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5号室コミュの裏裏・田無寮たいむズ2号

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「田無寮大戦争エピソード2〜紫紺の反旗〜」

吉田と辻は田無寮へ急いだ。

「辻、タイム」

「どうした吉田」

「ちょっと、サンクス寄っていい?」

「ああ、なにか作戦でもあるのか?」

「いや、フライドチキン食べたい」

「お前、寮長としての自覚あるのか?」

「えっ?今は竹本だろ?」

「お前はアホか!」

「いや、冗談やし。腹減っただけ。

お金、払ってね」

「仕方ないな、しっかり働けよ、寮長」

「わかっとる、寮長代理」

吉田はフライドチキンをほおばった。

「うんまっ!これうんまっ!」

「おいおい、喜んでる場合かよ。はやく行くぞ」

「ちょっと待って」

「まだなにか食べるのか?」

「うんこ」

「お前って奴は…」

「まあ、急がんと…」

吉田と辻は田無寮へ急いだ。

辻が立ち止まる。

「吉田、あれを見ろ」

辻は上空を指差した。

吉田は辻の指差した方向を見上げた。

煙突には旗がなびいていた。

それは海賊旗をあしらったふざけた旗だった。

紫紺の生地をバックに、竹の幹がクロスしている。

そして、その上にはドクロ、ではなく足の裏が描かれていた。

「海賊のつもりか、明治出身のよそ者が」

「竹本らしいな」

「あれを早稲田の旗にかえてやる。田無寮の旗に」

「吉田らしいな」

「黙れ小僧、お前に寮が救えるか」

「吉田、お前がジブリ好きだったなんて…」

吉田はスルーして寮内へと足を速めた。

玄関にはすさまじい光景が広がっていた。

「ケンシロウ!あっ…逸見さん!!」

逸見氏はホワイトボードの下に横たわっていた。

左足に巻かれた包帯には真っ赤な血がにじみまくっていた。

そしてあらわになった上半身に見えるのは、

北斗七星…。

吉田は怒りにまかせて言い放った。

「辻、怪我しちょる足、右足じゃのうて左足じゃろが!なんばしょっと!」

辻はシカトして食堂に入って行った。

「吉田、すまん。ちょっと油断した」

「いえ、僕がふがいないばかりに。今戻りました」

「僕が悪いんだよ!逸見君のせいじゃないよ!」

声の主は、島貫さんだった。

「島貫さん…」

「ヌキオ、今はそんなことどうでもいい」

「吉田が寮を厳しくするからだよ!」

…吉田は返す言葉がなかった。

「吉田、大丈夫か」

「小松っちゃん!」

小松平が階段から降りて来た。

「お前こそ大丈夫か…」

小松平はマスクをしていた。

しかし、そのマスクは口にではなく、鼻にガーゼがあてがわれていた。

「鼻をやられてね、尋常ならざる足臭いだよ、まったく」

「おう、吉田!」

「松木!お前も大丈夫か!」

松木は眼帯をしていた。

「ちょっと油断してね。洗濯物取り込んでたら後ろからドンって」

…なんで眼帯しとんがい。

吉田はスルーした。

「吉田も帰って来たことだし、作戦会議をしよう」

「俺もまぜろや」

玄関に立っていたのは、まぎれもなく右大臣だった。

「富永さん!!」

一同がどっと沸いた。

「おい英洲、お前はまだ寝とった方が…」

吉田は右大臣を気遣った。

「誰にタメ口聞いとんねん!」

吉田は叩かれた。

「お前らに笑いという武器を届けてやろう思てな」

「富永さん、心強いっス」

松木はうれしそうだった。

「お前、生きとったんか。藤谷なんかにやられたらしいやん」

「富永さん、2度目はナイっす!」

一同はささやかに笑った。

「あの、紀平さんはどうしたんですか…?」

無傷の大石が問うた。

「あいつか…あいつはな…あいつは…もうダメかもしれへん」

「そんな…」

「右腕の2本の骨が両方ともやられてしもうとってな。

明日…手術や…」

重い雰囲気が降りて来た。

「竹本の野郎…わざとやりやがって…」

「じゃあみなさん食堂に集まって」

議長の小松平が促した。

食堂では、総会よろしく形式張った作戦会議が開かれた。

「これから作戦会議を行います」

辻が重々しく言った。

作戦会議は右大臣のせいで難航した。

「ヨシト、オートバイで突っ込めばええやろ?」

「…ああ、はい」

「寮内にオートバイをおくことは禁止されています!」

辻が制した。

「うるせえ!この際ええやろ!」

「こらこら君たち、私語が多いよ」

「うるせえ藤山!……っさん」

「とにかく、一度整理しよう。

今のところ兵糧攻めが一番アツいと思うんだけど、寮長どう?」

「うん、そうやな、それでいこう」

「決断はやっ」

全員が突っ込んだ。

「いくら俺たちには武戦派集団が集まっていても、

地の利を活かされては余計な被害が出るだけやろ。

こっちにはマックスバリューがある。負けるわけねえよ。

絶対に竹本をボコボコにしてやっから」

吉田は意気込んだ。

「よし、よっしー、兵糧攻めで行こうや」

右大臣の一言で、全員の意思が固まった。

「この場で一言のある方」

小松平が形式取りに聞いた。

藤井ちゃんがおもむろに手を上げた。

「マッキンゼー、受かった」

全員スルーした。

「みんな、長い間大変だけど頑張ろうぜ。

辻、俺ら2年生で3階の前線に立って見張りするぞ」

松木が手をあげた。

「ちょい待って、見張りは、川瀬に?」

「アホか!それは言わない約束だろ!」

松木は全員からビンタを喰らった。

「じゃあ、2年生頑張ろうぜ」

辻が佐藤を覗いた2年生全員を率いて階段を上った。

こうして兵糧攻めが開始された。

しかし、2ヶ月がたっても川瀬はかわらなかった。

そして、2か月が経っても状況はかわらなかった。

その間、竹本軍からの攻撃はなく、冷戦が続いていた。

「おかしいな」

辻が訝る。

「そうだな、そろそろ降伏してもいいはずなんだが…」

小松平も思考を巡らす。

その時、見張り当番の裁松が食堂に入って来た。

「もう勘弁、臭すぎる…あいつら風呂に入ってねえから」

「臭いのは竹本だけやろ」

右大臣が言った。

「それにしても辛抱強いよね」

松木も食堂に入って来た。

よほど気に入ったのか、まだ眼帯をしている。

「なんで降伏せえへんのやろな」

吉田は栽松の言葉を思い出した。

…臭い。

「そうか、謎はとべてすけた!!」

誰も突っ込まなかったが、吉田に続きを促した。

「あいつは、」

「あいつは?」

「竹本は」

「竹本はぁ」

「はよ言えや」

右大臣が言った。

「あいつは、

みんなに、

味噌ラーメンを作っている」

つづく。

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