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『心の中の大切な日記』-完結-コミュの初恋/2

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コミュ内全体

あれから数週間が経過した。

俺はおばあさんのことが気になっていた。

土曜日の昼、おばあさんの家に向かった。
今日も綺麗な青空だ。

駅を降り、バスに乗った。

おばあさんの家の前に着いたが
チャイムがないので何度も何度も呼んだ。

『おばさん、おばさん、秋野さん・・・』

しかし、何度呼んでも
出てこない。

俺は扉を開けた。
鍵はかかっていない。

『おばさん、おばさん!!』

しばらくしておばあさんと彼女が出てきた。

『ごめん、ごめん聞こえなくて。。
 今、おばさんとお昼ごはん作ってたんだ!!』

『おぅおぅ、久しぶり。。』

『おばさん、元気だった!!』

『あぁ、ゆりちゃんが
 毎日、来てくれるから安心だよ。。』

三人は仏壇の前に座り、手をあわせた。

『おばさんの元気な顔みれてホッとした!!』
俺は立ち上がり帰ろうとした。

『お昼、一緒に食べる?』

『食べよ。食べよッ!!
 三人のほうがにぎやかだしね!!』

『じゃあ・・』
遠慮知らずの俺はちゃぶ台の前に座った。

『これはゆりちゃんが作ったのよ。。』
ほうれん草のおひたしと肉じゃがが並んでいた。

おばあさんに対する優しさや素朴さに
俺は彼女に癒された。


俺の本当の初恋だ。


『おいしいー』
『めっちゃ、うまい!』

『そうでしょ、ゆりちゃん、料理屋できるよ!!』

三人の会話も弾み、楽しい時間が過ぎた。

『あぁ、面白いね!!』
『やっぱり、人数が多いとにぎやかでいいね。。』
おばあさんはにこやかに話した。

『ごちそうさま!!おばさん、もう帰るよ。』

『ありがとう。。いつでも来てね。
 待ってるよ。。』

『また来てね!にぎやかでいいし。。』

『はい、また来ます。ごちそうさまでした!!』

二人は外まで見送りに来てくれた。


『ありがとう!!』


しばらく歩き、振り返ると二人は
まだ手を振ってくれている。

俺の姿が見えなくなるまで見送ってくれた。

バス停に着くと待ち時間が30分もあった。

バスを待たずに駅まで歩こうと思った瞬間
後ろから声が聞こえた。


振り返ると自転車に乗った彼女がいた。

『おばさんがりんごを持っていきなって!!』

『ありがとう。。』

俺はりんごを受け取った。

『バスに乗らないの。。』

『あと、30分もあるから駅まで歩こうかなって…』

『結構、駅まで距離あるよ。。
 じゃあ私の自転車に乗ってっていいよ。。
 私があとから取りに行くから。。』

『それは悪いよ…』

『じゃあ、二人乗りで駅に行こッ!!』
彼女はそう言うとニコッと笑った。

そういう話になり
彼女を乗せて駅まで自転車を進めた。

俺は今まで女の子と二人乗りを
一度もしたことがない。
はっきりいってドキドキしている。


しばらく無言の二人。


『なんかクラブしてるの?』
彼女が尋ねた。

『科学部。。』

『そうなんだ。。
 実験とか好きなの。。』

『小さい頃から興味があって!
 ゆりさんは…』

『私は吹奏楽部…
 ぜんぜん行ってないけどね…』

『ああ…そうなんだ!
 すごいッ!楽器の演奏できるんだ!』

『フルートが担当…
 まぁ、そこそこだけど。。』

『すごいよッ!!』

二人の会話は弾んだ。

そして駅に着いた。

『今日はごちそうさま!!おいしかった〜』

『また、おばさんのところに行ってあげてねッ!
 来週の土曜は無理。。』

『ええッ・・』

『おばさんの誕生日なんだ。。』

『あッ・・そうなんだ!
 じゃあ、ぜひ、ぜひ、ぜひ行くよッ!!』

『ほ、ほんと。。おばさん、喜ぶだろうなッ!!』

俺は土曜日におばさんの家に行くことを約束した。


電車に乗り外を眺めると田んぼ沿いに
自転車を漕ぐ彼女の姿がみえた。


空を見上げると綺麗な夕焼け空だった。



あれから1週間が経過した。

俺は駅の近くのケーキ屋で
誕生日ケーキを買いバスで
おばさんの家に向かった。

家に到着すると台所の方から
二人の声が聞こえてきた。

俺は台所の窓から挨拶をした。

『あれ、早かったねっ!!』

『いらっしゃい。。』

部屋に入るとテーブルの上には
二人の手作り料理がいっぱい並べてあった。

『あっ、ケーキ買ってきてくれたの!!』

『ありがとう。。』

三人はテーブルの前に座った。

『おばさん!
 オレンジジュースで乾杯しよっ!!』

『ゆりちゃん、ありがとう。。』

『乾杯しよう!!』

三人はオレンジジュースで乾杯した。

『かんぱーい!!!』

『おばさん、お誕生日おめでとう!!』

おばさんはにこやかで嬉しそうだ。

後ろを向くと仏壇の前にも
オレンジジュースや食べ物が供えてあった。

から揚げ、肉じゃが、お寿司、餃子、春巻き・・・
全部、おばあさんとゆりさんの手作りだ。

俺はお腹いっぱい食べた。

『ごちそうさーまでした!!』

『おいしかった?』

『うん、もちろん!!』

『あぁ。よかったねっ、おばさん!!
 たくさん作ってよかったね。。』

『そうだね。多いと思ったけど
 ちょうどいいくらいだったね。
 さすが二人とも食べ盛り!!』


『ジャーーーン!!』


彼女が台所から手作りケーキと
俺が買ったケーキを持ってきた。

『あぁ、ケーキあったんだ。
 ごめん。。重なったかな…』

『大丈夫!大丈夫!
 ケーキは別腹だから!』
彼女はそう言いながら
ケーキをテーブルに置いた。

『ローソクあるから火つけよっか。。
 健介君、つけてッ!』

俺はローソクに火を点け
彼女はカーテンを閉めた。

『ハッピーバースデートゥユー・・・』
俺と彼女は同じタイミングで歌い始めた。

二人の歌を聞きおばさんは
涙ぐみながら話し始めた。


『ゆりちゃん、去年は香織と
 誕生日してくれたねぇ。。
 毎年、ありがとう!
 あの子も喜んでると思うよ。。』

『息子が死んでから私は寂しかった。。
 でも、香織やゆりちゃんが
 いてくれたから寂しくなかったよ。。』

『でも、あれは…おばさん…』

『あれは運が悪かったのよ。。』

『でも、おばさん…』

『運が悪かったのよ。。。』


俺には会話の意味がわからなかった。


『健介君、ゆりちゃんがいてくれるから
 私は寂しくないのよ。。
 私のもう一人の孫みたいなもんだから…』

『おばさん!!もう一回、、
 ハッピーバースデートゥユー・・・しよッ!』
何か今までとは違った空気を感じたが
俺はとにかく明るく歌いだした。

『うたおぅ。うたおぅ!!』

『そうだね。うたおぅ。。ありがとう。。。』

三人はもう一度、笑顔で歌った。

『ハッピーバースデートゥユー・・・』

『おばさん、ロウソク・・』

『あっ、そうだったね。』

『フッー』

パチ!!パチ!!パチ!!パチ!!

部屋中に拍手が響いた。

『おめでとう!!』

『おめでとう!!』

『ありがとう。嬉しい。。』

おばさんと彼女はケーキを切り皿の上にのせた。
俺は久々にケーキを食べた。

『俺、、もう満腹だ〜』

『じゃあ、家に持っていく。。』

『うん!!』

『何人、家族?』

『二人。。母さんと俺。』

『あっ、そうなんだ。私は親父と二人。
 よく似てるね。。』

『じゃあ、二人分、入れとくねッ。』
彼女はパックの中にケーキを二人分、入れた。

『おばさん、もう帰ります。
 とっても楽しかったです。
 また、来年もよんでください。。』

『あぁ、もちろん!
 健介君が来てくれたから余計に
 面白かったよ。ありがとう!!』

『おばちゃん、健介君、送ってくねッ。』

彼女はバス停まで送ってくれた。


『今日は楽しかったね。料理おいしかった?』

『おいしかったよ!!
 ケーキもおいしかった〜』

『あのケーキねッ
 本、見ながら作ったんだ。。
 私の新作ケーキだよ!!』

『そうなんだ。。新作ッ!!
 おいしかった〜』


二人の上には空一面、夕焼けが広がっていた。 


『綺麗だね。今日の空。。
 私、いつも空を必ず見ることにしてるんだ。
 空は悲しい時も、楽しい時も
 私の上にあるしね。。。』

『へぇ。。そうなんだ!
 俺もたまに見るんだ。。 綺麗だなッ!』

『小学3年の時、お母さん…
 家出したんだ。。』

『そうなんだ。。』

『朝起きたら、もうこの家にはいられない。
 家を出ますってね!紙が置いてあったんだ。。
 たぶん、わたしのせいだと思うんだけど
 その日の空は悲しそうな色だったなぁ。。
 空っていろんで気持ちで
 いろんな色に見えるんだよっ。。』


彼女の横顔は寂しそうだった。


『今日の夕焼け綺麗だなーー。
 俺も空を見るようにする!!
 最近、見てなかったなぁ〜』

『俺もオヤジが小さい時に家出してるんだ。。
 ゆりさん、いろいろと辛いことあったと思う。。
 でも、今。。今が大切!!
 こうやってゆりさんと夕日をみたッ!!
 俺にとって今日の空は最高の空なのだ〜 』

『そうだねっ。最高の空だ〜
 またおばさんの家に行ってあげてね!!』


そうしている間にバスが遠くから見えた。


『うん。また行くよ。。』

窓越しに彼女に手を振り
彼女はニコッと静かに笑った。


バスが発車し彼女の姿が小さくなった。


夕焼け空を眺めながら
なんだかとても温かい気持ちになった。


第2章 告白へ
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