やまとのさき～言霊の学びコミュの「弟橘媛」「オトタチバナヒメ」

2012年1月22日、味噌猫さんに弟橘媛のことを詠ったと思われる和歌が降ろされました。
詠み主はヤマトタケ(江戸時代以前の日本武尊の呼び名)でしょうか。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=67464489

弟橘媛・オトタチバナヒメの弟・オトにはどういう意味があり、どうしてオトの音があてられたのか、これを読んで頂けたらわかると思います。

たちばなのはなさきちりてうかばれし

うみのあおかな
よをすくわれし

「たちばな」は弟橘媛
「はなさきちりて」は花咲き散りて、となり弟橘媛が海に身を投げ出したこと。
「うかばれし」は弟橘媛の願いが叶いその想いが浮かばれたということ、つまり安堵して無事天国へ召されたということ。
「うみのあおかな」は嵐が去り青空になったこと。
「よをすくわれし」の「よ」は「世」でしょうかそれとも「余(ヤマトタケ)」でしょうか。その両方なのかもしれませんね。

ヤマトタケは多くの人を殺(アヤ)めました。その魂達はいつかその恨みを果たそうと企んでいました。
ある日、ヤマトタケと弟橘媛、その従者らが乗った船が神奈川の走水から千葉の房総半島へ渡ろうとしました。
陸から4キロも遠ざかったころ、晴天だった空はみるみる間に黒い雲に覆われ雨が降り嵐になりました。
この嵐はヤマトタケに殺された何万もの魂と海神によるものでした。
弟橘媛の耳に何度もささやき声が聞こえてきます。
「これは海神の怒りだ。今日を限りに尊の命をとる。」

そうしている間に船は今にも沈没してしまいそうに。
弟橘媛は気づいたら自ら海に飛び込んでいました。
そのときの弟橘媛の言葉がこれです。
天界において小桜姫が弟橘媛より直接聞いたものとされています。

「尊のいのちはこの国にとってかけがえのないものです。どうぞ私というつまらない女のいのちを、尊のいのちの代わりとなさってくださいませ。」

すると海は静かになり空には青い色が見えるようになりました。

たちばなのはなさきちりてうかばれし

うみのあおかな
よをすくわれし

和歌はこのことを想わせるものですね。

弟橘媛の弟の意味。

弟は「オト＋ト」です。
オトは落とすや劣るの意味です。
トは人。
例、素人(シロウト)、商人(アキンド)、仲人(仲人)

弟は兄に比べて劣っているためオトウトという音が与えられたのですね。
では弟橘媛にどうして弟の字が使われているのでしょうか。
この名前はもちろん死語に付けられた名前です。
弟橘媛は自ら一歩引き、一段落とし、ヤマトタケを常に後ろから支える奥ゆかしい女性であったことから弟という字が添えられたのですね。

自分より他人の幸せを重んじる和(やわらぎ)の心。
これがまことの大和の魂。

弟橘媛が海に身を投げ出すときの心境を想うといつも心が切なくなります。

千葉県の君津や木更津、袖ヶ浦という地名はこの出来事にちなんでつけられた名前です。

・君津の君とはヤマトタケのことを指し、津は海岸です。
君津とはヤマトタケが亡くなった弟橘媛を想いいつまでもそこにいたことから付けられた地名なんです。

・木更津も同様です。
木更津は元はキミサラヅと言いました。
「君去らず」という意味ですね。
これも君津と同様の理由で名付けられた地名です。
・袖ヶ浦は弟橘媛の着ていた服の袖が流れ着いたことに由来します。