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*言葉に想いを載せて*コミュの☆☆☆の描く未来(小説)

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まず、この世界がどうしてこうなったかの事の顛末から整理しよう。


世界は変わった。


2045年。世界に誇るMIT(マサチューセッツ工業大学)がある報告を世界最高峰科学論文誌Natureに発表した。

それは、従来のどの型とも一致しない血液型を有する新たな民族を未開の地で発見した、というものだった。彼らは全く文明とは独立した世界を持っていて、その地で見つかる多くの新発見に世界中の科学者たちは釘付けになった。

今まで謎と考えられてきた世界の遺産を十分に説明できうる遺物がそこには沢山あった。それはピラミッドの創成方法から始まり、ナスカの地上絵、消えた帝國アトランティスなど・・・まるで太古の人類は彼らと同種族だったのではないのか、と言うほど詳細にその謎の答えが記されていた。


2050年。レム、と名づけられた未開の地の研究が世界各地の研究者達により進められる中、奇妙な現象が起こり始めた。
世界各地で、未開の地に足を踏み入れた研究者達を中心として、人々の血液型が変化し始めたのだ。
そう、それはX(イクス)型と名づけられた新種の血液型に。
特にその変化は、O型が多い欧米で激しく、2055年には全世界で約5万人がX型となった。

2058年。驚愕の事実が判明した。X型の血液はその血中に新種のウイルスを持っており、そのウイルスが空気感染することでX型が広まっていたのだ。
しかし、X型になったからといって、輸血はもともとの血液型で行うことが出来るし、何かが特別困るというわけではなかった。
また、X型の空気感染速度は非常に遅く、性的接触による感染がほとんどだったため国連も特別何か対策を講じようとはしなかった。


むしろ、文明を創成した血族の血、と歓迎される風潮すら垣間見れた。


そのようにして2120年には世界の7割がX型の所持者となった。







2130年。事態は急展開した。
X型の所有者達がいっせいにある場所へと集まりだした。
レム。それはアフリカ大陸のほぼ真ん中に位置する密林の奥の秘境。
そのレムを中心として、世界の人口分布が突如構成され始めた。
完全に2分化された人類を更なる事態が襲った。

大地が狂ったように暴れだし、本来の姿を捨て新たな形へと変化していったのだ。この大陸再編により、世界は完全に2大陸に分断された。




そして、長い戦争の歴史が始まった。

謎めく力を有するX型民族と、残された旧人類の戦争の歴史。

レムとルナと名づけられた2つの大陸の血塗られた歴史。


先に仕掛けたのはレムからだった。
X型所有者達はたちまちルナに残る人類を襲い始め、あるものは殺され、あるものは感染していき、どんどんその数を減らされていった。



そんな繰り返される戦闘の中で、ある噂がたった。


X型の人間達はレムにある何かに操られているだけではないのか・・。
その何かを破壊できさえすれば世界は再び1つになるのではないか・・・・。


風はそんな噂すらも吹き消していき、いつの間にか旧人類はわずか一握りとなってしまった。




2300年。ルナは奪われた。
残された旧人類達は自らをルナと名乗り、何処かへ消えた噂を信じてひっそりと暮らしていた・・・。

コメント(17)

暗闇だ


暗闇が襲ってきた



飲みこまれていく


沈み込んでいく


深く
深く



黒に染まっていく




見えなくなる

全てが 見えなくなる




なんという快感






覚めるな、このまま






覚めるな、このまま









朝よ、来るな









現世は息苦しいんだ
飲み込んであげよう

ルナの残り民達よ



もう抗うな




もう諦めろ









もう二度と人類はひとつになれぬ









もう二度と人類をひとつにさせぬ








おまえ達にはとっておきの鎮魂歌を授けよう





レクイエム





レクイエム





………レ ム
激しい渇きと止まらぬ嗚咽で喉が張り裂けそうだ……。

真っ赤な髪の毛を掻きむしりながら、ルナの民の青年、紅は空を見上げた。

「やれやれ…」


彼は自らの足元を見た。樹海の抜かるんだ土に陽光が波立って見える。


それを包み込む木々は、風のざわめきに呼応して木漏れ日を揺らし、わずかな隙間から空が青いと知らせてくれる。


ぐちゃぐちゃ、と鈍い音を鳴らしながら、彼は再び走り始めた。
焼けきれそうな喉の悲鳴は、いつの間にか樹海でざわめく命の唄に飲み込まれて消えていった…



そこはルナの民達にとって危険指定区域にあたる樹海。樹海の外れの大渓谷を挟めば、すぐそこに…レムの民達がいる。
鐘の音…



頭の中を不意に襲う鐘の音

あの音…きらい


あれに私を奪われる

あれに自己が閉ざされる


あれに視覚を奪われる

嗅覚、味覚、触覚…ありとあらゆる感覚を奪われる




私は一体、何をしてるんだろう





あぁ…今日もあの鐘の音が聞こえてくる



直に日が暮れる


私が私でなくなっていく…
広々とした緑の平原に、無味無臭の風が吹き抜けた。
風にざわめく雑草達を踏みしめて、レムの民、桜は渓谷を目指した。



桜はアメリカに留学中、原因不明のX型感染をした。稀に起こる空気感染被害者だ。


空気感染被害者は、主流の性感染とは異なり、比較的自我を維持しやすい。

故に、桜は毎日、こうしてレムの集落を抜け、片道50キロの平原で、渓谷目指して愛車のバイクを進めるのだった。






それは、もちろん禁じられた道。その渓谷の向こうには魔の樹海が広がっているからだ…

レムの民達はその樹海にはいれない。理由は分からないが、その樹海に足を踏み入れて、帰ってきたレムはいないから、経験的にそう言われているだけだ。

今では平原と樹海を繋ぐ橋は絶たれてしまい、2つの地は完全に隔絶されてしまっている。





桜が渓谷の崖につくころ、夕日が山の端にかかり出し、空は茜色に染まり始めた。




風がひときわ強く吹き抜けた。

漆黒の渓谷から、奇妙な鳴き声が響いている。






「あ…」




桜が渓谷の向こう側、樹海の切れ目に人影を捉えた。毎日、この時間に現れる男の影。

今日こそ自分の存在を知らせたくて、桜は大きく手を振ろうとした。





その時、無情にも夕日が沈んだ。







カァーーーン









カァーーーン









無機質な鐘の調べが、世界を震わせ、響き出した
「あぁ、行くな、待ってくれ!」


必死の叫びも峡谷の鳴き声に飲み込まれ、漆黒の谷間に沈んでいった。



また、今日も彼女と言葉を交わすことが出来なかった。
視界にかすかに彼女が手を振る姿を捉えた時、いつものように彼女は振り返り、バイクにまたがって地平線に消えていってしまった……



俺達ルナは日が沈むまで、外界に姿をさらせない。

これは掟だ。


理由なんかない。


だから俺は、毎日日が沈むまで樹海の淵で身を潜め、日が沈むと同時に彼女の前に姿を現す。



渓谷の向こうで何時間も立ち続けている彼女を眺めながら、日が沈むまで、身を潜めている…




でも、彼女は日が沈むまでしか待ってくれない。日が沈むと即座にキビスを返し、遥か遠くへ消えてしまう。






会いたい…




彼女が気になる。
なんとか話したい…



なんとか……







「はぁ……」

また今日も静かな夜が来てしまった。
救いさ



これは救いなのさ





紛れもない救いなのさ






君たちヒトは最早許されることない罪を背負った






しかし、私が神として在るからこそ



君たちヒトには罰ではなく



救いを与えてあげたのだ








救いの音に耳を澄ましなさい







哀れな子羊達よ








無力な子羊達よ
月と太陽は

言ってしまえば寄生種と宿主の関係



月は太陽の光なくば月であらず

月は太陽から光を貰う代わりに
彼無き夜の間、地を照らし、波を踊らせる




そう、言わば寄生種と宿主の関係








そう、それは、レムとルナの関係…







第1章 終わり
【第弐章】

















美しく咲いている

色とりどりの罪の花


誰もが等しく命を与えられたのなら

誰もが、等しく罪を背負って生きている

色とりどりの花にそれぞれ命があるように

色とりどりの命にはそれぞれ罪の名前がある

生きとし生ける万物に等しく罪がある


命ある者、と仮定出来るのならば

私にも名前が必要だ
私にも罪の花が必要だ


私という花に

罪の名前を添えるならば


それは間違いなく

















生まれてきたこと











そうなるであろう



ーレム最高指導者 ネ-デル リア アンセスシアー
「待ってくれ!」




そう叫んでみても昨日と同じ…峡谷に飲み込まれた祈りが彼女に届くことはなかった。






去り行く彼女の背中を見ながら、今日も、1人静かな夜を迎えようとしていた。








何としても彼女とはなしたい。



何としても彼女とはなしたい。








決めた。俺は禁忌を犯すことに決めた。
あぁ…また夜が来た

天翔る星々の煌めきが
醜い私を突き刺していく


せっかく陽光から逃げられたのに
せっかく鐘の音から逃げられたのに


せっかくレムからルナに戻ることが出来たのに



月が燦々と粋がるこんな夜は


怖い
辛い
震えが止まらない









この樹海に住み着いて早、20年…









明日もあの子は通るだろうか
うっそうと茂るシダ類が、朝露に押されて頭を垂れている。

風が吹けば一気に露が滑り落ち、跳ね返った頭は天に向く。


頭上に揺らめく蒼天の空海。


通り抜けた風は軽やかに、ぬかるんだ樹海を駆け抜けていく。


「今日こそ彼女と話をするんだ。」

紅は日が落ちる前の世界に身を投げる覚悟を決めた。禁忌を犯すことに決めた。

それは、彼にとって禁忌はただの規則でしかないから。彼にとって、禁忌など何の現実味も帯びていないただのルールでしかないから。





紅が樹海の淵に着いたとき、渓谷の対岸にはまだ彼女は現れていなかった。


紅は腰を下ろし、地平線の先に彼女を待った。













半刻ほど過ぎただろうか……

紅は視界に黒い点を捉えた。



「きた…」




腰を上げると、辺りを見回し、紅は息を飲んだ。



「いくぞ…」




つま先に力を溜めた。行くなら一気に躍り出てやる。

一気に。





深呼吸をし紅は大地を蹴り上げた。



樹海の暗闇が途切れ、一面の青空が紅を包んだ。



その次の瞬間


ヒュンヒュン…


暗闇から何か飛んできて、駆け出した紅の胴に巻き付いた。



「えっ、な…」



ザザザ…

「ちょっ…うわぁぁ…」



紅は自身の台詞をいい終える間もなく、再び暗闇へ引き込まれていった。



数時間後、夕日は沈み、再び地平線にバイクの影が独り消えていった…
……………



「…あ………あんたは一体………」








「怖がるな、人間だ」











に…人間か?









本当に…人間か?
私は何のために毎日毎日、あの渓谷めざして走っているのだろうか


この広大な草原を
風を切り裂きながら
轟音をあげながら

何のために
走るのだろうか


何故か期待してしまう

渓谷の向こうの森に私が知らない何かがある
私の知らない人がいて
私の知らない街があり
私の知らない私がある…


そんな期待をしてしまう




そして…彼

彼に会いたい、話してみたい…


想いは募るけど

想いは募るけど…




あの鐘の音が怖い

私が私でなくなってしまう…


あの鐘の音が…


怖い
輪を描く


山の端に沿って

最後の陽光が輪を描く


世界から光が遠ざかり

世界へと闇が押し寄せる


全てが闇に閉ざされる

全てが闇に飲み込まれる



鐘が鳴れば


闇の世界が

時を支配する



風だ


風が運んでくる




風が運んでくる、あの鐘の音を


桜は深呼吸した

今日も鐘に我を奪われる


深い闇に
心地よい快感に

見せかけの幸せに


引き込まれていく





あぁ…私は
今日も
私を守れなかった



桜は目を閉じ
耳を澄まし
手を広げ


吹き抜ける風に身を委ねた



…………め!



え?
風にかき消されながら、誰かの声が桜を襲った


あれは…


あの人………



谷の向こうの……



あの人……………








「谷に飛び込め!!闇から逃げろ!」
渓谷の風は冷たかった

望む世界は紅に染まり

割れた大地を風が奔る


渓谷の風は冷たかった

羽のない、ただの個体


私はとんだ


死んでもいい、一瞬そう思えた

鐘の音が聞こえたら

どうせ私は死んでしまう

私は私を失ってしまう


それを繰り返すだけの毎日なら

いっそ消えてもいい

そう、思った

だから彼の声に瞬時に反応して


大地の亀裂へ飛び込んだ




渓谷の風は冷たかった


でも




私を抱く、誰かの腕は





温かかった






頭上で鐘が鳴る




私は、悪魔の呪縛から解き放たれた
世界は廻っている

絶えず

絶えず

廻ってる


地球は1日で自身を軸に廻り

1年で太陽を軸に廻り

太陽もまた、何かを軸に廻っていく

秒針が1廻りし
それが繰り返されて

やがて
分針が一回り

長針も一回り

地球も

太陽も

宇宙もきっと

きっと万物も




『やぁ、気分はどうだい?』



『大丈夫、君は生きてるよ』

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