ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

目指せアート鑑賞の達人コミュの最近のアート取材記事3件

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コミュ内全体

◆◆◆ 江戸のパワースポット ◆◆◆
   09月01日(木) - 09月25日(日) / 月曜日(祝日と重なったら翌日)は休館
   10:30 - 17:30 / 入館は閉館30分前まで
   太田記念美術館(東京・原宿)/ハローダイヤル03-5777-8600
   一般700円、大高生500円、中学生以下無料
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

 パワースポットとは、癒しブームの現代の専売特許ではない。多少のニュアンスの違いはあっても、古今東西、合い通じるものが
求められてきた。江戸時代も例外ではない。経済的にはまだまだ貧しく、移動の自由もなかった時代。信仰を伴う遠出の旅は、現代以上に
レジャー産業全体の牽引車でもあった。

 代表的なのは富士山信仰だろう。江戸のさまざまな寺社にも富士塚が作られ、また富士山にゆかりの深い身禄行者の崇拝なども行われたが、
やはり本命は自分の足で登ることだ。北斎は『冨嶽三十六景』シリーズの中の≪諸人登山≫で、富士山の噴火口を巡るおはち参りを描いた。
当時は富士講という宗教組織を作って富士山に行くケースが多かった。おそろいの白装束はそれを示しているのだろうか。
右上の岩室の中でぎゅうぎゅう詰めとなった団体など含め、想像力をかきたてられる作品だ。

 同じように、伊勢神宮参りも人気を集めた。広重が≪伊勢参宮 宮川の渡し≫を描いている。「この絵を仔細に観ると、当時の
庶民の旅行スタイルが実に良くわかります。たとえば同じ浴衣を着ている集団があちこちにいますが、これは典型的な伊勢講
(お金を出し合ってくじびきなどで毎年代表で伊勢参りをする人を決める組織)の一行を示しています。ひしゃくをもっている子どもは、
抜け参りと呼ばれるケースで、沿道の人は飲食などを与えるのが約束事でした。犬の姿もありますが、
これは犬による代参を表わしています」(本展を監修した学芸員の赤木美智さん)。

 パワースポットは江戸から遠い場所だけではない。広重が描いた虎ノ門金毘羅神社付近や王子不動の滝、渓斎英泉が描いた芝神明の祭り
なども出展される。「門前仲町で行われる成田山新勝寺の出開帳も大人気でした。特に成田屋の市川団十郎がひいきにしたことで、当時の
一大娯楽であった歌舞伎と結びつき、さらに秘仏が吉原を練り歩くなどといった趣向もあったようです」(赤木さん)。信仰とはいっても堅物の
ものではなく、風景も飲食も芝居もまとめて楽しんでやろう。そんな江戸庶民の心意気が楽しい。


◆◆◆ モーリス・ドニ 〜いのちの輝き、子どものいる風景〜 ◆◆◆
   09月10日(土) - 11月13日(日) / 月曜日(祝日除く)は休館
   10:00 - 18:00 入館は閉館30分前まで
   損保ジャパン東郷青児美術館/東京・新宿
   一般1000円/シルバー(65歳以上)800円/大・高600円/中学生以下無料
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/

 モーリス・ドニ。美術史の中では、ポール・セリュジェやピエール・ボナールらと並び、ナビ派の中心人物とされる。
象徴派と位置づけられる場合も多い。ちなみにナビ派とは、19世紀末のパリで活躍した前衛的美術家グループ。
ゴーギャンの影響を受け、平面性や装飾性を前面に出していることが特色だ。

 しかしながら今回の企画は、副題の方がより特色を現している。「いのちの輝き、子どものいる風景」。そう、
ナビ派だ象徴派だという前に、ドニは家族の幸せを絵画として表現し続けた。若くして結婚したほぼ同い年のマルトとの間に7人。
死別後に再婚したエリザベツとの間に2人。愛の結晶である子どもが次々と生まれ、乳児として死亡した長男を除いてすくすくと育った。
名前とは別にドニ自身が愛称を授けたのも、子どもへの愛情を表しているといえるだろう。

 サクランボを手にした長女。バルコニーの手すりにつかまり立ちする四女と、そのお姉さんたち。歩き始めたばかりの次男。
そしてそういった子どもの成長を穏やかに見守る母親。一枚一枚の作品から、幸せな絆といったものが立ちのぼってくるようだ。

 描いたのは自分の家族だけではない。実業家の依頼で描いた一枚は、幼い娘たちを中心としつつも、それを見守る両親も印象的。
「フラ・アンジェリコ風のショーソン夫人」はイタリアで描かれたもので、聖母子を思わせる。さらに「聖母マリアの接吻」は、
ほぼ同じ構図が礼拝堂のステンドグラスにもなった宗教画だが、やはり家族への愛情が感じられる作品となっている。

 損保ジャパン東郷青児美術館の常設展示の中には、ナビ派に影響を与えたゴーギャンの「アリスカンの並木路、アルル」もある
ので、ドニの作品との何らかのつながりも感じられるかもしれない。10月1日(土)はお客様感謝デーで観覧無料というのもうれしい。


◆◆◆ 「アート・スコープ 2009-2011」 - インヴィジブル・メモリーズ ◆◆◆
   09月10日(土) - 12月11日(日) / 月曜日(祝日と重なったら翌日)は休館
   11:00 - 17:00 / 祝日を除く水曜日は20:00まで/入場は閉場の30分前まで
   原美術館/東京都品川区北品川4-7-25/03-3445-0651
   一般1000円、大高700円、中小500円、原美術館メンバーの方は無料、学期中の土曜日は小中学生無料
http://www.haramuseum.or.jp/

 アーティスト・イン・レジデンス。美術家を本拠地以外の場所にある期間派遣し、普段とは違う環境や文化の中で
あらたな創作をしてもらおう、という手法だ。アーティストの個性と場所の個性とがぶつかり合い、反応し合う。場合によっては、
生活習慣の違いへのとまどいや、現地でのアーティスト同士の切磋琢磨が、新鮮な刺激となることもあるだろう。1990年前後から非常に
注目されているのもうなずける話である。1991年以来ダイムラー・クライスラー・ファウンデーション・イン・ジャパン(当時の名称)は、
「アート・スコープ」プログラムとしてそのアーティスト・イン・レジデンス活動を支援している。最初は日本人アーティストをフランスに
派遣していたが、最近では日本とドイツとの間で相互派遣というスタイルが定着している。

 2003年からそれに提携しているのが、現代美術をユニークな空間の中で展示することで知られる東京・北品川の原美術館だ。
今回は2009年にドイツから日本に招聘されたエヴァ・ベレンデスとヤン・シャレルマン、
そして2010年に日本からベルリンに派遣された佐伯洋江と小泉明郎の作品が展示されている。

 日本では1970年代から80年代にかけての建築が特に興味深かったと語るベレンデスは、ある意味で建築を抽象化したような
インスタレーションを展示。平面作品と立体作品とがあるが、金属の硬質感が前面に押し出される立体作品と、わずかにカーブした
絹の繊細な材質感とが、面白い対照となっている。シャレルマンの作品もインスタレーションだが、こちらはタイトル含めどこか哲学的だ。
内側の顔料の違いだけで「ハッピーホール」になったり「ブラックホール」になったりするコンセプトがまず面白いし、その中で顔料の
染み出しという偶然性も上手く使われている。<汚れた鳥 III>という作品は、少なくとも直接的に鳥を感じさせるモチーフはないが、
だからこそまわりを一周したり下から見上げたりすることで、さまざまな想像力が刺激される。

 佐伯の作品はシャープペンシルや色鉛筆を使ったドローイング。草花や馬など、ある程度具体的な素材が使われてはいるが、
全体的には、まとまった風景というより、大胆な余白も含めて、抽象作品と呼べるのではないかと思う。「人間がやっていることが地球に
対して本当に良いことなのか疑問を持っている」。そんな作家の思いが、作品のあちこちに現れているようだ。小泉は太平洋戦争に
おける神風特攻隊をテーマとしたビデオアート。「自分の中で感じている矛盾を突き詰めた時、行き着いたテーマが特攻だった」という。
ずっしりとしたメッセージになっているシリアスな作品と、やや変化球で表現した作品の両方に、ユニークなセンスや才能が感じられる。

 「こういった文化支援活動は、それぞれの現地で、良き企業市民であれというコーポレート・ポリシーに基づいて継続している。
今年で丸20年。さらにいえば日独交流150年という節目でもある。これを機に4人の若手アーティストのさらなる
活躍を期待したい」(ダイムラー・ファウンデーション ジャパンの江頭啓輔理事長)。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

目指せアート鑑賞の達人 更新情報

目指せアート鑑賞の達人のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。