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【有】ブロイラーコミュの告尾、言葉残して

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 よろしよろし。



 今まさに社内調整のために自ら口を開き、
 このなんだか重苦しい空気を打開し、
 一時の休憩が少しは盛り上がりでもし
 円滑に業務遂行に移れるのなら、


 「先輩。ブロイラーってなんだかヒドイ顔してますよね」

 という切り出し方は、
 
 うん、
 私はなかなかいいことを言葉だね、
 喜代彦と告尾ラインは【有】ブロイラー内で
 確実に築くことができたね、
 
 と確信するに違いないと考えていた。


 もうキャスターマイルドも七合目辺りまで来ていた。

 告尾先輩は相変わらずガチャガチャの顔で
 ハイライトの煙の中で気味悪い。



 「先輩、」

 
 むむ


 「先輩、ブロイラーってなんだか、」



 まさにすんでのところだった。

 喜代彦が社内調整の口火を切ろうとする
 まさにすんでのところ。


 喜代彦の目線の先、
 告尾の顔面を超え右隣の肩越しにある
 大型冷凍庫と大型冷蔵庫の隙間、
 あの灰色の内気と外気を密閉する役目のゴム辺りに
 真っ黒の
 まさに漆黒の2センチほどのゴキブリがいた。


 こっちを見ているではないか。
 真っ黒闇のようなまん丸の目で。
 まっすぐに確実に、真っ黒な目で。



 「そんなこと言うの?」



 ゴキブリの暗闇の目が喋っていた。


 悪寒
 悪寒

 おっかない目でこっちを見ていた。



  かは、


 「いいですね」



 「え、なに」


 「だから、いいですよね」


 「え、なんてったの」



 「ブロイラーってなんだかいいですよね」



  

 「お前ブロイラー好きかよ。
  俺は毎日卸してるけど、普通に気持ち悪いぜ」




 結局のところ喜代彦は
 告尾とブロイラーの関係性についての講釈、
 ひいては社内調整を達成することはなく
 グタグタしてしまった。

 その後なにも喜代彦は告尾と言葉を交わさず、
 頂上まで達したキャスターマイルドの灰が
 自然に休憩所の床に零れた。

 告尾は先に休憩をあがった。


 「先行くわ」
 言葉だけを残して。


 
               つづく 

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