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プルードンコミュのプルードンのフェアトレード論

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「アンチノミーは解消されない。ヘーゲル哲学が全体として根本的にダメなところはここだ。アンチノミーをなす二つの項は互いに、あるいは、他のアンチノミックな二項との間でバランスをとる」(プルードン『革命と教会における正義』より*1)

第二次大戦前の1931年に出版された手塚寿夫(TEZUKA Sumio)著、『国際貿易政策思想史研究』に「プルードンの国際貿易政策論」が掲載されている。
これはプルードンの『経済的矛盾の体系』の第二部冒頭にあたる第9章にある貿易論を論じたものだ。
プルードンのそれは一見単純は保護貿易論に見えるが、そうではない。プルードンは自国の国益だけを見ているわけではないからだ(*2)。これはプルードンのフェアトレード論なのだ。フェアトレードは、普通、顔の見える関係と説明されることが多いが、プルードンはここではマクロの視点から説明している(*3)。
プルードンは基本的には、労働価値説によって、交易する両国の労働条件の平等化を訴える。そして最終的には関税に頼らない平等化への道を提示する。
これはフェアトレードは単にフェアな取引のことではなく、公正な世界を目指す運動だという考えと呼応する。
そういえば、僕がエクアドルに行ったときフェアトレードのことをコメルシオフスト(交換の正義)と言っていたことに少し驚いたのだが、これはピ・イ・マルガル(Pi y Margall)(*4)などプルードンをスペイン語訳した先人達の用語法の影響もあるのかもしれない。
相互性という概念を国際貿易に適用するプルードンには先見性を感じる。

ただし、この『経済的矛盾の体系』第二部は英語すら出ていない。日本語訳はもちろん前半すら出ていない。サルトルの指摘する欠席裁判が続いているのだ(『文学とは何か』)。

手塚氏は「「私はこれからプルードン主義者として論文を発表する」という趣旨の文を書き残して死んでいったそうだ(*5)。手塚氏の蔵書は小樽商科大学に寄贈されている。
戦前の風潮のなかでのこの発言は重いものを感じる。
連合の原理は急速に必要なものになっているし、われわれは来るべき時代への指針としてプルードンを必要としている、とさえ思う。

(1)斉藤悦則氏のHPより
http://www.minc.ne.jp/~saito-/travaux/vive.html
(2)例えばイタリアの統一に反対したプルードンをフランスの利益を考えたからだと言う人もいるが、プルードンは返す刀でナポレオン三世の独裁を批判する、、、

(3)ソフィア・ミニーさんが行っている第三世界ゲーム(貧富の差ごとにグループ分けをし、くじ引きでケーキの量が第三世界のチームだけ少なくなる食事会をかねたワークショップ)などが面白い(「ソトコト」2007.4参照)。

(4)以下にマルガル訳の『経済的矛盾の体系』のスペイン語版の写真がある。ブックデザインが素晴らしい。
http://yojiseki.exblog.jp/d2005-05-24

(5)以下の一橋大学附属図書館のHPに小樽商科大学の手塚壽郎教授文庫についての文章が載っています。
http://www.lib.hit-u.ac.jp/service/KANE/kane36.htm

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