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『心の中の大切な日記』-完結-コミュの届けたい想い/4

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コミュ内全体

あれから数ヵ月が経過した。

スタンドのバイトから帰ると
ゆりのお父さんから電話があった。

『木下君、元気だったか。。
 なかなか連絡できずに悪かった…
 先日、ゆりの三回忌も無事に終わったんだ。』

『お父さんからの連絡をずっと待っていました。。』

『そうだったのか。。悪かった…』

やっとお父さんと連絡が取れ
涙声になってしまった。

『ゆりの仏壇とお墓に拝ませていただけませんか。』

『遠いからな。。木下君さえよければ、ぜひ。。』

『来週の土曜日に行かせていただいて
 よろしいでしょうか。。』

『木下君さえ、よかったらぜひ、来てください。
 ゆりも喜ぶと思う。。』

俺はお父さんに住所と電話番号を聞いてメモした。

『それじゃあ、来週の土曜日に待っているよ。』

『はい。』

俺はゆりの墓参りに行くため
バイトで貯めた旅費を
封筒に入れて机の引き出しに
ずっとしまっていた。

封筒の中にはゆりに渡したかった物も
当時のまま入れてある。


ゆりのお父さんの電話に嬉しく感じた。


あれから1週間が経過した。

俺は始発の電車に乗るため
朝4時に起きた。

台所に行くと母が起きていた。

『健介、これ持っていきな!』
そう言いながら新幹線代を
渡してくれた。

『俺、この日のためにバイトで貯めてたから。。』

『持っていきなって!
 向こうで足らなくなったらダメだから。。』
そう言いながら御仏前も渡してくれた。

俺は受け取りながら
母の温かさに感謝した。

始発電車に乗り
新幹線に乗り継ぎ九州へ向かった。

駅に到着しお父さんに電話をかけ
20分ぐらいして迎えに来てくれた。

とても懐かしかった。
お父さんも車も以前のままだった。

ゆりと公園で最後に会った日を
思い出した。

『お久しぶりです。』

『木下君、2年ぶりだなぁ。
 遠い所、悪かったなぁ。。』

『いいえ、ずっとゆりに
 手をあわせたかったです。
 お父さんから連絡があった時
 嬉しかったです。』

『まずはお墓によって行こう。』

『はいっ。』

『秋野さん、元気なのかなぁ。。』

あの日、窓越しにぼんやりと
景色を眺めていた
おばさんのことを伝えた。

話しているうちにお墓に到着した。

海の近くの丘にお墓があり
波音が聞こえ綺麗な海が見渡せた。

お父さんの横で手をあわせた。

やっと、ゆりに会えた。
そんな気持ちだ。

涙が自然に溢れ止まらなかった。

波音が心地よく聞こえ
砂浜で演奏していた
フルートの音色を思い出した。

懐かしい思い出が
頭の中で回転していた。

それから、お父さんの家に向かった。


2階建てのアパートの1階に
お父さんは住んでいた。

『まぁ、狭いけどあがって…』

3部屋ある1番奥の部屋に
案内された。

部屋に入ると仏壇が置いてあり
ゆりとお母さんの遺影があった。

俺はゆりの顔を見つめながら
懐かしい空気を感じた。

仏壇に手をあわせ
また涙が溢れた。

俺は鞄から封筒を取り出した。

高校3年生の卒業式の日から
封筒に入れたままになっていた。

あの日、ひろみんに欲しいと
伝えられたが渡せなかった。

ゆりとの約束。


高校2年の4月にゆりと
砂浜で何気ない雑談をしていた。

ゆりは俺の学生服のボタンが
前からゆるゆるになっているのに
気づいていた。

『健ちゃん、ボタンゆるゆるになってるよ。
 今日、家から持ってきたんだ!ジャーン!!』

そう言いながらミニ裁縫セットを
鞄から取り出しボタンを縫ってくれていた。

優しい横顔だった。

縫い終わり学生服を手渡す時に
『健ちゃん、卒業式の日に
 この第2ボタン
 私にちょうだいね。。
 まだまだ先だけど予約だからね。
 覚えといてね。。』

『ありがとう!必ず渡すよ!』

そんな会話をしていた。

俺は封筒に入れておいた
第2ボタンを取り出し
ゆりの遺影をみつめながら
仏壇の前においた。


『お父さん、もう帰ります。
 ありがとうございました。』

『今日、帰るのか。。』

『いや、健康ランドに泊まり
 明日の朝、帰ろうと思っています。』

『木下君、狭いところだけど
 泊まっていきなよ。。』

そういう話になりお父さんの家で
泊まらせてもらうことになった。

お父さんと近くにあるスーパーに行った。

夜はスーパーで買ったつまみで
ビールを飲みいろんな雑談をした。

酔いがまわりお父さんは
静かに話し始めた。


『2年前、木下君に電話をかけた後
 亡くなった妻のご両親に
 ゆりが亡くなった報告に行ったんだ。
 
 あの時は殴られる覚悟だった。
 
 告別式にも呼ばなかったからな。。
 
 再婚した時に自分の中で
 区切りがあった。
 
 お父さんもお母さんも
 ゆりが亡くなって辛かったねぇと 
 泣きながら励ましてくれた。
 
 妻が亡くなり三回忌の前に俺は再婚した。
 
 俺が再婚する時、ゆりを連れて
 ご両親に伝えに行ったんだ。

「ゆりちゃんも小さいから
 お母さんが必要だからね」
 と優しく接してくれた。

 娘のお墓は私たちが建てるから
 娘を私たちのそばにいさせてほしい。

 仏壇も私たちの家に
 置かせてほしいと頼まれた。

 そして、俺は了承した。

 俺の妻は高校を卒業してから
 九州を出て大阪の学校で
 音楽の活動をしていてな。。

 そして、俺は東京から長期出張で
 大阪に来ていてそれで出会ったんだ。

 家に妻とゆりの仏壇をおいておきたいと
 頼んだらこれからは君に任せるから頼むぞと
 妻の位牌を渡してもらった。

 こいつと結婚する時もご両親に緊張しながら
 娘さんとこれからもずっと一緒にいたいです!

 畳に頭をつけながらそう頼んだ。

 あの日はあの頃と同じ気持ちだった。

 これからは妻と娘を守っていく。

 それが今の俺にただできることだと思っている。』

俺は黙って聞いていた。

お父さんは赤ら顔で俺の目を見つめ
真剣に語っていた。

『ありがとうございます。
 ゆりも喜んでいると思います。
 ゆりが亡くなってから
 香織さんのお墓に拝みに行っていました。
 ゆりが生きていたら必ず
 拝んでいるだろうと思い…
 ゆりにも手をあわせているような
 気持ちになって…』

『木下君、ありがとう。。
 君はまだゆりのことを…』

『好きです。忘れられません。。』

『そうか。。』

『こんな俺がこんなことを言うのもなんだが
 ゆりは俺が見守っていく。
 必ず約束する!
 これからは君の人生。
 新しい人生を歩いていってほしい。
 頑張っていってほしい。。』

お父さんはゆりとの懐かしい思い出を
俺に伝えながら眠ってしまった。

俺はお父さんの背中に毛布をかけながら
クリスマスイブの夜に伝えられた
俺の親父の言葉を思い出した。

『健介、これからも頑張っていくんだぞ。。』

お父さんの言葉と親父の言葉は
どこか同じような温かさを感じた。


あれから数週間が経過した。

俺はウインドサーフィンサークルに入った。

このサークルに入った理由は
海の風を感じたかった。
そんな気持ちとおばさんのいるホームの
近くの海で活動をしていることを知ったからだ。

この2年間、おばさんに会いたい気持ちは
あったがなかなか気持ちが前に進まなかった。

ある日、ウインドサーフィンの休憩中に
砂浜に座りおばさんに会いに行きたいと思った。

みんなに少しの間、いなくなることを伝え
ホームに向かった。

ホームの駐車場で園長が草刈りをしていた。

『お久しぶりです。』

『久しぶりだなぁ。
 秋野さんに会いに来てくれたの。。』

『はいっ。』

園長とはゆりの告別式以来だ。

俺のことを覚えていてくれた。

園長に案内されおばさんの部屋に向かった。

廊下にはゆりと俺が楽しそうに
デュエットをしている
懐かしい写真が飾ってあった。


あの日と同じ空気を感じた。

とても懐かしい気持ちになった。


『ここが秋野さんの部屋だよ。』

おばさんの部屋はあの頃と同じ4人部屋だった。


『秋野さん、青年が会いに来てくれたよ。。』

あの日、窓越しに座っている
おばさんの姿を見て以来だった。

『おばさん、健介です!』

『そぉぅ。健介さん。。』

『今日はいい天気ですね!』

『そうだねぇ。。』

『お元気でしたか。。』

『そうだねぇ。。』

『僕も元気でしたよ。』

『そぉぅ。』



しばらく沈黙が続いた。



『おばさん、また来るからね!』

『そぉぅ。。』

『お身体、お大事にしてください。』

『そおぅ。。そうだねぇ。。』

おばさんはにこやかに笑っていた。


俺はおばさんの顔をみつめながら
園長と部屋を出た。


『秋野さん、最近、徘徊が多くてな…
 でも、安心してなっ!
 わしらがいつだってそばにいるから。。』

『はいっ、お願いいたします!』

園長の温かい気持ちが心の奥に伝わり
おばさんに会いに行ってよかったと感じた。

ホームを出て海に向かった。

歩きながらクリスマス会の日
ゆりがホームに戻っていったことを
鮮明に思い出した。

園長室に入る前のゆりの決意を思い出した。

砂浜に座りながらゆりがあの時
おばさんのそばにいたいと思った
気持ちをずっとみつめていた。


あれから数年が経過した。

サークルの活動があるたびに
おばさんに会いにホームに行っていた。

この数年、俺なりにいきいきしていた。

おばさんは『そうだねぇ』『そおぅ』
そんな返答しかできないが
ホームに行くたびにゆりと三人でいた頃の
懐かしい空気を感じ温かい気持ちになっていた。

最近、就職活動をして船舶系企業の
就職が決定していた。

おばさんの顔をみつめながら
未来の生き方を模索するというか
今まであったことをゆっくり
思い出し考えていた。

ここ数日間、あまり眠れず
自分自身をずっとみつめ考えた結果
ゆりがボランティアをしていた
このホームで働きたいと思った。

ここを一生の仕事場にしたいと思った。

自分にとって、これからの
癒しや幸せについても自分なりに考えた。

「人は仕事してお金稼がないと
 飯は食えないからな!
 給料がいい企業に
 せっかく就職が決まったのに…」
 就職の重要性を説得する教授もいた。

しかし、やりたいことをやったらいいと
母は言ってくれた。

いろんな人の声の中で俺は決意した。


翌日、就職が決定していた
船舶系企業の人事課に向かい
内定取り消しをしてもらった。

人事課の人にかなり怒られた。

かなり迷惑をかけたと感じた。

内定取り消しをしてから
園長に自分の気持ちを
伝えに行きたかった。

ホームに就職できなければ
ボランティアでもいいと思っていた。

ただ、おばさんのそばにいたかった。

介護士の仕事をそっと見ながら
いろいろと感じていた。


温かい笑顔がたくさんあった。


機械を扱うよりただ人間の気持ちに
ふれあいたかった。

俺は夕方、ホームの園長に
電話をして気持ちを伝えた。


3日後、園長室に来てくださいと言われた。


あれから3日が経過し
園長室のドアをノックした。

ドアを開けると園長が
笑顔で俺をみつめ窓際に立っていた。

『今まで理系で機械の勉強をしていたのに
 全く違う職種だが大丈夫か。。』

『はい、大丈夫です。』

『秋野さんのそばにもいたいんです。
 いろんな老人さんを笑顔にしたいです!』

今、思っている気持ちを
ただまっすぐに伝えた。

『木下君、4月からお願いいたします。』

『ありがとうございます!!』

とても嬉しかった。

ドアを出た時、思わず涙が出た。


4月1日からこのホームでの
就職が決定した。

就職する数日前、おばさんの誕生日に
ゆりが演奏していた砂浜に座り
日記を久しぶりに書いた。


『久しぶりに日記を書いた。

 今日は君と学校帰りによく行った
 砂浜に久しぶり行った。

 俺にとってみたら
 一番幸せな時間を過ごした場所。
 
 周りの風景は少しも変わていなかった。

 どこに立ってみても
 空気はやはりあの当時のまま。

 懐かしさで胸がいっぱいになった。

 今は君の手紙を何度も読まなくても
 一文字一文字…
 心の中に大切にしまってある。

 海を眺めながらいろいろと考えた。

 今までは人生に絶望していたけれど
 今は懐かしいと思える。

 砂浜で過ごしたあの時間を 
 何よりも愛しいと思える。

 あの時間が俺の中にあって
 良かったと心の底から思える。

 少し、あの頃に戻りたいなんて
 思ってみたがそれは叶わないこと。

 もう交わることのない二人の運命だが
 あの時、君を精一杯愛することが出来て
 俺はとても成長できたのだと思っいる。

 二人の運命が一瞬交わったあの瞬間
 俺は世界の誰よりも一番幸せだったと思う。

 忘れようともがいていたあの日を
 そっと心にしまって生きていく。

 逢いたいのに逢えなくて
 連絡したくてももう出来ない存在になって…

 心はそう繰り返し悩んでいたが
 こんなにも人を好きになることができた。

 大切な気持ちを教えてくれてありがとう…

 俺と出逢ってくれてありがとう…

 今は、心の底から感謝している。

 君を好きになったこと。

 優しい笑顔。

 温かい気持ち。

 君とではなければ生まれなかった。

 そのことが全てなくなってしまうのは
 とてもつらかった。

 別れはつらい
 確かにつらかった。

 心からしあわせだって
 思えることがたくさんあったから
 それは永遠でなかったとしても
 とても幸せなことだった。

 きっと、これからもそんなに愛する人と
 出会えるなんて思えないかも知れない。

 でもきっと、最後に自分にとって
 大切な人は必ずそばに残っていると思う。


 心が痛むほど君を好きになれたことは
 誇りに思う今日この頃です。


 ゆっくりゆっくり歩いていきます。』


書きながら明日からは日記は書かず
心の中に入れておこうと決意した。

家に帰り、涙晴の空の歌詞カード
ゆりが書いてくれた楽譜
ゆりの日記、俺の日記を
ダンボールに入れて押し入れにしまった。

ただ桜の樹の下に写る
俺たち三人の写真は
ダンボールには入れなかった。


最終章 同じ気持ちをみつめてへ
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