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『心の中の大切な日記』-完結-コミュの第2章/告白

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コミュ内全体

あれから数週間が経過した。

俺は学校帰りに音楽ショップに寄り
月曜日だから疲れたのか…
電車を待ちながらウトウトとしていた。

肩をとんとんと叩かれ目を覚ますと
彼女が目の前にいた。


とてもびっくりした。


『あれッ。健介君、帰りなのッ!!
 私も帰りなんだっ!
 偶然だねッ!びっくりした。。』

彼女は俺の横に座った。

彼女は最近、おばさんがゲートボールに
はまっている話やいろんな話をしてくれた。

俺は最近、授業中も
彼女のことばかり考えていた。


彼女と会った偶然をとても嬉しく感じた。


俺は彼女と砂浜に行きたいと思っていた。
冬の砂浜は波が澄んでいてとても綺麗だから
それを一緒に見たかった。

『ゆりさん、海・・・一緒に行かない。。』
 今度の日曜日・・・』

『アッ。ごめん。彼氏とかいたらまずいよな。
 アッツ。。ごめんッ。つまらないこと話して。。』
俺は何を話しているかわからなかった。


とにかくドキドキしていた。


『いいよ。。彼氏もいないし。
 行こう。行こう!!海か…
 私、行ったことがないんだ!楽しみだなぁ。。』

『いいのッ!!
 日曜日。このホームに
 10時に集合でもいい。。』

『うん。わかった!!』

二人は日曜日に海へ行く約束をした。

あっという間に電車が停車し
俺は電車に乗った。

彼女は窓越しに小さく手を振った。

彼女の姿が小さくなり
俺は思わずガッツポーズをした。


そして5日後・・・


明日は彼女と海に行く日。
ハイテンションでウキウキしていた。
買い物に行き、洋服を選んだ。

とにかく明日、晴れることだけを祈る俺であった。


〜〜日曜日〜〜 

朝から思いっきり澄んだ青空。


晴天だ!


朝5時に目が覚めた。
昨日から待ち遠しくあまり眠れなかった。

新しい服を着て髪を整えた。

電車に乗り、約束のホームへと向かった。

電車を降り、時計を見ると9時30分だ。
彼女の姿はまだなかった。

青空になってよかった〜
そう思いながら空を眺めていると
『ワッツ!』と声がした。


振り返ると彼女がいた。


『ハハハハッ。びっくりした?!
 晴れたねーー!!』

『晴れたなッ!もうびっくりしたな〜』

二人は電車に乗った。

日曜日のためか家族連れやカップルが多い。

『来る途中、犬を散歩させている
 おじさんがいてね・・・』

二人はいろんな話に盛り上がった。

次は降りる駅だ。
席を立ち、ドアに向かった。

降りる人は誰もいなかった。

電車を降り、海へと向かった。

人通りの少ない商店街を歩きながら
そっと潮風を感じた。

坂を登るとそこには海があった。
冬だからなのか誰一人いない。

青く澄んだ空に綺麗な海。
冬なのに心地のいい爽やかな潮風。
止まることのない波の音。


二人は無言のままだった。


『すごーいねぇ。。
 私。海に来たの初めてなんだ。。
 すごいー。綺麗!!』

『俺は小さい時、親父と来て以来。。
 小さかったけどすごく印象に残ってる…
 ここへゆりさんと来たかったんだ。。』

二人は無言で砂浜の流木の上に座り海を眺めた。

かもめが心地よさそうに上を飛んでいる。


しばらくして彼女が静かに話し掛けた。



『香織と私、いつも一緒にいたんだ。。
 香織ってすごく優しくて
 私なんかと全然違う…』

『香織、幼稚園の頃から
 いじめられてたんだ。。』

『砂場で遊んでいると砂を背中に入れられたり
 折り紙を折ってもすぐに破られたり・・
 小学校に入学してもいじめは
 なくならなくてエスカレートしていった。

 私もあいつらが許せなくて
 許せなくて…殴ったこともあった。。                     
 香織とはクラスが違ったけど
 帰る時はいつも一緒でいつも笑顔だった。。』

『私も小学3年の頃から
 いじめられるようになって…
 私が的にされた頃から
 香織のいじめはなくなったんだ。。』

『あれでよかったんだけど…』

『それから今までずっといじめは続いていて・・
 中学の時は少し、私、荒れてたかなっ…
 陰湿ないじめばっかりで。。
 私は本当は気が弱いんだ。。
 だから茶髪にしてたこともあった。
 その方がみんな近寄らなかった…
 でも健介君と前に話して元気が湧いたんだ!!
 もう一度、そのままの私で学校に行ってみる。。
 影で陰湿なことする奴には負けない!!』

彼女の学校での様子を黙って聞いた。

『俺も小学生の時に
 いじめられていたことがあるんだ。
 だから…ゆりさんの気持ち、わかる…
 また、辛いことがあったら何でも話してよ。。』


しばらく沈黙の時間が続いた。


近くにサッカーボールが落ちていた。

『サッカーしよっかッ!!』 

『うんッ!』 

俺は立ち上がりボールを
彼女の方へ軽く蹴った。

二人は子供のようにはしゃぎ
サッカーをした。


時間も経過し、空一面夕焼けで真っ赤になった。



『ゆりさん、俺と付き合ってください!!!』



俺は告白した。



心臓がバクバクしているのがわかった。

波の音だけが静かに聞こえていた。


『えぇッ。私なんかでいいの。。』


『もちろん。。ゆりさんといると
 なんかすっごい落ち着くんだ!!』


『私、めちゃくちゃダメだよ。。』


『そんなことないよ。。』




『付き合ってください!!!』




波の音がかき消されるくらいの
大きな声を出した。


俺は彼女の目をみて真剣に伝えた。



『・・・いいよ
   こちらこそお願いします!!!』



とてもとてもとても嬉しい気持ちだ!!!

彼女はニコッと微笑んだ。
俺も恥ずかしそうに微笑んだ。

しばらく砂浜で海を眺めて
二人はいろんなことを話した。


海は夕日で綺麗に染まっている。


『帰ろかっ。。』

二人は立ち上がり駅に向かった。

近くの自動販売機でジュースを2本買い
駅まで飲みながら歩いた。

商店街に入り波の音が
静かになっていった。


この日はお互いがとても緊張した日かもしれない。



駅に着き電車を待ちながら
恥ずかしいような嬉しいような・・・
そんな気持ちだった。

そして電車がきて
二人は乗った。

日曜日の夕方なのか電車の中は
家族連れとカップルでいっぱいだ。

座る席がないのでドアの前に立った。

電車の窓から夕日を眺めた。

二人は何気ない話に盛り上がった。


俺は香織さんが電車の中で
泣いていたことを思い出した。
そして階段から転倒したことを
あの涙はなんだったんだろうと…

あの時、香織さんが
泣いていたことを伝えようとした。

『ゆりさん、あのさぁ。。』

『えっ、何!』

『いや、なんでもない。。』

しかし・・・
彼女の楽しそうな笑顔を見ていると
伝えることができなかった。

二人は何気ない話に盛り上がった。
窓の外は日が沈みだんだんと薄暗くなってきた。

次は彼女の降りる駅だ。

彼女は鞄からメモを取り出し
自宅の電話番号と名前を書いて渡した。

俺も彼女に電話番号を教えた。

『私、バイトしてるから9時以降なら
 自宅にいるし電話してもいいよ。
 親父はいつも仕事で遅いから
 たぶん私しか電話でないから。。』

『うん、わかった。
 俺も9時までバイトだし・・・』

彼女は工場で部品の組み立てのバイト。
俺はガソリンスタンドでバイト。
互いに毎日学校を終えて
バイト先に向かう日々だ。

『もう降りる駅だな…』

『今日は楽しかった。ありがとう。。
 なんかあのでっかい〜海!
 目を閉じると浮かんでくるよ!!
 綺麗だったね。。』 

『そうだなぁ。綺麗だった!!
 行けてよかったよ。また行こう!!』


電車が駅に到着した。


『健介君、またね。また電話してね!!』

『わかった!』


ドアが閉まる寸前、俺は電車から急に降りた。



『あのさぁ、暗いし送っていくよ!』

『えっ、びっくりした!!いいのに。。』

『送っていくよ!!』

『ありがとう。。』

彼女は少し微笑んだ。

階段を降りながら話す二人。

『私、自転車だよ…』

『いいよ。俺、走っていくから!!』

『疲れるからダメだよ。。
 前みたいに二人乗りでいいよ!』

改札口に行くと以前の駅員の牧野さんがいた。
牧野さんとは香織さんのお葬式以来だ。

『おう、木下君、久しぶり!!』

『お久しぶりです。』

『おばさん、最近、会ったか。。』

『はい!』

牧野さんに誕生会のお話をした。

『そうか。なんか、安心したよ!』
『あれっ。木下君の彼女?』

『はい。はじめまして。。』
彼女はにっこり笑い挨拶をした。

『あっ、はじめまして!!』

『木下君、駅に来たら、またいつでも寄って!』

『あっ、今から彼女送るだけなんで
 またここに戻ってくるんです!』

『あ、そうか。気をつけて。。』

二人は牧野さんに礼をして
駐輪場に向かった。

駐輪場に着き、彼女を後ろに乗せた。


冬の風が冷たいが満天の星空だ。


俺はゆっくりペダルをこいだ。

『健介君、空、綺麗だね。。』

『すごい綺麗だなっ!』

『星がいっぱい!!』

『あぁ。また明日から学校か…
 健介君!今日は最高に面白い1日だった。
 ありがとう!!』

彼女の家に到着したが
部屋はまだ暗い。

『親父、仕事でまだ帰ってないから。。』

『そうなんだ。いつも遅いの。。』

『うん・・・』

『今日はありがとう。。もう行くなっ!』

俺は走って駅まで行こうとした。

『ちょっと待って!!
 駅まで走っていくの。。そんなの悪いって。
 自転車乗って行っていいよ。。
 私、明日学校バスで行くから。。』

『走ってくよ!』

『駄目だって。。ちょっと待ってて。。』

そう言いながら
彼女は家の中に入って行った。

戻ってくると同時に
自転車の合鍵を差し出した。

『ジャーン!!!これ合鍵。。
 健介君も使うことあるかもしれないから
 持っていていいよ。。』

『わかった。ありがとう。。』

俺は合鍵を受け取った。

『今日はありがとう!!』
『こちらこそ。。』

俺は彼女に手を振りながら
自転車を走らせた。



空は星でいっぱいだ。



駅の駐輪場に到着し
公衆電話から彼女の家に電話した。
どきどきしていた。

『もしもし。立花です・・』

『あの立花さんのお宅ですか。
 木下といいますが・・
 ゆりさんいらっしゃいますか。。』

『あっ。私。私に決まってるじゃん!!』

『そうか。。』

『私の家に電話かけて
 女の声は私だけだよ。なんだった。。』

『あっ。今、駅に着いた。
 自転車、一番端っこに止めておいたから。。』

『ありがとう。』

『明日、バスで駅まで行かせてしまうなっ。
 ごめんな。。』

『なに言ってるの、送ってくれて嬉しかったよ。
 ありがとう。気をつけてね。。』

『うん。じゃぁ、また。。』

『またね。。』 

電話を切り、改札口へと向かった。

駅員の牧野さんが改札口にいた。

『おぅ。。お帰り!かわいい彼女だな!!
 また、おばさんに会いに行ってあげてな!
 気をつけて帰って。。』

牧野さんはそっと手を振ってくれた。

ホームに着くと電車がすぐに来た。

電車に乗り彼女にもらった
自転車の合鍵をもう一度、見た。


キーホルダーには『健ちゃん』と
名前が書いてあった。


二人に合鍵があるということに
温かい嬉しさを感じた。


あれから数週間が経過した。


二人は放課後、駅で待ち合わせ
海に何度も行った。

けんかもした。

おばさんの家にも毎日のように行った。


今日の放課後も二人は
駅で待ち合わせをしていた。

今日は彼女の誕生日だ。

彼女と海へ行く約束をしている。

おばさんの家で誕生会をしようと言っていたが
おばさんは昨日から風邪をひいている様子だ。

俺は1週間前から彼女への
プレゼントに迷っていた。

そして買ったのがシルバーの指輪だった。

彼女とデパートに行った時
『かわいい指輪!』と言ったことが
忘れられなかったからだ。

今日は夏にもらった花火をしようと約束している。

夏に近所の人に花火をもらったが
部屋の片隅に置きっぱなしになっていた。

それを彼女に伝えたら
海でしようという話になった。

誕生日に花火いいかもしれない!
ただそれだけのことだ。

二人は待ち合わせ場所で会い
制服のまま海に向かった。

電車を降り海へと歩いた。

いつもと同じように
何気ない話に盛り上がった。

放課後、海に来る時はほとんど夕方。

綺麗な夕焼けだ。

海に来る時、二人は砂浜にある
決まった流木の上に座っている。

自動販売機で買った 
ホットココアで乾杯をした。

『ハッピーバースデートゥユー・・・
 誕生日おめでとう!!』

『ありがとう!!』
彼女は静かに微笑んだ。

『これからもよろしく!!』

『もちろん。私こそよろしく!!』


俺は鞄から花火を取り出した。


『ジャーン!!花火!』


花火といっても線香花火と棒花火だけだ。

彼女に棒花火を持たせ火をつけた。

俺は童心にかえりはしゃいで
棒花火をグルグル回した。

そして、線香花火をした。

風がないので上の方まで
パチッパチッと綺麗に光っている。

とても綺麗だ。


まだ夕方だから海が夕日で
キラキラと輝いている。


花火が全部なくなり
俺は軽く咳払いをした。


『エッヘェン!!』

『最後に今日のクライマックスを
 始めたいと思います!!』


俺は彼女を流木に座らせ
数週間かけてペットボトルで
製作したロケットを
リュックから取り出し見せた。

『今からゆりちゃんのために製作した
 木下健介の研究発表会を行います!!』

『エッヘェン!!』

『このペットボトルロケットは
 炭酸飲料が入っていたペットボトルに
 水と圧縮空気を入れて
 一気に弁を開放させることにより
 噴出する水と空気の反作用によって
 飛行するロケットの模型であるのじゃよ!』

『ははッ!ははッ!すごいね!』
彼女は輝いた目で俺の顔をじっと見ている。

『では、木下健介の研究を
 発表したいと思います!』

『では、いきますよ!5・4・3・2・1・』


『パシューン・・・』


勢いよくペットボトルが空へ飛んだ。

ペットボトルは上空で
キラキラと輝いた。

それを彼女はじっと見ていた。

しばらくすると外面に付けた
3つのパラシュートがゆっくり落下し
銀色の紙ふぶきがパラパラと舞っている。


夕日とマッチして銀色の紙ふぶきも
オレンジ色になったりしてキラキラと輝いている。


『なに!これめっちゃ綺麗!!』


彼女は立ち上がった。


二人の上から紙ふぶきがパラパラと舞っている。


空を見上げる二人。


『これ!すごいッ。。』


パラシュートが下に落ちた。。


『あの一番小さなパラシュートを
 取ってきてくだされ!!』


俺は前日、小さなパラシュートの筒に
『ゆりちゃん、誕生日おめでとう』と書き
筒の中には指輪を入れておいた。

そして、2つの大きなパラシュートの
傘の部分に銀紙を細かく切って入れておいた。


彼女はパラシュートを手にした。


『あっ。ありがとう。。』


『お誕生日おめでとう!!』


『ありがとう。。』


『筒の中!見てくだされ。。』


『健ちゃん、いや、木下博士ッ
 ありがとうございます!!
 びっくりした。
 健ちゃん、ありがとう。。』
  
『内心ドキドキしてたんだ!!
 ペットボトルが飛ぶのか。
 パラシュートが落ちなかったらどうしようとか。。
 海に飛んでいったらどうしようとか。 。
 でも風がなかったからよかった。。』

『めっちゃ嬉しい。。本当、ありがとう!!』


俺は彼女の指に指輪をはめた。


思った以上の演出に俺はドキドキしていた。。


二人は初めて手をつなぎ
駅まで歩いた。


『健ちゃん、ありがとう。。
 今日のこと忘れないように
 日記に書くねッ!!』

『えっ、日記書いてるの?』

『小学校の時は書いてたけど
 今は書いてない。。
 でも、今日から…
 もう一度書きたいなぁって思って。。』

『そうなんだ。。
 俺は小学1年の夏休み以来
 日記は書いてないなぁ・・・』


『健ちゃん、これッ。。』


彼女は立ち止まり少し早い
バレンタインチョコを俺に渡した。
彼女の手作りでチョコの箱には
『From the bottom of my heart』
と書いてあった。


あれから・・・・


いっぱい笑った。

いっぱいケンカもした。

いろんな場所に行った。


そして二人の大好きな海にも何度も行った。


第3章 過去の傷へ
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