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『心の中の大切な日記』-完結-コミュの第1章/初恋

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コミュ内全体

1987年〜

高校1年生
 

電車通学の俺は
電車に乗り込むため
必死に階段を駆け上がり
ぎりぎり電車に乗り込むことができた。

ホッと、一息ついて周りを見ると
席はいっぱい空いていた。

しかし、席に座らずドアの近くで立つ
髪の長い女子高生が近くにいた。


それが彼女とのはじめての出会いだった。


自分の学校から5駅離れた場所に
ある高校の制服だった。

悲しそうな顔で外の景色を眺める彼女。
よく見ると彼女は涙を流していた。

電車に乗り込んでから15分。
次は俺の降りる駅だ。
音楽ショップに寄るために時折
この駅で降りている。

彼女の涙を気にしながら
席を立ちドア付近に近づいた。
ドアが開くと彼女も同じ駅で降りた。

彼女は涙を拭き俺の前を
足早に通り過ぎた。

階段を降りている時、彼女は
足を滑らせ下まで転倒した。

近くにいた駅員が彼女に駆け寄り
大きな声をあげた。
駅員と俺以外、周りには誰もいない。

スーツを着た男性が通ったが
関わりたくない様子で避け走って行った。

駅員は彼女のそばにいてくれるよう頼み
駅長室へ電話をかけに行った。


彼女の意識は全くない。


彼女の顔を見て
さっきの涙が気になっていた。

しばらくして駅員が戻り、救急車を待った。

救急車のサイレン音が近づき
駅に停車した様子だ。

救急救命士が来て彼女に呼びかけている。
俺と駅員は救急車に乗り込んだ。


鳴り響くサイレン音。


俺は救急車の中で救急救命士に
彼女が階段から落ちた状況等を説明した。

救急救命士は彼女の鞄の開け
生徒手帳を見つけた。

生徒手帳には秋野香織と名前が書いてあり
家族に連絡をするよう無線にて伝えている。


彼女の意識は戻らない。


救急車が病院に到着した。

急ぐ救急救命士。

駅員と俺は集中治療室の前で
待つように指示された。

しばらくすると彼女の祖母が
看護師に連れられて
集中治療室の中に入って行った。

彼女の祖母が集中治療室から
出てきた。

オロオロと動揺している様子だ。


しばらく無言の時間が続いた。


『おばさん、大丈夫だよ!!』
駅員がそっと微笑んだ。

『大丈夫。。』
俺も小声で言った。

ただ、彼女の意識が戻ることだけを
願うしかなかった。


そして、また沈黙が続く。。


15分後、医師と看護師が集中治療室から出てきた。


『孫はどうですか。。』
おばあさんは小さな声で尋ねた。

医師は俺たちの前に立ち彼女の状態を説明した。

「彼女は頭を強く打っており現在のところ
 浅い呼吸で意識はもうろうとしている状態です」
 
駅員と俺は唖然としていた。

処置に時間がかかるため
ここで待っているよう
指示された。

俺は泣き崩れ床に座り込んだ
おばあさんの背中をさすり
椅子にそっと座らせた。

しかし何の言葉も
掛けることができなかった。

午後7時を過ぎ駅員は状況報告の為
職場に戻った。


俺はそのままおばあさんのそばにいた。



しばらくしておばあさんが話し掛けてきた。


『私は孫と二人で生活している・・』


彼女は片親でお父さんがいたが
彼女が小学3年生の時
川で溺れた彼女を助けるために亡くなられ
それ以来、二人で生活している様子だ。

おばあさんは悲しそうな懐かしそうな顔で
小さい頃からの彼女の様子を話してくれた。

彼女は小さい頃から吹奏楽に興味があり
中学から吹奏楽部でトランペットを
演奏している様子だ。

俺は黙って5分ぐらい
おばあさんの話を聞いた。

二人は彼女の状態がよくなることを
ただひたすらに祈るしかなかった。


そして、再び沈黙の時間が続いた。


その後、慌てた様子の看護師に
即、集中治療室に来るよう指示された。

おばあさんは心細いからと
一緒に来てほしいと頼んだ。

俺は無言でうなずいた。

看護師に集中治療室に誘導され入った。

集中治療室に入ると看護師の
誘導でさらに狭い部屋に入った。


そこに入ると医師が
重い表情をして立っていた。

二人は医師の前に立った。

おばあさんは医師に彼女の状態を
聞きかけた。


医師は重い表情で伝えた。


「息をひきとられました。
 午後7時15分 ご臨終です。」


『嘘でしょ。先生!』


おばあさんの大きな声が部屋中に響いた。

俺はただうつむいた。

彼女は酸素マスクをつけ全く動かず
静かに目を閉じている。

『何で、何で、香織!香織!! 』
大声で泣き叫ぶおばあさん。

俺は数時間前に会った見ず知らずの
彼女の死に足が震えた。

看護師は落ち込むおばあさんの背中を
何度も何度もさすった。


時間が経過しおばあさんは
少し落ち着いた。

看護師が身内の人に
連絡をするよう頼んだが
誰一人親戚もいない様子だ。

看護師が葬儀の手配等を
おばあさんにいろいろと説明していた。

しばらくして葬儀関係の人が到着した。

俺は夜遅くなった為、家に電話した。
俺の家庭環境は母と二人暮し。
父は3歳の時に失踪している。
電話に母が出た。

『今日・・・だから今日は
 おばあさんの家で泊まる。
 明日はそのまま学校へ行くから…』

小さい頃から一人ぼっちの寂しさを知っている。
今のおばあさんの気持ちは少しはわかる。

母は電話の向こうでうなずいた。

電話を切り、おばあさんの所へ行くと
葬儀関係の人がうつむいたおばあさんに
いろいろと説明していた。

葬儀関係の人の車に乗り
おばあさんの家へと向かった。

おばあさんはずっとうつむき
悲しそうな表情をしている。

窓越しに何気なく空を見た。
綺麗に光る幾つもの星空。

そして電車に乗っていた
彼女の姿を思い出していた。


車の中はずっと沈黙が続いた。


おばあさんの家に到着した。
家は木造建ての古い家だ。
表札には秋野と書かれている。

葬儀関係の人たちが彼女を抱きかかえ
布団を敷き彼女を仏壇の前に寝かせ
おばあさんに明日のお通夜の
段取りの説明をしている。

俺は今の状況をまだ受け入れられず
仏間の隅に立ってボーッとしていた。

しばらくして葬儀関係の人たちは帰っていった。


『今日はありがとう。。』


おばあさんは俺に座るよう
優しく声をかけてくれた。

おばあさんの顔を見ると
涙が頬をつたっている。

おばあさんは彼女の顔を覆っている白い布を
ずらし彼女の顔をみつめた。

『ごめんな。。香織。お前には
 苦労ばかりかけた。。
 いつもこんな私の世話してくれて…』

一言一言・・
彼女への感謝の言葉をかけていた。

『ごめん…幹夫。。
 香織を死なせてしまった。ごめん…』

仏壇のお父さんに話し掛け
涙ぐみずっと手をあわせている。

『お疲れですから横になってください。
 僕が起きていますから…』

『いや、今日は眠れないよ。。』


二人は隣のこたつの部屋に座った。


おばあさんは彼女の幼い頃の写真を
押入れから出し懐かしそうな表情で
彼女の思い出話をいろいろと教えてくれた。

俺に彼女との思い出をゆっくり伝えることで
今の寂しさを紛らわせようとしているように感じた。


そして、一睡もせず朝を迎えた。


おばあさんは朝食を作ってくれた。
目玉焼きと味噌汁とご飯だ。
そして仏壇にご飯を供え
彼女の前にも同じ朝食を用意した。

しかし、俺もおばあさんも
全く何も食べられなかった。

午前8時におばあさんは電話で近所の人と
彼女の通う高校へ彼女の死を伝えた。

電話を切ると同時に
玄関の扉を激しくたたく音がした。


俺が玄関の鍵を開けると
息を切らし涙を流している
制服を着た同級生ぐらいの
女の子が立っていた。


彼女は何も言わず玄関を駆け上がって行った。


仏間から『香織ーー香織!!!』
と何度も泣き叫ぶ声が聞こえた。

静かにおばあさんは話し掛けた。

『ゆりちゃん・・・
 今まで香織と仲良くしてくれてありがとう。。』
『今まで香織を助けてくれてありがとう。。』

彼女はおばあさんの目をそっとみつめた。

『私は香織を苦しませていた…』

そう言いながら彼女はずっと泣いていた。

おばあさんと俺は彼女をそっとして居間に戻った。

おばあさんは今までの
香織さんと彼女の関係を話してくれた。

彼女の名前は立花ゆり。

『ゆりちゃんは保育園の頃から香織と仲良しで
 いつも香織の味方だった。。』

『香織が小学校の時、いじめられていて
 相手の男の子を殴ったこともあった。。』

『いつも香織、香織と仲良くしてくれた。。』

おばあさんの話をしばらく聞いていると
居間の戸が開き、彼女は俺たちの前に座った。


まだ落ち着きを取り戻していない様子だ。

おばあさんはお茶を入れると
言いいながら台所へ行った。

俺と彼女が二人きりになり
しばらくの間、沈黙が続いた。     


『あの、はじめまして木下健介といいます…』


俺は重々しい口調で緊張しながら自己紹介をした。


『私、私は立花ゆりです…
 香織のお知り合いですか。。』


彼女も涙を拭き声を震わせながら俺に話した。


『い、いや昨日…
 駅で彼女の後ろを歩いていて…』
彼女に昨日の出来事を説明した。

『おばさんのそばにいてくれたの…』

俺はうつむきながら彼女の言葉にうなずいた。


『ありがとう。。』


顔をあげると彼女は優しそうな目をしていた。

俺もなんだか少しだけほっとした。

おばあさんがお茶をお盆にのせて入ってきた。

三人がお茶を飲もうとした時
玄関の戸が開く音がした。

それと同時に人の声がざわざわと聞こえた。

『おばさん、大丈夫。。』
『気を落とさないでね…』

近所のおばさん、おじさん
いろんな人がたくさん入ってきた。

おばあさんは再び、涙ぐみ話し込んでいた。

俺はそろそろ帰ろうと思った。

『あのぅ。また、来ます。』

『ありがとう。。助かったよ。』
おばあさんは涙を流しながら微笑んでくれた。

鞄を手に取り周りを見渡すと
彼女はどこにもいなかった。
玄関に行くと彼女の靴はもうなかった。

外に出て空を眺めた。
青空に雲が流れていた。


高校へ向かう為、バスに乗り駅へと向かった。
時間はすでに午前9時を過ぎていた。

駅に着くと昨日の駅員が改札口にいた。

『おはようございます』

『昨日、どうだった。
 駅にもあれから連絡がなくて…
 安静にしているのか。。』

『いや。彼女は昨晩…』

『・・・・』
駅員は無言になった。

『そうか。告別式はいつなんだ。
 一緒に行こう。。』

『明日、土曜日の13時からです…』

二人は告別式に行く事となった。

明日、駅で待ち合わせることを
約束して俺は高校へ向かった。

いつもと変わらずにぎやかな高校。

楽しく幸せな周りにも今もどこかで
悲しみを背負っている人がいる…。

授業中も休み時間も
ずっとおばあさんのことが気になっていた。


次の日、俺は駅に向かった。 

駅員が車に乗って待っていた。

二人はおばあさんの家に向かった。

『あぁ、俺、牧野浩次といいます!!』

『僕は木下健介といいます』

『おばさん、大丈夫かな。。』

『心配ですね…』

おばあさんの家への道を
説明しながら進んでいると
『秋野』と書かれた案内看板があった。

家の近辺には彼女の同級生も
たくさん向かっている様子だ。

近くの公園の駐車場に車を停め
家へと向かった。

家に着くと多くの学生でいっぱいだ。

しばらくするとお経が始まった。

俺は昨日ここで会った彼女を探していた。


彼女の姿はなかった。


俺はお焼香をする為、参列した。

おばあさんはひとり座り
悲しげにうつむいてる。

彼女の遺影の前には
トランペットが置いてあり
お焼香をするとおばあさんと
目があって礼をした。

俺と牧野さんは無言のまま
駐車場へと向かった。


駐車場に着くと彼女がブランコに乗っていた。


俺は彼女に駆け寄り声をかけた。

『こんにちは。
 今日、告別式だけど出ないの。。』

『う、うん。私は…
 香織とここで…
 お別れしてもいいかなって思って。。
 香織と保育園の時、よくここで遊んだなぁ。。
 思い出の場所なんだ…』


彼女は空を見上げながら静かに答えた。


澄みきったきれいな青空。


俺もしばらくここにいたくなり
牧野さんに先に帰っていただきブランコに乗った。

『懐かしいなッ。。
 俺、ブランコに乗るの
 小学生以来かなっ!』

『香織とよくこのブランコに乗ったなぁ。。
 古いし昔のままなんだ。。』

時間が経ち、俺はバス停に向かった。
彼女はバス停まで見送ってくれた。

『今日はありがとう。。
 わからないけど少しほっとできた。。』
彼女は少し微笑んだ。

バスが停車し乗り込んでから
彼女にそっと手を振った。


席に座ると前のバス停から乗ってきた
喪服のおばさん二人が後ろから声を掛けてきた。


『あなた!!あの子がどんなことをしたのか
 知ってるの。。
 あんな子と付き合うのはどうかと思う!!
 しかも、葬儀にもでないなんて。。』

俺は何も言わず、外の景色を眺めた。
内心はすごく腹が立っていた。

知らない人が彼女のことを
見ず知らずの俺に批判する。
彼女の悪口のように聞こえた。
だから無視をした。

『なんなの!!この子、人の話に耳傾けないで
 なんなのこの子・・
 あの子と仲がいいだけあるね…』
おばさん達は俺を罵倒した。

それでもいいと思った。

彼女の悪口を聞くくらいなら
それでもいいと思った。

俺は次のバス停で降りた。

駅までは距離があるが歩いた方がましだと思った。


「なぜ彼女のことをあんな風に話したんだろう…」

歩きながら彼女と喪服の人達の
関係が気になっていた。


初恋/2へ
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