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憂国の士コミュの日朝密室利権外交

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コミュ内全体


国際派日本人養成講座 ■■■■より転載しています。

日朝「密室利権外交」小史(上)

 国交正常化を急ぐ金日成に、金丸信は「お国
(北朝鮮)は百億ドルを要求できる」と答えた。
■転送歓迎■
無料購読申込・取消: http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/

■1.北朝鮮で姿を消した金丸信・元副総理■

 1990(平成2)年9月、金丸信・元副総理と田辺誠社会党副
委員長をリーダーとする訪朝団が、平壌北東の名勝地・妙高山
の別荘で金日成主席と会見した。会見が終わって、一行が汽車
で帰ろうとすると、北朝鮮側から「金丸先生は少し遅れます」
との連絡があった。

 しかし、金丸が姿を見せないまま、汽車は発車した。一行は
大騒ぎとなったが、あとの祭りであった。

 実は金丸は、会見後、北朝鮮側から「主席が、二人でお話し
したいとおっしゃっています。少しお残りください」と耳打ち
されていたのである。すべては北朝鮮側の筋書き通りだった。

 その晩、金日成は金丸だけのために、特別の宴席を用意した。
同席したのは、北朝鮮側の通訳ファン・チョル、そして日朝双
方の警備員だけで、日本側の通訳は同席していなかった。この
密室会談で何が約束されたのか、日本側にはまったく記録は残っ
ていない。

 のちに金丸が政治資金規正法違反で捜査された際に、刻印の
ない金の延べ棒などが見つかり、北朝鮮との国交樹立や経済援
助の開始を試みた代償として北朝鮮側から貰ったものではない
か、との噂が流れた。

 わが国の対北朝鮮外交は、国民に公開された正規の外交交渉
ではなく、一部の政治家や外交官が、北朝鮮から利権を餌に一
本釣りされて、密室の中で話を進めるスタイルが跋扈してきた。
金丸信はその代表的人物の一人である。

■2.金丸の感激の涙■

 金日成と金丸信が二人だけの宴席で何を話したのか、北朝鮮
問題の専門家・重村智計氏は、ファン・チョル通訳を含む日朝
の関係者からの長年の取材によって、以下のような内容であっ
たと推定している。[1,p94]

 会談の冒頭で、金日成は次のように話を始めた。

 金丸先生のご先祖が、わが国から渡られたことは、よく
存じております。私どもとしては、本当に嬉しく思うばか
りです。ご先祖やご両親、ご家族の方々は、日本で本当に
ご苦労なされたことでしょう。その苦労を乗り越えて、金
丸先生が日本を指導する大政治家になられたことは、わが
民族の誇りとするところであります。

 これを聞いた金丸は、感激の涙を流した。北朝鮮の優秀な工
作員が、金丸の生い立ちから家族関係、身辺事情まで詳細に調
べ上げていた。

 二人だけの宴が佳境に入った頃、金日成が切り出した。

 先生は、自民党の指導者であり日本の政治を動かしてお
られる。朝日正常化実現に、力を貸していただきたい。早
急に実現していただきたい。

 金丸は「正常化交渉は時間をかけたらどうか」と答えたが、
金日成は「いや、すぐにも正常化交渉をしたい。国交正常化が
必要だ」と詰め寄った。

 金丸は「それほどおっしゃるなら、そうしましょう」と応え
た。

■3.金丸の「80億ドル」の約束■

 金日成は逸る気持ちを抑える様子で、聞いた。

 日本の正常化(経済協力)資金は、どのくらいの規模に
なりますか

 金丸は、しばし考え込むような様子を見せた後に、答えた。

 ご存知だろうが、韓国には、有償・無償合わせて五億ド
ルの経済協力資金を出した。これを基準にして、大蔵省は
五十億ドルというだろう。

 金日成主席の声がややはずんだ。「50億ドルですか」

 金丸は、少ないと言われたと思った。しばし腕を組んで考え
る様子で、言葉を続けた。

 大蔵省が50億ドルというなら、お国(北朝鮮)は百億
ドルを要求できる。交渉が行き詰まれば、中間の75億ド
ルで妥協する。それに、政治加算は可能だ。

 これは、80億ドルくらいならなんとかできるという含みを
残した。当時の80億ドルは、およそ一兆円になる。

 金丸の約束に、金日成は満面の笑みを浮かべた。2週間前に、
金日成は中国の瀋陽で、トウ小平と秘密会談を持ったが、トウ
は「多くても50億か、60億ではないか」と予想していたの
である。

■4.金日成が正常化交渉を急ぐ理由■

 金日成が、なぜ「すぐにも正常化交渉をしたい」と急いでい
たのか、金丸はその理由をどれだけ理解していたのか。

 この前年、冷戦の終結とともに、東欧諸国で次々と共産主義
政権が倒れ、ルーマニアのチュウシェスク大統領夫妻の処刑ま
で起こった。次は北朝鮮かと、金日成は考えたに違いない。

 1990(平成2)年6月、ソ連のゴルバチョフ大統領は韓国と
の国交正常化に合意し、それを北朝鮮に通告するために、シェ
ワルナゼ外相が9月2日に平壌入りしていた。金丸訪朝のわず
か3週間前である。

 シェワルナゼ外相は、韓国と翌年1月から国交正常化する方
針を伝え、それが北朝鮮にとっても悪いことではないと強調し
た。韓国を説得して、在韓米軍の撤退を促し、核兵器も撤去さ
せると述べた。

 北朝鮮のキム・ヨンナム外相は、「韓国との正常化は、朝ソ
同盟を崩壊させる。核兵器を開発しないとのソ連への約束は解
消される」と脅した。

 翌日、シェワルナゼ外相は金日成主席との会談を求めたが、
キム・ヨンナム外相は拒否した。怒りに震えるシュエワルナゼ
外相は予定を変更して、翌日平壌を去った。

■5.金日成の焦りを読めなかった金丸■

 シェワルナゼ外相は4日に東京に到着し、日ソ外相会談に臨
んだ。この場で、日本の外務省は、同行したソ連外交官から、
平壌での会議の内容を詳しく聞いた。

 さすがに核兵器開発の件までは、ソ連側は教えてくれなかっ
たが、北朝鮮がソ連という後ろ盾を失って、苦境に陥りつつあ
ることは、分かっていた筈である。すでに息子・金正日の放漫
な国内政治により、10万人もの餓死者まで出ていた。

 金日成は、日本との国交正常化を急ぎ、巨額の経済協力資金
を得て、この苦境をなんとか乗り切ろうとしていたのである。

 また韓国にも接近を図り、金丸訪朝の20日ほど前に、ソウ
ルで南北首脳会談を開催していた。

 このようにソ連や中国という後ろ盾を失いかけると、日本や、
韓国に接近するのが、北朝鮮の伝統的な「振り子外交」であっ
た[1,p101]。大国の狭間でなんとか生き延びようという小国の
悲しい性(さが)といえよう。

 金丸がこうした国際情勢を理解した上で、わが国の国益第一
に交渉していれば、「すぐにも正常化交渉をしたい」と焦る金
日成に応ずる必要はなく、こちらから金額を提示したり、わざ
わざそれを吊り上げるような事もしなかったはずである。

■6.核開発中止を求めず■

 もう一つ、金丸がまったく考慮していない国際情勢があった。
米国はこの時すでに北朝鮮が核開発をしているという疑惑を日
韓両国に伝えていたのである。

 米国は、北朝鮮において使用済み核燃料の再処理施設と思わ
れる建物を衛星写真で発見していた。この再処理施設は、核兵
器用の純度の高いプルトニウムを製造するためのものである。
その衛星写真は、日本政府にも提示されていた。

 北朝鮮はすでに中距離の「ノドン」ミサイルを配備していた。
このミサイルに核弾頭を積めば、核ミサイルができる。韓国や
日本はその核ミサイルの脅威を直接受ける範囲にいる。

 米国はさらに、北朝鮮が核ミサイルをパキスタンやイランな
どに売却する事を恐れていた。そうなれば世界は多くのならず
者国家が核武装する時代を迎える。

 金丸は金日成に直接会いながら、核開発の中止を求めなかっ
た。日本が巨額の経済援助を実施したら、その資金の一部は核
開発に回されたであろう。

 自国の安全保障すら考えず、なおかつ世界の核拡散の脅威に
対して知らぬ存ぜぬでは、政治家失格である。金丸が帰国後、
米国と韓国から激しい批判を受けたのも、当然であろう。

■7.拉致問題に言及せず■

 金丸訪朝団の成果がゼロだったわけではない。スパイ容疑で
抑留されていた貨物船「第18富士山丸」の船長と機関長の帰
国が実現した。

 しかし、拉致問題に関しては訪朝団のメンバーは誰ひとり議
題にしなかった。当時すでに、日本人拉致工作員・辛光洙(シ
ン・ガンス)は原勅晃(ただあき)さんの拉致を認めていた。

 また大韓航空機爆破事件の金賢姫(キム・ヒョニ)が、自分
に日本語を教えたのは拉致された日本人女性だと、明らかにし
ていた。

 こうした事実に基づいて、訪朝団は金日成に対して、拉致被
害者の釈放を迫るか、せめて事実解明を要求しても良かったは
ずだ。拉致は息子の金正日が主導してきただけに、この時点で
金日成を動かせば、その後の事態は大きく変わっていた可能性
がある。

 しかし、この点については、社会党の方が主犯だろう。当時
の社会党は「拉致はない。韓国の情報機関のでっちあげだ」と
主張していた。まるで北朝鮮の代弁者である。

 いずれにせよ、国民の生命と安全を守るという使命感のかけ
らもない一行だった。

■8.金丸の失脚■

 この訪朝の結果として、自民党、社会党、朝鮮労働党の三党
が共同宣言を調印した。その第一項は次のように謳われていた。

 三党は、過去に日本が36年間朝鮮人民に与えた大きな
不幸と災難、戦後45年間朝鮮人民がうけた損失について、
朝鮮民主主義人民共和国に対し、公式的に謝罪を行い十分
に償うべきであると認める。

 戦前の36年間の朝鮮統治ばかりか、戦後の45年間にも日
本が朝鮮に損害を与えており、それを謝罪し、償うべきとの論
理は、北朝鮮側の主張を丸呑みしたものであろう。日本国民の
理解を絶するものであり、訪朝団は「土下座外交」と強く批判
された。

 さらに政府代表でもない一介の国会議員が勝手に賠償支払い
の約束までした事への批判も浴びせられた。結局、共同宣言は
自民党の承認を得られず、反故とされた。

 訪朝の1年4カ月後、平成4(1992)年1月、金丸は自民党副
総裁に就任した。しかし、東京佐川急便から5億円のヤミ献金
を受け取っていた事実が発覚し、同年中に党副総裁と衆議院議
員を辞職した。翌年には脱税容疑で逮捕され、自宅捜索を受け
たところ、数十億円の不正蓄財が見つかった。北朝鮮からと噂
された謎の金の延べ棒は、この一部であった。

■9.「北朝鮮へのパイプ」の末路■

 密室利権外交には、同類の相手役が必要だ。金丸訪朝団の帰
国に伴って、金日成との会談で通訳を務めたファン・チョルの
名前は、日本の政界で「北朝鮮へのパイプ」として知られるよ
うになった。利権を求める政治家が、頻繁に電話するようになっ
た。

 ファン・チョルは一介の通訳に過ぎなかったが、日本とのパ
イプ役を買われて党の工作機関「統一戦線部」に抜擢され、北
朝鮮外務省を押しのけて、対日外交を担当するようになった。

 ファン・チョルは平成12(2000)年8月に東京で行われた日
朝交渉に、副団長格で参加した。ところが交渉の冒頭に姿を見
せただけで、姿を消した。警察や公安当局が、ファン・チョル
を尾行した。

 ファン・チョルは日本の政治家や朝鮮総連幹部、北朝鮮のエ
ージェントと見られる人物たちと窃かに接触し、ボストンバッ
クを札束で一杯にした。しかし、帰国の日に羽田空港に現れた
ファン・チョルのボストンバックには何も入っていなかった。

 帰国したファン・チョルを待っていたのは、北朝鮮の秘密警
察「国家安全保衛部」の過酷な取り調べだった。この後、ファ
ン・チョルは消息を絶った。自民党の実力者は何度も電話をか
けたが、教えられていた電話番号は、誰も出なくなっていた。

 ファン・チョルを取り立てていた「統一戦線部」担当のキム
・ヨンスン書記は、海外に数億ドル規模の秘密口座を隠し持っ
ていた。日本や韓国からの賄賂や秘密資金の一部を、自分の懐
に入れていたのである。

 キム・ヨンスンも秘密警察の取り調べを受けたのだが、「統
一戦線部」担当の肩書きを外されただけだった。責任をすべて
ファン・チョルにおしつけて、自分だけ助かったとの観測が流
れた。

 いずれにせよ、金丸とファン・チョルという日朝密室利権外
交の双方の役者は、悲惨な末路を迎えたわけである。
(文責:伊勢雅臣)

コメント(5)

日朝「密室利権外交」小史(下)

「あなたがやっているのは外交ではない」と、
田中均・外務省アジア大洋州局長は面罵された。

■1.「局長、あなたがやっているのは外交ではない」■

 平成14(2002)年9月17日、小泉純一郎首相が平壌で金正
日と会談し、その結果、10月15日に拉致被害者5人の帰国
が実現した。地村夫妻、蓮池夫妻、そして曽我ひとみさんであ
る。

 帰国から10日目の10月24日、5人の処遇についての会
議が開かれた。帰国について北朝鮮側と交渉してきた田中均
・外務省アジア大洋州局長は、「5人をいったん平壌に戻し、
家族を連れて帰国させる」と主張した。

 田中は、北朝鮮側と「2週間程度の一時帰国」という了解を
していたようだ。5人の日程には、おみやげの買い物時間も入っ
ていた。「そうした約束はなかった」と田中は後に国会で答弁
しているが、言葉通り受け止める人は少なかっただろう。

 安倍晋三・官房副長官と中山恭子・内閣参与(現在は拉致問
題も担当する特命担当大臣)は、「5人を戻すべきでない」と
主張した。一度戻してしまったら、北朝鮮は5人を脅して「平
壌で暮らしたい。国交正常化すれば自由に行き来ができます」
などと言わせて、「人質」扱いすることは目に見えている。

 田中は「日朝間の信頼関係が崩れてしまう」と抵抗した。
「日朝間の信頼」とは、田中がこれまで交渉してきたミスター
Xなる謎の人物との信頼関係である。「交渉相手のXを失いま
す」と続けた。

 中山参与は、「それなら、(交渉を)できる人にかわっても
らえばいい」と応酬した。そしてさらに厳しい言葉を口にした。

 局長、あなたがやっているのは外交ではない。北朝鮮へ
のお願いだ。外交官なら、お願いをやめて外交をやりなさ
い。[1,p157]

 中山参与は、田中が謎の人物と密室の中で経済援助を手みや
げに「お願い」をする「密室利権外交」そのものを否定したの
である。

■2.田中とミスターXの相互テスト■

 田中がミスターXと初めて会ったのは、平成13(2001)年秋
だった。Xは「金正日将軍の指示で、自分が日本との連絡と交
渉を担当することになった」と自己紹介した。名前と肩書きを
伝えたが、絶対に公表しないでほしい、という。さらに「自分
は金正日将軍の直接の指示を受けている。将軍に直接報告でき
る」と語った。

 田中はXの力をテストするために、北朝鮮に拘束されている
元日本経済新聞記者の釈放を求めた。Xは「帰すのは可能だが、
滞在費を支払って欲しい。数千万円になる」と答えた。翌年2
月12日に元記者は釈放された。同時に外務省が機密費から
「滞在費」を捻出したとの情報が流れた。

 Xもまた田中の力量を試した。朝鮮総連の傘下にある「朝銀」
の捜査に関して、総連本部の家宅捜査や最高実力者の逮捕を避
けられないか、と聞いた。逮捕は時間の問題と見られていたが、
なぜか行われなかった。家宅捜査も形だけのものになった。X
は平壌の幹部に「彼(田中)はすごい。小泉を動かしている」
と語った。

 田中はXに日本の官僚の力を説いた。

 北朝鮮が日朝正常化交渉で失敗したのは、政治家に頼ん
だからである。日本では官僚が力を持っている。私のよう
な力のある官僚に頼まないと、日朝正常化の問題は解決し
ない。[1,p127]

 北朝鮮ははじめに金丸信を引き込んで日朝国交正常化を急ぎ、
巨額の経済援助で難局を乗り切ろうとして失敗したのだが[a]、
今度は私を相手にせよ、と田中は言ったのである。

1の続き)

■3.日朝国交正常化へのそれぞれの思惑■

 Xは北朝鮮の秘密警察「国家安全保衛部」に所属しており、
日朝正常化交渉を監視し、金正日に直接報告する立場にいた。
当時、党の工作機関「統一戦線部」のファン・チョルと同部の
担当書記キム・ヨンスンが対日交渉を担当し、金丸信との密室
外交などを展開していたのだが、この二人は日本からの賄賂を
横領して私腹を肥やしていた[a]。Xはそれを徹底して洗い出
し、二人を失脚させて、自ら名乗りを上げて、対日外交を引き
継いだのであった。

 ミスターXと田中が接触を始めた頃、金正日書記は困り果て
ていた。ブッシュ大統領は北朝鮮を「悪の枢軸」と非難し、テ
ロ支援国家への先制攻撃さえ口に出していた。

 また2002(平成14)年12月に予定されている韓国大統領選
挙では保守派の勝利が間違いないと見られていた。そうなると、
金大中大統領が首脳会談実現のために、金正日に5億ドル(約
550億円)以上の現金を払っていた事実が発覚し、北朝鮮へ
の援助が全面的に打ち切られる恐れがあった。

 米国と韓国がダメなら、日本の財布をあてにするしかない。
そうした金正日の意向を察して、Xは「必ず一年以内に日本と
の関係改善を実現させます」と「将軍様」に約束したのである。

 一方、小泉政権も田中真紀子外相の更迭で、79パーセント
あった支持率が40パーセント台に急落し、危機に直面してい
た。外務省も機密費や経費の不正使用などのスキャンダルで、
国民の信頼は地に落ちていた。ある外務省高官によれば、「小
泉首相と田中アジア大洋州局長らは、一発逆転のホームランを
狙った」。

 こうして日朝それぞれの思惑が後押しして、田中とXとの間
で、国交正常化に向けた密室での打合せが始められたのである。

■4.90億ドルの覚書■

 Xは、日朝首脳会談で小泉首相が持参する「お土産」につい
て「確実な証拠」を求めた。北朝鮮の高官筋によると、日朝国
交正常化は2003(平成15)年1月1日から、経済協力の金額は
「毎年15億ドル6年間」、1兆円ほどにも上るという「覚書」
をXは日本側から受け取った。Xはその「覚書」を、小泉首相
名にして欲しいと要求したが、それは実現しなかったという。

 もう一つ大きな問題があった。拉致問題である。拉致被害者
を帰して貰わないと、日本国民は納得しない。しかも本来の外
交なら、拉致は国家主権の侵害であり、国際法上は「原状回復」
すなわち「拉致被害者全員の帰国」を求めなければならない。

 しかし、Xは、拉致の事実と生存者の存在は認めたが、帰国
させることはできないとの立場を譲らなかった。そこで「安否
情報の確認」という線での妥協が成立した。

 こうしてミスターXと田中は「密室利権外交」を通じて「小
泉訪朝」という歴史的イベントの筋書きを書き上げた。この頃
が二人の得意の絶頂期であった。

2の続き)
■5.アーミテージ国務副長官の怒り■

 実は田中が「密室利権外交」で考慮していない側面がもう二
つあった。日米関係と北朝鮮の核開発問題である。田中は同盟
国アメリカにまったく相談も連絡さえもせずにXとの交渉を進
めていた。「事前に(情報が米国に)漏れれば、(米政府によっ
て)つぶれる」と判断していた。[1,p33]

 米国側が小泉訪朝を知らされたのは、わずか20日ほど前の
8月27日であった。アーミテージ国務副長官が首相官邸を訪
れた際に、小泉首相が9月17日に平壌で日朝首脳会談を行う、
と伝えたのである。

 アーミテージ副長官は親日家で、日米関係が緊張した際にも
常に「日本はアメリカにとって、最も大切な国である」と説き
続けてくれていた。それなのに、こんな大事な事を事前に相談
もなく、今さら通告してくる日本のやり方に、面子を潰された
副長官は怒った。大統領から解任されることも覚悟した。

 アーミテージ副長官は米大使館に飛んで帰り、パウエル国務
長官に電話して、ブッシュ大統領に事態を報告して貰った。大
統領の判断を仰いだ上で、副長官は外務省首脳に明確に伝えた。

 核問題が解決しないのに、正常化はしないでほしい。交
渉は慎重に進めるべきだ。日米は、同盟国ではないのか。
今後は、事前にきちんと連絡して欲しい。[1,p44]

■6.日米同盟を破局から救った小泉首相の変わり身■

 田中局長は米国側の怒りに驚いて、急遽説明のためにワシン
トンに飛んだ。そこで旧知の[1]の著者・重村智計氏に「核問
題は米国と北朝鮮の問題ではないのか」と語った。[1,p39]

 北朝鮮のミサイルは、日本には届くが、アメリカには届かな
い。北朝鮮の核問題は米国よりもまず日本が心配しなければな
らない問題である。外務省高官がこんな基礎的な事を知らない
はずはない。とすれば、この人物は、日本国民の生命・安全よ
りも、自分の業績を優先していたことになる。こんな人物が得
体の知れないXと「密室利権外交」を進めていたのである。

 小泉首相は、訪朝の5日前の9月12日、国連総会出席を利
用して、ブッシュ大統領と会談した。ブッシュ大統領は「日本
が経済協力資金を提供したら、それは核開発に回されることに
なる。北朝鮮が核開発を完全に放棄するまでは、正常化は困る」
と厳しい口調で言った。

 カンの鋭い小泉首相は、このまま日朝正常化に踏み切ったら、
日米同盟が崩壊すると悟った。「核問題が解決しない限り、日
朝が国交正常化することはない」と述べた。この変わり身の速
さが、日米関係を救った。

3の続き)

■7.「8人死亡」情報の衝撃■

 2002(平成14)年9月17日、秋晴れのもと、小泉首相一行
は平壌の空港に到着した。午前11時からの首脳会談に先立っ
て、アジア局長どうしの事前会談が行われた。この席で、5人
生存8人死亡の安否情報が書かれた1枚の書類が、日本側に手
渡された。これを手にした田中局長は、半ば放心状態であった
という。「8人死亡」では国民が納得しない。

 北朝鮮側の情報によると、日本側から「生きている拉致被害
者を4人から5人程度出せばいい。後は正常化してから段階的
に解決すればいい」と言ってきたそうだ。ここから、北朝鮮側
は「拉致被害者を全員出さなくとも、国交正常化できる」と判
断したという。[1,p193]

 もともと拉致問題を認めること自体に、工作機関「統一戦線
部」や秘密警察「国家安全保衛部」は反対していた。そこに
「4人から5人程度出せばよい」と言われたので、5人生存と
し、残りの8人は死亡と急遽でっち上げて、終わりにしようと
したのである。だから、1995年に日本赤軍リーダーの田宮高麿
が「(拉致された)有本さんらは元気だ」と語っているのに、
1988年に死亡したとしているなど、辻褄の合わない点が少なく
なかった。

 しかし、田中にとってみれば、「5人生存」は期待していた
が、「8人死亡」とまで言ってきたのは、予想外だった。

 実は「全員の安否情報」を北朝鮮に要求していたのは、小泉
首相だった。首相は、田中−ミスターXとは別のルートを使っ
て、「全員の安否情報が出なければ、小泉内閣は倒れる」と北
朝鮮側に要求していたのである。この頃には、小泉首相は米国
とのやりとりなどから、田中に乗せられている危険を感じてい
たのかも知れない。

■8.密室利権外交を阻止するのは国民世論の役割■

「8人死亡」の情報に日本国民は激昂し、日朝国交正常化どこ
ろではなくなった。こうして、田中がXとの「密室利権外交」
で練り上げたシナリオは頓挫した。

 田中のシナリオ通り進行したら、どうなっていただろう。拉
致被害者5人は再び北朝鮮に戻され、秘密警察の脅迫のもとで、
「平壌で暮らしたい」などと言わされていたであろう。1兆円
の経済支援で、金正日政権は核開発を加速しただろう。同時に
日米同盟は危機に瀕し、日本は北朝鮮の核の脅威に今以上に曝
されることになったはずだ。

 そうした事態を防いだのは、「8人死亡」情報に怒った日本
国民の世論であった。先に金丸信の密室利権外交が「戦後45
年間の謝罪と補償」まで約束して、「土下座外交」と世論の批
判を浴びて挫折したのと、同じ構図である。

 北朝鮮のような独裁国家との外交においては、一部の政治家
や外務官僚が賄賂や外交功績などを餌に一本釣りされて、「密
室利権外交」に引きずりこまれやすい。民主国家において、そ
れを阻止するのは国民世論の役割である。

■9.金丸信、田中均の後継者は跡を絶たない■

 最近でも自民党の加藤紘一元幹事長が、「当時官房副長官だっ
た安倍晋三前首相を中心に(拉致被害者を)返すべきでないと
決めたことが日朝間で拉致問題を打開できない理由だ。返して
いれば『じゃあまた来てください』と何度も何度も交流してい
たと思う」と述べた。[2]

 発言内容の不当性は拉致被害者の家族会・救う会が抗議声明
を出した通りであるが、もう一つ、なぜ今頃、金正日が喜ぶよ
うな事を言い出したのか、に注目する必要がある。

 加藤は、1995(平成7)年に北朝鮮に50万トン、国内価格に
して1千億円ものコメ支援を行った際に、主導役を果たした。
当時、加藤の名代として北朝鮮と交渉をしていたのは、元秘書
の佐藤三郎であり、佐藤が支援物質の通関業者としての顔も持っ
ていたために、「利権疑惑」を呼んだ。[3,p61]

 同時に山崎拓・元自民党副総裁らが中心となって「日朝国交
正常化推進議員連盟」を結成して、北朝鮮への制裁解除と対話
姿勢への転換を主張し始めた。山崎は朝鮮総連の許宗萬副議長
ら幹部と交友があり、朝鮮総連関係者によると「日本の政界の
中では数少ないパイプ役」だという。[4,p13]

 いずれも、米国のテロ支援国家指定解除を見込んで、金正日
将軍様の歓心を買い、「密室利権外交」を再開しようという魂
胆であろう。安倍晋三・前首相が「百害あって利権あり」と激
しく批判した通りである。

 金丸信、田中均の後継者として「密室利権外交」を継承しよ
うとする者は跡を絶たない。
(文責:伊勢雅臣)

朝鮮総連が政界工作を指示 内部文書入手 制裁解除狙う

 北朝鮮の朝鮮労働党の指導下にあるとされる朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)が9月中旬に開いた中央委員会で「われわれは新しい連立政権に対北敵対政策を是正せしめ、日朝平壌宣言を誠実に履行させる対外事業(工作)を進攻的に広げる」などの方針を示し、幹部約350人に政界工作を指示していたことが、産経新聞が入手した総連内部文書でわかった。

 総連は、日本の政権交代をこれまでの対北強硬路線から融和路線に転じさせる好機と受け止めており、16日には都内で欧米などの親北団体を集め、「海外同胞大会」を開いている。

 文書は「在日朝鮮人運動の新しい全盛期を開くため確固とした土台を構築し、同胞が主人となる大衆運動の高揚と革新の成果として総連第22回全体大会を迎えるために」と題した計16枚。来年に予定される総連の「全体大会」に向け、組織拡大など活動指針を明示した。関係筋によると、総連首脳部が訪朝し、朝鮮労働党の指導で作成され、決裁を受けているという。

 文書では「与野党をはじめ政界、言論界、在野の人材、社会団体との事業を強化、日朝関係改善と国交正常化を追求する社会的世論を大きく活気付けること」として親北ムードの醸成を指示。日本政府への働きかけとして、貨物船「万景峰92」の入港禁止など日本の独自制裁の撤廃を「闘争」の目標に掲げた。

 さらに5月の核実験を受けた追加制裁として実施した輸出禁止措置により「同胞が祖国の家族らに送る郵便物や人道物資まで遮断された」などと主張。「前代未聞の人権蹂躙(じゅうりん)だ。国際社会に暴露、糾弾し、新連立政権(鳩山政権)がこれを即時撤回する措置を取るよう強力に要求する」とした。禁止措置では人道目的は例外となっているが、「人道」を理由に新政権から制裁解除を引き出したいようだ。

 一方、地方政界への工作について「いくつかの地方自治体選挙でわれわれの活動を理解し、同情する人材が当選した」と評価し、「これに関連し、地域密着の対外活動(政治工作)を現実的な条件に合わせさらに強化、努力すること」と指示している。

 朝鮮総連は旧日本社会党や総評、日教組などと歴史的な交流関係にあり、民主党の支持団体には、なお関係の深い団体が少なくないとされている。
2009.10.18 00:18
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091018/plc0910180021000-n1.htm
民主党の事務局自体が旧社会党職員で固められている。

つまり北朝鮮のシンパばかり。

制裁解除は時間の問題。

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