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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】 大英帝国は石炭であり、アメリカ合衆国は石油そのもの

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もし化石燃料が存在しなかったとしたら

VICUS HOMO FUTURUM

近代化の最大の要因に経済の仕組みと科学技術を置く考えでは、
近代化のプロセスに歴史的な連続性を見る。
逆に、化石燃料を柱に据えたなら連続性はほとんどなく、
西洋文明の優位もまた非常に相対的なものであることが、
以下のような思考実験をしてみれば明白となる。

もしも化石燃料の埋蔵がなかったらと仮定して、
ルネサンス期以降の世界がどうなっていたかを考えてみる。
科学技術、社会システム、国際関係などなど、
あらゆる視点でシミュレーションしてみる。
すると、今の世界は絶対に存在しなかったことがわかる。

ここまで急速な人口増加もなかったし、これほどの科学技術の
進歩も絶対になかった。
石油がなければ科学実験に投入できるエネルギーも物質も
比較にならないほど少なかったはずだ。
フォードもエジソンも生まれず、自動車も電灯も飛行機もなかった。
さらにはコンピューターもなかった。
今、私たちが使っている日常生活物資のほとんどは、
プラスチックなしでは大量生産が不可能なものであり、
その意味では私のような庶民がこの豊富さと便利さを
享受することもありえなかった。

世界史に目を移せば、ここまでの国力と生産力、さらには
軍事力の格差は生まれようがなかった。
とすると、イギリスの世界制覇もなく、ロシア革命もなく、世界大戦
もなく、とりわけアメリカ合衆国は今の形では絶対に存在しなかった。
化石燃料による高速大量輸送機関がなければ、
欧米列強の世界展開は著しく限られた。
大航海時代にスペインやポルトガルは、インカ帝国は征服できた。
しかし、蒸気機関をもたなければ、イギリスでさえも
清朝やムガール帝国の敵ではなかったはずだ。
遠からずして、体勢を立て直した中国やインドに世界の覇権を
奪い返されていた可能性は十分にある。
近年の中国とインドの台頭は、化石燃料による大量生産を手に入れた
両国の巻き返しの始まりであることは、もはや疑いようがない。

もし石炭がなかったとしたら、英語が世界言語になることもなく、
私たちがこの不規則で合理性に乏しい慣用句だらけの北欧の田舎言語
の習得に悩まされることもなかった。
英語が世界言語になったのは、それが優れていたからではないのと同様に、
欧米文化が世界を席巻したのは、他より大きく優れていたからではない。
その文化を持った国の国力が強かったからにすぎない。

産業革命は、たまたま技術的社会的な発展段階にあったイギリスが、
その時代にたまたま大量に見つかった石炭を利用できる状態になって
いたからイギリスで起こったにすぎない。
これが歴史の偶然というものである。
西洋文明の絶対的な優越など、片腹痛い。
それに続く、石油とアメリカの関係もまったく同じだ。
極論でもなければ、誇張でもない。
大英帝国は石炭であり、アメリカ合衆国は石油そのものなのだ。

この際なのでもう少し「もしも」の話を続けよう。

鉄砲や大砲用の鉄が石炭なしにどれほどの規模で生産できたかは
議論の分かれる所であろうが、当時の技術力、特に製鉄技術の
発展段階からして、蒸気機関の発明は時間の問題だったかもしれない。
ただしそうなっていたら、西欧諸国の振る舞いは自然環境や植民地
に対してより破壊的、搾取的になっていて、アジアやアフリカや
ラテンアメリカの森はすべて切り払われていたかもしれない。
システムを動かすために、植民地の住民は牛馬以上に酷使される
などした結果、世界は今頃、より深刻な状態になり、
さらには破滅の淵にあったことも考えられなくはない。

あるいは、幸いなことに水力や風力などの自然エネルギーの開発に
弾みがつき、化石燃料なしでも、現在のような産業化社会を築き上げて
いたことも考えられなくはない。
しかしながら、現在のレベルと規模に達するためには、
どう贔屓目に見てもさらに数百年はかかっていたにちがいない。
石炭なしに大量の鉄を作ることはできなかったことは確実だし、
仮に石炭はあったとしても石油なしには現在のような自動車も
飛行機もありえなかった。
やがては蒸気機関車の改良により同じような機能を持つ装置が
作り出されていただろうが、実用化されるまでには数倍から数十倍の
時間がかかったであろう。
さらに、石油資源なしには、電力の豊富な供給はありえず、
だとしたら科学研究の歩みも想像できないほど遅く、
宇宙開発も原子力もありえなかったはずだ。

だとしたら、地球外知的生命、つまり宇宙人が地球にやって来られない
のは知能の問題ではなく、化石燃料に相当する資源がその惑星には
ないため、科学技術の発展に弾みがつかないだけかもしれない。
その点では人類が一番恵まれていて、他の知的生命の皆さんは、
科学技術の発展に想像以上の時間がかかっているのかもしれない。

このように考えれば、化石燃料の存在が生産システムと科学技術
の発展をどれほど加速させているかがわかろうというものだ。
そして、何よりも重要なのは、この変化のスピードなのだ。
生活様式の変化のスピードがあまりに早すぎることが、
石器時代の心しかもたない私たちの順応と対応を妨げていて、
そこから来る不具合が常に最大の問題となっている。
それが現代社会なのである。

「もしも」の話はこのへんでおくとして、とにかく、今私たちが
目にしている私たちが生きている近代産業化社会は偶然の産物であり、
人類の知的な進歩の成果ではなく、ましてや歴史的な必然性などない。
イギリス人という名の商売人が、どこかのご先祖が埋めた金銀財宝を
うまく掘り当て、それを使って業界を支配するまでに業績を伸ばした
にすぎない。
散財して資金が足りなくなったので、また掘り返してみたら、
その下にはいくらでも財宝が埋まっていた。
そのことを知った他の人々と財宝の奪い合いが続いている。
それが産業革命以降の私たちの世界の真の姿であることは、
20世紀に入ってから中東で延々と続いていることを見れば、
誰の目にも明らかである。

【第4章 近代西洋思想の罠 より抜粋】

「ムラの未来 ヒトの未来 化石燃料文明の彼方へ」 
中田豊一 和田信明  竹林館 2016

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