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生活保護者の集いコミュの生活保護バッシングが起こる背景。「休んでも大丈夫」な社会を作るには

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https://news.yahoo.co.jp/articles/a803fab61baa13da0227c73fe005fd6f8188b8d1

新型コロナウィルスが猛威を振るうようになり、1年以上経過したものの政府は適切な対応を見いだせていない。そのシワ寄せは中小企業に集中。中小企業は日本の会社の9割以上を占め、日本経済を支える屋台骨と言っても過言ではない。

 前回、前々回と、『この経済政策が民主主義を救う』などの著書がある立命館大学教授の松尾匡氏に話を聞いていくなかで、私たちの生活がますます困窮する恐れが浮かんできた。

 今回も、松尾教授に日本経済が豊かになるため、そして私たちが「頑張らなくても良い」と思える社会を作るために必要なことを聞いた。

消費税は財源ではない
 これ以上、日本経済を深刻化させないために必要な政策として「まずは消費税停止」だと、松尾氏は言う。本当にそんな荒唐無稽なことが可能なのか!?

「消費税増税のために追い詰められた中小企業は非常に多い。なにより、消費税増税は消費財を値上げするため、国民の消費意欲をストップさせ、経済の循環を止めてしまいます。もとより、『急増する高齢者を支えるために増税して社会保障を充実させよう!』という名目で増税が繰り返されてきましたが、税金は財源ではありません。

 税金とは、市場にお金が過剰に溢れてしまうとインフレを起こしてしまうので、民間からお金を吸い上げてインフレを抑制するためのしくみです。インフレが過熱している時であれば理解できますが、長期間のデフレ下である日本において、何度も消費税増税を進めた政府の対応は大変許しがたい」

困窮している国民や企業を救うには

 松尾氏は「政府が積極的な財政支出を行わなければいけません」と続ける。

「2020年に実施したような一律給付金、新型コロナウィルスの影響によって損失を被った中小企業に対する手厚い支援といった広い範囲での給付策の実施。他にも、福祉や医療、子育て支援など、様々な分野への投資の拡大。

 日本の生産性の低さは長期間のデフレのために消費が冷え込んだ末の需要不足が原因ですので、政府が財政支出を拡大することにより、需要創出・雇用創出を促さなければいけません。その結果、困窮している国民や企業を救うことになり、ひいては国内産業の強靭化も進められ、危惧してきた産業空洞化を防ぐことが可能です」

日本が財政破綻する可能性はないのか?
松尾匡氏

「菅政権下ではとりわけ、人口減少が止まらないため、東南アジアへの対外直接投資が急増するなど、国内市場の成長に見切りをつける政策が進められてきました。

 確かに労働力人口が伸びなければ将来的に経済規模の拡大が望めず、企業は投資を躊躇してしまう。これでは需要も雇用も伸びないため、国が企業の代わりに投資をすれば良いだけの話。一見、合理的に見える政策を進めていますが、そもそも政府が積極財政に踏み切れば、まだ需要は伸びるので問題ないのです」

 消費税停止や積極財政で「財源はどうするのか?」と思うが、松尾氏は「先ほども申し上げましたが、税金は財源ではありません」と全く問題ないと話す。

「なんなら政府が発行した国債を日銀に買わせて、そのお金を財源として財政支出を行えば良いのです。日銀は政府の子会社のような関係性ですので、借金を返済できずに日本が財政破綻することはありえません。

 にもかかわらず、国と家庭のお金に対する考え方を混同して『消費税を上げて財源を捻出しろ!』『借金は返さなければいけない!』と考えている人は政治家だけでなく、経済学者であっても少なくない」

 こうした、財政赤字を拡大させることで、生産を向上させる手法は「MMT(現代貨幣理論)」と呼ばれ、欧米諸国で熱心に議論されている。

“国の借金”についての認識の誤り

 財源に対する追求と同様、“国の借金”というフレーズも頻繁に耳にするが、「“国の借金”とメディアで喧伝されているものは、実際には“政府の債務”であり、『国民一人あたり○○万円』という理屈は誤りです」と解説する。

「詳しく言えば、高度経済成長期から現在までの民間の貯蓄不足・貯蓄超過と、政府の黒字・赤字の状況を見ると、両者は対応しており、おおざっぱな表現をすると“政府の借金(財政赤字)=民間の貸金(貯蓄超過)”と言えます。

 これは、民間設備投資が低調になって企業が借金をしなくなった時代の帰結であり、そこを無理に政府の借金を返済しようとすると、民間貯蓄が減ることで、イコール(=)が維持されることになります。それは、所得が減ることで貯蓄が減るということであり、大不況になることを意味します」

積極財政を進める米国バイデン大統領
「政府は長年にわたってプライマリーバランス(PB)黒字化を推進してきましたが、6月に発表された『経済財政運営と改革の基本方針2021(仮称)(原案)』において、『骨太方針2018で掲げた財政健全化目標(2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す)を堅持する』と記されていました」

 このことに松尾氏は「積極的に財政支出を増やさなければいけない状況下を理解しておらず、いまだに“国の借金”神話の根強さを感じます」と呆れる様子を見せた。

 財務省の意向もあるため積極財政に転換することは難しそうだが、そんななかでも松尾氏は「最近は流れが変わりつつあります」と希望を示す。

「アメリカではバイデン大統領が就任して以降、1人当たり約15万円の給付策を実施するなど、大規模な積極財政を見せています。2021年8月にはインフラ整備に約110兆円を充てる法案を可決しており、国土強靭化も含めて、経済成長を図るために大胆に“国の借金”を増やしています」

財政支出を削減する日本は時代遅れ
写真はバイデン氏の公式ツイッターより

「EUでも、各国に財政赤字をGDP比3%以内に抑えること、公的債務を60%以内に抑えること、といった財政規律の順守をコロナ禍では凍結することを決め、6月に開催されたG7では継続的な積極財政を掲げました。『国の借金が〜』『財源が〜』と言って財政支出を削減することは完全に時代遅れであり、日本でも徐々にですが考え方が改められているように感じます」

 実際、経済産業省は6月に「経済産業政策の新機軸〜新たな産業政策への挑戦〜」という資料を発表。

「そこには『財政政策によって総需要不足を解消し、マイルドなインフレ(高圧経済)を実現することは、民間投資を促します。長期の成長を実現するためにも必要』『コロナ対策やマイルドなインフレを実現するための財政支出の拡大は、財政収支を悪化させるが、超低金利下では、そのコストは小さい』など、積極財政をうかがわせる記述が見られました。

 緊縮財政を進めている財務省の官邸支配に対する、経済産業省からのアンチテーゼなのかは不明ですが、政府内でも緊縮財政への見方は変化しています。この経産省の資料では、バイデン政策はじめ世界の積極財政の潮流を詳しく研究しており、この潮流を最大限財界サイドに有利なように利用する意図を持ったプランとして、警戒して今後の動きを注視する必要があると思います」

完全雇用が“頑張らなくて良い社会”を作る
bizSPA!フレッシュ

 ここ最近、企業に対して“生産性”という言葉を使って批判的な論調を展開する識者は少なくないが、その傾向は個人レベルでも例外ではなく、多くの人が「頑張らなければいけない!」「市場価値を高めなければいけない!」と口にする。

 松尾氏は「完全雇用(待遇に対する不満があるために働かない自発的失業、転職や労働条件の不一致から一時的に働かない摩擦的失業を除き、労働の意思のある人がすべて働いている状態)を実現することが大切です」と解決案を語る。

「新自由主義的な考え方に至ってしまう背景として、経済状況が不安定であるために他人に配慮する余裕がないことが挙げられます。デフレ下では、どうしても数限りある職を奪い合う構図になりやすく、政府が生活困窮者を支援しようものなら『自分達の税金を怠け者に使うな!』と攻撃的な気持ちを持ってしまう。

 ただ、景気が改善すれば、無理をして労働環境の悪い職場で働き続ける必要がなく、金銭的な不安感を抱かずにすむ。そのため、政府が積極的な財政支出を実施し、誰もが良質な雇用に就ける環境を整備すれば、他者に自己責任論を押し付けることなく、『頑張らなくても生きていて良い』『しんどくなったら休んでも大丈夫』という意識を醸成できるでしょう」

今私たち個人ができることとは?
 そして、個人レベルができることについて、「まず『日本で財政破綻することはあり得ない』『政府の借金を恐れる必要はない』ということを知ること」と強調する。

「この財政破綻論が『生産性の低い中小企業は潰すべき!』『政府や会社は頼れないから、個人で稼ぐ力を身につけなければいけない!』といった新自由主義的な考え方を生み出す元凶になっています。

 インフレ率が過剰に上昇しない限りは、政府は積極的な財政支出を行って良い、ということが国民の意識として共有されれば、生活保護バッシングのような“生産性=必要性”とする従来の息苦しい価値観から脱することができるでしょう。

 なにより、2021年は11月に衆議院選挙があります。どの候補者、どの政党が積極財政を表明しているのか、中小企業を淘汰する政策を推進しているのか、といったことに注視して、投票しなければいけません」

 むやみに他人を叩くことをやめ、まずは日本の財政を考えることから始めてみてはどうだろうか。

<取材・文/望月悠木>

【松尾 匡】
経済学博士。1964年石川県生まれ。神戸大学大学院経済学研究科博士課程後期課程修了。久留米大学経済学部教授を経て、2008年立命館大学経済学部教授。著書に『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店)、『「反緊縮!」宣言』『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』(ともに共著、亜紀書房)、『新しい左翼入門』(講談社現代新書)等がある

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