タイ仏教コミュの第七項、多聞になる

長旅をする旅行者にとっての道中の光は、輝かしい人生を開くことにとって、多聞者になるのと同様に重要である。

多聞とは何か

多聞は博学で多くのことを聞き知り、広い知識に富んでいる人です。賢い選択をし学ぶべきことを学んでいる人、多聞は多くを学び、知識も深く、多く聞いたり、記憶力にもすぐれています。これらのよき品性は知恵の源で、世俗と人生に対する知恵をわれわれに生み出させ、栄華や富、地位の扉を開ける鍵として、われわれが望むものをすべて与えてくれます。

賢者と多聞者の違い

賢者は美徳を持ち、品行方正で自分と他人の利益のために、知識または学問の多いか少ないかにかかわらず福を生み出すため、その知識を利用します。絶対に悪趣に落ちない人です。
多聞者は多くの知識を持っていますが、道徳心や行動は良いとは限りません。もしその知識を悪用したら、例えば、麻薬を作るために自ら学んだことを利用すると、地獄に落ちるかもしれません。

多聞者の知識の特徴
1.深く知っている。
あるいは、現在の結果との因果関係を深く知っています。例えば、医師となり、患者の様子を診て何の病気にかかっているか、病気の原因が何かを知ることができます。車の整備士は、車の状態を見るだけで、原因が何を知ることができます。

2.広く知っている。
観察力にすぐれ、地理、天候、社会、周りの人々や出来事、知るべきことなどをすべて知っています。

3 細かく知っている
周りについて知っていることを細部までよく知り、他のこととの関係まで知っています。上記の周りのことを広く知っていることに似ていますが、より深く知っています。

4 これから起こることを知っている
遠くを見る、つまりこれから将来的に起こることを知っています。例えば、天候を見ると、どの農作物が足りなくなるか、同僚によくない行いが見えると、彼が忠実でなくなることが分かります。自分が徳を積むことに怠惰になっているのが見えると、このままいくと自分が正しい道から離れていくのが分かります。

以上の世俗的、仏法的な4つの特徴を揃えた人は、本当の多聞者です。
よい多聞者や学者が備えなければならない特別なポイント

（１）多く聞いたり読んだりすること
つまり聞いたり、読んだり、研究したりする習慣があり、 「先生について学習するほか、より多く読み、講演を聞きます。」（タイのことわざ）

（２）記憶がいいこと
重要な内容を把握し記憶できます。記憶の悪い人は前世、嘘をついたり、深酒したりしたからです。そのため、もし現世、お酒をやめ、嘘をつく悪い習慣を改め、よく暗記したり、メモしたり、書いたりすれば、すぐに記憶力がよくなります。

（３）暗記ができること
暗記の練習をすると、これまで勉強したことについて改めて本に戻ることなく心にきちんと記憶できます。永遠の真実である仏陀の教えを更に勤勉に暗記すべきです。覚えることは多くなればなるほど、記憶はよくなります。世俗の知識は時代の流れに伴って変化します。それは本当のより深い理屈を知っている人がいないからです。
そのため、大切な部分と脈絡をつかみ、その中の道理を探し求めるべきです。

（４）探究心があること
念入りに検討し、因果を知り、見抜くことです。見るだけですべてを明らかにすることができます。

（５）知恵で見極めができること
理論的、実践を徹底的に理解するとともに、知識と心を一つにします。この境地に達するには、瞑想をしなければなりません。それによって明るい智恵が生じます。あらゆるものを見通すことができるようになります。

多聞者になれない人の性格

（１）欲張りな人
自慢し、ほらを吹き、他人のお世辞を聞くのが好き、怒りっぽく、きれいにしているのが好き、お化粧好きで、あまったれで依頼心の強い人は、自分の外見ばかりを気にし、知識を追求する時間がありません。解決するには、いつも死の脅威を思い出したり、不浄を観察することで、その心を変えなばなりません。

（２）怒りっぽい人
不満や恨みが多い人は、怒ったり他人を恨むだけで反省がありません。解決するには常に戒律を守ったり、他人に慈悲を与えることで、これを直します。

（３）うかつな人
そそっかしく、忘れっぽく、いいかげんで、すべてに大ざっぱで仕事を終わらせさえすればよいと思っている人、意志が強くなく、功徳の心のない人、三宝の存在を疑っている人はいつも瞑想をさせます。

（４）弱気な人
自信が無く、度胸が無く、叱られるのを恐れ、創造性がなく、人の後ばかり追う人。こうした人は高い人格を備えた賢者と付き合わせます。標準的なものさしにそって、物事を行うことができるようになります。

（５）何よりも財産が大事だと思っている人
利欲が大切だと思っているので、知識の重要性をないがしろにします。

（６）不真面目な人
何に対しても懸命に行いません。

（７）酒好きな人
大酒飲みで理性を失った酔っ払い、学習の機会を失います。

（８）子供っぽい人
無責任で、一日中にぎやかに遊び回ることばかり考える人です。

多聞者になるための練習
（１）学ぶべき知識を賢く選択します。
（２）選択した知識を一所懸命勉強します。
（３）自らの学習時間を常に積極的に増やします。
（４）世俗的な知識だけではなく、仏法的な知識も合わせて追い求めます。
（５）学んだ後、きちんと記憶し、その知識をいつでも使用できるように備えます。

注意事項

世俗的な知識だけを持っていたら、いくら賢くても悪い道に使ってしまうかもしれません。たとえば、原子の知識を持って、もし平和のために利用すれば、エネルギー資源に転用できます。もし間違って、原子爆弾の製造に利用したら、人類の生命を破壊することになります。仏法的な知識は明るい光のように、今の行動は良いか悪いか、すべきかすべきではないかを照らし出します。

世俗的な知識だけを求める人はいくら賢く、裕福で、権力を持っていても、尊敬を受けられず、それに苦しみから逃れられないかもしれません。覚えておいて欲しいのは、悪い人が得た知識は、その知識を悪用するため、必ず破滅の道につながる、ということです。

私たちは世俗的と仏法的な知識を追い求め、自分の担当している仕事をもっと深く知るべきです。その深い知識は成功への道を照らす明るい光のようです。

多聞の果報

１．自分自身を頼りにすることができるようになる。
２．リーダーシップとしての品格が得られる。
３．どこにいても勇気を持って生きられる。
４．財物、地位、賞賛、幸福に恵まれる。
５．他人から賞賛や尊敬、礼儀正しい応対を受けられる。
６．来世まで付いて来て、失われることの無い知恵を得ることができる。
７．他の技能の基礎を学習することになる。
８．簡単に悟りを開き、入滅することができる。
などです。

博学で多聞で、戒律を厳しく守る人は誰でも、二つの面での賞賛を受ける。それはまず彼の博学多聞についてである。もう一方は清浄に戒律を守ることについてである。黄金のように純粋で、心に仏法を備え、広い知恵を持つ仏教徒である多聞を誰も批判できない。それどころか天神も梵天神も賞賛を与える。