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バベルの本棚コミュの【芋蔓読書】下流社会・格差社会

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友達の「昼食300円生活でダイエット」発言( http://mixi.jp/view_diary.pl?id=191801940&owner_id=1521214 )から、ずっと下流社会や格差社会について考えています。

で、色んな本を読んでいるわけですが、1冊目はそのものずばりで『下流社会―新たな階層集団の出現』(三浦展/光文社新書)。金井美恵子の『目白雑録2』に、三浦展の『下流社会』によれば、スポーツ好きには下流が多いそうだ、と例によって皮肉たっぷりに書いてあったから、というのが最大の理由。個人的にはトンデモ本に分類。何故なら、根拠となる調査のサンプル数が「100人の村」状態だから。

きちんと数字を挙げると、
■1 昭和4世代欲求比較調査 回収数929件 有効回答861件。そこから男女別世代別各100名を無作為抽出
■2 女性階層化調査 web調査 1都3県在住女性2000名 1都3県を6地区に分け、平成12年10月の国勢調査結果を用い、上記年代ごとに居住者割合、未婚率・既婚率を算出し各年代に割り当てる
■3 女性階層化調査 web調査 1都3県在住女性600名 (2)と同様のウェイトをかける

いくら国勢調査結果などを組み合わせるといっても、このサンプル数、1回こっきりの調査で「上流・中流・下流が固定してきた」といわれても……という感じである。マーケティングにしか使えないであろう、時代の気分の上澄みのようなものを、お上発表の数字と組み合わせたものと言えなくもないし。

要点としては、「下流」とは単に所得が低いというわけではなく、コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、総じて人生への意欲が低い者の層。そこそこ豊かで、周りを見てもみな同じレベルの生活だから、「自分らしく」生きることに主眼をおく。その結果、所得が上がることは少なく、未婚率も高くなる。上の層に上昇しようと思っても、格差が固定してしまえば難しい。それが「下流社会」の一番の問題点だと著者は説く。

私は、個体差・能力差による必然的な差異が、バブル後の日本経済の歪み(デフレなど)に妙な具合ではまってしまい、格差を生じさせているのかと思ってました。そういう単純な話ではないことはわかりました。それがこの本の収穫かな。もう一つは、「女性の「上」だけが高い率で成果主義を支持している。おそらくは、女性の「上」では、男性並みに働いても十分評価されない(なかった)という気持ちもあるので成果主義思考がより強まるのだろう。」という記述。このことについても最近日記に書いたところなので(「働く女子の壁」)、そういう気分が「上」女子にはあるのだ、という補足になるかな?

「おわりに―下流化社会を防ぐための『機会悪平等』」で、「上流には『ノブレス・オブリージュ』(高貴なる者の義務)を」という提案がなされている。「(所得が高いものは寄付することが)上流としての高貴な義務であり、社会的名誉であり、当然だれもがそれをすべきであるという風潮をつくり出すべきであろう」。厳然とした上流階級の確立、ひいては格差社会を全肯定しなければ、誰もすすんで寄付なんてしやしないと思うのは、下流市民の考えることなのだろうか。

コメント(1)

まさに!!

「下流社会」は、僕の中では、最初の数ページで読むに値しない本という評価が下されました。「最後まで読まずして、評価をする事なかれ」という考えもあると思いますが、「読む気にさせる」という点も評価のうち、というのが持論であります。中には、大逆転で最後まで読むと良かった、という場合もありますが、時間は限られており、ごみの山から宝を掘り出す作業は効率が悪い。

そのまやかしの一端を紹介の研究からツッコンでみよう。

「昭和4世代欲求比較調査」

1.そもそもこの調査は、三浦展主宰のカルチャースタディーズ研究所の実施したもので、要するに手前味噌の広告を兼ねたような書籍なのである。
http://www.culturestudies.com/profile/carreer.html

この研究所は、「消費・文化・都市研究のためのシンクタンク」という事だ。
http://www.culturestudies.com/profile/index.html

上記HPによれば、
>団塊世代、新人類世代、団塊ジュニア世代など、世代論を中心とした価値観、消費動向の研究、家族研究、郊外研究、都市論、メディア論など、さまざまな領域について研究しています

という事だが、こういったものは非常に評価が難しい。それを数字を持ち出して、非常にもっともらしく説明するには、こういう機関の価値があるのだろう。

だが、こういうものは、「まず最初に結論ありき」で、それをいかに相手に納得させるか、という時に用いる手法であり、広く一般的な事象の解析を行うには、この調査方法では不備がある。



2.無作為抽出のウソ
http://www.culturestudies.com/profile/data_files.html

この調査は、HPによると、
>各都県発表の男女別年齢別人口をもとにサンプル数を都県別に割当

という事であるが、これは、異なる年齢比率の集団を比較するとき、年齢による効果をキャンセルするために用いる。しかし、その後で、「無作為抽出」をしたのでは全く意味がない。

アンケート調査の方法は、学問的にも手法ができあがっているが、それを無視している。つまり、「もっともらしい」語句を書き連ね、信憑性を高めようとしているが、じつは、「もっともらしくない」



次に、「無作為抽出」であるが、これは、多くのデータの中から、ランダムで抜き取る抽出法である。一般的には乱数を発生させて抽出する。

ところが・・・

>昭和ヒトケタ世代 1931−37年生まれ
>団塊世代     1946−50年生まれ
>新人類世代    1961−65年生まれ
>団塊ジュニア世代 1971−75年生まれ

に対して

>男女別世代別各100名を無作為抽出した

という事は、800人である。有効回答861人から800人抽出したのでは、ほぼ全てのデータを使ったというだけであり、無作為抽出とは言えない。(笑)



3.データ収集法のウソ

またまたHPによると、
>郵送質問紙法(一部訪問留置、訪問回収を併用)

という事だが、
http://www.culturestudies.com/pdf/050603_babyboom_data.pdf
によれば、当初の方法は、郵送質問紙法である。
通常、郵送質問紙法で80%の回収率(1150件配布、929件回収)はあり得ない。よほど、おまけ(商品券など)が良くなければ、40%も集まれば良い方である。

考えてみて欲しい。わけのわからない所から、このようなプライベート的なアンケートが来て、答えるだろうか?

そこで、推測されるのは、上記800人が集まるまで、訪問したのではないか? という疑問である。

なぜ、それが悪いのか? データの信憑性が落ちるからである。そもそも、郵送と訪問ではデータの質が違うのだ。訪問は恣意的になり、回答をコントロールできる。回答の前に、「まぁ、これは、だいたい評価が悪いですよね」と一言付け加えれば、一段階ぐらいは軽く回答ランクを下げることができる。

だから、訪問法では、聞き取り役の質を均一にするまで、細かく教育しなければ、モノにならない。

それなのに、「一部」ですって〜〜? である。まぜこぜにしたら、もともと訳のわからないアンケート調査が、さらに訳のわからないもになる。その一部でさえも、前述、通常のアンケートの回収率から考えると、30〜40%の膨大な量の可能性すらある。(なにしろ公開されていないのだから)

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そういう細かい事を言っていたら、調査はできない、というのも事実であり、全く無価値とも思わないが、調査の質を把握して、使いどころを間違えてはいけない。 そういう意味で、一般書として発行するには疑問である。

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