ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

神話と神コミュのインド神話

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
仏教を経由して日本にも伝わってきているインド神話の特徴をひとつ挙げるとすれば、「混沌」ということになるだろう。

数千にもおよぶ神の名前があり、それらのうちのある神とある神が同一の神であるとされることもある。またそうではなく、違う神であるという異説もあり、さらに、じつはそれとは別の神と同一の存在なのだ、という説も存在したりする。このような「混沌」こそが、インド神話の最大の特徴なのである。なぜこのような状態になったのかといえば、インド神話の成立過程に依っている。

そもそもインドは、紀元前3000年ごろ、人類最古の文明のひとつといわれるインダス文明が栄えた地であった。当然そこには独自の信仰があり、神々がいたが、現在それらの神々は当時の姿では残っていない。紀元前2000年ごろから、中央アジアより侵攻してきたアーリア人によって、インダス文明は滅ぼされたからである。

このアーリア人たちの子孫が、現代のインド人なのだが、彼らが信仰していたのは天空神ディアウスやインドラ神などの神々であった。それらの神々の存在は、紀元前1500〜1200年ごろに成立した聖典『リグ・ヴェーダ』に書き記されており、ヴェーダの神と呼ばれている。これが、インド神話の第1期の神々である。

ちなみに、天空神ディアウスは、その性格も、名前の語源も、ギリシャ神話の天空神であり主神である、ゼウスと同一であるという説があるのは興味深い。

さて、紀元前900〜700年ごろ、インドでは司祭階級であるバラモンが支配力を強める。バラモンたちによって奥義書である古ウパニシャッド文献が編まれ、そのなかで宇宙創造をした最高神とされたのがブラフマーであった。それと同時に、ブラフマーの妻であるサラスヴァティーや、女神ガンガーなど、彼に連なる神々が神話のなかで勢力を広げる。これが、インド神話の第2期の神々である。

やがて、紀元前500年ごろから、仏教やジャイナ教などの宗教がインドに発生する。その時期に編まれ、インドの二大叙事詩と呼ばれている文献が『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』だ。この叙事詩には数多くの神々の物語が記されているが、そのなかで重要視されたのがヴィシュヌ神とシヴァ神である。これがインド神話の第3期となる。

そして、ここまで眺めてきたすべての神々を包括する形で、紀元前2世紀からヒンドゥー教が形成され、インド神話は完成を見る。ヒンドゥー教のなかには、第1期の神々も、第2期の神々も、第3期の神々も全部含まれる。さらには仏教の神々も、ジャイナ教の神々も、はては、姿や名前を変えたインダス文明の神々をも含まれている。

時代時代によって神々のヒエラルキー内での栄枯盛衰はあるのだが、かといって古い神々も消え去ったわけではない。現代に至るまで脈々とその流れが続いているのである。それゆえ、インド神話をひとことで語ろうとすれば「混沌」というほかないという状況となる。だが、その融通無碍なる「混沌」は、現代においても活力を持った、いきいきとした「混沌」ともいえるだろう。

インド神話(厳密にいえばヒンドゥー神話だが)において、他の地域の神話と一線を画する宇宙観が、「時間」に関する観念である。インド神話では、4つのユガと呼ばれる世界周期によって宇宙は回転しているとされる。第1のユガはクリタ・ユガ期と呼ばれ、法の力が完全に浸透している黄金時代のことである。第2のユガはトレタ・ユガ期と呼ばれ、法の力が4分の1失われた時代だ。第3のユガはドゥーバーパラ・ユガ期と呼ばれ、法の力が半分失われた時代を指す。そして第4のユガはカリ・ユガ期と呼ばれ、法の力が4分の3失われた時代のことである。そしていま我々が生きているのは、暴力と悪徳が支配するカリ・ユガ期であるが、やがてヴィシュヌ神の化身であるカルキ神が悪を滅ぼし、ふたたびクリタ・ユガ期が巡ってくるというのが、インドの宇宙観なのである。

時代を4つに区分するというのは、ギリシャ神話の黄金時代、白銀の時代、青銅の時代、鉄の時代などにも見られる観念だが、ここで注目すべきなのは、暗黒のカリ・ユガ期が終わりを告げ、ふたたび黄金の時代が巡ってきたとしても、また時代は進み、再度、暗黒の時代となるという宇宙観である。何度でも同じことが繰り返されるのである。それは、インドラ神がシヴァ神とヴィシュヌ神に、「すでに永劫の時間のなかで、ひとつの軍勢を作れるほどのインドラ神が存在していたのだ」と告げられる逸話によっても明らかである。この永遠に循環する「時間」という観念は、インド神話の特徴のひとつである。そして、仏教における解脱という観念も、この永久循環と関連しているといえよう。

最後に、インド神話で最大のイベントである「乳海攪拌神話」について解説しよう。

世界のはじめ、神々は不老不死の妙薬「アムリタ」(甘露)を作り出そうと相談していたという。その時、ヴィシュヌはブラフマーに向かって、アムリタを作るために、神々とアスラ族とで海を攪拌しようと言った。そこでヴィシュヌとブラフマーは、まず力持ちのアナンタ竜にマンダラ山を引き抜かせ、神々はその山を海に運んだ。そして、亀の背中に、先端を削った山を乗せて軸棒とし、それに大蛇ヴァースキを巻きつけ、神とアスラ族が蛇の両端を持って引き合い、海をかき回した。

この作業を続けた結果、動物と植物は死に絶えて海中に流れ込み、海水は濁って白い乳のようになった。そして、この乳海からようやく「アムリタ」が出現するのだ。アスラ族はこれを独占しようと争うが、ヴィシュヌは美しい女性の姿になって彼らに近づき、彼らがその姿に見とれているあいだに、神々は「アムリタ」を奪って飲み、不死となるのである。

コメント(2)



 インドの二大叙事詩であり、インドの文化や精神性の根本になっているともいわれる「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」。興味はあっても長すぎて原典を読むのは大変だと思われる人のために、日記に要約版をアップしていますので、興味のあられる方はご覧ください。


 また、「マハーバーラタ」に含まれるインド最高の聖典「バガヴァッド・ギーター」の解説もアップしていますので、こちらも興味のあられる方はご覧ください。



『要約・マハーバーラタ』インデックス
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=629719932&owner_id=535251

『要約・ラーマーヤナ』インデックス
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=933264797&owner_id=535251

『解説・バガヴァッド・ギーター』インデックス
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=498584340&owner_id=535251

『解説・バガヴァッド・ギーター』インデックス(2)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=961367163&owner_id=535251
こんにちは^^
インド二大叙事詩であり、世界三大叙事詩にも数えられるインド神話「ラーマーヤナ」のコミュの管理をしているものです。
このコミュでは、ラーマーヤナはもちろん、その深い意味を説いてあるアディヤートマ・ラーマーヤナを始め、その他のラーマーヤナ関係の文献もアップしています。
もしよろしければ一度ご覧ください^^

http://mixi.jp/view_community.pl?id=5086980

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

神話と神 更新情報

神話と神のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング