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FINAL OKINAWA FANTASYコミュの19

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19




二日酔いの中で



学校祭の打ち上げは、朝日が昇ってやっと終わった。途中、酔っ払ったリョーマが店の看板を壊す、道の真ん中で叫ぶ、などの奇行を繰り返し、一同をうんざりさせる。六人はシゼンカーンの部屋に帰ってくるなり倒れこむように寝る。

夕方、眠気が残りつつも暑さに耐え切れず、六人は起きる。トゥーマコ、ヘイオス、ヤラキはケロッとした顔で昨日の夜の話をする。しかし、サクーン、マサー、フィロヤは完全に二日酔いといった様子だ。六人は食事をとるためにヤマハラ食堂に行く。
食堂に入るなりヘイオスは店のおばちゃんに、今日もネェーネェー綺麗だね!と一声かける。すると、気を良くしてくれたおばちゃんはご飯を大盛りにサービスしてくれた。二日酔いの三人はセルフサービスのレモンティーをがぶがぶ飲み干していく。定食がテーブルの上に揃ったところで、六人はがっつく。頃合いを見て、ヘイオスが柚子屋で聞いた豚っ鼻の男の話を切り出す。
普通に聞くと、フィクションのような話だが、不思議と五人にはそうは思えなかった。
「トゥーマコもあいつから邪悪な気みたいなもん感じたんやろ?」ヘイオスがトゥーマコに尋ねる。
「ああ。カツオやファットバギーと戦ったときに感じたものと一緒だった。」ソーキそばをすすりながらトゥーマコが振り返る。
「うーん。考えれば、考えるだけ、謎が深まっていくやぁ〜。」トーフチャンプルーを突きながらヤラキが考え込む。
「なんでファットバギーのこと知ってたのかな?」フィロヤはご飯を掻き込む。
「瓦版とか?まぁ、想像の範疇の話からは出ないだろうね。」マサーが味噌汁を混ぜる。
「計画っつーのが気になるな。何が目的なのか…。」サクーンがレモンティーを飲む。
「まっ、俺たちも同じ学校にいるわけやし、徐々に情報収集やな。」腕を組むヘイオス。
「また戦いが起こるのかな?」フィロヤが不安な表情を見せる。
「ヘイオスとトゥーマコの思い過ごしってことになるのが、実は一番良いんだけどね。」マサーは苦笑いする。
「だな。酔っ払って、少し大きく話してしまっていたなら、それはそれで良い。」トゥーマコが笑う。
「平和が一番だからな。で、明日からは何する?」サクーンはお腹をさする。
「そろそろ残った伝説の武具も戻しに行かないといけないんじゃない?」マサーがソーキを綺麗に食べる。
「豚っ鼻のやつがもし敵だったときに使わないの?」フィロヤがさらに不安がる。
「その使い道もあったか。あれがあると負ける気はしないな!」サクーンの鼻息は荒い。
「もう、ええんちゃう?もしもの時は、俺たち自身の力で戦うべきやと思う。」ヘイオスが真剣な表情で話す。
「なんかヘイオスらしくないね。」マサーがヘイオスを見つめる。
「伝説の武具に頼りすぎるのはあんまり良くないんちゃうかな〜と思って。」ヘイオスが眉間にしわを寄せる。
「俺たちの強さの源って、やっぱりがむしゃらさじゃないかな?そのがむしゃらさが、もし伝説の武具を頼ることで失われたら、それは意味の無いことだと俺も感じる。」トゥーマコもヘイオスに賛同する。
「無我夢中の中から得られる強さか…。」黙るマサー。
「なるほど…。わかった。俺たちに出来る、俺たちなりの方法で戦おう。」ヤラキも賛成だ。
「それなら俺も!」フィロヤは調子が良い。
「けっ!どうなっても知らないぞ!」サクーンは鼻を尖らす。
「なんか、イスガキを離れる時にも感じたんだけど、もしもの時はまた力を貸してくれるような気がするんだ。」トゥーマコはサクーンに語り掛ける。
「はっし!根拠はあるば?」サクーンがキツく尋ねる。
「ないけどさ。けど、なんかそんな気がするんだ。伝説の武具は、それぞれ意志を持っているような気がしたし、俺たちがピンチになったら助けてくれそうな気がさ!」トゥーマコは自信満々に話す。
「……、ふん!」サクーンは屈託のない笑顔のトゥーマコに根負けした。

「っしゃあ、明日は観光がてら、また太陽浜のとこまで行こうぜ!」ヘイオスのテンションが上がる。
「とりあえず、北部は後回しで、南部からだよね!俺イスガキだったから、南部回るの楽しみだぜ!」フィロヤが目をキラキラさせる。
「バエハルのジャコスに寄ったり、バルヨナのそば食いながら、のんびり伝説の武具を戻しに行きますか!」ヤラキも元気になる。
「めそめそサクーンも明日水着の女の子見て元気出せよ!」ヘイオスがサクーンを小突く。
「見ないしっ!」精一杯強がるサクーン。しかし、興奮を隠せない。
「よーし、明日は海だっ!」フィロヤが喜ぶ。
「じゃ、後でスドウ先生のところに行って、馬車の手配してもらおう!」マサーの眼鏡がキラリと光る。

笑いながら食事をする六人。豚っ鼻の男に対する不安はありつつも、一つ一つ目の前の課題に取り組むのだった。



愉快



翌日、スドウに手配してもらった馬車に乗り、六人はシキネ園に向かう。シキネ園に着き、管理人に伝説の武具の一つ・ガリオンの盾を返すと、六人は特別に無料で園を見せてもらうことに。シキネ園は王族の別荘だが、最近はあまり使われていないらしく、普段は観光用に有料で解放しているのだという。無料と聞き、ヘイオスはノリノリでシキネ園を見物する。いろいろ文化の交ざり合った庭園を歩き、六人は異国情緒を満喫する。
六人はシキネ園を出ると、バエハルのジャコスに向かった。
ジャコスに着くと、六人は地図を見て食事処に走る。いろいろな店が立ち並び、選びきれない六人は、それぞれの好きなものを食べるためにばらばらになった。

ヘイオスとマサーはうどん屋の前で立ち止まる。
「おぉ!ウォキナワにもあるんやなっ!」ヘイオスは驚く。
「?」不思議に思うマサー。
「このひまわりうどんってゆー店は、いろいろなとこで人気やねん。けど、まさかウォキナワに進出しとるとわな〜。」感心するヘイオス。
「ヘイオスがそこまで言うなんて。うん、俺もここで良いよ!そばしか食べたことないからさ!」マサーもうどんには興味深々だ。
二人はひまわりうどんに入っていく。

一方、トゥーマコ、サクーン、ヤラキの三人は、中華料理の店に入ることに。
「炒飯うまいっ!」炒飯を掻き込み感動するヤラキ。
「エビチリ最高!!」サクーンはちょっとお洒落にエビチリを頬張る。
「ん?トゥーマコの料理まだ出てこないのか?」ヤラキがトゥーマコの料理が遅いことに気づく。
「何頼んだんだ?お前一人でこっそり頼んでたよな?」サクーンがトゥーマコを問い詰める。
「もうそろそろくるんじゃないか?」話を反らすトゥーマコ。
すると、やっとトゥーマコの料理がやってきた。店員が三人掛かりで運んでくる。サクーンとヤラキが目を見開いた。
なんと、トゥーマコの前には、ラーメン、酢豚、炒飯が並んだのだ。
「おいおい、頼みすぎだろ!」サクーンはとりあえず突っ込む。
「どうした?どうした?」ヤラキは慌てる。
「いやぁ、お腹減ってたから、炒飯をご飯に、おかずで酢豚で、味噌汁の代わりにラーメンで良いかな〜って。」苦笑いするトゥーマコ。
「はっし!」言葉を失うサクーン。
「そうか。これだけ頼んだら、俺たちが止めると思ったんだな。止めないから安心しろ。」ヤラキも笑うしかない。
「ごめん、ごめん。」そう言いつつも、がっつくトゥーマコ。食事はトゥーマコにとって何よりも神聖な儀式だ。
「ったく、お前食費かかりすぎ!」サクーンも呆れるのだった。

三人が食事を終え、ぶらついていると、ヘイオスとマサーに出会う。
「あれ?フィロヤは?ヘイオスたちと一緒だと思ったんだけど。」トゥーマコが辺りを見回す。
「いや、お前らと一緒やと俺らも思っててん。あいつ、どこ行ったんや?」ヘイオスが心配する。
そういえば、フィロヤがいない!なんと、五人はフィロヤを見失っていた!!

慌てる五人。フィロヤを捜す。
すると、マサーが円駄亜と書かれた看板の前で突っ立っているフィロヤを見つける。駆け寄る五人。
「おーい、フィロヤ何してんだ?飯食ったか?」サクーンが尋ねる。
「一人にしてごめんな!」トゥーマコが謝る。
「あぁ、大丈夫、大丈夫。あんまお腹空いてなかったから、タコライス食べといたよ!」フィロヤは心配を余所に平気だったようだ。
「で、今は何していたんだ?」ヤラキがフィロヤに聞いた。
「みんな、あれ見てよ!」フィロヤが笑いながら指をさす。その先を五人が見つめる。そこには、円駄亜のマスコットの人形があった。
「あれ、トゥーマコに似すぎじゃん?見れば見るほど、トゥーマコに見えてきて、もう十分くらいずっと見てるんだよね!」笑いが止まらないフィロヤ。
円駄亜のマスコットは、熊そのものだった。みんなはマスコットとトゥーマコを見比べる。理解した瞬間、トゥーマコ以外は噴き出す。
「たしかに!」納得し、大笑いするヤラキ。
「トゥーマコ激似だ!」マサーも笑う。
「白いペンキ塗ったら白熊になるかな?」フィロヤがヤラキに尋ねる。
「まだシゼンカーンの部屋に、学校祭で使ったペンキ残ってるぜ!」ヤラキは塗る気満々。
「どこの動物園から逃げたしたば?北か?北のか?」鼻腔を大きくし、サクーンが笑う。
「ひーひっひ!あかん、強烈過ぎるわ!ひーひっひ!熊や!熊っ!」腹を抱えるヘイオス。
しかし、トゥーマコも黙ってはいない。
「笑いすぎだぞっ!黙れモンキーズ!」トゥーマコが指をさす。指されたのはヘイオス、マサー、フィロヤの三人。
「モンキーズ!モンキーズ!いつも俺を馬鹿にしやがって!自分は山猿のくせに!」ヘイオスに指をさすサクーン。モンキーズがサクーンのツボにはまる。
「うっさい!サクーン!この一人動物園!」ヘイオスが言い返す。
「な、なんだと〜!」鼻息を荒くするサクーン。その姿はさながら、突進寸前のサイ。
「動物園!動物園!」はしゃぐフィロヤは猿そのもの。
「俺は?俺は何?」ヤラキは自分を動物に例えると何なのか尋ねる。どうやら仲間外れが嫌らしい。
「え?うーん、じゃ、オランウータンぐらいで。」ヤラキに上手くハマる動物がいないので、適当にあしらうトゥーマコ。
「きたぁー!オランウータン、きたぁー!」ヤラキはオランウータンが気に入ったらしい。
「じゃ、俺はメガネザルね!」マサーも意味がわからなくなってくる。
ジャコスに動物たちの鳴き声が響く。
野生の如く、男たちがあーだこーだと鳴き叫ぶ。

その後、六人がうるさすぎて円駄亜の店員に怒られたのは言うまでもない。
反省しながら、しっかり仲直りする六人だった。



野性的なやつ



一通り騒ぎ終えた六人は食品売場に行き、夜のバーベキューに備えて買い出しをする。
トゥーマコ、ヘイオス、ヤラキは必死の形相で肉を買い漁る。網以外のものは現場調達で済ませる予定で、浮かした分を食べるものに使い込む。
買い出しを終えた六人は再び馬車に乗り込み、サイファ御嶽を目指す。
前回は徒歩で行ったことを考えると、ヘイオス、ヤラキ、マサーは快適さに酔い痴れる。
バエハルからバルヨナに入り、シャシキの森を抜けると、太陽浜が見えてくる。イスガキに行ったトゥーマコ、サクーン、フィロヤも、始めてみる景色に声をあげる。
馬車は太陽浜を通り過ぎ、まずサイファ御嶽に迎う。サイファ御嶽で伝説の武具、エルフェの弓矢を元に戻した後、六人を太陽浜で降ろし、翌日の昼に迎えにくるという予定だ。
サイファ御嶽に着いた六人は、エルフェの弓矢が隠されていた場所に進んでいく。ウォキナワ随一の聖域と呼ばれるだけあり、神秘的なパワーが漂っている。森に囲まれているので森林浴の効果もあるのだろう。
埋められていた場所にエルフェの弓矢を戻した六人は、しばしの間サイファ御嶽を見学することに。サイファ御嶽は、ウォキナワ本島の最東端に位置し、小高い山の上にあるため、東側を眺めると絶景である。
六人が歩いていると、目の前に大きな石群が突然現れる。石と石が重なり合い、中央の空いたスペースは三角形になっている。否自然的で、幾何学的に計算されたとしか思えないこの石群も、あまりの巨大さに自然の成せる妙としか言えないのが現状だ。ウォキナワ神話の発祥の地であるサイファ御嶽のシンボルのこの石群が、神の存在を信じさせてしまう要因である。

「はぁ〜、良いねぇ。ええ気分や。心が清められるわ。」ヘイオスは大きく深呼吸する。
「煩悩の塊がこれぐらいで変われるのか?」サクーンが疑う目でヘイオスを見る。
「アホか!僕だってなぁ、純粋な気持ちでいれるんやで!」反論するヘイオス。
「いつまで保つことやら。」クスクス笑うフィロヤ。
そこへ、女の子の声がする。
「あの石凄くなーい!?」
若い女の子数人が歩いている。観光客のようだ。

それを凝視するヘイオス。獲物を捉えた山猿は、鼻息を荒くしている。
「結局、変わらんやぁ〜。」笑うヤラキ。
「ヘイオスだからね。」マサーもうなずく。
「ほら、馬車も待たせているし、行くぞヘイオス!」ヘイオスを引っ張るトゥーマコ。
「嫌や〜!嫌や〜!もう少しだけ、ここにいとこうぜ〜!」暴れるヘイオス。
「煩悩の塊め。はぁ〜。」呆れるサクーン。
「まぁまぁ、ヘイオス。太陽浜に行った方が、水着の女の子もいるだろうし、得策なんじゃない?」フィロヤがファインプレー。
ヘイオスが動きを止める。「お前ら早よ行くで!太陽浜へ、いざ行かん!!」ヘイオスが馬車に迎う。山猿のフットワークは軽い。
「ヘイオスの煩悩って、どんなよ。」サクーンが更に呆れる。
「うーん、百八では足りてないよね?」フィロヤが指で数える。しかし、全然足りない。
「じゃ、に、二百ぐらい?」マサーが考える。
「それで済むか?」トゥーマコも悩む。
「早く俺たちも乗らないと、ヘイオスに怒られるから行こうぜ!」走りだすヤラキ。
苦笑いをしながら、四人も走る。

太陽浜に着いた六人。太陽浜に隣接する歩道に陣を構える。トゥーマコがご飯の準備をしている間、五人は海に。相変わらず太陽浜は観光客で賑わっている。
「うひょー!絶景、絶景!」ヘイオスは笑顔。
「目のやり場に困るやぁ〜!」そういうヤラキの目は、確実に標的を捉えている。
「今日はあくまで海を楽しむんだよ。わかってる?」真面目キャラが売りのマサー。裏の顔はメンバー随一のむっつりスケベ。
「欲しがりません、勝つまでは!」フィロヤは水着美女たちに敬礼。
「誰が女捕まえれるか勝負だな!」ニヤリと笑うサクーン。
「ふん。そのアケボーノで、女を捕まえれるかな?」ヘイオスがチクリ。
「時代はぽっちゃりなんだよ!男も懐っこさで勝負だ!」サクーンが勝機を見いだす。
「あはは、サクーンが泳いだらジュゴンぽいかもな〜。」悪気なく笑うヤラキ
「マナティじゃん?」フィロヤが想像する。
「動物園の次は、一人水族館や!ひっひっひ!」ヘイオスが腹を抱えて笑う。
「あ?」サクーンが怒る。
「みんな逃げろ〜!」ヘイオスの掛け声で、海に逃げ込む。
五人は海をエンジョイするのであった。

五人がプカプカと漂っていると、周りにいる女の子が砂浜を見て騒ついている。
「え??あれ、熊じゃない?」
「ウォキナワにも熊っているの?」
「あれ、全身毛だらけで、完全に熊でしょ!」
「ヤバイ!こっち来るよ!」女の子たちが逃げていく。五人は砂浜を見る。そこには、手を振って海に走る、トゥーマコがいた。
「おーい、準備出来たから、俺も海入りに来たぜ〜!」トゥーマコは満面の笑みを浮かべて走っている。
一瞬、五人も熊に見間違う。毛が風になびく。
ばしゃーん、と大きな音を立て、熊、いや、トゥーマコが入水。
「気持ち良いなぁ!なんかして遊ぼうぜ!」トゥーマコが唖然としている五人のところに着く。

トゥーマコをじぃ〜っと見つめる五人。
「大丈夫、大丈夫や。きっとお前の良さを理解してくれる人がおるよ!」慰めるヘイオス。
「俺たちはお前が大好きだからよ!」フィロヤがトゥーマコの肩を叩く。
「?」意味がわからないトゥーマコ。
「それにしても、でーじ凄いな!ウォキナワ人以上だぜ。」サクーンが周りと見比べる。
「毛並みが揃っていて、野性的でカッコいいんじゃん?」荒々しいトゥーマコに惚れ惚れするヤラキ。
「やはり前世はクマだったのか?」腕を組み考察するマサー。
「お前らさっきから何言ってるんだよ?日が暮れるまでに海を満喫しないと!」トゥーマコが海に潜る。

とりあえず、毛のことはそっとしておこう。そう誓う五人だった。



変わらない奴



日も暮れてきたところで、六人はバーベキューに。もちろん、場所は太陽浜に隣接する歩道。石を積んで作った簡素な焼き場を六人が囲む。穏やかに舌鼓を打つ予定だったが、そうもいかない。

「何でお前はこんなもん買うんだよ!」ヘイオスに怒鳴るサクーン。
「センスない、センスが。」呆れるマサー。
「あがっ!でーじ食べにくいや〜。」困るヤラキ。
「地元の俺たちも、煮込んだやつ以外は食べないな。」フィロヤは苦虫を潰した顔だ。
「これ、そばに入ってるやつだろ。」ヘイオスに問い掛けるトゥーマコ。
五人はしかめっ面でヘイオスを見つめる。五人の不機嫌の原因は、ヘイオスがジャコスで買ったソーキにあった。
「うっさいなぁ〜、もぉ〜!食べてみたかったんやから、仕方ないだろ!」逆ギレのヘイオス。
「あんなに買う奴があるか!」サクーンが指をさす。その先には袋の中にどっさりと入ったソーキが。
「こんなに固いの食べれないよ〜。」嘆くフィロヤ。
「あがっ!歯に挟まった!」サクーンが歯に挟まった肉を必死に掻き出す。
ソーキは煮込んでこそ柔らかくてジューシーで食べやすいが、もともと繊維が集まった部分なので、焼くと固いのだ。しかも繊維が歯に挟まりやすい。それに脂の少ない部分なので、普通に焼くとパサパサしているのだ。ウォキナワの先人が試行錯誤を繰り返し辿り着いた調理法を、ヘイオスが一瞬でないがしろにした瞬間だった。
「ひーひっひっひ!」それを見て笑うヘイオス。
「笑い過ぎ!」怒ったトゥーマコはヘイオスに拳骨を食らわす。
「痛っ!」ヘイオスは頭をさする。
「焼肉って言ったら牛なのに、豚を買うとは。」ヤラキが呆れる。
「だって詰め放題のコーナーにあるんやもん。」言い訳をするヘイオス。
「その隣に、牛のカルビとロースもあったけどな。」チクリと刺すトゥーマコ。
「今焼いたので牛肉終わりだよ…。」網を見つめるフィロヤ。
「あ〜、もう牛肉なくなったよ。あとはソーキだけ…。」マサーは言葉も出ない。
「そ、そうや、トゥーマコ!お前の力で今から煮込めば良いんや!この火を使って。焼肉のたれで煮込んだら旨いやろ。僕天才!ナイスアイデア!」ヘイオスは一発逆転を狙う。
「はぁ…。」ため息しかでないトゥーマコ。
「お前バカだな。ここビーチど。周り見てみ。」サクーンが冷たく言い放つ。
「……、すいません。」ヘイオスは反省。

一同、沈黙する。

そんなときだった。
「食べ慣れてきたら大丈夫!みんなで食べたら何でもおいしいさ!みんな元気出せ!」ヤラキがみんなに言い放ち、ソーキに噛り付く。
それを見て笑うフィロヤ。
「ヘイオス、ヤラキに感謝だね!」ヘイオスの肩を叩くマサー。
「お前の好奇心に振り回されるのも、これが最後にしてほしいぜ!」皮肉を言いながらも、ソーキをかじるサクーン。
「みんな…、おおきに!」うるうるするヘイオス。責めるのは強いが、責められるとみんなが思っているよりも実は脆いのだ。
「さぁ、どんどん焼きますか!」トゥーマコが抜群の焼き加減でソーキを炙る。
今しか味わえない味を堪能した六人は、食事の後、花火をすることに。

「ぎゃあ〜!全然反省してない〜!」
「ヘイオスはヘイオスだぁ〜!」
「御嶽の効果もなしっ!」
逃げ惑う五人。追うのは、花火を束に両手に持ったヘイオス。
「ひーひっひっひ!ひーひっひっひ!やっぱ僕にはこのポジションが向いとるわ!ひーひっひっひ!」笑うヘイオス。
六人は深夜までビーチでのキャンプを満喫した。


次の日、迎えの場所に乗り、大学に戻る六人。大学の前で降り、シゼンカーンの部屋に向かう。
「あぁ〜、ほんま楽しかったなぁ〜!」機嫌の良いヘイオス。
「アホ!昨日お前から必死に逃げたせいで、腿の裏が筋肉痛だ!」怒るサクーン。
「髪から焦げた臭いがまだしてるし!」髪を掻くフィロヤ。
「ん?何か壁に貼ってあるね。」廊下に貼りだされている紙に気付くマサー。
「なになに…。」トゥーマコが読み込む。五人も近寄って見つめる。

学長杯争奪球技大会開催

参加チーム募集中

六人一組

種目 排球

優勝チームには豪華景品有り


新たな闘いの予感をひしひしと六人は感じるのだった。



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