イムス横浜国際看護専門学校コミュの終末期恋愛看護論文集

終末期恋愛看護の援助方法について
1. はじめに
終末期恋愛この言葉を聞いたことがある人は少ないだろう。なぜなら、恋の終わりというものはいつでも否定的に捉えがちであるからである。だが彼氏(彼女)と付き合い始めれば、いずれ終わりがある。結局は、結婚するか、別れるかの二択であるということに異論はないだろう。そして恋愛には必ず終末期が存在する。いわゆる別れる一歩手前という状態である。また今の医療は付き合っている時から緩和ケアへの移行が推奨されている。先行研究では付き合い初めの文献は多く見られるが、終末期恋愛に関する文献は少ない。よって終末期恋愛についてまとめ、今後の看護の示唆にする。

2. 用語の定義
終末期とは不治の別れであると診断をくだされ、それから先数週間ないし数カ月（およそ6ヶ月以内）のうちに必ず別れるだろうと予期される状態になった時期。 熱変性したタンパク質や認知症の進行のように、不可逆的な物と捉え必ず別れがくるものとして定義する。いわゆる寄りが戻るということは一切考えないものとする。

3. 研究目的
終末期恋愛に関する援助方法を考察し、今後の看護方法の示唆の一助とする。

４.研究方法
半構成面接により3人の女性を選別する。話してくれた言葉をコード化し、逐語録を作成する。

５.倫理的配慮
大学の紀要、ブログ、日記などの電子媒体に掲載する場合は本人に連絡を取り許可を得る。許可が得られない場合は、掲載をしない。なお連絡がとれない場合は無断で掲載する。

６．結果
終末期恋愛看護の特徴として以下のものが考えられた。
･終末期のケアとしてまわりの環境を整え、友達と連携して精神面や医療面など総合的なケアが必要になる。また、慰めてあげ、向精神病薬の服用など終末期のケアはできるだけのことをしてあげる必要がある。

･別れる気持ちの理解、精神的苦痛の取り除きかたが大事である。心残りを解消してあげることが大切。また、友達や家族も別れを看取ることを覚悟する必要がある。

･最後の別れを言い出す場所が病院か自宅か、ディズーランド、などの選択は重要な問題。特に自宅で別れを看取る場合は、危険物の除去(ベルト、刃物など)が大切。在宅か病院か、ディズーランドかは、本人の気持ちを尊重しながら家族や友達が判断してあげるのがよい。

・臨終が近づくと、特有の兆候が見られる。兆候にあわせて最後のケアをする。本人が臨終をできるだけ楽に迎えられるようにしてあげるのが家族や友達の務めです。話しかけることもわすれないで。
７.考察
終末期を得て、別れた彼氏のことを聞き出す作業は困難を極め、途中で泣き出す女性もいて、面接を中止せざるを得なかったため、終始、気を使っての面接だった。先行研究と当てはまる部分も多かった。具体的には、付き合い始めは、友達や家族に相談を多くしているが、終末期になると、相談しにくくなるということであった。理由は、やはり終末期を否定的にとらえているからであった。また看取りの場所としては、公園か自宅が多かった。これは公園だと直接言うのに対し、自宅だと携帯やメールを使うことが有意に高いという結果がでた。
８.結論
患者の心の痛み、その他の症状のコントロール、精神的に支える、身辺整理(思い出の品)への配慮が大事。 ステロイドの使用、日常生活への援助、宗教的配慮。
混乱への対応（セレネースの投与）。患者がもっとも楽な体位をとらせる工夫(ファーラ位)する鎮静の考慮。
最後まで人格をもった人として接する。手を握る、髪をなでるなどの非言語的コミュニケーションをはかる。だが、それ以上の行為は行わない
病名告知に関する悩みへのケア、家族の病名告知死の受容への援助。
やがて別れを迎えることを予期して悲嘆への配慮。できるだけ長続きして欲しいが苦しめたくない、という家族や友達への気持ちの葛藤への配慮など。
看病疲れへの配慮、蘇生術(寄りを戻す方法はここでは扱わない)の施術を家族と相談。
別れる直前の症状の説明（苦しそうでも患者は苦しくない事の説明・これはもう少し前からしておくほうがよい）家族にできること（優しく呼びかける、手足をなでる）を伝えます。思い出は最後まで残るので、廃棄してあげることをすすめします。
9.研究の限界
研究の性質上、パートナーと別れてからの発言になるので、被験者の記憶が曖昧なことがあった。また、昔を思い出し、途中で終了してしまうことも少なくないので、一般化は難しい。よって今後も数を増やして研究を続けていく必要があると思われる。
引用文献
香里奈,吉高由里子,大島優子. 私が恋愛できない理由(2011). フジテレビ.