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梵字真言研究所コミュの韓国の真言ハングル表記の原点・真言勧供

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 1496年に発行され、韓国の真言のハングル表記の原点とも言える『真言勧供(三壇施食文)諺解』について紹介します!

コメント(17)

まず『真言勧供(三壇施食文)諺解』について紹介します!
この本がどれだけ貴重かと言うと・・・。
まず本のタイトルから。「真言勧供」は寺院で仏教儀礼に用いられる真言を集めたもの。うしろに「三壇施食文」がくっついています。別個の本ではなく1冊の本です。1496年の発行なんですね。さまざまな先行研究がもうありますが、これについては省略させていただきます。
 さて、『真言勧供(三壇施食文)諺解』の真言表記の特徴について見渡していきます。ここに収録されている真言の数は52句です。重複しているのもありますが、それほど多くありません。仏教儀礼を解説し、その中で真言を読誦しなければならない箇所に真言の表記が挿入されています。何度真言を読まなければならないのかも書いてあります。実用的ですね。

 真言の表記の順序としてはハングルで真言の名称を書いて、そのあとに漢字で真言の名称を書き、それからその真言に対する説明を書いて、それを何度唱えるか書いてあり、それからハングルと漢字で真言が音訳されています。梵字はありません。

 このブログではハングルの正確な表記できないので、上に示した画像を参照してください。

 それから、この文献では漢字音訳された真言には「一、二、三・・・」のような語節を表示する漢数字が挿入されています。しかしハングル音訳にはありません。続けて表記されている場合もあるし、分かち書きしている場合もあります。(語節単位の分割が間違っている場合もあるそうです。)
 まずは漢字音写された真言の表記の特徴から見てみましょう。
 まずは用字の面から。梵語の音節と漢字(つまりは唐代の中国語、漢字音)の音韻は違っていますし、梵語にあって漢字音にない発音もありますから、無理がでます。
 でも、何とか発音の違いは表記しなければならない。で「口へん」をつけて区別しています。
 「a」「aˉ」の場合には「阿」と、「阿」と「口」をつけた形で区別しています。これは音の長短を区別するための苦肉の策です。「i」「iˉ」は「伊」「咿」、「u」「uˉ」は「烏」「嗚」として区別していますね。高麗時代の『高麗大蔵経』(11世紀、世界文化遺産です)の真言表記を見ると「口」を加えて長音を表記するということはなくて、「引」という字を小さく書き加えて長音を表記しています。
 さらに漢字表記された真言の特徴を見ていきます。

 まずは韻尾の削除。
 それは漢字の声母を取ってきて、韻母、特に音節末子音(韻尾)を無視してしまう例が多いということです。つまり囊(낭、nang)を「나(na)」の表記に用い、南(남、nam)を「나(na)」の表記に用い、跋(발、pal)を「바(pa)」の表記に用いる、といった例です。(傍点は省略)

 さらには重字表記。
 また梵語は語頭子音群を許す言語でありますが、漢字ではこれを表記できないので二字以上の漢字でこれを書き表します。そしてこのような表記の横には「二合」「三合」のような表記が書かれます。例えば「乞洒」という表記では「乞」が「k」の表記に、「洒」は「s.a」の表記に用いられ、あわせて「ks.a」の表記をあらわすというわけです。でも梵字では一文字なんですね。ですから二字ぶんのスペースをとらず、書かれる際には一字分のスペースに押し込んであります。このようなテクニックは朝鮮独自のものというよりも中国ですでに開発されたものであると思われるんですが・・・。
 次にハングルの真言表記を見てみます。
 『真言勧供(三壇施食文)諺解』には52句の真言があり、ハングルの音写の音節数は840個です。使われたハングルの種類を見ると次のとおりですよ。

 初声(子音)ㄱㄴㄷㄹㅁㅂㅅㅇㅈㅋㅌㅎㅿㅸㄸㅼㅽ 16
 中声(母音)ㅏㅑㅕㅗㅜㅠㅡㅣㆍㅔㅖㆎㅘ 13
 終声(音節末子音)ㄱㄴㄷㄹㅁㆁ 6

特徴としては初声(子音)に「ㅊ」「ㅍ」は使われなかったということです。後代の真言集では使われているんですが。「ㄸ」「ㅼ」「ㅽ」は重字表記に用いられたものです。終声(音節末子音)には6字がもちいられていますが、これは当時の朝鮮語の現実音に従ったものです。梵語の発音を無理にあらわそうとした人為的で無理な表記ではなかったということです。
 次に重字表記ですよ。
 梵語は語頭子音群のある言語だということは前で書きました。英語でstartと書きますね。この「start」の「st」が語頭子音群ですよ。「suta」のように日本語風に発音するとこれは語頭子音群ではないです。
 漢字音訳ではこれは「重字表記」となるんですが、ハングルではどうでしょう。悉曇章のハングル表記原則に従えば子音をあわせて書いてはいません。例えば・・・。

ghaは「까 ㄲ. 꺼 끄」、jhaは「짜 ㅉ. 쩌 쯔」、d.haは「따 ㄸ. 떠 뜨」、dhaは「따 ㄸ. 떠 뜨」、bhaは「빠 ㅃ. 뻐 쁘」のようになっています。同じ子音を二度あわせる合用併書という書き方になっているんですね。
 実際の真言表記では「塞破(spha)」「洒咤(s.t.a)」といった漢字音訳に「ㅅ바」「ㅅ다」といった異なる子音をくっつけた「各字併書」という表記がなされているものもあります。でもこれは例外に属するようです。
 さて、ここまで引用してきた論文はアン・ジュホ(安柱鎬)先生が『国語学』に発表された論文です。(02年12月)
 安先生は梵語の語頭子音群がハングルで表記される場合に次のような4つがあるとしてます。

 ?発音を補充してやる場合。
 ?漢字音写において上の漢字の声母の音母と下の漢字の韻母を結合させてハングルで表記する場合。
 ?「.」「ㅣ」などが介入して二音節で音写される場合。
 ?ハングルでも子音を二つくっつけた「各字併書」であらわれる場合。

 次からはこの4つについて解説していきます。
 それじゃ具体的な例を見ていきましょうか。

 ?発音を補充してやる場合。

 まず梵語のsarbaを韓国語(朝鮮語)で、つまりはハングルで音写した場合、
살바とか살ㅸㅏになるんですが、まあそれはそうとして、どうも?の法則は漢字音写のことを言っているらしいのですよ。sarbaを漢字音写する場合、「薩婆」となって「薩」が「sar」を、「婆」が「ba」を表記しているわけなんですが、どうもそれじゃ弱いじゃん、というときに「薩栗嚩」とか表記するわけなんですね。でもこれはあくまで漢字音写。こう書いたからってハングル音写が変わるわけじゃないのです。だからコレはハングル音写の法則とは言いがたいと思いますね。
 さて、次です。「?漢字音写において上の漢字の声母の音母と下の漢字の韻母を結合させてハングルで表記する場合。」ややこしいですね。
 たとえば「bhyah.」を表記する場合、漢字音写では「毘薬」と書くんですが、「毘」は朝鮮漢字音で「비」、「薬」は「약」です。で「毘」の「ㅂ」と、「薬」の「약」をあわせて「뱍」(ビャク)と表記するんだ、というわけです。でも、これも漢字音写表記の「重字表記」をハングル表記したもので、ハングル独自の表記とは言いがたいですね。
 さて次!!「?『.』『ㅣ』などが介入して二音節で音写される場合」であります。母音の挿入でありますね。たとえば梵語の「smara」を表記する場合では、やっぱり「sm」という子音の群がありますね。これは表記しにくい。で、母音の「.」をいれて「ㅅ.마」と表記するんですよ、ということですね。この「.」は「ㅣ」とならんで弱母音ですから、入れても子音の群を表記するのに差し支えないのでしょう。ハングルで子音群を「ㅅ마」と書いて書けないことはないんですが、絶対に発音できません。ちなみに漢字では「娑麼」と書くので母音の挿入とかとは無関係。これは??とは異なり、ハングル独自の音写方法であるといえますね。
 さて最後ですね。「?ハングルでも子音を二つくっつけた「各字併書」であらわれる場合」。まあ、子音群を表記するんだから、これが一番正攻法ですね。ハングルでも子音群にしちゃうという方法です。たとえば「spha」を表記するときに、「sph」は子音の群なんだからハングルでも「ㅅ바」としちゃいましょう、というわけです。漢字音写では「塞破」ですから、ハングルの表記とは無関係。これも??とは異なり、ハングル独自の音写方法であるといえますね。
 さて、次には真言のハングル音写が梵語音とはずいぶんちがってしまったという問題ですよ。なにしろ朝鮮半島に梵字が伝わったのは新羅時代のこと。CDもない時代、伝承されていくうちに音が梵語音から乖離するのも当然かもしれません。『真言勧供(三壇施食文)諺解』でも同じこと。また、ハングルで真言の梵語を音写しようとするとき、ハングルでは区別できない音を無理やり区別して表記したために、ますます乖離することに。特に音写原則で「ga」を「ᅌㅏ(ŋa)」に、「ja」を「ᅀㅏ(za)」に、「d.a」や「da」を「나(na)」に、「ba」を「마(ma)」と表記することにしたため、ますます音が変わってしまいました。
 なぜ、こんなことをしたのかというと、朝鮮語には「k」と「g」の区別がありません(特に語頭で)ですから、梵語の「k」と「g」を書き分けられません。でも「k」と「ŋ」なら書き分けられるので、「ga」を「ᅌㅏ(ŋa)」と書くことにしちゃったのです。結果的に時代がくだって語頭での「ŋ」は発音しないことになってしまったので、「ga」は「a」になっちゃったんですよ。
 ↑の結果、どんなことが起こったかというと・・・。例えば般若心経に「掲諦掲諦波羅掲諦波羅僧掲諦菩提薩婆呵」という一節がありますね。宗派によって違いますけど「ぎゃていぎゃていはらぎゃていはらそうぎゃていぼじそわか」と読みますね。で、この「掲諦掲諦」なんですが、韓国では「어제어제(アジェアジェ)」と読むんですね。梵語は「gategate」です。どうして「gate」と読むかというと、「k」と「g」をハングルで区別しようとして、「ga」を「ᅌㅏ(ŋa)」と書くことにしちゃったのです。そして「ga」が「a」になっちゃったんですね。

 参考までに上の真言は「아제아제바라아제바라승아제모지사바하(アジェアジェパラアジェパランアジェモジサバハ」となります。日本語と比べてみてください。
 で、梵語音との乖離の続きです。ハングルで書くとどうも梵語の音と違ってしまう、また原則的な音写原理に従うともっとそうなってしまうよ、という話の続きです。掲諦掲諦、gategateがハングルではアジェアジェになってしまうという話をしました。このほかにもあります。梵語音「ja」をハングルでは「ᅀ」で表音したため、「z」の音になってしまったり、「da」の音を「ᄂ」の音で表音したので「n」の音になってしまったりしています。これは機械的に音写原則に従ったからなんですね。韓国語(朝鮮語)では「t」「d」を区別しません(できません)から「d」の音の表記は難しかったはずですよ。「ghamidi」の表記を「가미니(カミニ)」というふうにしています。また梵語の「ma」「ba」はハングルでは「마(マ)」になっておりますので、「vikiviki」が「미기미기(ミギミギ)」となったりしています。
 あとは表記のユレですね。実は朝鮮(韓国)の真言表記(ハングル音写)を見ていると同じ真言であってもいろいろ異なる表記がなされているんです。たとえば「svaˉhaˉ(スヴァーハー)」の表記については8とおりも出てくるんすよ。また漢字音写も統一されていないことが多い。全部書いてみると次のとおりです。
(傍点は省略してあります。)

?ㅅ.ᄫㅏ하 沙嚩賀
?ㅅ.ᄫㅏ하 娑嚩賀
?사하    娑嚩賀     
?ㅅ.ᄫㅏ하 莎訶
?ㅅ.ᄫㅏ하 莎訶
?살ᄫㅏ하  薩嚩賀
?사하    莎訶
?사.ᄫㅏ하 娑嚩賀

?と?が同じですが傍点が違います。?はᄫㅏに傍点がありませんが、?は一つあります。でも煩雑なので省略。つまり表記を統一させようとした配慮がなかった、ということになりますね。

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