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創作冒険・ファンタジーの大陸コミュの序章(文章トピ)

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小説を書き始める方は、まずはここで序章などあげてみましょう!

コメント(1)

彼は勇者だった。
特に理由はない。と言うかいらない。
朝起きたら勇者だと言うことで王宮に呼び出されたのだから勇者なのだ。

年の頃は16。今まで選ばれた勇者の中でも最年少の少年だった。
農家の出で町の子供よりもずっと体ができているとはいえ、まだまだ幼さの残る年齢。
当然回りは反対し、心配したが、彼は勇者なのだからしかたない。
当時農作物が不作で、勇者となれば国から保証金が出るというのもあった。

そんなわけで勇者である少年は王宮の前に来ていた。
農村で暮らしていた頃には見たこともなかった豪華さ。
思わずあんぐりと口をあけて見上げた少年は笑い声で我に返った。
嘲笑というほどでもないがちょっと人をバカにしたような、そんな笑い。
それに気付いた少年は赤面すると王宮の中へと駆け込んでいった

とはいっても、仮にも王が住む王宮。そう簡単に入れるものではない。
門のところで番をしている人へ名をなのり、村長が一筆書いてくれた証明書を見せる。
そのまましばらく待たされ、ようやく中へ入ることが許される。
中へ入っても一人での行動は許されず、案内人がつく。
もっとも、1人で歩いた日には迷子になること必須だった少年にはありがたかったが。

それから更に待合室でたっぷりと待たされ、ようやく王の元へと案内された。

少年が勇者であるように、王は王だった。
威厳たっぷりに立派な椅子に座り、その隣には美しい王妃が座る。
そしてその周りを物々しい兵士達が取り囲んでいた。

案内人が少年を紹介して部屋から出る。
慣れていない、ぎこちない仕草ではあったが、見よう見まねでひざまづく少年。
そんな少年の元へ側に控えていた賢者が出てくると「勇者の儀」が始まる。
噂すら聞いたことのなかった少年はどんなものなのかドキドキしながら身を硬くした。

まず王の言葉。
最近魔王のせいで魔物がどうのという少年ですら知っているような内容だった。
町中よりも農村のほうが魔物の被害は甚大なのだ。
そういった情報は嫌でも耳に入ってくる。
なので少年は大真面目な顔でもって聞き流した。

そして賢者の言葉。
人の家のタンスを漁らないこととかいうごくごく常識的な内容だった。
壺の中にコインをしまう人がいないのも当たり前だ。
洞窟で拾った食べ物をむやみに口に入れないというのもそうだろう。
なのでやはり少年は大真面目な顔でもって聞き流した。

その後賢者がなにやら呪文を唱えると少年の体が淡く光った。
手の甲辺りに不思議な紋章が浮かぶ。
それには特に効力等はなく、勇者である身分証明らしい。

たったそれだけで「勇者の儀」が終わった。
勇者になったからといって急に何かが変化するわけではないらしい。
少し拍子抜けしている少年の前に、冒険資金が渡される。
大きめの袋にずっしりとした手ごたえ。
中を開けると黄金の輝き。
全部で100G。町で働く一般家庭の人が一日に稼ぐ平均額が1Gだといわれている。
まして農村出の少年だ。金貨というものすらはじめて目にするものだった。
あまりの大金にめまいを起こしかけながらも丁寧にしまいこむ。
が、王のほうはそうでもないらしい。
まるでなんでもないことのように100G渡した事を確認すると謁見の終了を告げる。
再び案内人が呼ばれ、早々に謁見の間を追い出された。
王というのははいろいろと忙しいものなのだ。

案内人に連れられ王宮から出たところでやっと1人になる。
とはいってもまさかこのまま家に帰るわけにもいかない。
彼は勇者なのだから魔王を退治しに行かなければならないのだ。


長々と手続きをへて、彼はようやく旅立ちの用意を始めるという段階にたったのだった。

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