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コメント(17)
「完全版」という言葉が何を意味するのか、それが気になって買ってみました。
巻末に編集者（と思われる）綿引勝美氏による「完全版 ジロがゆくへの挑戦」という大仰なタイトルのあとがきがあり、それによると
真崎守本人は、ブロンズ社選集版の「ジロがゆく」が、この連作の最終形態と考えている（「ジロのいく道」の第一〜三章が省かれて「青葉の季節」から始まっている）
しかし綿引氏は別冊少年マガジンに連載されていた当時の思い入れが強く、選集版で省かれた最初の３話を含めた復刻に踏み切った。
大意はこうですが、実際に（単行本を）読んでみると、たしかに最初の３話は復活しましたが、「落ち葉降る中のジロ」と「吊橋を渡るジロ」は（オリジナルと異なり）選集版同様に合体していますし、各話タイトルも（朝日ソノラマ／サンコミックス版より）選集版に近いようです。
要するに（今回発売された第１巻を読む限りでは）「完全版＝ブロンズ社選集版の前に「ジロのいく道」の第一〜三章を復活させた」というだけの話で、このコミュに集う方々の多くにとってはあまり新味のない話と思われます。
それでも、あえて作者の意思に反し改稿前の形で発行する（実際には、オリジナル通りの朝日ソノラマ／サンワイド版の発行もブロンズ社版の後だったけれど）ことと、作者名を「真崎守」ではなく「真崎・守」との表記で統一したあたり、編集者の意地とこだわりの現われと言えましょうか（もっとも、後者が作者自身の意志である可能性もあり得りますが）。
巻末に編集者（と思われる）綿引勝美氏による「完全版 ジロがゆくへの挑戦」という大仰なタイトルのあとがきがあり、それによると
真崎守本人は、ブロンズ社選集版の「ジロがゆく」が、この連作の最終形態と考えている（「ジロのいく道」の第一〜三章が省かれて「青葉の季節」から始まっている）
しかし綿引氏は別冊少年マガジンに連載されていた当時の思い入れが強く、選集版で省かれた最初の３話を含めた復刻に踏み切った。
大意はこうですが、実際に（単行本を）読んでみると、たしかに最初の３話は復活しましたが、「落ち葉降る中のジロ」と「吊橋を渡るジロ」は（オリジナルと異なり）選集版同様に合体していますし、各話タイトルも（朝日ソノラマ／サンコミックス版より）選集版に近いようです。
要するに（今回発売された第１巻を読む限りでは）「完全版＝ブロンズ社選集版の前に「ジロのいく道」の第一〜三章を復活させた」というだけの話で、このコミュに集う方々の多くにとってはあまり新味のない話と思われます。
それでも、あえて作者の意思に反し改稿前の形で発行する（実際には、オリジナル通りの朝日ソノラマ／サンワイド版の発行もブロンズ社版の後だったけれど）ことと、作者名を「真崎守」ではなく「真崎・守」との表記で統一したあたり、編集者の意地とこだわりの現われと言えましょうか（もっとも、後者が作者自身の意志である可能性もあり得りますが）。
宙（おおぞら）出版・漢（おとこ）文庫シリーズ「完全版 ジロがゆく」の第２巻が出ました（単行本記載の発行年月日は2007年6月7日ですが、店頭に並んだのは5月末頃のようです）。
【収録作品】
北風強いころ（「ジロがゆく」別冊少年マガジン1970年12月号）
雪降る中（「ジロがゆく」別冊少年マガジン1971年1月号）
雪埋れ（「ジロがゆく」別冊少年マガジン1971年2月号）
今日から明日へ（「ジロがゆく」別冊少年マガジン1971年3月号）
ひとりで見る日の海（「ジロ！ジロ！」別冊少年マガジン1971年5月号）
ふたりで見る日の海（「ジロ！ジロ！」別冊少年マガジン1971年6月号）
海のよぶ声（「ジロ！ジロ！」別冊少年マガジン1971年7月号）
虚空の花（「ジロ！ジロ！」別冊少年マガジン1971年8月号）
ひとり（「ジロ！ジロ！」別冊少年マガジン1971年9月号）
ロマン歳時記・全12回（高一コース1973年4月号〜1974年3月号）
白い蜃気楼（ＧＯＲＯ1976年2月12日号、2月26日号）
源（王へんに原）野行（週刊プレイボーイ1976年1月20･27日合併号）
今回の（完全版としての）目玉は、これまで単行本未収録だった「ロマン歳時記」が掲載されたことと言えましょう（ちなみに、1974年1月号の「初雪」が、そのままブロンズ社選集版「ジロがゆく」第３巻の「さすらい」に使用されていますが、どちらが先かは未確認です）。
この作品は、高一コースに1年に渡り掲載された、各回見開き２ページのみというショート＆登場人物の台詞がほとんどない（ナレーションはあり）作品で、1973年4月号?8月号までは「ノスタルジア歳時記」というタイトルで9月号から「ロマン歳時記」に変わっています。
また、登場人物が森ジロであることを示す記述はなく（もちろん、顔はジロそのものなのですが）、この作品が「ジロがゆく」シリーズの一環であることがはっきりと示されたのは、ブロンズ社選集版「ジロがゆく」第３巻（1979年刊）の著者あとがき（下記）のみではないかと推測されます。
＞「ジロがゆく」は、一貫した予定を持たないままに描き継いだ結果、ついつい
＞長びいていたという事情で成立している連作です。
＞今回、選集に加える機会を得たので全体にシンをひとすじ通したいと念じなが
＞ら、散漫な原稿に手を入れました。
＞連作の初出は、次の通りです。
＞ジロのいく道 69・8〜10月 別冊少年マガジン
＞青葉の季節 70・3月 〃
＞ジロがゆく 70・6月〜71 〃
＞ジロ！ジロ！ 71・3月〜7月 〃
＞十二色のさすらい 72・4月〜73・3月 高二コース
＞ロマン歳時記 73・4月〜74・3月 高一コース
＞花と修羅 73 週刊プレーボーイ
＞原野行 75 〃
＞白い蜃気楼 76 ＧＯＲＯ
ところで、「完全版 ジロがゆく」は次の３巻目で完結予定だそうですが、果たしてどの作品が掲載されるのか。
「さすらい」（ブロンズ社選集「ジロがゆく」第３巻に収められた作品で、「十二色のさすらい」の雑誌掲載版に何らかの修正を施していると思われる）が載るのは間違いないとして、それだけでは170ページ程度で、一巻分のヴォリュームに足りない（第１巻が約300ページ、第２巻は約400ページでした）と思われます。
かと言って「花と修羅」まで加えたら600ページを超えてしまい、普通に考えて３巻目で収まるはずはなく、気になるところです（もしかして「血の伝説」を載せるとか、いやまさか…）。
【収録作品】
北風強いころ（「ジロがゆく」別冊少年マガジン1970年12月号）
雪降る中（「ジロがゆく」別冊少年マガジン1971年1月号）
雪埋れ（「ジロがゆく」別冊少年マガジン1971年2月号）
今日から明日へ（「ジロがゆく」別冊少年マガジン1971年3月号）
ひとりで見る日の海（「ジロ！ジロ！」別冊少年マガジン1971年5月号）
ふたりで見る日の海（「ジロ！ジロ！」別冊少年マガジン1971年6月号）
海のよぶ声（「ジロ！ジロ！」別冊少年マガジン1971年7月号）
虚空の花（「ジロ！ジロ！」別冊少年マガジン1971年8月号）
ひとり（「ジロ！ジロ！」別冊少年マガジン1971年9月号）
ロマン歳時記・全12回（高一コース1973年4月号〜1974年3月号）
白い蜃気楼（ＧＯＲＯ1976年2月12日号、2月26日号）
源（王へんに原）野行（週刊プレイボーイ1976年1月20･27日合併号）
今回の（完全版としての）目玉は、これまで単行本未収録だった「ロマン歳時記」が掲載されたことと言えましょう（ちなみに、1974年1月号の「初雪」が、そのままブロンズ社選集版「ジロがゆく」第３巻の「さすらい」に使用されていますが、どちらが先かは未確認です）。
この作品は、高一コースに1年に渡り掲載された、各回見開き２ページのみというショート＆登場人物の台詞がほとんどない（ナレーションはあり）作品で、1973年4月号?8月号までは「ノスタルジア歳時記」というタイトルで9月号から「ロマン歳時記」に変わっています。
また、登場人物が森ジロであることを示す記述はなく（もちろん、顔はジロそのものなのですが）、この作品が「ジロがゆく」シリーズの一環であることがはっきりと示されたのは、ブロンズ社選集版「ジロがゆく」第３巻（1979年刊）の著者あとがき（下記）のみではないかと推測されます。
＞「ジロがゆく」は、一貫した予定を持たないままに描き継いだ結果、ついつい
＞長びいていたという事情で成立している連作です。
＞今回、選集に加える機会を得たので全体にシンをひとすじ通したいと念じなが
＞ら、散漫な原稿に手を入れました。
＞連作の初出は、次の通りです。
＞ジロのいく道 69・8〜10月 別冊少年マガジン
＞青葉の季節 70・3月 〃
＞ジロがゆく 70・6月〜71 〃
＞ジロ！ジロ！ 71・3月〜7月 〃
＞十二色のさすらい 72・4月〜73・3月 高二コース
＞ロマン歳時記 73・4月〜74・3月 高一コース
＞花と修羅 73 週刊プレーボーイ
＞原野行 75 〃
＞白い蜃気楼 76 ＧＯＲＯ
ところで、「完全版 ジロがゆく」は次の３巻目で完結予定だそうですが、果たしてどの作品が掲載されるのか。
「さすらい」（ブロンズ社選集「ジロがゆく」第３巻に収められた作品で、「十二色のさすらい」の雑誌掲載版に何らかの修正を施していると思われる）が載るのは間違いないとして、それだけでは170ページ程度で、一巻分のヴォリュームに足りない（第１巻が約300ページ、第２巻は約400ページでした）と思われます。
かと言って「花と修羅」まで加えたら600ページを超えてしまい、普通に考えて３巻目で収まるはずはなく、気になるところです（もしかして「血の伝説」を載せるとか、いやまさか…）。
宙出版・漢文庫シリーズ「完全版 ジロがゆく」の第３巻（最終巻）が出ました。
なんと、ブロンズ社選集に収められた「さすらい」（総ページ数166）と、その基になった「連作／十二色のさすらい」雑誌掲載版（総ページ数250）の２つを併録しています。
編集者コラムの下記文章が、この単行本の存在意義を言い表しています。
＞失われた84ページを復刻する旅は、さながら70年代への回帰でもあった。
＞作品の今日性を保つために真崎・守が再構築した世界をあえて突き崩したのは
＞オリジナル版が持つ問題意識を見てもらいたかったからにほかならない。
1972年の真崎・守と1979年の真崎守、二つの世界を対照できる逸品と言えましょう。
なんと、ブロンズ社選集に収められた「さすらい」（総ページ数166）と、その基になった「連作／十二色のさすらい」雑誌掲載版（総ページ数250）の２つを併録しています。
編集者コラムの下記文章が、この単行本の存在意義を言い表しています。
＞失われた84ページを復刻する旅は、さながら70年代への回帰でもあった。
＞作品の今日性を保つために真崎・守が再構築した世界をあえて突き崩したのは
＞オリジナル版が持つ問題意識を見てもらいたかったからにほかならない。
1972年の真崎・守と1979年の真崎守、二つの世界を対照できる逸品と言えましょう。
ダブレス申し訳ありません。
さっそく第３巻を購入して、じっくり読み直してみました。
私は「連作／十二色のさすらい」が初期の最高傑作だと思っています。これまで、雑誌の切り抜きを（２話分抜きですが）自家製本したものを、ずっと愛読していました。
ブロンズ社選集の「さすらい」のほうは、一読しただけで、あまりのことに愕然として、ほとんど開くこともありませんでした。ものすごく久しぶりに読み返したことになります。
こうして二作を並べて読み比べてみると、やはりブロンズ社選集の時点で、取り返しのつかない改悪をされたという思いが強くなるばかりです。いろいろ事情があったのだろうとは思うのですが・・・。
今回の「連作／十二色のさすらい」は印刷物から版を起こされたようですが、細部のレタッチには相当な苦労があったことと思います。この企画を実現された（と思われる）綿引勝美氏の情熱とご尽力には、ただただ敬服するばかりです。この場をお借りして、厚く感謝申し上げます。
また、ブロンズ社選集の「さすらい」しかご存知ない真崎・守ファンの皆さまには、この第３巻をぜひとも入手されることを強くお薦めいたします。
最終話「透明地平」のコマの流れとリズム。そこに挿入された秀逸な台詞の数々。ジロの「あなたとは いつか何処かで 会った気がする」という最後の言葉が、ここに公に甦ったことを大変喜んでおります。
さっそく第３巻を購入して、じっくり読み直してみました。
私は「連作／十二色のさすらい」が初期の最高傑作だと思っています。これまで、雑誌の切り抜きを（２話分抜きですが）自家製本したものを、ずっと愛読していました。
ブロンズ社選集の「さすらい」のほうは、一読しただけで、あまりのことに愕然として、ほとんど開くこともありませんでした。ものすごく久しぶりに読み返したことになります。
こうして二作を並べて読み比べてみると、やはりブロンズ社選集の時点で、取り返しのつかない改悪をされたという思いが強くなるばかりです。いろいろ事情があったのだろうとは思うのですが・・・。
今回の「連作／十二色のさすらい」は印刷物から版を起こされたようですが、細部のレタッチには相当な苦労があったことと思います。この企画を実現された（と思われる）綿引勝美氏の情熱とご尽力には、ただただ敬服するばかりです。この場をお借りして、厚く感謝申し上げます。
また、ブロンズ社選集の「さすらい」しかご存知ない真崎・守ファンの皆さまには、この第３巻をぜひとも入手されることを強くお薦めいたします。
最終話「透明地平」のコマの流れとリズム。そこに挿入された秀逸な台詞の数々。ジロの「あなたとは いつか何処かで 会った気がする」という最後の言葉が、ここに公に甦ったことを大変喜んでおります。
購入しました。
序章〜５章までが収められており、内容は1978年のブロンズ社選集および1993年ぱる出版のものとほぼ同一ですが
序章の後ろから３、４ページ目が入れ替わっている。
文字の漢字表記（例：おまえ→お前、ひとり→独り）が増えている。
文字サイズの変化が大きい。
等が特徴と言えます（文字については「新しい読者の期待に応えられるように、全ての文字を新しくした」と記されています）。
序章のページ入れ替えについては、雑誌掲載時、1974年ブロンズ社「もう一つの劇画世界」版を含めて今回が初めてであり、作者の意図か、それとも単なる編集ミスか気になるところです。
巻末に真崎守とアシスタントだった宮西計三による当時を振り返る対談が収録されています。
また、1974年版にあってその後割愛されたシーンについて、対談ページの余白に簡単に記されていますがやや説明不足の感を受けました。
序章〜５章までが収められており、内容は1978年のブロンズ社選集および1993年ぱる出版のものとほぼ同一ですが
序章の後ろから３、４ページ目が入れ替わっている。
文字の漢字表記（例：おまえ→お前、ひとり→独り）が増えている。
文字サイズの変化が大きい。
等が特徴と言えます（文字については「新しい読者の期待に応えられるように、全ての文字を新しくした」と記されています）。
序章のページ入れ替えについては、雑誌掲載時、1974年ブロンズ社「もう一つの劇画世界」版を含めて今回が初めてであり、作者の意図か、それとも単なる編集ミスか気になるところです。
巻末に真崎守とアシスタントだった宮西計三による当時を振り返る対談が収録されています。
また、1974年版にあってその後割愛されたシーンについて、対談ページの余白に簡単に記されていますがやや説明不足の感を受けました。
ＣＯＭ傑作選 上 1967〜1969
ちくま文庫 2015年4月10日発行
真崎守の「こみっきすと列伝」VOL.1〜VOL.3が収録されており、VOL.1とVOL.3は単行本初出です（VOL.2だけは講談社の「ガロCOM漫画名作選��1964-1970」（2012年12月6日初版）に収録実績あり）
加えて、峠あかね名義の「活動をはじめよう！（ぐら・こん第1回）」「キャラクターは生きている（編集部と共作）」「コマ画のオリジナルな世界」等の不朽の名文も掲載されています。
まんが作品は全て雑誌からの復刻ですが、青柳裕介や坂口尚のデビュー作だけでなく、単行本初出となる樋口太郎の作品「地下鉄」「鳥」を選ぶあたり編者の独創性を感じます（文中敬称略）
ちくま文庫 2015年4月10日発行
真崎守の「こみっきすと列伝」VOL.1〜VOL.3が収録されており、VOL.1とVOL.3は単行本初出です（VOL.2だけは講談社の「ガロCOM漫画名作選��1964-1970」（2012年12月6日初版）に収録実績あり）
加えて、峠あかね名義の「活動をはじめよう！（ぐら・こん第1回）」「キャラクターは生きている（編集部と共作）」「コマ画のオリジナルな世界」等の不朽の名文も掲載されています。
まんが作品は全て雑誌からの復刻ですが、青柳裕介や坂口尚のデビュー作だけでなく、単行本初出となる樋口太郎の作品「地下鉄」「鳥」を選ぶあたり編者の独創性を感じます（文中敬称略）
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