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言葉の見る夢 worqream コミュのスジなし共作ストーリー romanorum romano 

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コメント(29)

ちょうど一年前…その日は朝から、アスファルトが匂うほどに太陽が照りつけていた。

少し慌てて支度をしたので、UV対策が完璧でなかったことを後悔したものだ。

多少の苛立ち。

それが少しだけ、いつもより素の自分を押し出していた。
陽子は約束の時間ギリギリに待ち合わせ場所に着いた。

あの人はまだ来ていない。

日差しを避けるように、陽子は日陰を探しそこであの人を待った。
「いつも、晴れてたなぁ。。」

お決まりの約束の場所で、
降りしきる大粒の雨を見上げている。

視界を通り過ぎる一滴一滴が、
地面にたたきつけられ弾け飛ぶ飛沫が、
今までの思い出の一つ一つのように見える。
それは、今日これから味わうであろう喪失感を暗示しているようだった。
朝からスコールのような雨と晴れ間が行き来している。
背中のボディバッグに傘を引っかけ、男はポケットから取りだした際に少し濡れたスマホをハンカチで拭う。
この街を離れなくてはならなくなった昨年、最後に会ったのもこの街角だった。
シンクロしてるみたいに男も、この3年を思い返していた。
日陰へ移ったあと急な雨に足止めされていた陽子は彼に気づいた。
「あんまりこっちには戻ってなかった?」
そう思った陽子が訊ねると、
「うん あの日、最後に会って以来」
男は答えて、
「どこかお酒も飲めるとこに座ろうよ。
お腹は空いてる?」と誘った。
先日 ランチに寄ったイタリアンの食堂を陽子は提案して、二人は足を向けた。
男に向けて置かれたメニューを指さしながら、
陽子は上目づかいに、男の表情を盗み見ようとした。
ところが、男の目線は、指さされた料理の写真ではなく、
陽子の顔にじっと向けられていた。

沈黙の中で、
ふたりの目線だけが交錯している。
男は、睨んでいるわけではない。
どちらかと言えば力無くトロンとした眼差し。
なのに、相手を射抜くようなぶれない目の光。

ああ、そうだった。
この人はいつもこうして私を見ていた。
すべてを見透かしながらも、受け止めてくれる目。

ダメ。。
おねがい、早く、なにかしゃべって。。

陽子は腰の力を抜かれたように動けなくなり、
ただただ男の、次の言葉を待つしかなかった。

すると男は、こともなげに、こう言った。
「ルールは守っておかないと」
陽子はポカンとした。
「俺、仕事辞めたんだ」
春樹は食事中にポソリとそういった。
陽子はパスタが喉につまりそうになった。
これでは会話をすることもできない。
陽子はビールに口をつけた。
気持ちを落ち着かせ、一息つくと
「そうなんだ…」と小さく応えた。

会えなくなり、連絡も途絶えるようになってから
胸に小さな穴があき、そこからあらゆる感情が湧き出ていた。それは、何をもっても塞ぐことはできず、陽子を苦しめていた。

春樹と共にこの街を出るなど、まさか叶うはずもないということは十分に承知していた。

「あなたのことだから、きっと頑張り過ぎたんじゃない?少しゆっくりしよう」
春樹はパスタに目をやり、手をつけずに煙草に火を着けた。
ゆっくり吸い込むと、顔を反らして、さらに口をひねって煙をほぼ後ろに吹き上げた。
「きみとの恋愛もここで辞めて、できれば友情に戻したい」

「お客様、申し訳ございません」
店員の声かけとともに席を立つと、煙草を指に挟んだまま通りに出ていった。
春樹が出て行き、陽子は少しほっとした。
友情に戻したい、その言葉に安心した。
恋愛は、とっくに終わっていたのだ。
しかし、不意に涙が零れた。
この涙の意味は何だろうか、陽子にはわからなかった。
陽子はグラスに残っていたビールを飲みほした。
パスタはまだ半分以上残っている。
春樹はタバコを吸い終われば戻ってくるだろうと陽子は思った。
そして、ゆっくりとパスタを口にした。
涙なんて出るはずがない、陽子はそう自分に言い聞かせた。
春樹が戻ったとき、どんな顔で迎えるのだろう…
引きつった哀しい笑顔?
湖の底に沈められ、感情を失った人形のようだ。

取り繕い話すことができるのだろうか、もう私は必要ないのに…陽子はゆっくりと目を閉じ動けずにいた。

通りに出た春樹は、二三歩行くと足を止めた。
何処へ向かおうというのだ。
ジジッ…っと音を出して煙を吸い込むと、吐き出すより先に踵に押し当て揉み消した。
あの女の前ではいつもこうだ、読めない空に煙を吹きかけながら思った。
いつの間にか雨はやんで
雨の残り香だけが
身体にまとわりついてきた
足取りは重かったが
行くあてもなく暫くフラフラと歩いた。

手元では愛用のジッポーの蓋をカチャカチャと鳴らしながら。。。
「戻らないって選択肢もあるな」
と独り言をつぶやいたりしてた。
どこでスレ違ったのかなと

闇に招かれるように道路を渡ろうとしたとき
突然のクラクション

眩しいっ、危ないなぁ

ヘッドライトに晒された脳みそは、あの官能的な夏の

出会った日の夜を思い起こさせた。

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