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『心の中の大切な日記』-完結-コミュの第8章/ふたりの距離

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コミュ内全体

あれから数日が経過した。


二人は全く会っていない。


会いたい気持ちでいっぱいだが
会うことを我慢していた。

手帳を読んだゆりの気持ちが
とても気になっていた。

俺には何もできない。
そんな自分に苛立っていた。

俺はあの日から毎日
香織さんの墓参りに行った。

それは香織さんにゆりの本当の気持ちを
ただ伝えたい気持ちからだった。

ゆりは今、部屋の中で苦しんでいる。
せめてお墓の香織さんと両親に
ゆりの優しさをただ伝えたかった。

手をあわせている時は
ゆりとのいろんな思い出が
頭の中を駆け巡った。



おばさんと二人で食事を作っていた笑顔。。

フルートを演奏していた静かな顔。。

砂浜ではしゃいだ顔。。

泣いていた横顔…。。



今日も 墓参りをして帰ろうとした時
俺と同い年っぽい女性が
向こうから歩いてきた。

そして香織さんの墓の前で立ち止まり
手をあわせた。


俺はもう一度、墓の方へ戻った。

『あのぉ・・。香織さんのお友達ですか。。』

『はい!香織とは保育園から同じで・・・』
 
彼女は明るい声で答えた。

短髪でボーイッシュな印象だ。

『・・・立花ゆりさんって知ってますか?・・・』

『・・・・・はぃ・・・。知ってます・・・』


彼女の声は急に小さくなった。


『俺、ゆりの彼氏です。。』

『あぁ・・そうなんですか。。
 私、ゆりと同じ高校なんです。 
 ゆり・・・最近、ずっと学校休んでいます・・・』

『そうなんですか・・・』


少しの間、沈黙が続いた。


『私・・・
 ずっとずっと・・
 ゆりを苦しめていました・・
 そしてここにいる香織もおじさんも・・・
 私は・・・』

彼女はうつむきながら冷静に話しかけた。

『私はここにいる香織を
 ずっといじめていました…
 私のせいで香織の親は
 命を落としてしまいました。。』

以前、ゆりから聞いた話を思い出した。

でも俺は何も言わず黙っていた。


『私たちが小学3年の時に・・・・・・』

以前、ゆりが話した内容と同じだった。


彼女はボールにくぎを刺した女の子だった。


小学2年までは三人で仲良く遊んでいたけど
3年生になって香織さんとゆりが
一緒のクラスになり仲良しになって
嫉妬していたこと。

言葉のイジメをしていたこと。

靴や鞄を隠したこと。

吹奏楽部を辞めさせたこと。

近所に悪い噂を流したこと。

高校になって似顔絵を書いて
机の上に"指名手配"と
書いた紙を貼ったこと。

机の上に花瓶が置いたこと。

すべて先生に隠れて
行っていた。

川で香織さんのお父さんが溺れて
怖くなって本当のことをずっと言えず
ゆりのせいにしてしまった以上
隠すことを守り通す為に
ずっといじめていたこと。


彼女は心の奥底の気持ちを伝えた。


『最近、ゆりがいなくなってから・・・
 私がいじめのターゲットになりました。
 昔のことを知っている子がいて…
 私は絶えられなくなって
 3日前、退学したんです・・・
 来月から東京に行くんです。
 親から離れて暮らそうかなって。。』


『もし、あの時に戻れるんなら・・・
 いじめる いじめられる関係ではなくて・・・
 仲のよかったあの頃の三人に戻りたい。。

 そして、嫌な思い出じゃなく
 いい思い出をいっぱい作りたい。。

 いじめている時はゆりを苦しめたくて・・・
 形だけの友達を失いたくなくて・・・
 ずっとそんな気持ちだった・・・

 私は友達の人生を狂わせてしまった。
 私の人生も狂ってしまった。

 いじめられて・・・
 初めて・・・
 ゆりの悲しさがわかった。
 ゆりの強さがわかった。

 本当の友情・形だけの友情がわかった・・・

 最低な人間でしょう...。』


彼女は涙ぐみながら
静かに話した。


俺は何も言うことができなかった。


『高校1年の時にゆりに謝ったんです・・・。
 ゆりはもういいよ。。過ぎたことだから…
 そう言って帰って行ったんだけど
 それからは何も話していなくて…』

『あなたのことは知っていました。
 ゆりが持っていた
 写真を見たことがあるので・・・』



『えっ・・・写真!』



俺は思い出した。


ゆりと海に行った時
見ず知らずのおじさんが
撮ってくれたポラロイド写真だ。

ゆりと二人でピースをしている写真。

二人で撮った写真はこれだけしかない。
ジャンケンをしてゆりが持つことになった写真。

『ゆりは毎日、写真を楽しそうに見てました。。
 教室でひとりぼっちだったけど
 なんだか嬉しそうだった。。』



『でも・・・』



彼女は悲しそうに話した。


ゆりが休み時間に写真を見ていると
二人の男子が写真を取り上げ
みんなに見せびらかせ
破ったと・・・

普段は静かなゆりだが
教室に響き渡るぐらいの声をあげ
男子に殴りかかり、逃げていった男子を
追っかけて行ったと・・・

そして教室に戻り、床に落ちた写真を拾い集め
静かに涙を流しながら
セロテープで組み合わせていたと・・・


『私はみんなと一緒に黙って
 見ているだけで何もできなかった…』


俺の目からは涙が溢れていた。


『ゆりはあなたの写真を見ては
 いつもなんだか温ったかい顔をしてた。。
 毎日がなんだか楽しそうだった。
 でも教室ではみんなに距離をおかれてて
 私も関わらなかった。。 
 写真の時も助けれなかった・・・』


彼女は声を震わせ泣いた。



そして俺は思い出した。



だるまさんごっこをしている時に
ゆりが言った『ごめん!』を・・・


あの時の『ごめん!』はきっと写真のことだ!


そして、あの写真を大切にしていた
ゆりを愛しく思った。


俺は彼女を責めることができなかった。


『じゃぁ・・・』

そう言って二人は別れた。


この日の晩、俺はゆりに手紙を書いた。

生まれて始めて手紙を書いた。

『ゆり、今はとても苦しいと思います。
 高校に行く時、俺は電車の中で
 ゆりとの思い出を懐かしくみつめています。
 ゆりと出会ったこと
 過ごした時間を懐かしく思う。
 香織さんはゆりの親友。
 ゆりの気持ちはもう香織さんに
 伝わっていると思う。
 今からお墓参りに行くゆりの気持ち。
 香織さんには伝わっていると信じたい。
 ゆりには笑ってほしい。
 おばさんもきっとそう思っています。
 『人を本当に愛する』ということは
 とても深いこと。 
 おばさんとゆりを見ていていつもそう思っていた。
 ゆりが今の苦しみを乗り越えて懐かしい目で
 その思いを見つめる日が必ず来る。
 俺はその日が来るとずっと信じています。
 俺も墓参りに行きます。
 墓参りの後、俺達がはじめて
 デートの待ち合わせをしたホームで待っています。
 ただ、ゆりに会いたい。だから待っています。』

 
ただ心に思うことを書いた。
だから文章はまとまっていない。

手紙を書いている時
元気な笑顔のゆりが頭に浮かんだ。

この思いがゆりに届きますように。。

そう願いながら封筒に手紙を入れた。


次の日、俺は学校帰りに
駅員の牧野さんにお願いをした。

ゆりと俺は頻繁に電車に乗っていたから
牧野さんもゆりの顔は知っている。

だから・・お願いした。
もちろん詳しい事情なんか話さずに。


『・・・牧野さん・・
 ゆりに会ったら
 この手紙渡していただけますか。。』

『おぉ、いいよ!!』

『・・・お願いします・・』

『おぉ・・わかった!!』

牧野さんは何かを察したように
笑顔で了解してくれた。

ゆりは学校を休んでいて
家から一歩も出ていない様子だ。



しかし・・1日だけ希望があった。



数日後の香織さんの命日だ。



香織さんの命日にお墓に行く為に電車に乗る!!
その1日を期待し、信じていた。

ゆりに会って渡すのがいいとも思った。
しかし、今の状態では受け取ってくれない。

俺はその1日だけを信じて
牧野さんに手紙を渡した。


あれから数日が経過した。

今日は香織さんの命日だ。

朝5時の始発に乗り
墓で手をあわせた。


「ゆりが来たら気持ちを癒してあげてください。。」


そう心の中で伝えた。


牧野さんは渡してくれただろうか・・
ゆりは手紙を読んだだろうか・・・

そんな気持ちが頭の中でぐるぐると回転していた。

墓参りを終えて駅に向かった。

駅はいつも通りにぎやかな活気に溢れていた。

電車に乗り、あの日
ゆりと待ち合わせた場所に向かった。

電車の窓からは太陽が眩しく
キラキラと輝いていた。 

窓越しに立ち、電車の中を眺めた。


あの時、二人が座っていた席があった。
仲良く笑っていた二人。
やけにハイテンションだった二人。


あの時の記憶がゆっくりゆっくり甦った。


電車の中には楽しそうに話す
カップルや家族がたくさんいる。

悲しい時には、しあわせそうな人の輝きほど
目にまぶしく飛び込んでくる。

あの日、楽しそうに笑っていた二人を
こんな気持ちで眺めていた人もいたかもしれない。
そんな気持ちになった。


そして落ち込んでいる自分に言い聞かせた。


いつかこの苦しい状況から抜け出せる。
いつの日か…昨日より今日。
今日よりは明日。
そんなふうに悲しみから
ゆっくり遠ざかっていこう。

ふたりの輝きをもう一度取り戻すために
俺が落ち込んでいてはいけない。


ゆりの笑顔がみたい。。
ゆりに会いたい。。。


そんな気持ちでいっぱいだった。


そう考えているうちに電車は
あの日、待ち合わせた場所に到着した。


あの日、待ち合わせたホーム。

俺はホームを見渡した。


ゆりの姿はない。


時計を見ると午前8時だった。

ゆりはきっと来る。
心の中で強く信じた。

階段の方を眺めたり
電車が停車するとゆりの姿を探した。

トイレへ行きたくなり急いで走って
また戻ったりしていた。

時間はゆっくりゆっくり経過した。

そして夕方になった。  

綺麗なピンク色の夕焼け雲が
ゆっくり流れていた。  

それから数時間が経過した。
時計はちょうど午後10時になった。

ゆりはきっと来る。
強く信じた!!

しかし、心の片隅では不安も抱いていた。

俺が書いた手紙を読んで
傷ついてしまったんではないか。。
牧野さんがちゃんと渡してくれただろうか。。
やはり、自分の手で渡すべきだったのだろうか。。
トイレに行っている時に
すれ違ったんではないだろうか・・・

いろんな不安が時間が経過すると共に
追い詰めていた。



そして最終電車が俺の前を通過した。



ゆりは来なかった。



俺は電車に乗ることもできず改札口を出て
歩いて家に帰った。

電車なら10分位だが歩くと2時間位かかる。

歩きながら何もできない自分に苛立ち
ゆりのことが心配でたまらなかった。

ゆりの笑顔がみたい。
・・でも、自分と会ったらゆりを苦しめてしまう。。

そんな気持ちを駆け巡らせながら家に向かった。


第9章 伝えたい気持ちへ
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