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stainless 【ステンレス】コミュの「シャッター街」 byうっちー

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海の底に沈んだシャッター街に朝は来ない。
だって、沈んでるし閉じてんだから。

コメント(34)

4限目の憂鬱


教授が妙なイントネーションで朗読する金々先生榮花夢を聞きながら
私の意識は長机の片隅に置かれた缶コーヒーの成分表示から、
窓一枚隔てたところで静かに揺れているプラタナスの大きな葉へと移行していく

青々と、瑞々しいプラタナスを見て私は
去年の冬に踏みしめた枯れ葉の感触を想起する

くしゃ くしゃ くしゃ

北風の吹き抜ける中、一定のリズムを刻みながらあの人は行ってしまった
一糸纏わぬプラタナス並木の間を

くす くす くす

私は どきり、として意識を教室に戻す
教授がくだらない冗談でもとばしたのか、失笑と嘲笑の渦が巻いている

私はひとつ溜息を吐き、再び窓の外に視線を向けた
夕闇


大気は沈殿する
凝縮された濃い空気の層が
あらゆる光の粒を屈折させる
遠方のビリジアンを 際立たせる

彼岸花のくれないの中を
二羽のカラスが飛行する

私は
赤と黒のコントラストに気をとられ
蒼と紫のグラデーションに飲み込まれる

田舎の夕闇には 決まって一人
友の声も するまい
恋人の温もりも あるまい

私を導いてくれるのは
ただ遠くに見えるあのガソリンスタンドの灯りだけか

ああ、早く家に帰ろう 家に帰ろう

私は
あの山際に消えた黒点のように
重力に抗って前進する
自閉


四肢を切断された私は蛇かミミズか

呼吸はすれども前進も後退もせず
只々この場に留まっている

食欲も性欲も睡眠欲も
金欲も権力欲も
独占欲すらも

コンドームの中で果ててしまう
私の中には飽和した惑星が埋まっている

それは自転も公転もせず地軸もマントルも持たず
重力だけを増して
私はどんどん内側に向かっていく

与えられるだけ与えられて
今は雨を降らす雲もなく
只々洗面器の月を眺めている
無個性の番人


銀座にて珈琲を飲す
酷く苦い珈琲である

或る人は
9割の無個性の前で1割の有個性を恥じた

――皆、豪奢な洋服を身に纏って、貧相な心を隠しているのだ。あなただってそうは違わない筈だ。ああ、やめてくれ。そんな達観したような眼で私を見るのはやめてくれ。

私は無言で席を立った
苦々しいエスプレッソの残り香だけが
私がそこに存在した事実を補完している

駅へと続く階段ですれ違ったのは私自身だったろうか
発情期のように着飾っては
結局は自らを巨大な絵画の一部へと置換している

あれは、私自身ではなかったろうか

ホームに立って次発を待つ
ここは妙に閑散としていて
つい先ほどまできらびやかな街中にいた私は
何故だか可笑しくなってしまった

こみ上げてくる笑いを誤魔化そうと俯いたその視線の先
枕木と枕木の間
レールの途切れた部分に鼠がいた
警鐘


1000度を纏った瓦礫が分子レベルに解けていく中
嗚咽を繰り返す人の群れを抜けてなお私は数グラムの憂鬱を持て余している


川原に下りて魚の数でも数えてみようか

この町の川は汚れてしまったが
私は無関心を装っていた

一匹、二匹、

無機質な魚たちは鮮やかな色彩をもって沈殿した

三匹、

この淀んだ水が空へ還る時間軸は
私のそれと比較できるのか

四――

もう呼吸する筈のない魚たち
だとすれば私が見た水面の斑紋は何だったのか

それは、

いつの間にか上空の灰色は崩れ落ちていた
私は近くにあった空き缶を拾って投げ込んだ

五匹。

スチールの魚は再び沈殿した


とめどもなく警鐘は鳴り響いている
硝煙の匂いが風に運ばれてくる

ポケットの中で震えるかなしみよ

私は少しわかった気がして、頭を掻いた
遠鳴り


20時35分
その個人タクシーは池袋の喧騒を抜け
明治通りと早稲田通りの交差点付近で停車した

「空車」から「回送」へ
つまらない意思表示だと初老の男は笑った

夕立過ぎて湿度が増した空気を肺へと送り込む

雨の匂い
夏の匂いだ

遠雷は男の霞んだ意識の中にもあって
今や捉えきれない面影を浮かび立たせた

何度同じ夏を繰り返しただろう
毎年、毎年、この時間、この場所で

ラジオも消した
文庫本も閉じた
報われないであろうことは承知で
それがもはや自虐行為であることも承知で
心の嗚咽をを表情筋で誤魔化して
男は只々待ち続けた

不意に後部座席からノックの音が聞こえた
男は驚いて振り向いたが
立っていたのは派手な服装の女を連れた中年の酔っ払いだった

運転手さん、大塚まで頼むよ

21時01分
男は笑顔を作って頷いた
車内表示を「賃送」に切り替え
その個人タクシーは明治通りを池袋方面へと引き返していった



小さなみすぼらしいクレーターの中で生まれ
ひとりでは輝くこともできず
近隣の惑星の重力に怯え
加速度的な広がりをみせる宇宙の片隅で
ぽつりと見える私の孤独

人は海を濁し山を焼き空を駆け回る
人は人を殺し人に殺されまた人を殺す
人は笑い人は怒るそして 人は涙も流すという

晴れた日は公園へピクニック
雨の日はワイン片手に映画鑑賞
けれども根底にある悪意

ミトコンドリア内で渦を巻く悪意

彗星が周縁をかすめて行く
私の為に泣いてはくれないか
晩夏


冬でもガリガリくん食ってるくせに夏は花火ねとか言う現代人に足を踏まれ
提供と同時に薬屋のおっさんの「ひろこ、愛してるよ」というメッセージが読み上げられた瞬間に俺の憂鬱は沸点を突破し
ひろこの家に一尺玉の破片が炸裂するよう心の底から呪った
上斜め45度の視線 半分以上は携帯の液晶越しに見ていやがる
あれは俺の為の花火じゃないし、あんたらの為でもないんだよ

家に帰って線香花火を5本束にして火をつけた
バケツの水に映る火種の落ち行く様こそ打ち上げ花火
俺だけの夏の花火
綺麗に弾けてくれたので少し満足した
後悔するということ


月光と街灯は同質性を欠いた
彼はその渦中へと静かに上昇した
千の色彩を帯びた玉虫がてらてらと踊り彼を祝福した
そしていつしか楕円のブローチへと姿を変え
彼の左胸を装飾する振りをした
遠退いていく地上の一点を彼は見つめた
笑顔で手を振る人々に彼は微笑みで答えた
どこからか汽笛が聞こえてくる
彼が乗るSLの汽笛だ
彼は今宵あのSLに乗って月へと旅立つのだ
この時の彼は確かに幸福であったはずだ

手を振る人々の影に一人の少女の涙を見た時
彼の脊椎内物質は変異した
それは彼が光の中を上昇するよりももっとゆっくりと進み
頚椎を過ぎて脳幹の手前で停止した

(あの子は誰だ?)
(何故泣いているのだ?)
(惜別の涙などではない)
(あの恨めしそうな顔はなんだ)
(折角の門出に泥を塗るつもりか!)
(しかし、どうして泣いているのだ?)
(私が何かしたというのか?)
(いやそんな覚えは無い)
(どうして泣いているのだ?)
(どうして泣いているの?)
(どうして泣いているの?)
(どうしてないているの?)
(どうし てないてい るの??)
(ど しえないてぇい うの???)
(ぼく わおもい だえないなぼくわな にかわるいことした かな????????)
(ごめ なさいぃごめん なさあいいぃいぃいあぁうぅぅうあああぃあぅううぁあぁぁぁ)
(あああああぁぁぁぁぁあぁぁぁああぁっぁあぁぁあっぁあああぁああっぁあああぁぁあっぁあ)
( )
( )
( )
( )
()
()
()



玉虫が彼の左胸でキーキーと鳴いた
シャッター街


少年の夢は ショーケースの中で緑青にまみれて無音のコードを奏でる
少女の憧れは 本人不在の色褪せた偶像となり呆けた笑顔を振りまく
全ては閉じたシャッターの中で立体交差を繰り返す

私は 闇と埃とカビ臭さの支配する空間でじっと佇んでいる
しゃきしゃきと歩く蜘蛛の後に続く8本の轍を眺めながら
主人を失った自販機の中で酸化するスチール缶に捧げる36拍子の音楽を爪の先で刻んでいる
5面がコンクリート1面がステンレスの直方体の中にいると
有機体であるはずの自分でさえみずからの呼気で錆びていくような気がして

(そんな風に考えると息をすることすらままならない)


――ここでは全てが閉じている 立体交差している
皮膚に触れてくる壁はただただ私の体温を奪っていく
瞼を閉じ眼球を動かしても 開いて辺りを見回しても
手の届く範囲にはこの暴力的な壁しかないのでしかたなく凭れ掛かっているのだ

そうしているうちに 私の魂はこのうすら悲しい寒天培地の外側へと向かって泳ぎ出した――


綺麗に区画されたこの街に朝が来ることはないだろう
赤茶けたシャッターの葬列が風に揺られてざわめいている
坂の途中


季節外れな陽の光が じわじわと皮膚に沁みこんでくる
それが骨まで届く前に 日陰に逃げ込む

私を急かす存在はどこかへ行ってしまった
今では息を切らすことなく神楽坂を歩けるようになった

和菓子屋の前の小さなベンチに腰掛け 煙草が吸いたい、と思う
もう禁煙は止めることにしたから

自販機で買った赤ラーク その銀紙を指先で遊ばせながら
火を点けるのを少しためらう

短い禁煙期間だったな――

彼女は煙草が苦手だったから
寄り添うように私も 煙を嫌ったのだ


空っぽの肺は満たされていく
深く、深く、
私は自分の細胞と会話する

「        」
「              」


四月もとっくに過ぎてしまったのに
僕は相変わらずこんな所で汚れた不味い空気を喰らっているよ

身体を壊しそうになっていたら また叱っておくれよ
なかよし


カメレオンよりも
ボールパイソンよりも
ヒョウモントカゲモドキなんかよりも

餌用に売られていたネズミの方が僕は欲しかったよ

18万円



100円

餌用に売られていたネズミは可愛かったよ
俺は今、物凄く恥ずかしい。



ああ、なんと。。
女心と秋の空なんて嘘っぱちだ。秋の空は今さめざめと泣いております。いじらしいじゃありませんか。

イベントがんばってくださいね。
埋葬



A.地下室で繰り広げられるシェイクスピアの悲劇

 は

B.深夜の焼き鳥屋の饒舌さと寡黙さ

 に 似ている


A≒Bを証明する四行詩を以下に書き記す

----------------


メモはここで終わっていた


 私が学生の吐瀉物と乞食の糞尿の流れる側溝から拾い上げたこの雑記帳の主は
  掃き溜めのようなこの駅の裏通りで死んでいた
   ポケットには小さく折りたたんだ千円札が一枚と数百円の小銭が入っていただけ
    他には何も(家族の写真さえも)所持してはいなかったという


私はこのメモ(あるいは詩、であったか)を何度か読み返し そのページだけを破り
セブンスターの空箱に詰め込み火をつけ、女子便所の汚物入れの中にそっと置いてやった


途中で誰かに声をかけられた気がしたが
私はかまうことなく歩き続けた
ソウ


ソウは私の四畳半を流れる

奥歯が痛んでも
新しい彼女が出来ても
友人の祖父が死んでも
笑い声で目が覚めた時も
向かいのアパートが小火にあった時も
野良猫が私を仰いでも(また そうでなくても)

それでもソウはとどまる事を知らない

脳下垂体から分泌されたソウは
左足の親指の爪を回り
膀胱から腎臓へと移行した後
終いにはミトコンドリア内に迷い込み
そして 行き場の無くし溢れ出る

ああ きっとそうだ

それからソウは風呂場の排水溝で絡まる
ソウが一体何なのか 私は知らない
冬が来る


手が悴んだらコーヒーの缶を握り締めよう

蜜柑にマジックで君の似顔絵を描いて皮ごと齧ろう

毛糸のマフラーで目覚まし時計を包もう

遅くに目が覚めてから出かけよう

鍵は大家さんに返して

二人で

ははは あははは

ああ ごらん 今 砂鉄色の空が眠そうに笑った

そう言うと君は

コートのポケットの中で綺麗なターンをした
始まりの朝


おはようをホットココアの中に落とした
それは最悪なことだ 喪失が雲間を埋めていく
捻挫した馬に追いかけられる夢を見た
のを思い出した トラックやタクシーの影が鬱蒼と茂る大通り

窓の隙間から銀河鉄道が走り出した 閑散とした戸外で風が叫ぶ
別に夜じゃなくても走るんだな 七五調の詩人は死んだ 

それはそうとしてさっきから
7人の小人の歌が聞こえてくるよ
さあ僕らと踊ろうよ白雪姫 王子様なんて来ないさ
ランランランランランラン
ランララン イエー

今日も良い日でありますように
夜に沈む


サテンの月が二枚重なって
僕は大きな欠伸をする
緞帳の下りた空には
粒子が白っぽく消えていく

サテンの月が二枚重なって
僕は小さな溜め息と共にいる
あの部屋の窓から漏れてくる
セルフスタイルドロッカーを殺したい

サテンの月が二枚重なって 
彼女は薄い唇で微笑む
テグムの音色は夜の真ん中を捉えた
僕は音楽がわからない

サテンの月が二枚重なって
そしてだんだんと乖離を始めた
僕は珈琲をこぼしたが間に合わなかった
白々しくも朝に邪魔をされたのだ!
反射する


テレビは捨ててしまったリモコンだけが残った僕の四畳半に

1から順にボタンを押し次に電源の赤いボタンを押し
両手の親指の腹で1471036912と押した
赤外線は行き場を無くして僕の四畳半を反射する
そしてカーテンの陰に隠れた薄い沈黙そして僕のこどう

僕の四畳半は正方形なので左右対称が好ましい
このリモコンは音量とチャンネルが右側に寄っていてよくない
僕は独りだがそれなら丁度半分に折りたためるんだ
独りはいい独りはいいんだそうだ蛍光灯を交換しよう前換えたのはいつだっただろう

埃が舞ったそして僕の乾いたコンタクトレンズに積もってそして思い出したそうあれは
蛍光灯を換える男の手それを支える女の手そして僕の不機嫌があったこの四畳半に
僕らはいつも不均等に並んでいた僕はそれが気に入らなかった
父がいて母がいたこの四畳半に僕は夜を持ち込んだそれは永遠に続く白夜なのだろう
テレビと一緒に捨てた彼らの抜け殻は今どこにあるのだろう

僕は銃を構えるようにリモコンをこめかみにあてた
鏡の中の僕はそれを冷笑したんだろうあの時僕は泣いていたんだろう



水面に浮かぶ月を見下ろした私の目は
連綿と練られた闇の中で白濁してはいないか

山際を越えてくる銃声に耳を塞いだ
肺を突き刺す冷気に息を止めた
目だけを見開いて今私は月を見ている
私は月を見ている

魚が跳ねて そして跳躍する
木葉が落ちて そして波紋する
風が吹いて そして蠕動する
そして位置を保とうとして崩れる

今 私の黄色く薄く短いアイデンティティは
錆付いた意識の蓋の奥底で微睡してはいないか

故郷を忘れて
自らを穿った銃剣を抱いて眠る人よ
どうか どうか
静寂を強いて突っ伏した私と同じ夢を見てくれ

左目は失って久しい
今は右目だけが月を見ている
うそ にせんろく


みすたーてぃーのうそがかたまったよ
みすたーてぃーのうそがかたまったよ

たけしくんはぽりふぇのーるのうたごえをきいた
たろうちゃんはばっくすぺーすこゆびのほうそくでとっきょをとった
それぞれがねんがじょうにあぶりだしでかいていたこと

みすたーてぃーのうそがかたまったよ
みすたーてぃーのうそがかたまったよ

たかしくんはかなりまえからすきますいっちとなかがよかった
たけしくん(やまだのほう)はみぎてのあくりょくがひゃくにじゅうある
それぞれがねんがじょうにぷりんとごっこでしたためたこと

みすたーてぃーのうそがかたまったよ
みすたーてぃーのうそがかたまったよ

とーますさんはふでぺんでていねいにねんがじょうをかいた
それはうそですね あけましておめでとう

それをみたたまきさんが
とーますさんあなたもちゅうだといってませんでしたっけといった
めぐるチカテツ


窓の底の暗がりがネジクレタ動脈に蓋をする C6H5NO2その向こう
ヘッドライトに群がり巡る巡る たましいは漏れ出し遠くしらない土地を走る
連結を跨いで交尾する男女 手摺には昨日みた映画の残影 縦に割れるチカテツ
カタカタと鳴っているのは優先座席のパーカッションアンサンブル
俯いているのは残業明けの悪意 あたまがわれそうだ C6H5NO2その向こう
中吊りの数列 吊革の揺れかたは記述不可能なテクスチャー ホームとチカテツの摩擦音
イヤホンから溢れるHey Jude〜♪ たましいは漏れ出し遠くしらない土地を走る
携帯電話のひめい 子ども達のおえつ 最後に初老の肉体労働者が呟いた
それは悲しくも愚かな夢だ おまえはここからでていけない
ペラグラ患者はそこでとうとうチカテツのうたをきいた
俺にナイアシンをくれ チカテツのうたをきいた チカテツのうたをきいた
チカテツのうたをきいた あたまがわれそうだ

ナイアシンをください
此処は世界の真ん中か


きらりと鳴った
此処は世界の真ん中か

山手から風が降りる
それは僕を駆り立てる

絶対の無へと
思考の極致へと

風に促されて僕は
この足で
この手で
飛ぶんだよ

前へ前へと
四肢をばたつかせ
泳ぐように進んだなら

深く深く沈んだ
あの海の底の太陽の
そのほんのひとかけらでも
瓶に詰めて持ち帰るつもりでいるのさ
この感情は、薄雲の早稲田の空から降った。
雨に喚起される感覚。警笛に揺さぶられる感覚。
都電は明治通り沿いを徐々に下っていく。
呼応するように、加速度を増していく感覚。
言うなれば恐怖だ。
私は何かを手にする前から、失うことを恐れている。雨は未だ止まない。
私の手には負えないことばかりが打ち寄せる。
そのうち決壊するであろう堤防に跨って海猫を探す。
歌が聞きたい、しかし私は上手く泳げるであろうか。



いつも同じこと
自動改札に吐き出されて
雑踏に溺れていく

「      」

時間を気にする余裕もなく
華やかに着色された街を
ただ無言で歩く帰り道

一周忌は

仕事と託けて帰らなかった

陸橋の下の露天商の前で
私は珍しく立ち止まった
老婆が形の悪い馬鈴薯を売っていた

ああ ああ

私はこの街で

抗い難い快楽を知った

添加された甘みを

知ってしまった!


夕刻を告げるベルが鳴り
わたしの背中は俄に粟立つ

雲間から差す黄昏が
道往く子等を赤に照らしていた

遠く山の向こうから
母の呼ぶ声がした

暗くなる前に帰って来い と

私を呼んでいた

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