二、「横田めぐみさんの悲劇は、やらせ!」――グレゴリー・クラークの情報宣 伝 グレゴリー・クラークは、ロシアの工作員に加えて、同時に、中共の工作員も、北朝鮮の工作員も兼ねている。教条的な共産主義者らしく、その精力的な偽情報宣伝の活躍には感心する。グレゴリー・クラークが怪しい人物だと多くの日本人が気付くようになったのは、クラークが北朝鮮のマウス・ピースとして、拉致問題において、2002年12月22日付の『JAPAN TIMES』で、「横田めぐみさんの悲劇は、やらせ」というエセーを書いてからであった。 もともと、クラークがソ連の工作員でコミュニストであるというのは、1980年頃から専門家の間では噂されていたが、日本人は、スパイや外国からの工作問題に関心がなく、専門家に耳を傾けるものはおらず、結果として、この種の犯罪者を野放しに放免するのに協力したことになる。 クラークは調子に乗って、同種のことをネット論壇NBR(National Bureau of Asian Research 全米アジア研究会)に、「北朝鮮拉致の、日本の主張は捏造である(the Bogus Abduction)」と書き込んだ。2006年10月1日であった。小森義久が反論している。 クラークが、ソ連の工作員として対日キャンペーンを張ったのは、北方領土に関する、嘘、嘘、嘘、の内容で、例えば、一九八六年1月12日付けの『朝日新聞』の私の言い分などは、その一つであろう。 その主張は、米国が日本に北方領土の放棄を強いたのだと、レトリックと虚偽をもって、ソ連の侵略行為を米国の責任問題に転化(転倒)している。朝日新聞は、その編集局長も社長も共産党員であり、ソ連に直結しているので、この場合も、ソ連大使館(大使館員の六割以上がKGB職員)から、グレゴリー・クラークを指名してきたので、その通りに編集したのである。このときのタイトルは「日本に放棄強いた米、講和条約のミスを正せ」であり、余りの全面的な嘘には唖然とする。 サンフランシスコ講和条約(1951年9月調印)は、「クリル諸島」と南樺太に関しては、日本は放棄するが、帰属先をソ連としない旨の「未帰属」と定めて、将来、ソ連からの日本への返還が可能となるようにしたのである。反共反ソのフォスター・ダレスが仕切ったからである。しかも、「ソ連に帰属する」と明記しなかったことに怒って、グロムイコ外相が退席して調印しなかったので、「未帰属」どころか、日ロ間においては、国際法上「日本帰属」となっている。反ソ主義者のダレスの狡知である。 しかも、「クリル諸島」とは、日ロ間の下田条約ならびに樺太・千島交換条約の二つの条約で、得撫島より北のミニ小島と定めているので、国後・択捉は当然に含まれない。北方領土(南樺太、クリル諸島、国後島,択捉島)を、日ロ間においては、日本領土となるよう、ヤルタ秘密協定の破棄を、このような公式のサンフランシスコ講和条約で確認するということまでやってくれたのである。北方領土を取り返せないのは、日本側にソ連と通謀していて、北方領土はむろん日本の領土をすべてソ連に貢ぎたいという親ソ分子が、朝日新聞はもとより共産党・社会党そして『世界』や『中央公論』に播居した赤い学者たちの活躍の成果である。 日本人は、しかし、倫理観が無く、このような、ロシアの工作員たちが好き放題に嘘八百の偽情報を垂れ流しても、公憤するものが一人もいない。退廃的で低級な民族である。 ところで、グレゴリー・クラークは、今は秋田県立の国際教養大学の副学長である。学長は中嶋嶺雄である。中嶋嶺雄は今もKGB工作員であり、グレゴリー・クラークとともに、秋田県をロシアに侵攻・上陸させる準備に勤しんでいる。学長・副学長ともにロシアの工作員とは、秋田とはなんとも喜劇的な風景の県ではないか。名産のお米が泣いているようだ。 中嶋嶺雄が台湾を擁護し李登輝とも親交があることで、民族系の団体である日本会議のように、中嶋を「保守」だと錯覚するものが多いが、無知を恥じるべきである。中嶋は1960年まで日本共産党の正式党員であったし、その後は共産党との関係は定かでないが、ソ連KGBとの関係は今も一貫して緊密である。中嶋が「台湾派」になったのは、ソ連としては日中間に楔を打ち込み日中分断を図るため、KGBが命令したからである。李登輝は、中嶋嶺雄に利用された。中嶋嶺雄の思想本籍は、月刊誌『現代』に発表した論考「ゴルバチョフが投げる対日戦略の不気味な変化球」の通り(1986年12月号)、今も共産主義者であるし、れっきとしたKGB工作員である。