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文豪てっしーを見守る会コミュのライン(中学後編)【真美編】?

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 真美と瑤子は応援席の最前列に座った。1年生の時、真美の担任だった先生や校長先生も応援に駆けつけていた。周りを囲む1年生部員たちの青いジャージ、試合前の応援……真美にとっては全てが懐かしかった。ここにいると久し振りに原中生に戻った気がする。


 「柴田先輩、わざわざ来てくれたんですか?」ユニフォームを着た部員が瑤子の元にやってきた。


 「あっ田中君。うん。せっかくの全国大会やし、大樹とも約束しとったけんさ」


 「そうなんですね。ありがとうございます。あと隣の人ってもしかして」


 「そう城南のキャプテン。田中君は知らんと思うけど1年の頃は原中だったのよ。今日は大樹の応援にね」


 「わざわざありがとうございます。大樹先輩も喜んでいると思いますよ。」そう言って田中君はコートに戻っていった。


 「あの子、次のキャプテンなのよ。今年まだ2年生だけどレギュラー取っているしね」瑤子が教えてくれた。世代交代は確実に進んでいる。真美がキャプテンを務めていた城南中の女子テニス部も、もう新キャプテンが決まって新体制で動き出している。真美が引退してからもう2週間になる。まだ現役でテニスをしている大樹や良祐のことは正直羨ましかった。
 

 コートの中がざわつき始めた。もうすぐ試合が始まる。原中のレギュラー6人は大樹の掛け声のもと円陣を組んだ。
 

 円陣が解かれるとそのまま1番手の大樹と良祐がコートに残った。


 「いよいよ始まる」真美の心臓の鼓動がはやくなった。テニスはやるよりも見る時の方がずっと緊張する。
 

 相手の後衛からボールが離れた瞬間からコート上の4人全員が動き出していた。展開がとにかく速かった。真美は息をするのも忘れて目の前の試合に見入っていた。女子の試合とは明らかにレベルが違う。ポイントが決まるたびにあちこちで歓声とため息が漏れた。
 

 一年の頃から大樹はテニスが上手かったが、今の大樹はその時とは比べものにならなかった。そして何より今の大樹のテニスは時々見ていて怖くなるほど鬼気迫るものがあった。


 「大樹さ、真美が転校してから誰よりも練習していたんだよ」瑤子はコートの方を向いたまま、そっと呟いた。その後で「真美との約束を果たすためだってさ」と付け加えた。
 

 その約束なら真美は今でも覚えている。転校する直前、お互い区大会を勝ち上がろうって指切りをした。二人とも約束通り区大会を勝ち上がった。その後真美は県大会で止まってしまったが、大樹はその先の九州、全国まで進んでいる。

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