ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

自作小説を発表〜!コミュの『耳を傾けて』

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
学校から、自宅に戻って部屋に閉じこもる少年。
机に向かっているその背中は、小刻みに震えている。

足元に無造作に置かれているカバン。
机の上には、ぼろぼろになった教科書が。

        ◆◆◆

ことの発端は、こう。

英之は、学校から帰ろうとして、教科書をカバンに仕舞おうとした時
1冊、数学の教科書が無いことに気付く。

机の中を覗き込んだり、ロッカーを探したり・・・・。


そんな様子をニヤニヤしながら見ている集団と
目が合った。

その集団は、ニヤニヤしながら教室から出て行った。


その場所は、教室の角。ゴミ箱があるところ。
ハッとした英之は、走り寄ってゴミ箱を覗いてみた。

そこには、ぐしゃぐしゃになった英之の教科書が
突っ込まれていた。

「げげっ」

慌てて教科書を拾い上げる。
無残にぼろぼろになった教科書を。

クラスのみんなは、遠くからそれを眺めていた。

        ◆◆◆

机の上の教科書を凝視しながら、なぜ自分がと
考え込んでいると、部屋に母親が入ってきた。

「帰ってたのね」

慌てて机の上の教科書を隠す英之。

「う、うん」

「どうしたの?」

「え?なにが?」

「珍しいもの。部屋にいるなんて」

そう声を掛けた母親は、部屋を出て行った。

(こんなこと、言えないよなぁ。カッコ悪くて・・・)

        ◆◆◆

翌日。
教室に入ると、いつもと雰囲気が違うことに気付く。

やけに視線が集まる気がする。


自分の机に近づくと・・・・。


机には、チョークで無数の殴り書きがしてあった。

読むに耐えない暴言の数々。

クラスを見渡すと、みんな一斉に視線を外す。


    (ちきしょぉ)


その日から、英之の地獄の日々が始まる。
徐々にエスカレートしながら・・・・。

        ◆◆◆

職員室で、担任がタバコをふかしていると
クラスの成美が、入ってきた。

「あのぉ。先生」
「ん?」

灰皿にタバコを押し付けながら担任は振り返った。

成美は、何か言い出しかねるといった表情で立ち尽くしている。


「どした?なんかあったか?」

「えっとぉ・・・」


数分後、担任は、ここ数日間のクラスに起こった事柄を知った。

「そんなことが、あったのかぁ・・・」

「知らせてくれてありがとうな」
「後は、俺に任せて」

それを聞いて、成美は安心した表情を見せて職員室から出て行った。

「この俺のクラスに、いじめかぁ・・・」

担任は、タバコに火をつけ窓の外を見つめた。
しかし、グラウンドを走り回る生徒達の姿は、目には入っていなかった。

        ◆◆◆

ピンポーン。

担任が、英之の家のベルを鳴らす。

「はーい」
「あ、これは先生。どうしました?」

「あ、いや。英之君がノートを忘れたもんで・・・」
「そうでしたか」

そう言い残して母親は、英之を呼びに行った。


奥から、のそのそと出てきた英之。

「おう」
「ちょっと、外、出ようか」

そう言って、担任は英之を近くの公園に誘った。

ベンチに座って、持ってきていたノートを丸める。
実は、このノート、英之の家に来るための口実。
担任のノート。

「成美から、全部聞いたよ。今まで気付かなくてすまん」
「え?」

「すぐ言ってくれよ。こんな大事なことは」
「だって・・・」

泣きそうになった英之の顔から、また、真実のそして切実な
言葉が、出てきた。

「そか。俺に任せろ」
「ほんとうに?」

「うん。大丈夫」
そう言って、担任は英之の背中を叩いた。

        ◆◆◆

翌日から、担任は行動を起こした。

休み時間でも、放課後でも時間の許す限り、何かしらの理由をつけて
クラスに顔を出す。不自然にならないように。

くる日もくる日も。

英之への嫌がらせは、ピタッと止った。
しかし、英之に話しかける奴はいない。成美を除いては。


そして遂に、担任はロング・ホームルームの時間に
クラス全員に語りかけた。


  いじめが、如何に卑怯であるかを。
  そして、どんなに傷つくかを。


クラスのみんなは、神妙な顔つきで聞いていた。
あの時、ニヤニヤしていた少年達も・・・・。



        ◆◆◆


まだまだ、どっかで「いじめ」は起こっている。

もし、今、誰かをいじめているのなら、今日から
やめて欲しい。
そんなことは、一文の得にもならない。
ましてやおもしろいことなんて無いはず。


そして、今現在、悩んでいる人がいるのなら
身近な人に打ち明けて。

なにも恥ずかしがることなんてないから。

誰かが君の事を、必要としているってことにも
気が付いて!

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

自作小説を発表〜! 更新情報

自作小説を発表〜!のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング