広島市映像文化ライブラリーコミュの9月名作映画鑑賞会　家族の肖像ホームドラマの軌跡

家族の肖像ホームドラマの軌跡
９月、10月は、「家族の肖像ホームドラマの軌跡」と題して、家族を描いた作品を特集します。今月は、「隣りの八重ちゃん」「人生のお荷物」「一人息子」など、家庭を舞台に家族の哀歓を描き、小市民映画と呼ばれた戦前の松竹の作品や、室生犀星の小説を舞台の名優・丸山定夫の主演で描いた「兄いもうと」、家族を描きながら独特のスタイルを形作っていった、「晩春」「麦秋」「東京物語」などの小津安二郎監督の作品などを上映します。多くの皆様のご来場をお待ちしています。

●９／１（日）　隣りの八重ちゃん
1934(昭和９)年　松竹キネマ　77分　白黒
監督／島津保次郎　　出演／逢初夢子、大日方傳、岡田嘉子、高杉早苗
トーキーに意欲を燃やしていた島津保次郎監督の、一つの到達点を示す作品。東京の郊外、空き地をはさんで隣り合う恵太郎と八重子の家。二人の淡い恋を軸に、まるで一つの家族のように親しく付き合う二軒の家の日常を生き生きと描く。
①10：30～　②14：00～
鑑賞料／大人370円・シニア（65歳以上）180円・こども180円

●９／６（金）　人生のお荷物
1935(昭和10)年　松竹キネマ　67分　白黒
監督／五所平之助　　出演／斎藤達雄、吉川満子、田中絹代、坪内美子
一男三女を持つ初老のサラリーマンが主人公。三人の娘を嫁がせてほっとしたのも束の間、晩年に生まれた小学生の長男を一人前にするまで、父親は頑張らなければならない。サラリーマンの哀感をしみじみと描いた小市民映画の代表作。
①10：30～　②14：00～　③18：30～
鑑賞料／大人370円・シニア（65歳以上）180円・こども180円

●９／７（土）　一人息子
1936(昭和11)年　松竹キネマ　82分　白黒
監督／小津安二郎　　出演／飯田蝶子、日守新一、葉山正雄、坪内美子
家族の関係を繰り返し描く小津安二郎監督の戦前の代表作。一人息子を進学させるために懸命に働いた母親が、東京に住む息子に会いに来る。が、妻子と暮らす息子は、母親が思うほど出世していなかった。そうした、親子のつらい現実を描く。
①10：30～　②14：00～　③18：00～
鑑賞料／大人370円・シニア（65歳以上）180円・こども無料

●９／１３（金）　兄いもうと
1936(昭和11)年　P.C.L.映画製作所　61分　白黒
監督／木村荘十二　　出演／竹久千恵子、丸山定夫、英百合子、小杉義男
室生犀星の同名小説の映画化。東京近郊、多摩川沿いの農村が舞台。荒っぽい性格だが誰よりも妹思いの兄は、東京に奉公に行って妊娠して帰ってきた妹を激しく叱る。ぶつかり合いながらも強い絆で結ばれる兄妹愛を描いた作品。
①10：30～　②14：00～　③18：30～
鑑賞料／大人500円・シニア（65歳以上）250円・こども250円

●９／１４（土）　戸田家の兄妹
1941(昭和16)年　松竹　104分　白黒
監督／小津安二郎　　出演／佐分利信、高峰三枝子、三宅邦子、坪内美子
東京麹町の名門戸田家。父の死後、母親と末娘は、すでに家庭を持つ兄や姉たちに冷たく扱われる。それを知った次男は、兄や姉を非難し、二人を引き取ることに…。大家族を取り上げ、うすれてゆく家族の絆を松竹のオールスター・キャストで描く。
①10：30～　②14：00～　③18：00～
鑑賞料／大人370円・シニア（65歳以上）180円・こども無料

●９／１５（日）　晩春
1949(昭和24)年　松竹　108分　白黒　
監督／小津安二郎　　出演／笠智衆、原節子、月丘夢路、杉村春子
小津安二郎監督と原節子が初めてコンビを組んだ作品。鎌倉に住む大学教授とその娘。父を一人にしたくないと、娘は結婚に乗り気ではないが、父は寂しさをこらえて娘を嫁がせようとする。父と娘の愛情を端正なスタイルで描いた小津作品。
①10：30～　②14：00～
鑑賞料／大人500円・シニア（65歳以上）250円・こども250円

●９／１６（月・祝）　麦秋
1951(昭和26)年　松竹　125分　白黒　
監督／小津安二郎　　出演／原節子、笠智衆、淡島千景、杉村春子
鎌倉に住む間宮一家。紀子は家族が勧める縁談を断り、これまで兄妹のように付き合ってきた子持ちの医師と結婚することに。紀子の結婚問題を軸に、老父母、兄夫婦、その子どもたちなど、間宮家の人間模様を描く。
①10：30～　②14：00～
鑑賞料／大人500円・シニア（65歳以上）250円・こども250円

●９／２５（水）　命美わし
1951(昭和26)年　松竹　80分　白黒　
監督／大庭秀雄　　出演／笠智衆、佐田啓二、淡島千景、杉村春子
観光名所の城の近くに住む伊村夫婦は、濠に飛び込む自殺者を幾度も助けていた。救われた人々と伊村一家とのふれあいを通して、人の心の優しさや、生きる喜びを描く。笠智衆と杉村春子が、善意あふれる夫婦を好演。
①10：30～　②14：00～　③18：30～
鑑賞料／大人370円・シニア（65歳以上）180円・こども180円

●９／２６（木）　息子の青春
1952(昭和27)年　松竹　45分　白黒　
監督／小林正樹　　出演／三宅邦子、石浜朗、笠智衆、小園蓉子
小林正樹監督がデビューを飾ったホームドラマ。兄はガールフレンドとの初デートに心をときめかせ、一方弟はケンカをして周囲をはらはらさせる。思春期を迎えた兄弟と、彼らを優しく見守る父母たちを、さわやかなタッチで描いた小品。
①10：30～　②14：00～　③18：30～
鑑賞料／大人500円・シニア（65歳以上）250円・こども250円

●９／２７（金）　稲妻
1952(昭和27)年　大映　87分　白黒　
監督／成瀬巳喜男　　出演／高峰秀子、浦辺粂子、三浦光子、香川京子
林芙美子の同名小説の映画化。一男三女の父親がそれぞれ違うという一家の物語。今の生活に不満を感じていた末娘は、母や兄たちの不甲斐なさに愛想をつかし、家を出て自立しようとする。濃密な生活感のなかで家族の葛藤が描かれる。
①10：30～　②14：00～　③18：30～
鑑賞料／大人500円・シニア（65歳以上）250円・こども250円

●９／２８（土）　東京物語
1953(昭和28)年　松竹　136分　白黒　
監督／小津安二郎　　出演／笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子
家族を描いてきた小津安二郎監督の集大成ともいえる作品。尾道から上京して、一家をなした子どもたちの家を訪ねた老夫婦は、疎遠になった親子関係に失望する。人生のわびしさはかなさ、家族の絆のもろさをしみじみと描く。
①10：30～　②14：00～　③18：30～
鑑賞料／大人500円・シニア（65歳以上）250円・こども無料