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☆モンスターハンター外伝☆コミュの大長老の願い

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題:大長老の願い
      〜続きゆくハンターの希望〜
 作:リョウ


 フクロウの鳴き声、温かみを感じる松明、疲れを癒す酒の香りとアリーナから聞こえる歌声。それらが混ざり合い形成するようにドンドルマの夜が更けていく。あの惨劇から十余年こんな平穏満ちた夜が訪れることを予想出来た者がいただろうか・・・。漆黒の闇に怯え、放たれた炎を消すため奔走する人々、街を覆い尽くすほどの赤い群れは皆の希望を喰らい尽くすかのように思われた。
 ドンドルマの軸、大老殿で消えかけた皆の希望は、竜魔人の撤退を機に再燃し、赤き群れの頭ドスイーオス五匹を淘汰すると波が引くように街から消えていった。
 古龍や赤き群れに対し鬼神のごとき戦いぶりを見せたホッツではあったが去り際のアモンの笑みを拭い去る事は出来ない。竜魔人アモンとの戦いはこの時より始まることとなる。
 ニノは命を取り留めたものの再起するのに幾年も要することとなり、右腕を切り落とされたエルは狩場復帰は断念したもののニノとの間に子をもうけ次代に希望を託した。
 幾度となくアモン討伐に出るホッツの戦いに参戦したのはいずれ劣らぬ強者や、回復したニノ、メロであった。
 三度・・・。三度による討伐によって火山という狩場で散っていった者は六人。その中には回復したニノも含まれている。ホッツに到っては両足の膝から下部分を切り落とされ、生死の堺をさまよう事となる。その三度の中で生き残ったのはメロであり、彼女によって助けられたホッツであった。
 三度目の討伐戦。ランサーであるシンは無数にくり出されるアモンの攻撃を防御しきれずまばたきする間に首をはねられた。ニノに到ってはアノ日を再現するかのように瞬時に倒して見せたアモン。嘲笑うように再現ではない証拠に今度はトドメをさされ、ニノはメロの腕の中で息を引き取った。ホッツは二度に渡る戦いからアモンの領域に近づきつつあると感じさせた。両足が切り落とされる瞬間渾身の一撃をアモンに叩き込んだのだ。不幸にも頭蓋を狙った剣先は両足がなくなったことにより重心を失い肩口に深い傷を負わせたものの命を奪う一撃とはならなかった。深手を負ったアモンは後方に跳び、形勢不利と見るや攻撃目標を変えメロの方へ突進していく。かわして弾丸を撃ち込む事はその時のメロにとっては可能だった。しかし彼女のとった行動は回復弾の装填であった。
 激しい戦闘の末、命を奪う事は叶わなかったものの、かなりの深手を負ったアモンを人を寄せ付けない火山の奥地へと追いやる事に成功した。その代償として勇気をもって志願してくれたシン、古くからの盟友ニノが命を落とし、ホッツは歩くことが困難となる深手を負い、そのホッツを担いで下山したメロは左腕を失う事となった。
 この時を堺にアモンの姿が目撃されなくなり、つかの間の平穏が訪れる。


「お師匠様?」
 物思いにふけっていたメロに声を掛けたのは彼女の元に弟子入りした若者であった。弟子入りした彼は修行の合間には家事全般をこなし、献身的にメロの世話をする様にもなっていた。水の入ったバケツを両手に抱え入り口でメロの様子を窺っている。
「ああ、ちょっと昔を思い出していたのさ・・・」
 暖炉にくべられた薪を見つめ思いに更けていたメロは顔を上げて答える。思い詰めた表情が少し和んだ様に見え安心したのかバケツを運び終わるとドスリッと隣に腰掛ける。
「弟子入りして一年、俺のボウガンはどうですか?」
「悪くわない・・・、でも・・・」
「でも?」
 彼は同じ様に暖炉の火を見つめながら先を促した。メロは暫し躊躇しながらも頭の中で言葉を選びながら何を彼に伝えるべきか考えていた。ソレらがまとまると口元に少し笑みを見せながら口を開く。
「数ヶ月前にハンター要請所に登録された何人かがいただろう?その中に一人の少女が居たんだが、彼女は大したガンナーのセンスをもっている。」
「それは・・・、イズのことですか?」
「ああ、そうだ。彼女のここ最近の訓練を見ていたがアレは見事だ。あの身のこなし、瞬時に状況を見極める洞察力、百年・・・いや千年に一人の逸材と言える」
 師匠の発する言葉一つ一つに頷きながらソレが自分の評価にどう繋がるのか、聞き入っている。
「そして私の古くからの友人ニノとエルの息子ケイ。母親譲りの剛弓もさることながら他の武器でもその才能は発揮されている。」
 薪をくべるとメロは愛用のボウガンを手繰り寄せ磨き上げる。その手の動きが彼の焦りを静めていく。
「さらに来月遠方より一人の少年がドンドルマ入りする予定となっている。名はタスク、ハンターの少ない村にて大人に混じり実戦で磨き上げられたその腕は、先に上げた二人に並ぶと言われている」
「それが・・・、それがいったい?」
「お前に関係ない話をするほど私はヤボじゃない。」
「ですが、彼らは自分よりも若い。今自分が組む事を考えている者は・・・」
「確かに。しかし彼等がこの先成長したら間違いなくドンドルマを担う存在となるだろう。」
「そうですね・・・」
「そうなった時、才能では劣るお前に何が出来るか?そう考え、答えを出したからこそ私はボウガンを教え、剣などの近接武器に関しては私が認めた者を師としてつけたのさ。」
「それは・・・」
「お前はオールマイティーなハンターになれ。たとえ彼らと狩場に出ることが無かったとしても他の強者に引けを取らないほどのオールマイティーなハンターを目指すんだよ」
 もうその先を聞かなくても理解できた。師であるメロが自分に何を教えようとしているのか。
「先に挙げた三人や他のハンターとて一つの武器に固執する事はないと思う。各々が得意とする武器、その場の相対するモノに応じた武器、ソレを見極める事がこれからの狩りには必要なのだよ。最強のオールラゥンダーを目指しなさい!」
 夜明け間近の白みがかる外を窓越しに見つめていた若者は師匠メロの考えを聞かされ、静かに力強く頷いた。


 ドンドルマの人々の間では竜魔人アモンは深手を負った末に死んだ、そんな噂話をする者もいた。それは自分達を安心させる為の楽観的な主観にすぎない。そう思わせるのはやはりホッツの行動が影響していた。数年前のアモンとの戦いによって両足を失ったホッツは、その超人的な体力で回復を見せた後、義足で歩行するだけに留まらず、狩場には出ないものの次代の若者達の育成に力を注いでいた。もはや自らがソノ地に立ち剣を振るうことは叶わないと感じたホッツはそうした別の形でドンドルマへの忠誠心を見せたのだ。その振舞いこそが打倒アモンを見据えた布石であると思われ、人々にとっては”アモン生存”を感じさせたのだろう。竜魔人の生死・・・、ソノ答えを知る者はいない。
 大老殿でも先の大戦での教訓は生かされていた。事の発端となった大臣ゴザは今も地下深くに投獄されている。二度と彼のような者が現れないよう、よりいっそうな審議によって大臣は選出され気持ちを新たにした大長老のその曇り無き眼によって任命される事となった。ギルドナイトも日頃の鍛錬に精を出し、砦の強化と迎撃体制の見直しもされている。
 先の大戦は多くの者達が予期せずに起こった出来事であったからこそ壊滅的な攻撃をうけた。しかしソノ脅威を知っている今ならばきっとその対応は磐石のものとなる。皆がそう感じていた。
 そんな中にあって大長老はソレらの強みをもってしても危惧していた。その圧巻ともいえるアモンの強さにではなく彼をそこまで追い詰めてしまった事に不安を覚えたのだ。大臣ゴザのその強行姿勢が生んだ悲劇ではあったが、ソレを見抜けなかった事実は大長老の心に深く刻まれ、悲しみを覚えるものとなった。
 街の被害を差し引いても、ココットの英雄ゾロにはじまり、亜門、オロチの主要メンバー等。失ったものは大きい。そして生き長らえたホッツ、メロ、エル。様々な形で今もアモンの脅威に備え、戦っている。希望の光は彼らによって守られ、次代のハンター達に伝えられていく。
 大長老は朝日が昇ろうとする空を見上げ、切に願った。
”竜魔人アモンの迎撃!”クエストボードにこのクエストを貼る日が訪れないように・・・。

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