずぶ濡れになりたくない」
「囚星」
小首を傾げる鳴舞と、さっさと室内に向かう囚星。

「変な奴等だな。普通は止めるぞ?」
「止めて欲しいの?」
「いや全く」
「じゃあ任務が終わったら好きにして。でも期間中は仕事して。負担を増やさないで?」
鳴舞も、室内に戻る。

(普段は炎のように暑苦しい僕。本気でキレたら、むしろ氷みたいだって言われる。大切な奴ほど信用しない。信用出来ない。裏切られた瞬間、真っ直ぐな好意は鋭い刃となって相手を切り裂く)
他の学生も室内に避難し、郎琶は一人、豪雨に打たれる。

「かつての友人も躊躇いなく傷付ける。僕は所詮そんな奴だ。むっつんの声も、誰の声も届かない。心の闇は不可視だからこそ深い・・・」
(他の奴等は、僕の闇を止めたり照らしたりしようとするのに・・・本当あいつ等、変だわ・・・)
郎琶は、小さく嘲笑った。



そして二日目の朝が来る・・・




『mission13、救助活動』



〜二日目・朝〜

「お早う郎君」
「お早うイヴ」
救助活動部隊は、各自で持参した食事を摂る。

鳴舞は菓子パン、郎琶はオニギリのようだ。

「あ、星ちゃん。お早う、元気?」
「・・・」
囚星はドライフルーツ、のみ。

大丈夫かコイツ(汗)

「・・・向こうに昨日の子もいるよ?郎君、どんな知り合いなの?」
「会って二日目なのにグイグイ来るな(汗)」
「・・・」
三人は、何となく近くで食事をする。

「ただ食べてるだけって暇だもん。女の子同士、お喋りしようよ?」
「話題が重いわ(汗)」
「重いの?」
「・・・食欲が失せても責任は取らないからな?」
真っ直ぐな眼の鳴舞に、郎琶は溜め息をついた。

「奴と僕は幼稚園からの友達で、ずっと仲良しのハズだった。1つ年下の奴を、僕は妹みたいに可愛がってた。将来は一緒の魔法学園に入学して、一緒のギルドに・・・なんて、二人で話してた」
「それで?」
「でも小学校高学年くらいの時、二人して魔力持ちを売り捌く悪性魔法使いに誘拐されて、隙を見て二人で逃げ出したけど見つかって・・・奴は僕を誘拐犯の方へ突き飛ばし、一人だけ逃げた」
「今も昔も最低だね」
鳴舞は菓子パンを頬張りながら言った。

「結局捕まった僕は、売り飛ばされる前にハンターに助けられたんだけど。もう一度、奴に会えたら殺してやろうと心に誓ってた」
(そうだ。どんなに仲良しでも、人間は裏切る。裏切られるのは恐いよ。むっつんは皆に優しいから、いつか“その他大勢”を選ぶかも知れない。僕は棄てられるんだ・・・だから、何度“大好き”って言われても“友達だよ”って言われても、心の何処かでは疑ってないと僕は壊れてしまう)
郎琶は、オニギリを食べる手を止めた。

「・・・故意に殺害したら、悪性魔法使いに認定されるぞ?」
「あ?」
ふと、囚星が口を開く。

「別に任務後なら殺すのは止めないが、あの女に殺す価値などあるのか?ただ名を落とすだけになるぞ?」
「あ、言えてるかも。どーせ仲間を盾にするような子なんだし、放っておいてもマトモなギルドには就職出来ない。女郎や身売りの真似事するような依頼しか来ないタイプだよ?」
「何お前等、結局説得する気か?」
郎琶が、鼻で嘲笑う。

「正式に合法的に依頼として殺せる日まで待ったらどうだ?割りと近い将来、悪性になりそうなクズだが?」
「そうだよ。郎君、悪性魔法使いになったら嫌。何なら依頼の最終日に手元が狂ったフリして瓦礫に生き埋めにするとか、どうかな?」
「・・・殺意を応援された経験が乏しくて反応に困るんだが、まあ有難う(汗)」
不思議な二人に挟まれ、郎琶は苦笑を漏らしたのだった・・・




『mission13、救助活動』
〜二日目・囚星side〜

「そっち、ぬかるんでるから気を付けて」
「向こうで生体反応があったよ!!」
「・・・」
《バババッ》
他の学生達と共に、瓦礫の撤去や人々の救出を行う囚星。

「きゃっ!?硝子が埋まってる!!そこら辺にもあるかも!!注意して歩いて!!」
「分かった、有難う!!」
「・・・」
《タタタンッ》
他の学生達は、声を掛け合い協力しているのだが・・・囚星だけは無言で人形を操り、作業する。

あまり関わる気がないようだ。

「ね、囚星さんて何処の学校なの?共学?」
「・・・」
「彼氏とか居る?」
「・・・」
《ズルズルズル》
と言うか、全く関わる気がない。

「ねえってば!!何で無視するの?」
「黙って働け」
「っ!?ちょっと!!何よ、その態度は!?」
「喚くなウザイ」
《ドサドサッ》
言っている事は正しいのだが、言い方と接し方に問題がある。

囚星は、いつでも何処でも平常運転。

「アンタねぇ!?一緒に作業するんだからコミュニケーションくらいっ・・・」
「星ちゃん、ちょっと手伝って?」
「・・・」
《パシッ》
女子が怒って手を振り上げた時、背後から現れた鳴舞が彼女の手首を掴み、囚星に向けて小首を傾げた。

「怪我人が居るんだけど、生き埋めなの。郎君は倒木や車を退かすのに忙しくて、頼めないの。助けて星ちゃん?」
「・・・」
「あっ!?」
《スッ》
鳴舞に連れられ、囚星が歩き出す。

煩い女より不思議ちゃんの方がマシなんだな。

「・・・別に止めなくても、あんな鈍いビンタくらい自分で対応出来たが?」
「だって星ちゃん、反撃しそうなんだもん。作業能率が下がるから、嫌」
「・・・」
「星ちゃんと郎君、似てるよね。やられたら倍返ししそうなトコとか」
《タタタンッ》
二人は、生き埋めの怪我人の元へ急ぐのだった・・・




『mission13、救助活動』
〜三日目〜

「こっちに倒木がある。量は多いが僕一人で充分だ。先に進んでてくれ」
「・・・」
「二人とも元気だね」
《タンッ》
救助活動最終日、郎琶、囚星、鳴舞は土砂崩れのあった山に来ていた。

ちなみに他の学生はバテ気味で山には入れそうにないので、三人だけ。

「・・・」
「あ、待って星ちゃん」
《タタタッ》
三人は山道を塞ぐ障害物(倒木、岩、動物の死骸など)を排除するよう言われていた。

この山はハイキングで人気なので、なるべく早く元の状態に戻したいらしい。

「・・・」
「あら狐さん。まだ息があるね。手当てしなきゃ」
《スタッ》
囚星の“人形”が山中を探索し、可能な限り対処し、本体達が必要な箇所にだけ彼女等が行く事で作業効率を上げる。

囚星が居るから可能な作業だ。

「・・・これで良し」
「・・・」
体液を毒や薬に換えられる鳴舞が、テキパキと応急措置。

囚星の“人形”が麓へ運ぶ。

「待たせたか?」
「郎君、早いね?あの量の倒木、もう運べたの?」
「・・・」
《ザザッ》
しばらくして合流した郎琶に、二人が驚く。

「作業を続けよう。囚星、次は何処へ向かえば良い?」
「・・・」
「星ちゃん無口だね」
《タンッ》
三人は、先を急いだ。





〜夜〜

「お疲れ」
「・・・」
「お疲れ様」
こうして任務を終えた三人に、別れの時が迫る。

「次に会う時は、敵か味方か分からないが・・・また会えると良いな」
「ふん、敵なら潰してやる」
「町でバッタリ再会してスイパラとか行きたいなぁ」
何故か火花を散らす郎琶と囚星の間に割って入り、鳴舞が携帯を取り出す。

「だからメアド教えて?LINEでも良いよ?」
「・・・は?」
「ぶわははははっ!?そりゃバッタリじゃなくて計画的な再会狙いだろ!?」
鳴舞のオネダリに郎琶が爆笑。

そして素直に携帯を取り出す。

「赤外線通信で良いか?」
「うん。ほら星ちゃんも?」
「待て、アタシは一言も承諾してな・・・!?」
二人が連絡先を交換していると、囚星の耳に誰かの声が聞こえた、気がした。

「どうした囚星?」
「気のせいか?何か悲鳴が聞こえた気がした・・・おいっ」
「誰か助け損ねたのかも?」
《ダッ》
囚星の言葉を聞き、鳴舞が走る。

「こっちだ馬鹿っ」
「僕は失礼するよ?」
「郎君も来て?紫さん殺すの、いつでも良いでしょ?」
「・・・ちっ」
《グイッ》
囚星が悲鳴の方へ走り、Uターンした鳴舞が、まだ諦めていなかった郎琶の手を取って急ぐ。

郎琶、実は納得していなかったらしい。





〜現場〜

「あそこだ」
「飯屋?てか囚星、耳が良いんだな」
「正しくはアタシじゃなく、“人形”だ」
「こんばんはぁ」
《スパァンッ》
囚星の懐から、手のひらサイズのウサギのマスコットが顔を出す。

少し走った所にある店に、三人は飛び込んだ。

そこで目にしたモノとは・・・




『mission13、救助活動』
〜小料理屋〜

「っ・・・」
「ぎゃーっ(汗)」
「わぁ」
《カサカサカサカサッ》
謎の悲鳴を追って辿り着いた小料理屋。

そこで三人を待ち受けていたのは、豪雨のせいで浸水して荒れたらしい店内と、立派なゴキブリが一匹。

「気持ち悪い」
「って対処早いな!?」
《ブシューッ》
鳴舞は体液を霧状の殺虫剤に換え、ゴキブリを瞬殺。

何でもアリか。

「あービックリした(汗)囚星が聞いた悲鳴、もしかしてゴキブリに驚いた誰かなんじゃないか?」
「む・・・」
「確認しよ」
「えっ!?イヴ!?」
《タタタッ》
ゲンナリする郎琶の横を通り過ぎ、鳴舞が二階の居住スペースに向かう。

《スパァンッ》
「こんばんは・・・ぁ」
階段を上がってすぐの部屋の襖を、鳴舞が開け放つと?

「んーっ!!んーっ!!」
「ちっ!!入って来やがった!!」
「まあ待てよ、女じゃん」
「仲間に入れてやろうぜ」
《ギリッ》
そこには一人の女子高生と、彼女を組敷く数人のチンピラが居た。

「こんな天災のせいで、住む所も仕事も無くなっちまってなぁ」
「魔法学園の生徒は救助活動に来たんだろ?」
「不安やストレスに苦しむ俺達も救助してくれよ」
「んーっ!!」
見れば女子高生は口をタオルで塞がれ、衣服は半分以上脱がされている。

しかも。

「紫さん、だぁ」
「あ?知り合いか?」
女子高生は郎琶の殺意の対象、紫だった。

「連日の救助活動で魔力が尽きたらしくてな?今やただの女子高生だよ」
「修行不足?自業自得?」
「ぶっ(笑)可愛い顔して毒舌だな(笑)」
「事実だもん」
鳴舞は呆れている。

「で?そう言うからには、お嬢ちゃんは魔力が残っている訳か?」
「この程度の任務で尽きるほど少なくない、かも」
「ふーん?でもさぁ?」
「?」
《チャキッ》
チンピラの一人が、ナイフを出す。

《ザクッ》
「ーーーっ!!」
「下手に動いたら、この女が危ないぜ?」
そして、紫の頬の真横に突き立てた!!

紫の髪と、頬が少し、切れる。

「妙な真似したら・・・」
「殺すの?どうぞ?」
「・・・へぁ???」
脅そうとしたチンピラの言葉を遮り、鳴舞が小首を傾げる。

「危害を加えられたくなきゃ動くなとか、お前もヤらせろとか、そーゆー要求したい訳か?」
「ひぎゃっ!?」
《ドカドカガコッ!!》
続いて鳴舞の背後から郎琶が顔を出し、同時に小料理屋の灰皿や食器がチンピラ達に命中!!

「ゲスだな」
《グルルッ》
最後に“人形”達がチンピラ共を縄で拘束!!

手際が良い。

「さて、と」
「帰ろ?」
「ふん」
それが済むと、三人は紫に目もくれず階段を下りようとした。

「ぷぁっ!?待って郎・・・きゃあっ!?」
「呼ぶな穢らわしい」
《ガターン!!》
タオルを外し、叫ぶ紫。

郎琶は部屋の小さな机を投げ付けた。

「な、何よ!?人が折角、謝ってやろうと思ったのに!!あの時は仕方なかったじゃない!!共倒れするより、一人が逃げて大人を呼ぶのが正解・・・きゃあぁあ!?」
「謝ってないし、謝っても許さない。裏切り者は死ね。目障りだ」
《ガシャガシャガターン!!》
郎琶は、紫の居る部屋を“念力魔法”で滅茶苦茶にした。

硝子の破片や破壊された本棚が、紫を襲う。

「郎君、器物破損は駄目。どうしても殺すなら外に運んで一撃で」
「アタシは帰るぞ」
「連絡先の交換してない」
「そもそもしないと言っている」
二人は階段の手前で呆れている。

「酷いよ郎琶・・・何でこんな事するの・・・私は何も間違ってないのに・・・」
「・・・さよなら紫」
《ドゴッ》
震える紫を見下ろし、郎琶は無表情で彼女の腹に机をめり込ませて気絶させた。

そして“浮遊魔法”で持ち上げ、チンピラ共と一緒に山頂まで飛ばしてしまった。

「・・・殺さなかったんだ?考え直したの?」
「あんなド底辺のクズの為に、一生を台無しにしたくは無いからな。まあ、チンピラ共にヤり殺される可能性はあるが」
「・・・」
三人は、静かに小料理屋を去った・・・





『mission13、救助活動』完了

〜10月・三野学園〜

「“七人岬”ぃ?って、確か四国の妖怪だろ?お遍路さんの格好をしていて、牛の股から現れるとか、生前は犯罪者だった奴が魂を浄化する為に苦行を重ねてるとか言う?」
「そうだ。そして時として、その苦行に耐えられなくなった“七人岬”は生きた犯罪者を自分の身代わりに参列させるために殺す」
「・・・」
ただいま、昼休み。

三兄妹は次男のワガママに付き合い、中庭の木の上で昼食を摂っている。

「狙われるの犯罪者なんだろ?何で依頼が?刑務所でも狙われたのかぁ?」
「いや。今回は、ただの万引き犯が狙われたらしい。しかも初犯だそうだ」
「犯罪者じゃん?」
「罪の重軽度の話だ馬鹿」
卵焼きを頬張る次男の囚李(二年生)に、長女の囚星(一年生)が突っ込む。

「今までは殺人犯やテロリスト系が狙われていたらしいが、近年では罪の軽い犯罪者も狩られている」
「近年?どのくらい?」
「ここ30年くらいだな。最近の“七人岬”は根性がないらしい。すぐ代わりを探すようだ」
「ふーん?で、それを討伐する依頼を受けたのかぁ?」
囚星が鞄から書類を出したので、囚李が首を伸ばす。

「討伐すると言うより、追い払う依頼だな。伝説や伝承となっている妖怪は討伐出来ない。何度でも蘇るのだから。授業でやったろ?本当に記憶力がないな馬鹿め」
「だ、か、ら!!実の兄ちゃんに馬鹿ゆーな!!」
「お前なんか兄じゃない。さっさと食って消えろ。目障りだ。後、五月蝿い」
「何だとぉ・・・って!!俺の柿だぞぉ!?人のデザート盗るなぁあ!!」
高い木の上だと言うのに、いつもの兄妹喧嘩が発生。

落ちるぞ。

「馬ぁ鹿、阿呆、ドジ、間抜け、ウスノロ。落ちろガキ。柿もう一個・・・」
「わっ!!危なっ!!蹴るな!!柿を盗るな!!」
「落ちろ、そして死ね」
「にゃにおぅ!!」
《ミシミシッ》
あんまり暴れるので、木が軋み始めた。

《ヒュッ》
「ぴっ!?」
「あ」
そんな二人を、まとめて一刀両断するように横一閃に振るわれた刀。

二人は瞬時に斬撃より下の枝に移動し、胴体切断を免れた。

「・・・」
「兄貴ぃ(汗)いつか死ぬぞ俺達(汗)」
「ヨル」
刀の主は勿論、同じ木の上で昼食を摂っている長男の囚夜(三年生)。


相変わらず容赦がない。

「まあ良いやぁ。とにかく気を付けてなセイ?“七人岬”は修験者もどきだから、多少の法力は使えるハズだし」
「うっさい死ね馬鹿。そんなの知ってんだよ。兄貴面しやがってキモイ。今さらCランクで失態なんか犯すかよ」
「・・・」
三人は、昼食を再開した。





〜夕方〜

「ごぷっ・・・」
《ビチャビチャビチャッ》
そんな会話をして居た平和な昼が嘘のように、囚星は任務で血まみれになっていた。

総務課が、任務のランク記入を間違えたせいで・・・




『mission14、七人岬』
〜放課後〜

「そんでな、セイが俺の柿を食べちゃったんだ!!酷くね!?楽しみにしてたんだぞぉ!?」
「兄妹喧嘩が絶えないな(汗)」
こちら囚李。

友達と教室で勉強しながら愚痴っている。

「本っ当にセイは!!ガサツだし乱暴だしワガママだし!!ちゃんと躾したハズなのに!!」
「でも可愛いんだろ(汗)過保護だもんな、リィ(汗)」
「妹は可愛いに決まってるぞぉ!!幾つになっても!!」
「任務は事前に内容を報告してから行けだの、帰りが遅くなるなら連絡しろだの、雨が降ったら迎えに行くだの、熱っぽいと額で検温だの・・・今どき親でもやらんぞ、女子高生を相手に(汗)」
友達は苦笑を浮かべた。

「愛情を注ぐのは家族の権利だぁ。それに、セイは強いようでまだ弱い。二年生向けの任務もこなせる実力はあるけど、メンタルにムラがあり過ぎる」
「そーかよ・・・てか携帯が鳴ってるぞ?」
シャーペンを咥える囚李に、友達が指摘。

囚李が携帯を取り出す。

「え、兄貴?」
(電話嫌いな兄貴が、わざわざ?一大事か?むしろ兄貴が電話して来る用事なんて一つしか無いよな?)
《ピッ》
囚李の胸を、嫌な予感がよぎる。

「兄貴、セイに何かあったのかぁ?」
「電話かかって来ただけで悟るとか、どんだけ妹に関して敏感だよ囚李(汗)」
通話ボタンを押して開口一番に囚李が放った問いに、お茶を飲みながら友達が引き吊る。

「・・・はぁ!?今回の依頼がA ランクだったぁ!?」
「ぶはーっ!?」
囚李が叫んだ事で、友達がお茶を吹いた!!

汚ない!!

「えぇえぇえ!?Aランクて三年生用の任務だろ!?一人でA ランク!?いくら囚星ちゃんでも死ぬだろ!? 」
「ゴメン加勢に行く!!またな!!」
「お、おうっ・・・いやいやいや窓から行くなぁっ!?」
「緊急だぁあぁあーっ!!」
《タァンッ》
囚李は素早く荷物をまとめ、上履きのまま窓から飛び出した。

「うー!!総務課めぇ!!そこ間違えたら駄目だろぉお!!」《ザザザザザザッ》
木から木へ、建物から建物へ、目指すは囚星の携帯GPSが示す依頼現場。

学校からは、かなり離れている。

《ダンッ》
「兄貴!!」
「・・・」
途中で囚夜が合流し、二人は加速。

一般道など無視し、文字通り真っ直ぐ囚星の所へ走る。

「だ、大丈夫だよな兄貴!?勝てないまでも生きてはいるよな!?」
「・・・」
《シュタタタタタッ》
青冷めた囚李に答えず、囚夜は先を急いだ・・・




『mission14、七人岬』
〜現場〜

《ビチャビチャビチャッ》
「げほっ・・・」
さて、“七人岬”と戦闘した囚星は、法力で返り討ちに遭っていた。

ちなみに“七人岬”は四国の妖怪だが、牛の股を通じて四国以外に現れる事もある。

例えば今回の現場は、千葉県である。

(クソが・・・C ランクじゃ・・・ないだろ・・・)
《ズルルッ》
全身から血を流しグッタリしている囚星を、“七人岬”の一体が髪を掴んで持ち上げる。

周りには破壊された“人形”達。

囚星の出血は酷く、視界が霞む。

『・・・』
(死んで・・・堪る、か・・・)
《チャキッ》
“七人岬”が囚星に懐剣を突き付けた・・・その時!!

「ウチの妹に何しやがる!!」
『!?』
《ズパァン!!》
囚星にトドメを刺そうとした“七人岬”の背後から、怒声と共に一本の矢が放たれ、“七人岬”の頭部を射抜いた!!

《グシュアァア・・・》
「セイ!!」
射抜かれた七人岬“は一瞬で全身が腐り落ち、囚星は地面に転がった。

矢の主たる囚李が、囚星に駆け寄る。

『・・・!?』
《ズパパパァアン!!》
残りの“七人岬”が応戦しようとするも、気付けば奴等は例外なく細切れ。

倒れたハズの囚星は、いつの間にか囚夜が襟首を掴んで無理矢理に立たせていた。

「セイ!!セイ!!あぁ、こんなに血が!!ごめんな、もっと早く着いてれば・・・とにかく帰って医務室に行こうな!!」
「黙れ・・・馬鹿・・・」
「・・・」
《フワッ》
駆け付けた囚李が囚星を横抱きにし、急いで来た道を戻る。

「二時間くらい掛かるかもだけど、頑張れるな?」
「死ね・・・ガキ扱い・・・すんな・・・」
「もう喋るな。息すんのも苦しいだろ?大丈夫だからな?ちょっと我慢しろよ?」
「うぜぇ・・・」
《シュタタタタタッ》
囚星は、唇を噛み締めた。

早く追い付きたいのに、兄達の立っている場所は、見ている景色は、何て遠いのだろう。

囚星が一体も滅せなかった“七人岬”を、兄達は苦もなく倒せるのだ。

「・・・あのなぁセイ?セイはまだ弱いんだから、俺達と対等になるまでは思い切り頼って甘えてくれないと寂しいんだぞぉ?」
「っ・・・」
「もう少しくらい“兄ちゃん”で居させてくれよ。セイ凄ぇ伸びてるから、俺は正直焦ってばっかだぜ。すぐ追い付かれたら格好悪いじゃんか」
「キモイ・・・」
拗ねる囚李をチラリと見上げ、すぐに目を反らす囚星。

悔しくて悔しくて、早く胸を張って兄達の隣に立ちたくて、子供のように八つ当たりする自分が許せない。

「・・・」
「んぐっ」
「あ?兄貴?」
そんな妹の口に、囚夜が何か放り込んだ。

「・・・ドライフルーツ?」
「兄貴ぃ(汗)瀕死の奴に水分のないモン与えんなよぉ(汗)噛めないだろ、多分(汗)」
「リィ、お茶・・・」
「ねぇよ(汗)あーもー(汗)そこら辺の自販機でジュース買ってやるから気絶すんなよぉ(汗)」
《シュタンッ》
囚李は苦笑しながら自販機へと降り立つのだった・・・




『mission14、七人岬』完了

〜和泉学園〜

「鷹くーん」
「何だ鳴舞」
《ぽふーっ》
放課後、正門を出た鷹夜の背中に鳴舞が飛び付いて来た。

短パンは穿いているが、スカートは短いと言うのにガッツリおんぶ体勢。

太ももが眩しい。

「デートしよ」
「悪いが先約がある。唯月か悠治に言え。喜ぶぞ?」
「イヅ君は先生に呼ばれてるし、悠ちゃんは友達と遊びに行っちゃったの」
「・・・なら一緒に来るか?」
ギュッと抱き付く鳴舞を背負い直し、鷹夜は歩く。

オンブも抱っこも日常なので気にしないようだが、通行人はビックリする。

または“リア充、爆発しろ”と思うだろう。




〜隣町〜

「待たせたか?」
「あ、ヨル君」
「・・・」
電車で移動した先で、待ち合わせの人物を発見。

三野学園の囚夜だ。

鷹夜と囚夜は小学校で六年間、同じクラスだったのだ。

「鷹君、ヨル君とデート?」
「・・・」
「久し振りに話そうと思ってな」
《バッ》
鷹夜の腕に抱き付いていた鳴舞が、囚夜の腕に移動した・・・が、払われた。

「ヨル君、冷たい」
「・・・」
「マックでも行くか?」
唇を尖らせる鳴舞と、無視をする囚夜。

鷹夜は、さっさと歩き出した。

「ねーねー、ヨル君とこの文化祭いつ?」
「・・・」
「鳴舞、行きたいのか・・・ん?」
少し歩いた所で、鷹夜が誰かを発見。

「こらセイ!!待てよ!!」
「うっさい黙れ」
「・・・」
相手を視認した囚夜が、溜め息をつく。

「囚夜の弟妹だな」
「あ、セイちゃん」
「「!」」
《ピョンッ》
鳴舞が相手の所へ駆け寄ったので、鷹夜と囚夜は驚いた。

「せーいーちゃん」
「え、うわぁあっ!?」
「がうっ!?」
《むぎゅーっ》
鳴舞は迷わず相手、と言うか囚星に抱き付いた。

囚星の後ろに居た囚李が、目を丸くする。

「久し振り、セイちゃん。学校近かったんだ?郎君は高校名を教えてくれたのに、セイちゃん教えてくれないんだもん。メールもくれないし、寂しかった」
「め、鳴舞!?離せ馬鹿!!」
「セイ、お友達かぁ?兄ちゃん嬉しいぞ♪」
「目ぇ腐ってんのか!?これの何処が友達だ!!そもそもアタシは友達なんぞ要らん!!」
鳴舞に頬擦りされ、囚李に肩を叩かれ、囚星は叫んだ。

「何だ、お前達は知り合いなのか。良かったな鳴舞、遊んで貰え。俺は囚夜と出掛ける」
「はーい。またね、鷹君、ヨル君」
「ちょ!?待て鷹夜!!アタシにコイツを押し付けるな!!」
「がう〜♪行ってらっしゃ〜い♪」
鷹夜と囚夜は、その場を去った。

「セイちゃん、ヨル君の妹だったの?」
「だから何だ離れろっ」
「俺も俺も!兄貴の弟!」
「ややこしくなるから黙れっ」
この日、囚星は二年生2人にまとわりつかれて騒がしい放課後を過ごしたんだとか・・・




続く
〜和泉学園・体育祭〜

「パパ〜、ママ〜、こっち〜」
「張り切っているな鳴舞」
本日は体育祭。

体操着に短パン姿の鳴舞が、跳び跳ねて両親にアピールする。

「うん、今年も可愛いぞ鳴舞。惜しむらくは今時の体操着がブルマじゃない事だな」
「それは夜にママにやって貰いなよ〜」
「イヴちゃん(汗)学校でその発言は(汗)」
楽しげな父娘に突っ込みを入れるのは、唯月。

こんな日まで、大変だな。

「母ちゃん来た〜♪」
「あらあら。引っ張ったら危ないわ悠君?」
そこへ、悠治と母親が現れた。

「久し振りだな、麻那」
「元気そうですね、卑蒼君。良かったです」
鳴舞の父と悠治の母は、友人である。

「鳴舞、唯月、悠治、そろそろ集合時間だ」
「鷹君」
「お早う御座います、鷹夜先輩」
「あ、鷹夜の父ちゃん」
程なくして鷹夜と父が来て、集合開始を告げる。

「鋭璃」
「まあ?いらしたんですね?御無沙汰しています」
「・・・」
鳴舞の父と悠治の母は、嬉しそうに鷹夜の父に駆け寄った。

「鷹夜先輩の父さんだって」
「あの“氷の帝王”!?」
「本物!?初めて見た!!」
ちなみに鷹夜の父、ちょっと有名人。

「ああ、魔法禁止の体育祭、くれぐれも怪我をしないようにな?」
「頑張ってね皆?」
「・・・(息子の肩を叩く鷹夜父)」
「「「「はいっ」」」」
親達に激励され、子供達はいざ戦場へ。

魔力封印のハチマキを付け、準備は万端。

余談ではあるが、魔法学園の学校行事は一般解放されており、将来の有望株を視察しに各ギルドの関係者や権力者が観覧する場合がある。

つまり、本当に本当の真剣勝負なのだった・・・




続く
〜和泉学園・文化祭〜

「さて皆様、お待たせ致しました!!先月に人気投票を行った結果の上位メンツによる舞台の開始です!!キャストは全て三年生!!役者から装置から音響から照明まで、全て皆様に大人気の彼等彼女等です!!お楽しみに!!」
文化祭2日目の午後、体育館のステージを貸し切って毎年恒例の演劇が行われた。

『きゃー!!鷹夜せんぱ〜い!!』
『柳葉せんぱ〜い!!』
体育館内の観覧席も、外の中継エリアもラウンジのテレビも人だかりが出来ている。




〜本番・第一幕〜

昔々ある所に、リジーとマリーと言う二人の美しいレディーがおりました。

家は裕福で、二人とも賢く優しい婚約者がおりました。

所が、ある日の事。

出張でトランシルヴァニアに向かったリジーの婚約者ジョンは、行方不明になります。

心配で心配で胸が張り裂けそうなリジーを、マリーは懸命に励まします。

数ヵ月が経ったある日、彼女達の住む街の港に古い貨物船が衝突し、大破しました。

しかし積み荷は大きな棺が一つ、しかも空でした。

その日からマリーは原因不明の貧血と夢遊病に悩まされ、婚約者やリジー、周りの献身的な解放や護衛も虚しく還らぬ人となりました。

翌日の夜から、死んだはずのマリーは夜な夜な墓から這い出し、若い人々の首に噛みついて生き血を啜り、朝には墓へ帰るようになりました。

マリーは吸血鬼になってしまったのです!!

婚約者とリジーは断腸の思いでハンターを呼び、夜明けと共にマリーの心臓に木の杭を打ち込みました!!

・・・しかし、それで終わりではありません。

マリーを吸血鬼にした張本人、ドラキュラ伯爵を討伐すべく、婚約者やリジー、ハンターと数名の若者はトランシルヴァニアに渡りました。




〜第二幕〜

話は数ヵ月前に遡ります。

「ここが今回の依頼人、ドラキュラ伯爵の本邸か」
『きゃー!!柳葉先輩ステキーっ!!』
観客の皆様、お静かに。

彼はリジーの婚約者、ジョン。

不動産屋の社員で、今回ロンドンに別荘を構えたいと依頼して来たドラキュラ伯爵の元を訪れました。

『柳葉せんぱ〜い!!こっち向いてー!!』
『イケメ〜ン!!』
「有難う姫君達。だが、観賞のマナーは守ってくれ。でないとドラキュラに血を吸われてしまうよ?」
ジョン、芝居を続けなさい。

《ギギギギーッ》
「ようこそジョン、トランシルヴァニアに。待っていた、逢いたかったよ」
『きゃーきゃーきゃー!!鷹夜先輩よー!!』
屋敷に着いたジョンを出迎えたのは
『柳葉先輩とのツーショット萌え!!』
女子、黙れ(汗)

進まないから(汗)

「これはこれは伯爵、そのようにおっしゃって頂けるとは、光栄の至り」
『きゃー(///ω///)!?』
柳葉、サービス要らん!!

何でジョンが伯爵の手にキスしてんの!!

「まあ入りたまえ」
「はい」
『あぁ〜ん(///ω///)♪』
鷹夜がマトモで良かった(汗)

えー、こうしてジョンは伯爵邸に入ったのですが。

数日で帰れるハズが。

「イギリスに引っ越した際、正しく会話が出来るように・・・どうか私にレッスンをして欲しいのだ。友として滞在し、力を貸してはくれないだろうか?」
「構いませんよ」
そんな伯爵の言葉と寂しげな雰囲気に乗せられ、ジョンは数週間、数ヵ月と滞在期間を伸ばしてしまいます。

「あぁ伯爵、私はそろそろ故郷へ帰らなくては。婚約者が心配しています」
「では手紙を書きなさい。元気で居ると。じきに帰ると、ね?」
最初は紳士的だった伯爵ですが、次第に何か違和感が滲み出して来ました。

ジョンは恐ろしくなり、自由に見て歩く事を許可されている屋敷の、唯一立ち入りを禁じられた伯爵の部屋へ・・・地下へ行く決意をしました。

そこへ行けば、解放の糸口が見付かる気がしたのです。

「・・・うわぁあぁあーっ!?」
「あぁ、ジョン・・・何故っ・・・」
《ガターンッ》
訪れた地下は、夜型の伯爵が好みそうな、薄暗く陰湿で閉ざされた空間。

そこに一つだけ置かれた大きな棺。

蓋を開ければ、中には伯爵の死体!?

いつもより一層、蒼白い顔をした伯爵が、冷たく固くなって眠っていました!!

ジョンが悲鳴を上げると、明らかに死体のはずの伯爵が目を覚まし、ジョンに掴み掛かります!!

ジョンは必死で逃げました!!

そして・・・屋敷の最上階の窓から、飛び降りたのです。




〜第三幕〜

時は流れ、トランシルヴァニアの大病院で、何とか命だけは助かったジョンが婚約者のリジーと再開。

仲間達と、ドラキュラ伯爵を討つ為に動きました。

狡猾で冷酷な伯爵との、残酷な知恵比べ。

仲間は一人、また一人と殺され、残るはジョン、リジー、マリーの婚約者だけになりました・・・

続く
〜第三幕〜

時は流れ、トランシルヴァニアの大病院で、何とか命だけは助かったジョンが婚約者のリジーと再開。

仲間達と、ドラキュラ伯爵を討つ為に動きました。

狡猾で冷酷な伯爵との、残酷な知恵比べ。

仲間は一人、また一人と殺され、残るはジョン、リジー、マリーの婚約者だけになりました。

しかしマリーは、何と伯爵に噛まれてしまいます!!

「マリー!!マリー!!うわぁあぁあーっ!!」
『ちょっ!?羨ましい!!』
『鷹夜先輩に噛まれて、柳葉先輩に抱き締められるとか!!』
『どんだけ役得!?』
ギャラリー五月蝿い(汗)

「さあジョン?戻っておいで、私の元に。その女は、じきに醜く干からびる。吸血はしたが下僕にはしていないからね」
「この化物!!マリーが!!リジーが!!俺達が何をしたぁあーっ!!」
《ダッ》
腕を広げる伯爵に、木の杭を握り締めて襲い掛かるジョン!!

しかし軽々かわされ、意識を奪わ

『きゃあぁあーっ(///ω///)♪』
『お姫様だっこキタコレ(///ω///)♪』
『鷹夜先輩×柳葉先輩ねっ(///ω///)♪』
もうヤダ腐女子(泣)

マリーの婚約者の抵抗も虚しくジョンは連れ去られ、例の地下室へ。

「くそっ!!離せ化物・・・うぁっ!?あぁあぁあーっ・・・」
「ジョン、愛してる・・・もう逃がさない」
『ぐはーっ(///ω///)♪』
ジョンは蓋の閉まった棺の上に横たえられ、滑らかな首筋に伯爵の牙がズブリと刺さりました。

その後、彼等の姿を見た者は、誰も居なかったそうです・・・

『『『きゃあぁあーっ(///ω///)♪』』』

あの、拍手より黄色い悲鳴が凄いんですが(汗)





「鷹君もヤナ君も衣装似合ってたね」
「あ、う、うん(汗)」
「鷹夜かっけー♪」




ちゃんちゃん(笑)

〜秋〜

「ねぇねぇねぇ?そう言えばさぁ?」
「?」
体育祭や文化祭が済み、平常授業に戻った、ある日の昼休み。

「イヅの父ちゃんと母ちゃん、体育祭も文化祭も来なかったよね?何で?」
「・・・」
一年生の悠治の質問に、二年生の唯月が溜め息をついていた。

「悠。誰もがお前やイヴちゃんや鷹夜先輩と同じように、両親から目一杯の愛情を受けて育った訳じゃない。自分や幼馴染みの家庭を基準にするな」
「???」
唯月に頭を撫でられ、悠治が首を傾げる。

「別に俺、ウチが基準だとは思ってないよ?だって両親の歳の差10歳だし、未だに新婚みたいだし、父ちゃんに言われたら母ちゃん恥ずかしがりながらもコスプレするし・・・」
「友達の両親の“夜の事情”とか知りたくないんだが(汗)」
「ウチは率先してチャイナとかナースとか・・・」
「知りたくないってばイヴちゃん(汗)」
唯月は、頭を抱えた。

「ウチは堂々とキスするくらいだな。そこから先は垣間見た事すらない」
「鷹夜先輩(汗)」
鷹夜、微妙にトドメ。

「所でイヅ、次は何の依頼を受けるんだ?」
「いきなり話題が(汗)まあ良いけど(汗)」
《スッ》
悠治に問われ、唯月がプリントを見せる。

「ススワタリ?」
「トトロに出て来る、アレ?」
「ああ。まあ早い話が、古い家に住み着いて所構わず煤(すす)だらけにする悪戯妖怪の排除依頼だな」
唯月が、首を鳴らす。

「ハウスキーパーしに行くのかぁ♪」
「お掃除、頑張ってね。DUSKINさんみたいだね?」
「あー、うん」
「・・・」
妖怪退治なのに、掃除夫扱い。

頑張れ唯月・・・



『mission15、ススワタリ』
作者:はいはーい♪こちらも記念すべき100話目なんですが、現在ストーリー進行中の和泉学園の皆さん♪どうですか、100話目突入の感想はφ(..)

鳴舞:魔法学園系って病んでる人が多くない?

唯月:そうかも。僕も常識人って事になってるけど“闇”があるし、三野学園の三兄妹はアレだし、藤峰は夢魔のハーフが地味に危険だし、白槽は良く分からんし、大和だけだなマトモなの。CJPNは人間不信いるし。

悠治:俺は早く任務に出たい♪

作者:いや、悠治も任務には出てるんだよ?描かれてないだけで。

悠治:じゃあ書いて〜♪

作者:今度ねφ(..)鷹夜君は何かありますかφ(..)

鷹夜:ドラキュラ伯爵の衣装が暑かった。

作者:そこ(笑)いやぁ有難う御座いました。イケメンの絡みは美味しいですね♪

唯月:鷹夜先輩に何てコトさせるんだ(汗)

鳴舞:首にチュウ?

悠治:がぶー♪

唯月:ふ、二人とも辞めてくれ(汗)

作者:迫られてるし(笑)ってな所で、お開きです(笑)次回から本編が再開だよ〜♪またね〜♪


唯月の父は彼が乳児の頃に借金を抱えて蒸発した。
母子家庭で育った彼だが別に父を恨んではおらず、小学生の時から将来は魔法学園に通ってハンターになると心に決めていた。

母は唯月の父が蒸発した後、何度か恋人を作った。
しかし誰とも長続きせず、裏切られ棄てられ騙され、女で一つで唯月を育てて来た。

“お前なんか産まなきゃ良かった”。
“お前は負担で足枷でしかない”。
そんな言葉を幼い唯月に浴びせながらも、母は唯月を育て続けた。

そんな母への“義理”を果たす為に、唯月は今日も戦う。

愛ではなく、感謝ではなく、恩返しでもなく、“母としての義務と責任”を全うした人への、“義理”として。

唯月にとって“家族”とは、“智の繋がった他人”なのだ。




〜現在・古民家〜

「・・・スッゲェ煤だらけ」
(何か気分まで暗く沈みそうだな)
エプロン、三角巾、マスク、手袋の装備に“魔力”を込めた掃除用具。

唯月の戦いが、始まろうとしていた・・・




『mission15、ススワタリ』
〜古民家〜

「終わらない・・・」
《パタパタパタッ》
どれ程の間、掃除をしていたのだろう?

叩いても拭いても掃いても、汚れは次から次へと発見されてキリがない。

大して危険はないのでランクは低い任務だが、大変面倒臭いようだ。

(腰が痛くなって来た。やっぱり日々の掃除は大事だな。次の土日に部屋の大掃除しよう)
《パタパタパタパタ》
唯月はハタキを動かしながら溜め息をついた。

(・・・掃除かぁ。あの人、掃除とか苦手なんだよなぁ。むしろ家事が苦手だよな。息子を息子と思ってないから未だに食の好みも覚えてないし)
「どうでも良いけど」
唯月は、ふと母親を思い出す。

「授業参観、運動会、発表会・・・ありとあらゆる行事をすっぽかされ続けて十年以上。あんなんと結婚した父さんて、どんな人だったんだろう?」
(借金苦で蒸発したって母さんは言ってたけど、本当は他に好きな人が出来たから母さんと僕を棄てたんだ。叔母さんが言ってたし、本当だろうな)
唯月は、何となく気分まで煤だらけの真っ黒になったような感じがした。

(父さんに棄てられ、母さんには疎まれ、僕は何の為に生きているのやら。あの人が今まで僕の養育費に使った金を返し終えたら、さっさと縁を切ろう)
「早く卒業して、ギルドで働いて・・・ハンターとしての尊厳を持って死ねたら良いな」
唯月が、ハタキをホウキに持ち替える。

(どうせ僕が死んだって、誰も何とも思わないよ。親に愛されない奴が、他人から本当の意味で必要とされるなんて有り得ないから・・・)
《ズズズ・・・》
黙々と掃除をする唯月の背後に、黒い影が迫る!!

唯月は考え事と掃除に意識を奪われていて気付かない!!

《ピリリリリッ》
「!!」
その時、唯月がズボンのポケットに突っ込んでいたスマホが鳴った!!

意識を現実引き戻された唯月が、黒い影に気付く!!

《ブワァアァアッ》
「もしもし?」
『もしもしイヅ君?今、大丈夫?』
唯月は襲い掛かる黒い影を回避しながら、電話に出た。

相手は鳴舞のようだ。

「大丈夫。むしろ助かった。どうしたの?」
『今日の任務地の近くに、“ノエル”ってケーキ屋さんがあるでしょう?前に四人で行った所、覚えてる?』
《バシュッ》
唯月は、通話をしながらホウキで黒い影に応戦。

「・・・近くはないよね。五駅くらい離れてるし駅から歩くし。と言うか、僕の任務地なんて覚えてたんだ?」
『急遽ウチでお泊まり会する事にしたから、ショートケーキをホールで買って来て。私達四人と、パパとママも食べるから』
「する事に“した”んだ(汗)で、僕もメンバーに含まれてるの(汗)学校に任務完了の報告しなきゃならないんだけど(汗)」
『任務を片付けて、“ノエル”に行って、ウチに寄ってから学校に行けば良いよ。それから帰宅して支度して早くウチに来てね?待ってるから・・・』
《ブッ》
鳴舞は言いたい事だけ伝え、電話を切った。

何てワガママなお姫様(汗)

「ったくイヴちゃんは・・・今度は何だ(汗)」
《ヴーッヴーッ》
黒い影を避ける唯月のスマホが、今度はメールを受信。

『イヅ早く〜♪ケーキ〜♪あ、イヅは俺の隣で寝るんだからな!!お布団いっぱい無いから一緒の布団だからな!!お風呂も一緒に入るぞ!!夕飯も食べさせっこするぞ!!待ってるから怪我しないで早くな〜♪』
『気を付けて来い』
「悠・・・鷹夜先輩・・・」
《ズシャアァアッ》
メールの主は、お泊まり会に参加するのであろう二人。

唯月の心の煤は、いつの間にか綺麗に払われていた。

「“精神感応”なんて特殊能力を持った“ススワタリ”は珍しいな。まあ、もう効かないけど?」
(さっさと片付けてケーキ屋に行かないと。売り切れたらイヴちゃんが機嫌を損ねて大変だな・・・)
《ヒュオンッ》
唯月はホウキを振り回し、黒い影に突撃するのだった・・・




“mission15、ススワタリ”完了


〜十月中旬〜

「鷹夜、ヤナ、ツーショット撮らせて♪」
「?」
「どうした悠治?」
とある昼休み、悠治がインスタントカメラ片手に三年の教室に現れた。

何故インスタントカメラ。

「女子がな、学園祭での二人のBLを気に入って、“創作活動の資料が欲しいから写真を撮って来て”って。上手に撮れたら、お菓子くれるって♪」
「ああ、“ドラキュラ”の?写真くらい、直接言ってくれれば何枚でも撮らせてあげるのに。恥ずかしがり屋の姫君なんだな」
「・・・」
隠しもせず事情を話す悠治に、柳葉が笑う。

そして鷹夜の手を握った。

「・・・その写真、今が良いのか?」
「さっき言われたからな♪今が暇なら今が良い〜♪」
「分かった」
「わーい♪」
鷹夜は読んでいた本を閉じ、握られた手に視線を落とした。

「ナチュラルに友達を売るな悠(汗)」
「あ、イヅ♪」
「私も写真欲しい」
「イヴ♪」
そこへ、唯月と鳴舞が現れた。

三年の教室に、普通に入って来る。

「写真撮って〜お菓子貰って〜今日の任務のケータリングにするんだ♪」
「任務?放課後か?」
「うん♪歌で死者を操る海の妖怪を討伐するんだ♪“セイレーン”て言うんだって♪」
「また厄介な(汗)」
悠治の話を聞き、唯月が額を押さえた。

「歌で鳥を操る“ハーピー”、歌で海の死者を操る“セイレーン”、歌で人々を操る“ディーバ”・・・“三大歌姫”と呼ばれる種族の一角を、一年生が討伐?」
「大丈夫だ、C ランクだもん♪」
「一人でか?」
「うん♪凄いだろ♪」
柳葉と鷹夜が心配するが、悠治は胸を張っている。

「大丈夫だと思う」
「イヴちゃん(汗)」
「だって“死者を操る妖怪”なんでしょう?悠ちゃんに勝てると思う?」
「あのねイヴちゃん(汗)悠は強いけど一年生で、しかもC ランクを一人なんて危ないだろう(汗)」
持参したポッキーを食べる鳴舞に、唯月が突っ込んだ。

「大丈夫だもんね、悠ちゃん?」
「大丈夫だよ、イヴ♪」
「・・・駄目だこりゃ(汗)」
ポッキーゲームを始める二人に、唯月は盛大な溜め息をついた・・・




『mission16、セイレーン』
〜放課後〜

「何だよ鷹夜、ついて来たのか?」
「ああ、気にせず任務を」
学校を終え、港にやって来た悠治。

漁師から借りた船に乗り込んだら、何故かついて来た鷹夜が同乗。

「夜だし海だしCランクだから、心配して来てくれたのか? 」
「それもあるが、俺はセイレーンを見た事がない。後学の為に、一度本物を見てみたくてな」
《ブロロロンッ》
簡単なモーターを起動させ、小船を発進させる悠治。

「今度、皆で釣りとかしたいな♪」
「そうだな」
「釣れるかなぁ♪」
「どうだろうな」
ワクワクした面持ちの悠治と、静かに座っている鷹夜。

随分と対照的な絵面である。




〜冲〜

「うわぁ?港が小さい!!」
「・・・」
《チャプンッ》
セイレーンが最後に目撃されたらしい位置まで来てみたが、何も起きない。

セイレーンは移動しているらしいので、もうここには居ないかも知れない。

「さーて、お仕事お仕事♪」
《ユラァ・・・》
だが、そんな事は悠治には関係ない。

魔力を両手に込めて、煙のように周りの海上へ流した。

「おいで、海の亡者共。ここに、おいで。俺の声が聞こえるだろう?こっちへ来て、俺の願いを聞いて?」
《ズズズズズ・・・》
悠治が静かに語りかけると、煙は海で死んだ者達の魂を呼び寄せた。

煙は死者の糧となり、人の形を現すだけのチカラを与えた。

「こんばんは。聞きたい事があるんだ。セイレーンの居場所を知っていたら、教えて?」
『・・・』
悠治が、一体の死者に微笑む。

『・・・彼女は美しい。とても愛しい。素晴らしい女性だ』
『そうだ、彼女は完璧だ。究極の美だ。我々は彼女の奴隷となる事を選んだ』
『お前は彼女を傷付ける。居場所は教えられない。彼女は我々の新しい命だ』
「ふーん?」
死者達の言葉を、悠治は笑顔で聞いている。

「じゃあセイレーンに問うてみて?若くて健康な肉体と、溢れんばかりのエネルギー・・・欲しくはないか、と」
『何だと?』
悠治は目をキラキラ輝かせ、死者を見つめた。

「俺と勝負をして、勝ったら俺を食べて良いよ♪後ろの奴は手出しをしない♪約束するぞ♪」
「・・・」
『彼女の糧になるのか?』
『だが、何で戦う?』
死者達は、恐れなど宿さぬ悠治の眼を不思議そうに見つめ返す。

「勝負の方法はセイレーンが決めて良いぞ?それなら俺、ズルを疑われないもん?」
『・・・』
悠治は胸を張っている。

何を考えているのだろうか?

『〜♪』
「ん?」
《ザバーッ》
その時、海の中から歌声が聞こえた。

次いで海水が立ち上ぼり、中から美しい妖怪が現れる。

「ふぉおぉお♪すっげぇ美人!!お前がセイレーン?」
『♪〜甘き夢 朽ちる事なき私の魂 清き闇 永遠の愛を 私に捧げるのよ〜♪』
驚く悠治に微笑みながら、セイレーンが歌う。

死者達は陶酔した表情でセイレーンの手足に口づけ、霧のように消えた。

『・・・まぁ。何て美味しい魔力。面白い坊や?私と勝負がしたいのね?』
「うんっ♪」
セイレーンは、白く細い指で悠治の顎を掬った。

『そちらは?』
「見学者のイケメン♪何もしないぞ?見てるだけ〜♪」
『本当に?』
「攻撃さえしなけりゃ、な♪」
セイレーンは、鷹夜に色目を使った。

だがスルーされた。

『良いわ。勝負してあげる・・・歌でね?』
「良いよ♪」
勝負の方法は、何とセイレーンの土俵である歌!!

しかし悠治は、あっさり承諾してしまった!!

一体、どうなるのか・・・



『mission16、セイレーン』
〜海上〜

「じゃあね、セイレーンが一曲歌い終わるまでに俺が操られたらセイレーンの勝ち♪操られなかったら俺の勝ち♪」
『あら坊や、そんな勝負で良いの?』
悠治の笑顔の提案に、セイレーンが美しく微笑む。

「だって負けたら食べられちゃうんだし、手間が省けるだろ♪俺って頭良い〜♪」
『うふふふふ。何て可愛い坊やなの?喰い殺したら魂だけ暫く(しばらく)飼おうかしら?』
《スッ》
セイレーンは、目を閉じた。

『♪〜私を呼ぶ声 それは死者の悲鳴 貴方を呼ぶ声 それは海の歌 還りなさい 母なる海へ 母の母胎へ そこで全てが始まり そこで全てが尽きるのよ 私は貴方の還る場所 さあ いらっしゃい 私の愛しい児〜♪』
「・・・」
セイレーンが目を開き、両手を広げて歌う。

悠治の瞳は、段々と虚ろになって行った。

『♪〜いらっしゃい 愛してあげるわ〜♪』
「・・・」
《ドボンッ》
悠治は、フラフラと小船の端まで行き、海に落ちてしまった。

『・・・可愛い坊やが私に堕ちてしまったのに、貴方は動かないのね?』
「悠治が選んだ戦い方だ。口出しはしない。最後まで見届けるだけだ」
『何てクールな男前。貴方も美味しそう。私と勝負をしてみない?』
「歌でか?それは無理だな・・・」
悠然と小船に座っている鷹夜。

特に表情は変わらない(元から無表情)。

『坊やと違って、無茶はしないのね・・・っ!?』
「お前は、もう滅びているから」
《ジュワァアァアッ》
セイレーンが鷹夜に手を伸ばした瞬間、セイレーンが足元から朽ちて行った。

『アアアァァアァーッ!?』
「悠治は操られたフリをしていただけだ」
「そゆ事〜♪」
《ザバーッ》
消滅したセイレーンに目もくれず、鷹夜は悠治を海から引き上げた。

「“死霊遣い”は標的からエネルギーを搾取出来る♪俺に触られたら、アウトなんだよ♪残念でした〜♪」
「早く帰ってホットミルクでも飲め。この時期に夜の海へ入ったら風邪を引く」
《ブロロロンッ》
セイレーンが浮かんでいた位置に向けて舌を出す悠治。

そんな彼の頭にフカフカのタオルを乗せ、鷹夜は小船を引き返させた・・・




『mission17、セイレーン』完了
〜十月某日〜

「あれ?イヴちゃん、何を読んで・・・」
「クラスの女子に借りた“柳葉×鷹夜の同人誌”らしいよ♪」
「((((;゜Д゜)))」
「文化祭では“鷹夜×柳葉”だったから♪」
昼休み、弁当を食べ終えて読書(?)中の鳴舞。

そんな彼女に声をかけた事を、唯月は後悔していた。

「面白いよ、ユーちゃんもイヅ君も出るし」
「ふぁっ((((;゜Д゜)))!?」
「次は俺が読む〜♪」
同人誌から目を話さない鳴舞の台詞に、唯月はドン引きした。




〜ヴァンパイア“柳葉×鷹夜”〜

昔々ある所に、それなりの地位の貴族がおりました。

その家には六歳になる息子があり、整った容姿と聡明な頭脳を持っておりました。

ある晩、息子が珍しく一人で眠っていると、とても恐ろしい獣に襲われる夢を見ました。

息子が慌てて目を覚まし、震えていると、いつの間にかベッドの側に端正な顔立ちの青年が立っておりました。

青年は優しく息子を抱き締め、一緒のベッドに入って寝かしつけてくれました。

ウトウトする息子の額や頬に唇を落としていた青年は・・・突如として息子の滑らかな首筋に噛み付き、その白い肌に牙の痕を、くっきりと残して逃げ去りました。

息子は悲鳴を上げ、駆け付けた乳母や家庭教師に“それは夢ですよ”と宥められましたが、ベッドには確かに青年の温もりと、青年が寝ていた窪みが残っておりました。



月日は流れ、息子は18歳になりました。

あの日の恐怖と首筋の傷痕は消えませんでしたが、息子は真っ直ぐに凛々しい青年へと育ちました。

ある夜の事です。

息子が母と乳母と家庭教師と四人で、敷地から少し出た所まで月見に行っておりました。

月に見とれていた四人の耳に、馬車が転倒する音と御婦人の悲鳴が届きます!!

急いで向かうと、そこには二人の使用人に抱えられた美しい御婦人と、御子息らしき青年が。

聞けば命に関わる危険な旅の途中で、一刻の猶予も許されないとの事。

「お母様、御子息は当家でお預かりして差し上げては?」

息子は気絶した御子息を見て、母に言いました。

目を覚まさぬ御子息を置いて、御婦人と使用人は旅に出ます。

三ヶ月後、必ず御子息を迎えに来ると告げて。

翌日、御子息は目を覚ましました。

「お母様は?馬車は?旅は、どうなったのですか?」
「落ち着いて下さい。お母上は御無事で、昨晩すぐに旅へ出られました」
目覚めた御子息は、側に居た息子に矢継ぎ早に問い掛けます。

「そんなっ・・・」
「三ヶ月後、必ず御迎えにいらっしゃるそうです」
「そんな!!今度こそ私も旅にお連れ下さると!!一人前の後継ぎとして認めて下さると!!」
「落ち着いて下さい」
《ガシッ》
御子息は真っ青になりながら、息子の肩を掴みました。

「あっ・・・失礼致しました」
「構いません。とにかく今は休んで下さい。何かあれば、部屋の外に使用人が控えております」
御子息は、取り乱した自分を恥じ、顔を赤くして手を離しました。

「・・・あの、失礼ですが。以前に何処かで、お逢いしませんでしたか?」
「おや、奇遇ですね。私も貴方に見覚えが・・・夢の中で、ですが」
「ああ!!やっぱり!!私はヤナギと申します!!」
「タカヤです、どうぞ宜しく」
何と言う事でしょう。

御子息は、息子が六歳の頃に見た悪夢の青年だったのです。

「あの日、六歳の誕生日を迎えた私は初めて一人で眠ったのです。すると化物に襲われる夢を見て、飛び起きたら見知らぬ部屋に。そこで、泣いている貴方を見付けたのです」
「・・・ええ。そして貴方は私を慰め、一緒に眠ってくれた」
「けれど、しばらくして貴方は悲鳴を上げて苦しみ出し、私は驚いてベッドから落下して・・・気付いたら自分のベッドから転げ落ちて目覚めていました(笑)」
「私が目覚めると、乳母や家庭教師が駆け付けてくれていました」
御子息と息子で、多少の違いはあれど、二人は確かに夢の中で逢っていました。

それから二人は、とても親しい友になりました。

「実は、ヤナギが我が家に来た日、本当は別の客人が訪れる筈だった。イヅキと言う、将軍様の孫で・・・私の初めての友となる予定だった」
「私達貴族は、なかなか友を作る機会がないからな。だがタカヤ、何故イヅキは来なかったんだ?」
「訪問の数日前、病死したそうだ」
「っ・・・」
二人は本当に色々な話をしました。

「それは済まない事を聞いたな・・・タカヤは、死が怖いか?」
「どうだろうな?死は自然の摂理であり、神の領域だ。恐怖となるか安らぎとなるか、その時にならねば分からないよ」
「私は怖い。死は恐ろしい。だからこそ・・・」
「ヤナギ?」
ただ、御子息には妙な所がありました。

時々、宙を憎々しげに睨み、苦しそうに息を詰めるののです・・・
「タカヤは勤勉だな。素晴らしい。私も見習わないと」
「一緒にやるか?」
ある時は語り合い、ある時は散歩をし、ある時は共に学んでいた二人。

「そうだな。こちらの国の知識も仕入れておいて損はないだろう」
「そう言えば、ヤナギの母国は何処なんだ?」
「っ・・・」
「ヤナギ?」
しかし御子息は、自分の素性の話になると必ず口を閉ざします。

「済まない・・・やはり気分が悪いから、部屋で休むよ・・・」
「大丈夫か?毎日昼を過ぎないと起床しないし、食事はチョコレートばかり。体力もあるとは言えない。何処か悪いのなら医者を・・・」
「大丈夫だ」
「・・・そうか」
そんな時いつも御子息は、顔面蒼白でフラフラと部屋に戻るのです。

「後継ぎがどうとか言っていたし、知られてはならないのか?お母上も危険な旅の途中だったようだし・・・」
息子は不審に思いながらも、あまり詮索はしませんでした。




「タカヤっ」
「お早うヤナギ」
《ガバッ》
御子息は体調が良い時、まるで恋人を見付けたかのように頬を上気させて息子に抱き付き、愛の言葉でも囁き出しそうな距離で語り、スキンシップをします。

「タカヤ、タカヤ、今宵は月が美しいそうだ。夜は少し散歩に出よう」
「そうだな」
「それから・・・うわぁあっ!?」
「ヤナギ?」
所で、御子息が訪れた翌週辺りから、敷地の近隣の町では若い娘のみが掛かる奇病が流行っておりました。

娘達は皆、健康美溢れる者ばかり。

それが、ある日突然に高熱を出し、数日の内に命を落とすのです。

「耳が痛いっ・・・頭が割れるっ・・・何だ、この耳障りな歌はぁあぁあーっ・・・!?」
「讃美歌だろう?昨夜も、また若い娘が亡くなったそうだ。ほら、棺が・・・」
「ぎゃあぁあぁあーっ!!」
「大丈夫かヤナギ?」
讃美歌を歌いながら棺を運ぶ葬列。

それが近付くに従って、御子息は苦しみ悶え始めました。

「タカヤぁあぁあーっ・・・手をっ・・・手を握って・・・抱き締めてくれっ・・・」
「それより帰って医者に診て貰え。その苦しみ方は尋常じゃないぞ?」
「嫌だぁあっ・・・医者は嫌だっ・・・タカヤっ・・・タカヤぁあぁあーっ・・・」
「分かったから落ち着け」
《バッ》
今にも発狂しそうな御子息を抱え、息子は急いで屋敷へ戻ります。

あぁ、この時に気付いていたなら。

この時に危険を感じていたなら。

悲劇は起きなかったのでしょうか・・・
「タカヤ、あぁタカヤ・・・」
「どうしたヤナギ」
「何処に居たんだ?探したじゃないか?」
「書庫に居たぞ?お前が昼過ぎまで起きて来ないから、先にシェイクスピアを一冊読んでおこうと思ってな」
《ガバッ》
例の讃美歌の日から、御子息の息子に対する執着はより一層強い物となりました。

「タカヤ、タカヤ、お前の匂いだ。お前の熱が、お前の鼓動だけが私を癒してくれる」
「ホームシックかヤナギ。もうじき約束の三ヶ月だ。安心しろ、お母上は必ず御迎えにいらっしゃる」
「タカヤ、タカヤ、御母様が迎えにいらして私が故郷に戻った後も友でいてくれるか?文を交わしてくれるか?」
「勿論だ。私達は互いに、生まれて初めての友人なのだから」
《ギュッ》
御子息は息子にしっかりと抱き付き、その首もとに顔を埋め、耳元で甘く囁くのでした。




やがて約束の三ヶ月が過ぎ、四ヶ月目に入ろうとしました。

御子息の母からは一切の連絡もなく、迎えもありません。

「タカヤ、側に居てくれ・・・離れないでくれ・・・」
「ヤナギ」
「私を棄てないでくれ・・・タカヤ・・・」
「ヤナギ、もう眠れ」
その頃には、毎晩同じベッドに入り、語り明かす仲になっていた二人。

御子息からの執着は異常なまでに膨らんでいました。

「タカヤ、タカヤ、愛しい人・・・」
「・・・は?」
「死すらも二人を分かてはしない・・・死など訪れはしないのだから・・・」
「近い」
《ベチッ》
このように、頻繁に息子へ唇を寄せるようになり、その度に額を叩かれていました。

「タカヤ?タカヤは私を拒むのか?棄てるのか?」
「棄てないが、そのような仲ではない」
「どうして?私はタカヤを愛しているのに?」
「・・・ヤナギの国では同性愛が認められているんだな」
縋るように胸元に擦り寄る御子息を、文化の違いだろうと解釈しながら押し止める息子。

「タカヤ・・・」
「よせ」
「愛しているよ・・・」
「聞け、重い」
《ギシッ》
御子息は、息子の上に覆い被さります。

いつも息子は冷静に返しますが、この日は御子息の力が妙に強く、抵抗が効きません。

「タカヤ、私と一つになろう・・・」
「そろそろ怒るぞ・・・っ!?」
《ガッ》
そして遂に、御子息は息子の滑らかな首筋に噛み付きました。

六歳の、あの日のように。




「タカヤ、起きろ。大丈夫か?」
「・・・?」
痛みで気を失ったのか、息子が目覚めた時、もう時刻は昼を回っていました。

「珍しいな。君が語り合いの途中で眠って、しかも昼過ぎまで目覚めないなんて」
「え・・・」
「うなされていたが大丈夫か?今日は君の母君が、補修に出していた宝物庫の絵画が戻って来るから一緒に見ようとおっしゃっていたけれど・・・起きられるか?」
「あ、ああ・・・」
アレは、またも夢だったのでしょうか?

御子息に、二度も首筋を噛まれる夢を見たのでしょうか?

真相は、六歳の頃より一層赤黒くなった首筋の痕だけが知っていました・・・
その日の昼食後、業者が屋敷を訪れて、補修に出していた絵画の数々を見せました。

素晴らしく美しい作品達に感嘆の吐息を漏らす母と息子。

そして、少し離れた位置には御子息。

やがて最後の一枚が運ばれた、その時でした。

「・・・ヤナギ。この絵のモデルは君に良く似ているな。何百年も前の絵だが、遠縁か何かだろうか?」
「ーーーっ!!」
50枚目の作品に描かれていたのは、御子息と瓜二つの貴族でした。

「“ナギャ・カシュタロス卿”・・・カシュタロス卿?隣の領地を遠い昔に治めていた一族だな?」
「・・・済まないタカヤ。気分が悪いから、部屋に戻るよ」
御子息は顔を蒼白くし、素早く部屋に戻ってしまいました。

そして、夜。

「カシュタロス卿の絵は、私の部屋に飾らせて頂いたよ。あれだけ君に似ているんだ。いつか君のお母上がが君を迎えにいらして、私達が離れ離れになっても・・・私が決して君との友情を忘れないように」
「タカヤ・・・」
いつものように御子息のベッドで語り合っていた二人。

「あの絵を・・・君の部屋に・・・」
「ヤナギ、落ち着け」
「嬉しいよタカヤ」
「こう言う事は、よせ」
《ギシッ》
御子息は、ウットリとした表情で息子の頬に口付けました。

「タカヤ、やはり私達は運命で結ばれているのだよ・・・」
「ヤナギ、よせと・・・んぐっ!?」
そして息子の唇を、自身の唇で塞いでしまいます。

「っ・・・は、ぁ・・・な、にをっ・・・うぁあっ・・・!?」
「タカヤ、愛しているのよ。だから永遠に、私のモノに・・・」
《ガッ》
人格ごと支配するような乱暴なヴェーゼ。

息子の息が上がり、抵抗が弱まった瞬間・・・御子息は、息子の首筋に深く噛み付き、血を啜りました。

「タカヤ、タカヤ・・・血の代わりに私の魔力を注いであげたよ・・・これで君は、私だけのモノ・・・誰にも渡さない・・・」
「・・・」
《バサッ》
御子息は気を失った息子を抱え、夜の空へ飛び立ちました。

その後、彼等の姿を見た者は誰も居ませんでした。




時は流れ、息子の一族が治めていた領地と元カシュタロス卿の領地は、とある貴族が統合して治めていました。

「最近、若い娘のみが掛かる奇病が流行っているらしいぞ!!何百年かに一度、一時期だけ流行り、急に鎮まる事を繰り返す謎の病!!それが再び、この一帯に広まるとは!!」
その統合領地を治めている青年貴族は、再発した奇病に頭を悩ませていました。

「だが医学は進歩している!!今の時代には、そんな奇病と戦える名医が居るのだ!!ナヤギ殿、カヤタ殿、宜しくお願い致します!!」
「お任せ下さいユージ卿・・・聞けばその病、数百年前に一度だけ将軍様のお孫様を襲ったとか・・・お孫様は男性であらせられたのに・・・」
「なんと!!そうなのですか!?存じ上げませんでした!!」
「・・・」
若き青年領主が異国より呼んだ名医は、蒼白い顔をした二人組だったそうです・・・




〜・・・〜

「・・・同人誌って凄いね」
「鷹夜とヤナがいっぱいチューしてる〜♪」
「・・・」
「・・・((((;゜Д゜)))」
現在、愉しそうな鳴舞と悠治の後ろの方で、鷹夜と唯月が微妙な顔をしている。

「ちなみにチューより先ってしたのかなぁ?」
「想像しないでイヴちゃん((((;゜Д゜)))」
「チューより先って何?」
「知らなくて良いぞ悠治・・・」




ちゃんちゃん
〜やり直し地蔵〜

昔々ある所に、お地蔵様が在りました。

小学校の裏山にポツンと忘れ去られ、寂しく永い年月を孤独に過ごしていたお地蔵様。

『寂しい・・・悲しい・・・恋しい・・・』

お地蔵は誰かに会いたくて、ずっと仏に祈っておりました。

しかし待てども待てども人は来ず、お地蔵はすっから汚れてボロボロになってしまいました。

『ダレカ・・・ダレカ・・・』

そんなある日、お地蔵様の所にピカピカのランドセルを背負った女の子が現れました。

「おじぞうさま、おじぞうさま、ぼくをたすけてください」

女の子は、それからよくお地蔵の所へ訪れるようになりました。

時には身体中に傷を作り、時には持ち物を無惨な姿にされながら、成長しても暇を見付けてはお地蔵様に縋りに来ました。

大人になって、嘘の笑顔を覚え、心に見えない傷を沢山抱えながら、それでも訪れました。

そして、遂にお地蔵の側で自殺を図りました。

寒空の下、手首を切ってお地蔵様の前の地面を鮮血で染める彼女に、お地蔵様は言いました。

『やり直したい?』

「え・・・」

『魂だけ、初めて私に会いに来た日に戻してあげる』

「・・・はい」

お地蔵様は、彼女に記憶を持たせたまま人生をやり直すチャンスを与えました。

気付いた時、彼女はピカピカのランドセルを背負い、衣服の下にアザを作ったままお地蔵様の前に居ました。

『イッテオイデ』

「有難う御座います・・・」

彼女は自分に毎日暴力を振るっていた兄に仕返しをしました。

「私がお家に帰ると、お兄ちゃんが殴るの。ママが私を守って殴られるの。私が帰るとママいつか殺されちゃうから帰れないの」

夜の六時に交番に飛び込み、涙ながらに訴えます。

警察は家庭を調査。

兄は児童更正施設に入れられました。

「パパは子育てをしないの。全部ママに丸投げ。都合が悪い時だけ“出て行け”って怒鳴りながら殴るの。本で読んだよ、虐待って言うんだって」

次に彼女は、父に復讐しました。

「パァンッママや私がお兄ちゃんに殺されかけても助けてくれなかったの。自分に害がないから、私達が死んでも良いのね」

両親が離婚するように仕向け、児童更正施設から出た兄は父に引き取らせます。

「お地蔵様、有難う。家庭の膿は出し尽くしたわ。転校する羽目になったけど、後悔はないの」

『それは良かった』

転校前日、彼女はお地蔵様に会いに行きました。

「たまに来るわ、御供物を持って」

『供物ハモウ貰ッタヨ・・・』

笑う彼女に、お地蔵様は口角を吊り上げます。

『お前の未来と魂』

「?」

『お前の運命は変わった。本来なら出会えるハズだった人や出来事に、お前は永久に出会えない。復讐を果たしたお前の魂は穢れ、行先は地獄となった』

「・・・そんな事か、大丈夫よ」

彼女は、お地蔵様に背を向けます。

出会えるハズだった友人も、起きるハズだった楽しい出来事も、今や泡沫。

「天国に興味はないし、廻り合わせが変わっても構わないから」

『それと、モウヒトツ』

《ドスッ・・・》

嘲笑うお地蔵様と、彼女を襲う鋭い痛み。

『お前の死に様も、変わったヨ・・・』

「ごぷっ・・・!?」

お地蔵様は、錫杖で彼女の胸を貫いていました。

『やり直した命は、目的を果たしたら喰われるよ』

「・・・」




汚れて穢れて歪んだお地蔵様は、妖怪となりました。

今日もまた、あの小学校の裏山で不幸な子供を呼んでいます。

いつか動けるくらい妖力が貯まったら、貴方の街にも現れるかも知れません。

付け込まれぬよう、“今”を大切に・・・
作者「集合ーっヾ(@゜▽゜@)ノ」

悠治「どうした〜♪」

鳴舞「メリークリスマス」

作者「メリークリスマス♪はいはい皆さん、クリスマスと言えばヾ(@゜▽゜@)ノ」

唯月「マイク、何処から出したの?」

鷹夜「・・・」

作者「クリスマスと言えばヾ(@゜▽゜@)ノ?」

悠治「ケーキ♪チキン♪御馳走〜♪」

鳴舞「プレゼント」

鷹夜「雪」

唯月「祝った事ないけど・・・キリストの誕生日?」

作者「唯月君、真面目か(笑)はい次、クリスマスと言えばヾ(@゜▽゜@)ノ」

囚李「でっかいツリーとイルミネーション♪兄貴は戦場でメリークリスマス♪血の雨が降る〜♪」

囚星「・・・桃のシャンメリー」

囚李「桃のクリスマスケーキに桃のお菓子にフルーツカクテルだよな〜♪」

囚星「桃のシャーベット」

作者「そこん家は妹を甘やかし放題か(笑)次、クリスマスと言えばヾ(@゜▽゜@)ノ」

砂音「町にサンタが大量発生」

瑠偉「町に酔っ払い大量出現」

琥楼「えーと(汗)パーティーですかね(汗)」

作者「砂音と瑠偉の着眼点(笑)次、クリスマスと言えばヾ(@゜▽゜@)ノ」

メア「お泊まりデートですわぁ♪」

バロン「パーティーでレディー達と甘い一時を」

一陰「リースやオーナメントを作るのが楽しいよね」

作者「リア充爆発しろ(笑)次、クリスマスと言えばヾ(@゜▽゜@)ノ」

郎琶「御馳走!!」

睦霧「パーティー♪」

蔵騎「寝正月ならぬ寝クリスマス(´・ω・`)」

若洲「おい調味料先輩。俺はチキンかなぁ?」

作者「蔵騎(笑)」

沙兎「肉!!」

茶醒「姫君達と過ごす日だね?」

永久「町が華やかで綺麗だよね」

作者「ここにもリア充が(笑)」



皆さん、メリークリスマス(~▽~@)♪♪♪
☆もしも和泉学園のメンバーの精神が入れ替わったら



体(精神):で、話を進めます。




鳴舞(唯月):こ、困ったな・・・

悠治(鳴舞):そうね。

鷹夜(悠治):わーい♪目線が高い♪

唯月(鷹夜):元に戻る方法を探そう。

鷹夜(悠治):あははは♪違和感ない♪タカもイズも冷静だからな♪

鳴舞(唯月):鷹夜先輩の体でハイテンションは辞めろっ

悠治(鳴舞):私の体で乱暴な口調は辞めて。

鳴舞(唯月):あ、ゴメン。

鷹夜(悠治):なぁなぁ、もし今日中に戻れなかったら何処に帰れば良いの?タカん家?俺ん家?

悠治(鳴舞):私ん家。皆でお泊まり会。

鳴舞(唯月):た、楽しんでない?イヴちゃん?

鷹夜(悠治):明日も戻れなかったら、どーすんだ?三年生の勉強なんて分からないぞ?

鳴舞(唯月):ああ、学校関連は困らないだろう。事情を話して各自のクラスで授業を受ければ良い。

悠治(鳴舞):任務はキツいね。魔法が使えるか分からないし、武器も体が慣れてない。

鷹夜(悠治):後さぁ、トイレとか風呂とかどうする?

鳴舞(唯月):っ!!

鷹夜(悠治):用を足す時とか、タカので出すんだろ?
勝手が違うし・・・

鳴舞(唯月):そ、それより・・・僕とイヴちゃんは体が異性だから・・・

悠治(鳴舞):おトイレは座れば良いけど、お風呂は見なきゃ洗えないしね。

鳴舞(唯月):大問題だ!!

鷹夜(悠治):一緒に入れば?

鳴舞(唯月):はぁっ!?

鷹夜(悠治):目を瞑って洗いっこすれば良くないか?

悠治(鳴舞):皆で入る?

鳴舞(唯月):イヴちゃんっ

唯月(鷹夜):鳴舞の父さんに洗って貰うのはどうだ?
背が伸びた、大きくなった、くらいにしか思わないのではないか?

悠治(鳴舞):悠ちゃんの裸を見たって“逞しくなった”とか“大きくなった”とか“立派になった”とか?

鳴舞(唯月):イヴちゃん、含みを持たせて言うの辞めてくれないかな・・・

悠治(鳴舞):・・・立派になった?

鷹夜(悠治):???背は伸びたぞ♪体も鍛えてるぞ♪

唯月(鷹夜):・・・

鳴舞(唯月):悠はそのままで居てくれ。

鷹夜(悠治):えーっ!?もっと!!180cmくらい欲しい!!





ちゃんちゃん♪
人気のない、放課後の体育館裏。

「は、な、してっ」
『では、逃げないで下さい』
壁に押し付けられる一陰と、彼を軽々押さえ付けるバロン。

「やだっ・・・バロンは狡い!!本気じゃないのに真剣な顔で近付いて来て!!冗談なのに逃げ道を塞いで!!食糧や遊びの為なら任務でやってよ!!」
『おや、傷付きますね』
いつもなら、すぐに解放してくれるバロンが、今日に限って何故か強引だ。

『私は貴方に対して、戯れで愛を告げた事はありませんが?』
「嘘!!誰にだって迫るじゃない!!」
『では貴方だけにすれば、“俺”を見てくれますか?』
「っ・・・!!」
唇が触れそうな距離で、夢魔が甘く囁く。

『貴方を食糧にしない為に、博愛主義の仮面を着けていただけですよ?その仮面が御気に召さないならば・・・』
「待っ」
『今から全て、貴方のモノに』
「だ、駄目っ・・・」
美しい魔物が、獲物を捕らえた。

『あら、御兄様』
『おや』
「メアっ・・・」
そこに現れたのは、夢魔の片割れ。

『我慢の限界が来たからって、抜け駆けは酷いんじゃありません事?』
『済まない。では、おいで?』
「ひっ・・・」





↑なんて妄想してたら一陰が真っ赤になって怒り出しました(笑)カズが怒るの珍しい(笑)
〜CJPN学園シェアハウス〜

「準備は良いかぉ?」
「ああ、健闘を祈る」
ここは学生達が4〜6人で共同生活をする貸家。

とある土曜日の朝、その貸家の一軒で、毎度お馴染みの戦いが開始されていた。

「「起きろーっ!!」」
《バターンッ》
一年生の若洲(わかす)と二年の睦霧(むつぎり)が、本日も変わらず寝汚い2名のルームメイトを、それぞれ起こすのだ。

「起きろ調味料先輩。卵とじにして窒息させるぞ」
「ぶみゃあぁあっ(´・ω・`)!?」
《ドスーッ》
布団の上から踵落としを喰らったのは、三年生の蔵騎(くらき)。

「郎ちゃん起きるぉ〜♪」
「今日は休みじゃんかよぉ(-.-)Zzz」
《ポスポスポスッ》
別室にて睦霧に布団を叩かれているのが、二年生の郎琶(ろうは)。

「私は夢の中で誓ったんだよ(´・ω・`)Zzzお布団さんと心の友に・・・みぎゃあぁあーっ(´・ω・`)!!」
「梅雨だからって脳味噌にカビ生やしてんじゃねぇ。ブルーチーズ加えるぞ調味料先輩」
《ゴボゴボゴボッ》
往生際悪く布団にくるまる蔵騎を、若洲がいつも通り“水球の檻(おり)”に閉じ込める。

「郎ちゃーん郎ちゃーん郎ちゃーんΣ(ノシд<)ノシ」
「うー・・・分かった起きる(-.-)Zzz」
《フワッ》
小動物(笑)に布団を叩かれまくり、起床する郎琶。

“浮遊魔法”で睦霧を持ち上げた。

「・・・おふぁよー?安定のズブ濡れニャンコだな蔵ぁ?デフォルトだねぇ?」
「だから若洲さんの起こし方が悪いんだよ(((´・ω・`)))」
「いやいや、起きない調味料先輩が悪いんだろ?ワサビ醤油掛けるぞ?」
「良いから朝御飯を食べるぉ?」
こうして全員が部屋から出て来て、食卓に向かう。

「ねえ、たまには起こす人をチェンジしない(´・ω・`)?」
「何度も言うけど無理。俺に死亡フラグしか立たない。郎琶の部屋とか緊急時以外で入ったらマッシュポテト状ににされるわ。あんまし無茶を言うとオーロラソースで和えるぞ」
「カロリー高そうだな」
「それな、本当な、胃もたれするぉ」
こうして割りと平和な朝の一時は流れる。




〜昼〜

「まーたーかーよーっ!?」
「郎ちゃん本当ゴメン(汗)」
この日、久々に午後から外出予定だった郎琶と睦霧。

しかし、無情にも睦霧のスマホに教師からの依頼メールが届いてしまった。

玄関を出ながら、揉める二人。

「何回分デート潰す気なの!?」
「楽士先生が“魔法学生の本分は任務だよ?”って依頼を寄越したんだぉ(汗)」
「あのハゲ!!ムッツンばっかコキ使いやがって!!」
「責任感を利用されまくりだぁお(汗)」
《ミシミシバキバキッ》
最早定番となった、郎琶の壁破壊。

居住区の建物も学園同様に自己再生するとは言え、器物損壊である。

「見ろよ、また“殿下”がキレてる」
「相変わらず短気だなぁ」
「しーっ!!缶コーヒーみたく振られたいのか!?」
そして集まる居住区の生徒達。

郎琶は浮遊魔法で他人をカクテルのようにシェイク出来ます!!

「注目されてるぞ郎琶。またハゲが勝手に依頼を寄越したんだっけ?」
「待って〜(´・ω・`)」
そこへ、買い物に向かう若洲と蔵騎が追い付いた。

「四人が揃ったぞ!!」
「各学年の変わり者が意気投合してシェアハウスしている!!」
「類友な四人組!!」
「“類”はきっと睦霧ちゃん!!」
周りは四人を見て、いつもの変な盛り上がりを見せる。

「“基礎こそ最強、がモットーの我儘殿下”郎琶!!」
「“攻めも守りもお任せ、我等がアイドル”睦霧!!」
「“戦うなんて野蛮だよ、引き籠り召喚師”蔵騎!!」
「“水練も溺れさせるのも得意、ドSボケ”若洲!!」
「「「「だから妙な二つ名を付けるな(だぉ)(付けないで)っ!!」」」」
周りの叫びに、四人が突っ込む。

ここまでが一連の御約束と化している。

「で、どんな任務なんだよ!!折角のデートを邪魔するのは!!」
「今から正式な依頼書を受け取りに行くんだけど、簡単な説明はメールで来てるぉ」
拗ねる郎琶に、睦霧がスマホを見せた。

「“枯れたクリスタルの樹”の調査依頼だろう?」
「うわっ!?」
「あ、明多先生」
ふと、四人の後ろから教師が声を掛けた。

「悪いんだが急ぎの任務でSランクだから四人で行ってくれ。これが依頼書だ」
「嫌です(´・ω・`)」
「わざわざ教師が届けに来るなんて、余程なんですね」
「はぁ?僕も行くの?今からアニメ〇トなんだけど?」
蔵騎と郎琶が拗ねている。

「健闘を祈る。これ、餞別の稲荷寿司だ。仲良く食べるように」
「はい、鳴〇先生」
「若手は大変だな〇狐先生」
教師から弁当を受け取り、若洲は観念した・・・



『Mission17、枯れたクリスタルの樹』
〜上空〜

「そもそも“クリスタルの樹”って何なんだ?」
《ビューンッ》
緊急な任務の上に現場が遠いので、ホウキ(普段は学園内で管理)に乗って移動する郎琶達。

余談だが、郎琶は基礎魔法の“物体浮遊”が特化し過ぎていてホウキ無しでも飛べる。
飛べるが今は乗っている。

「名前の如くクリスタルで出来た樹なんじゃないか?」
「ネーミングのセンス無さすぎ。ダサいなぁ」
「栗きんとん食べたい(´・ω・`)」
「栗きんとんまみれになって喰われちまえニャンコ」
《ビューンッ》
郎琶が酷い。

「書類によると、“怠惰の女神”が宿っているクリスタルで出来た珍しい植物なんだって。異界に繋がっていて、その昔“勇者の一行”がクリスタルの樹を使って何度も異界の窮地を救ったそうな」
「RPGみたいだな」
《ビューンッ》
睦霧は依頼書を片手に飛行中。

「今ではPAST共和国の象徴とされていたんだけど、ここ二年で葉が枯れ、遂に先日、樹自体が枯れて赤茶色になったみたい。すっかり細くなってるよ、ほら?」
「嫌なビフォー&アフターだな」
《ビューンッ》
睦霧に二枚の写真を見せられ、若洲は苦笑した。

飛行中に見せたら危ない気がするんだが。

「で、その樹が枯れた原因を調査すんの?今更?二年前から枯れ始めてたのに?」
「調味料先輩並みに遅い対応だよな、国の象徴じゃないのかよ?」
《ビューンッ》
郎琶と若洲は呆れている。

「PAST共和国は小国だし、ここ十年くらい経済が傾いているから調査依頼が出来なかったんだぁお。何か国王が代わっちゃったみたい」
「まさか栗きんとんの樹が枯れたのは前王の呪い(((´・ω・`)))!?」
「クリスタルの樹だぉ?」
「人間怖いよっ(((´・ω・`)))!!」
《ビューンッ》
蔵騎は小刻みに震えながら言った。

「つーか、これ任務じゃ無かったら超勝ち組イベントなのになぁ」
「あ?学園のアイドルと遠出するからか?」
「そうそう。シェアハウスしてる時点で勝ち組なんだけれども」
「それな」
《ビューンッ》
ふと、若洲が雑談を始めた。

「けどなぁ若?」
「んー?」
「先に“勝ち組〜♪”とか思い付いたの僕だから。言わなかっただけだから。真似すんな(笑)」
「してねぇわ(笑)言ったもん勝ちだから(笑)俺のが先だし(笑)」
「僕だよ?」
「いや俺だろ?」
「任務中だぁお???」
「「あ、はい済みません」」
《ビューンッ》
言い合いになりかけたので、睦霧が笑顔で威圧。

何してんのよ(笑)

「・・・所でさ、調査だけならSランク任務にならないよね(´・ω・`)?いくら国の象徴でも、いくら難しい調査でも(´・ω・`)て言うか調査の難易度が高いなら正規ギルドに依頼が行くよね(´・ω・`)?私達まだ学生だよ(´・ω・`)???」
「だろうなぁ?」
《ビューンッ》
かと思えば、今度は蔵騎が喋り出した。

「・・・でさ、さっきから誰かにと言うか何かに尾行されてると言うか殺気と言うか寒気がと言うか帰りたいんだけど(´・ω・`)」
「腹ぁ括れよ調味料先輩」
《ビューンッ》
蔵騎と若洲は、振り返らずにホウキの速度を上げる。

「んじゃ、ここでRPGっぽく装備チェックしとくか?僕はジャージ(着替えた)とホウキ、武器は日本刀だな?」
「私は長袖Tシャツに短パン、ホウキ、武器は鉤爪だぁお」
「Tシャツ、ジーパン、ホウキ、武器は無し」
「萌え袖Tシャツに長ズボン、ホウキ、武器は五行札だよ(´・ω・`)戦いたくないよ(´・ω・`)」
《ビューンッ》
郎琶と睦霧が左右に分かれて距離を取り、若洲と蔵騎が上下にずれる。

「調味料先輩?怪しい気配は、どの程度まで接近してる?」
「まだ近くはないよ(´・ω・`)睦霧ちゃんが感知出来ないくらいの距離・・・ひぎゃあっ!?」
《パァアンッ!!》
蔵騎が言いかけた瞬間、彼のホウキが破裂した!!

空中でホウキを失えば、落下するしかない!!

「みぎゃぁあぁあーっ!?」
「何してんだよっ(汗)」
《ギュンッ》
蔵騎より上にいた若洲が、素早く急降下して蔵騎の襟首を掴み、ホウキの後ろに乗せた。

「そりゃ近くなくても遠距離攻撃型の敵なら撃って来るよなぁ?」
「何系の魔法だろう?破裂したって事は武器ではないよね?」
《ビューンッ》
郎琶と睦霧が、後ろを気にしながら飛行を続ける。

「取り敢えず僕が迎え撃つから、お前等は先に行け
「郎ちゃんイケメン!!」
「気を付けろよ?」
「“雷獸”付けとく(´・ω・`)?」
《バチバチバチッ》
ホウキごと振り返った郎琶。

蔵騎が、でんでん太鼓を持った金髪の美少年を召喚する。

「ぶっちゃけ要らないけど、連絡係に受け取ってやるよ」
『小娘は相変わらず横柄だな』
何だか不仲そうだが大丈夫だろうか・・・



続く
〜上空〜

『・・・来るぞっ』
「おう!!」
《ギュイン》
“雷獣”が攻撃の気配を察して声を発し、郎琶が応じて急上昇。

《パァンッ!!》
「うるせっ」
郎琶の居た位置の空気が破裂し、音が鼓膜を揺らす。

「“標的”捕捉型の魔法じゃないらしいな。狙った“位置”に攻撃、しかも人体じゃなくホウキを狙ってる」
『生体は壊せぬ魔法か、地上に血肉の雨を降らせぬようにとの配慮か』
《パァンッパァンッパァンッ》
郎琶が回避する軌道に、空気の破裂音が付きまとう。

「配慮なら敵は人間、魔物なら魔法を使える辺り厄介だな」
『S級任務だからな』
《ギュインッ》
郎琶は敵を探すべく、ホウキを走らせた。

「まあ、厄介だろうが面倒だろうがブッ壊せば良いんだけどさ?」
『力業な小娘よなぁ』
「良いから、さっさと殺気を感じる方に案内しろ。売られた喧嘩は高値で買うのが信条だ」
『野蛮だな』
《ギュアォオンッ!!》
郎琶はホウキの速度を思い切り上げ、“雷獣”に導かれるままに術者を潰しに行った。

普通、相当な“魔法使い”でも“雷獣”の速度には追い付けないのだが。




〜睦霧side〜

「郎琶君、大丈夫かなぁ?」
「少なくとも調味料先輩よりは大丈夫だろ」
「郎ちゃん、シンプル過ぎて予想出来ないタイプの戦法だから」
《ギューンッ》
こちら、“クリスタルの樹”へと向かう三人。

「ほら、もうすぐPAST共和国なんだぉ」
「気合い入れろよオーロラソース先輩?」
「若洲さんのボキャブラリー(´・ω・`)」
《ギューンッ》
やがて三人は、国境付近へ。




〜PAST共和国・王城〜

「ようこそいらっしゃいました。私、PAST共和国の大臣で御座います」
「CJPN魔法学園の生徒です。この度は、御依頼頂きまして真に有難う御座います」
まずは大臣に謁見。

一応、今回の隊長は睦霧である。

「早速だが、依頼内容は学園に送った書状の通りだ。“クリスタルの樹”が枯れた原因を突き止め、適切な処置を頼みたい」
「お任せ下さい」
大臣は少々やつれている。

飢饉や財政難で大変なのだ。

「所で、そなた達は四人組だと聞いたが?一人足りぬぞ?」
「くきゃ、実は・・・」
《バターンッ》
大臣の問いに睦霧が答えようとした瞬間、謁見の間の扉が勢い良く開き、黒ずくめの壮年が数名フルボッコ状態で吹っ飛ばされて来た。

「御待たせ、睦。奇襲して来た刺客はボコッといたよ?」
「郎ちゃん、依頼人の前だから少し大人しめに登場して欲しいぉ」
《ゴキャッ》
そして最後に飛んで来て、一人の壮年の上に着地したのは郎琶だった。

「すっげぇ音したけど?」
「刺客さん、生きてる(´・ω・`)?」
若洲と蔵騎は、ちょっとだけ刺客に同情した。

「な、んで・・・ホウキ・・・壊した、のに・・・」
「飛べる・・・有り得ん・・・反則、だ、ろ・・・」
「おぇえぇえっ・・・」
刺客達はボロ雑巾のようだ。

「郎ちゃん(基礎魔法の“物体浮遊”特化で)ホウキ無くても飛べるから。まあ有り得ないよね普通」
「しかも(基礎魔法の“念力魔法”特化で)武器無くても物置とかボッコボコに出来るし」
「刺客さん、痛め付けられた上に散々シェイクされたんだね(´・ω・`)超高速フリーフォール何十回やられたのさ(´・ω・`)」
「あ?フリーフォールじゃねぇよ?縦横斜め前後左右余す事なく振り回したからなぁ?」
結論、郎琶は酷い。

ちなみに刺客達は散々振り回されたせいで三半規管が大破し、自力で動けません。

「脳に障害が残るパターンだぉ」
「良いじゃん敵だし」
《トッ》
供養でもするように両手を合わせる睦霧の傍らに、郎琶が飛んで来た。

「ふむ。この狼藉者共は牢に監禁して素性を洗っておこう」
「御願い致します」
《パンパンッ》
大臣が手を叩いて兵を呼び、刺客達を連行させた。

「私達は“クリスタルの樹”を見に行くぉ」
「そうだな」
「あれ?“雷獣”は(´・ω・`)?」
「先に“クリスタルの樹”を調べてるってさ。お前と違って働き者だよな、生意気だけど」
こうして四人は、“クリスタルの樹”を調べに行くのだった。





〜クリスタルの樹〜

「あれが“クリスタルの樹”かぉ」
「クリスタルか?腐ってボロボロだな?」
「そりゃ枯れたんだからなぁ?」
「“雷獣”〜何処〜(´・ω・`)?」
さて、ようやく目的地に到着である。

『遅いぞ主よ』
「みゃ〜(´・ω・`)」
《フワッ》
どうやらクリスタルの樹を上から観察していたらしい“雷獣”が、主人(蔵騎)を見付けて舞い降りた・・・




続く

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