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生活保護者の集いコミュの「君のお父さんよりも金持っている自信はあるぞ」現ナマ20万円を持ち歩き、買い物は成城石井…“路上生活”を“優雅な暮らし”と語るホームレス男性の言い分

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https://article.auone.jp/detail/1/2/2/136_2_r_20220121_1642752815144711

「新宿のホームレスの段ボール村」を卒論のテーマにし、筑波大学卒業後、ルポライターとして活躍する國友公司氏は、卒業後もなお「ホームレスは一体、どのような生活をしているのだろうか」という疑問・問題意識を持ち続けていた。

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 そこで同氏が行ったのが、2ヶ月にわたる路上生活だ。ホームレスと交流を重ねながら生活をするなかで気づかされた、彼らの食事や財布事情をはじめとした“生活の実情”とは、いったいどのようなものだったのだろう。ここでは、國友氏の新著『ルポ路上生活』(KADOKAWA)の一部を抜粋。上野周辺で出会ったホームレスの意外な「経済事情」について紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

 ◆◆◆

東京文化会館軒下
 8月23日。

 駅前通路から四郎も寅さんも(編集部注:上野駅前通路で生活していたホームレスに筆者がつけた呼び名)いなくなってしまい、それだけで雰囲気は寂しいものへと大きく変わってしまった。「ホームレスの世界は得てして入れ替わりが激しいからね」と黒綿棒(編集部注:筆者がつけた呼び名)が言っていたが、今それを実感している。

 上野公園には目測で30〜40人ほどのホームレスがいる。その多くは東京文化会館の軒下にダンボールを敷くなどして暮らしている。東京文化会館の営業時間は午後5時までとなっているが、閉まったからといってすぐに軒下で寝ていいわけではない。ホールは22時まで利用可能なため、その時間に消灯となる。すると、公園内のベンチなどで過ごしていたホームレスたちが軒下に集まってくるのだ。



東京文化会館軒下の様子
 消灯後、東京文化会館の周りを歩いてみると、ホームレスたちの中にいくつかのグループができていることに気が付いた。その中から私は、60代くらいの中年男性と20代くらいの青年が2人で暮らしている一角を選び、となりで寝かせてもらうことにした。

 青年はキャリーバッグを一つ転がしているだけだが、中年は大荷物だ。夜になると公園周りのガードレールに括り付けている台車を押してやってくる。

 荷台の上にカーペット、掛け布団、毛布、タオルケットが重ねられ、それをブルーシートで二重に包み、その上にダンボールを数枚置いて、またブルーシートで包む。それらを紐とゴム紐でグルグル巻きにして荷台の取っ手に結び付ける。

 夜、大荷物を解体する様子を見ていると、ダンボール数枚は青年のものだった。青年はそのダンボールを軒下に敷き、キャリーバッグを枕にして眠る。「ただ一緒に寝ているだけ」と青年は言っていたが、それだけ歳の離れた2人が路上で共同生活をしているというのは珍しく、親子のように見える。

 公園の夜というのはとにかく蒸し暑い。木で覆われているため風通しがあまりよくないのだ。来園者もほとんどいないので私は上半身裸になり、濡れタオルを顔にかぶせて眠った。

 翌朝、6時に軒下を出た「仮親子」は、国立科学博物館前のベンチに離れて腰掛けていた。私は青年のとなりに座り、5分ほどの沈黙の後、話しかけた。

「いつから路上ですか? 僕は1カ月前から」

「まだ2カ月くらいやね」

 出身は奈良だという青年。髪にはツーブロックの段差がまだわずかに残っている。

「日中はどこにいるんですか?」

「いや、居場所なんてないから。ずっと公園のベンチに座って夜になるのを待っているだけですよ」

「この辺は手配師が多いですよね。声掛けられませんか?」

「掛けられるけど、今すぐに働ける状況じゃないから」

「怪我とか、ですか?」

「まあ、いろいろですよ」

「男女2人組」の自殺報道
 会話がまったく続かない。あまり人には話したくない事情があるのだろう。中年もベンチに座ってずっと下を向いている。目の前では近所の人たちが元気にラジオ体操をしているが、どんよりとした朝だった。

 それから約3週間後の9月16日、上野公園でこんな事件があった。産経新聞の報道を引用する。

〈 16日午前6時45分ごろ、東京都台東区上野公園の上野恩賜公園公衆トイレ内で、「男性2人が首をつっている」と男性警備員から110番通報があった。駆け付けた警視庁上野署員が、男性用個室内で60代と30代くらいの男性2人の遺体を発見した。自殺とみられ、上野署は2人の身元の確認を進めている。



 同署によると、男性2人は扉の金具部分にロープを巻き、ドアに背を向けて横並びの状態だった。遺体に外傷はなく、鍵は閉まっていた。30代男性の財布内に遺書のようなメモが残されていたという。午前2時ごろに警備員が巡回した際には、異常がなかったという。〉

 死んだ2人の情報からするに、自殺した男性2人組はもしかするとあの「仮親子」ではないか。先を案じ、それならもう2人で死んでしまおうといつも暮らしていた上野公園で命を絶ったのではないか。そのとき私は、上野公園を離れ荒川の河川敷に暮らしていたが、「仮親子」を探しに上野公園に戻った。

 ホームレスの世界というのはとても狭い。都の調査によれば、2021年11月時点での東京都の路上生活者数は800人。こちらも実態を表しているかというと疑問だが、マンモス高校1つ分くらいの規模感である。2カ月路上で暮らし、炊き出しを回って生活していると顔ぶれも覚えてくる。

 あのホームレスは本当にいつも炊き出しにいるな。あのホームレスいなくなったけどどうしたのだろう。あのホームレスは最近生活保護に流れたらしい。といった感じでお互いがお互いを認識している。私も、「あの若い奴最近路上に来たんだな」と思われているはずだ。

 果たして、「仮親子」は見つからなかった。ならば、上野公園にいるホームレスに聞いてみればすぐに分かることである。奏楽堂前のベンチに座っていたホームレスに声を掛けると、「あの事件ね」とすぐに教えてくれた。自殺があったのは公園内にあるコーヒーショップの裏のトイレだったという。

「私、自殺が発覚する1時間前にそのトイレ使ったんだよね。騒がしくなってきたからなんだろうなと思ったら自殺だった。自殺があったのは男子トイレの個室。朝、多目的トイレのカギを開けに来た警備員が全部のトイレを点検するんだけど、そこでふたりの死体を発見したんだって」

 ニュースでは男性2人組と報道されていたが警備員は初め、「男女2人組」と通報した。

「1人は60代の男性、もうひとりは30代の男性なんだけど女装をしていたわけ。だからはじめ警備員は、“男女がトイレで心中した”と思い込んで、警察に通報したんだけど、あとあと調べたら両方男だと分かったみたい」

 女装した男性の首は発見時、傷だらけになっており、はじめは他殺の線も浮かんでいた。しかし現場検証を進めるにつれ、本人の爪の跡だということが分かり自殺と断定された。あの青年が女装をしていたという線も捨てきれないが、ほかのホームレスに青年のことを聞くとすぐに別人だと分かった。

 正岡子規記念球場前で酒を飲んでいたホームレスが話す。

「あの兄ちゃんはな、俺たちで面倒見ていたからな、奈良の実家に帰らせたんだよ。こんなところにずっといてもしょうがないからな。みんなで可愛がってたんだ」

 一緒に暮らしていた中年も変わりなく公園で暮らしているという。完全な私の思い過ごしであった。

 私たちにはどうも、ホームレスたちのことを悲劇的に、そしてドラマチックに見てしまう部分がある。ホームレスとの何気ない交流や彼らの過去は、小説のような人間ドラマ風に美化され「エモい話」として他人に伝わっていく。

 たしかに「エモい話」もあるにはあるのだが、ホームレスも「エモい風」に誇張して話している感すらある。やはり誰でも物語の主人公になるのは気持ちがいいのだ。

 となりで炊き出しの文句を言っていたようなホームレスが小綺麗な服を着た女性に話しかけられると、たちまち「エモさMAX」の昔話を披露し始めたりする。

 その様子を見て私は、「お前そんなんじゃないだろう」と心の中で突っ込み、「彼らが路上でこれだけ頑張っているのだから私も頑張らなくちゃ」といった顔で「またお会いできたら嬉しいです」などと言いながら駅に向かって歩いていく女性を眺め、となりのホームレスとまた元の話題に戻るのである。

年金ホームレスは生活保護を受けない
「世間の人たちはホームレスのことを悲惨だと捉えているでしょう。もちろんそういう人もいるんですよ。だけども、今となってはそういう人のほうが少ない。昔はそういう人ばかりだったけど、辛い人は生活保護に行けるようになった(2008年の年越し派遣村を機に)んだから。今でもホームレスやっている人っていうのは、僕らみたいに年金をもらっている人が多いんですよ」

今のホームレスはただ家がないというだけ
 上野公園で暮らして18年というホームレスの「コヒ」が公園内のベンチに座り、スーパーで買ったキムチをツマミに焼酎を飲みながら話す。

 私はホームレス生活中、年金を受給しているホームレスに多く会ったが、彼らの受給額は全員が7万円であった。その理由をコヒは非常に分かりやすく説明してくれた。

 保険料の納付月数が短く受給額が少ない場合、たとえば3万円/月で貯蓄がない人であれば、多くは生活保護を受けるはずだ。しかし、厚生年金にも加入しており、たとえば14万/月を受給できる人であれば、生活保護を受けることはできないし、そもそも部屋を借りることができる。

 では、7万円/月の人が生活保護を受けるとどうなるか。月12〜13万円もらううち、少なくとも家賃・光熱費で6〜7万円の金が消え、自由に使える金が7万円を切るという現象が起きてくる。

「だったら路上でもいいから7万円自由に使えたほうが俺はいい」

 そう考える人がホームレスになっているのだ。実際にホームレス生活をしていると分かるが、路上で暮らしながら月7万円の収入があれば相当リッチな生活ができる。だって、私は3500円/月でもなんとかなっているのだから。

 現にコヒはその7万円で雨が降ればサウナに泊まり、私のように雨の日に泣きじゃくるといった思いもせずに済んでいる。

「今のホームレスはただ家がないというだけなんだけど、昔の考え方で止まっている人が多いんだよね。このおじさんなんて成城石井で買い物してるんだから」

 コヒはそう言いながらとなりに座るバンダナを頭に巻いたホームレスに話を振った。バンダナのホームレスが自慢気に話し始める。

「俺は毎日モーニングコーヒーを飲んで、昼から酒を飲んで、優雅な暮らしをしてんだぞ。公園の客は気を遣って声を掛けてくるけどな。俺の通帳見てみるか? 君のお父さんよりも金持っている自信はあるぞ。いくらだと思う?」

 金を持っているとはいえ仮にもホームレスである。20万くらいだろうか。

「バカ、20万ならこの封筒に入ってるぞ」

 バンダナのホームレスはポケットから封筒を出し、現ナマ20万を見せてきた。

「そんなの周りに見られたら夜狙われますよ」

 私が注意するとコヒも「兄ちゃんの言う通りだよ」と封筒をしまわせた。コヒは最後にこう言った。

住所がなくても年金給付は受けられる
「ホームレスという呼び方もそのうち変わるんじゃないかな。昔は“ホモ”と言ったけど、今は“LGBT”と呼ぶでしょう。たぶんそういう方向にいくと思うんだよね」

 私もコヒのこの視点がとても腑に落ちる。

 年金の話をホームレスに聞くたびに疑問に思っていたことがあるが、ホームレスは何の問題もなく年金を受け取ることができるのだろうか? 寅さんが言うように、ホームレスの状態が長くなると住民票は「職権消除」されてしまう。

 コヒに聞くと、「住所がないと年金はもらえないよ」と話していた。住民票が削除されるたびに、どこかの施設に入所してそこに住所を置き、またホームレスになるという繰り返しをしたり、お金を払ってどこかに住所を置くのだという。

 しかし、社会問題に詳しい弁護士の大城聡氏は、

「住民票がないからといって、年金を受け取る権利が消滅するわけではない。支払いが止まったとしても、あくまでどこに行ったかが分からないので支払いをストップするということだと予想されます」と話す。

 「住所がないと年金はもらえない」という情報はホームレスの間でまことしやかに広まった噂ではないのか。年金事務所に問い合わせた。以下は電話で聞いた内容である。

 まず、年金受給開始の手続きをする際には、住所の登録が必要になる。振込の案内などの書類を定期的に送る必要があるためだ。

 では、年金受給中にホームレスになり、住所を「職権消除」された場合はどうなるか。現状、受給者の住所は住民票の住所と連動することがルールになっている。そのため、住民票が「職権消除」されれば、その事実は年金事務所に伝わり、生存の確認が取れていないという理由から年金の支払いは停止される。

 ただ、毎年誕生日に「現況届け」を近くの年金事務所に提出すれば、生存の確認が取れたということで、住民票の住所がない状態でも引き続き年金を受給することができる。

 このように年金事務所に問い合わせをすれば、「現況届け」の存在を知り提出することができるが、コヒなどはそれを知らず、定期的に(おそらく誕生日付近に)どこかしらに住所を置き、更新をしているのだ。

写真=國友公司

取材監修:東京千代田法律事務所・大城聡弁護士

【前編を読む】「東京五輪のセレモニーをやるから2日間だけどいてくれ」路上生活で体験した“ホームレス排除”のリアル《行政からの無言の圧力も》

コメント(1)

メンタル、体力、行動力が素晴らしいホームレスさん。
尊敬しますね。
彼らを見習うところは多いですよ。

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