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生活保護者の集いコミュの大炎上の新今宮ワンダーランド、現地の本音を聞いたら意外すぎた 西成の課題解決のために必要だった「イメージ向上」

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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65168

「正直言って心外です。納得できない部分がたくさんあります」

──やはりそうですか。新今宮ワンダーランドのどんなところに対してですか。

「新今宮ワンダーランドに対してではありません。西成のことを何も知らずに外からわーわー無責任に批判してくる人たちに対してです」

 NPO法人 釜ヶ崎支援機構の小林大悟さんに「新今宮ワンダーランド」炎上への感想を聞いたところ、返ってきたのは意外な言葉だった。


 小林さんは大阪市西成区で貧困者や無職の若者の支援活動に携わっている。「新今宮ワンダーランド」プロジェクトには地元のいろいろな立場の人が関わっており、小林さんも福祉に携わる立場から協力しているのだという。小林さんはどのような理由で新今宮ワンダーランドに協力しているのだろうか。そして、批判のどんな部分に対して“納得できない”というのか。

(注)「新今宮」はJR大阪環状線と南海電鉄の駅名。駅の南側が西成区(北側は浪速区)。西成区の中で、簡易宿所が集中し、日雇い労働者や生活保護受給者、路上生活者らが多く暮らす地域が「釜ヶ崎」もしくは「あいりん地域」という通称で呼ばれる。

新今宮ワンダーランドが浴びた猛批判
 4月19日にエッセイストの島田彩さんが「note」に投稿した「ティファニーで朝食を。松のやで定食を。」という記事が炎上した。日本最大の日雇い労働者の街、西成で出会ったホームレスとの交流を綴った内容が、「ホームレスを見下している」「貧困をエンタメにしている」「“エモい”読み物にしている」などとバッシングを浴びたのだ。

 この記事が「新今宮ワンダーランド」プロジェクトのPR記事だったことから、プロジェクト自体にも批判の矛先が向けられた。

 新今宮ワンダーランドとは、新今宮エリアのブランド向上事業として、同エリアの魅力を情報発信するプロジェクトだ。主体は大阪市西成区役所。電通が事業を受託し、施策を立案した。「来たらだいたい、なんとかなる。」をキャッチコピーに掲げ、ポスターやリーフレット、ウェブサイトなどを通じて情報発信を行っている。

 ネット上で新今宮ワンダーランドに向けられた批判は、たとえばこんな具合である。
「西成の悲惨な現状を覆い隠そうとしている」
「ホームレスを見世物にしようとしている」
「西成を観光地化してホームレスを追い出そうとしている・・・」

「地域の人たちが置き去りにされている」という批判もあった。では、実際に現地の人は新今宮ワンダーランドをどう受け止めているのだろうか。自分たちが暮らす街がブランディングされ観光地化されていくことにどのような感情を抱いているのか。生の声を聞くために、小林さんに取材を試みた。すると、冒頭のように予想外の答えが返ってきたのだ。


「西成特区構想」の一環だった
 そもそも新今宮エリアのブランド向上事業はなぜ始まったのだろうか。大阪市に説明を求めた。対応してくれたのは、西成の環境整備や福祉政策を担当してきた西成区役所総務課 企画調整担当課長代理の狩谷健三さんだ。狩谷さんとのやり取りは以下の通りである。

──新今宮エリアをブランディングする狙いについて教えてください。大阪では2025年に万博が開催されます。新今宮駅のすぐ北側には、万博開催を前に星野リゾートが大型ホテルを建設中です。そうやって大阪が万博に向けて盛り上がるなか、「西成をきれいにして観光地化しようとしているのだろう」という指摘があります。


新今宮駅の目の前で建設が進む大型ホテル「星野リゾートOMO7(おもせぶん)大阪新今宮」
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狩谷健三さん(以下、敬称略) そういう指摘をよくいただくのですが、誤解されている部分があります。新今宮エリアのブランディングは、2013年からスタートした「西成特区構想」という大きな政策の中の施策の1つなのです。

 西成特区構想は「第1期」「第2期」が5年ごとに進められ、現在は第2期に取り組んでいるところです。第2期の施策の1つとして行っているのが、新今宮エリアのブランディングということになります。


西成区役所総務課 企画調整担当課長代理の狩谷健三さん
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──「西成特区構想」とはどのような構想ですか。

狩谷 西成区のあいりん地域は、以前からさまざまな深刻な問題を抱えていました。治安の問題、ごみの不法投棄や立小便などモラルの問題、生活保護者の急増、野宿生活者や貧困高齢者の劣悪な生活環境の問題などです。

 平松邦夫市長の時代から、大阪市ではあいりん地域の問題をどうやって解決するかを議論してきました。そうしたなか、橋下徹さんが市長に就任すると、「西成の問題は大阪全体の問題だ」として「西成の課題解決に集中的に取り組む」ことを打ち出しました。そこでスタートしたのが西成特区構想です。

 西成特区構想は、「目の前の課題の解決」と「将来への戦略的投資」という2つの車輪から成り立っています。第1期は、とにかく「目の前の課題」を解決することに取り組みました。その結果、違法露店や違法駐輪の撤去、野宿生活者への住居の提供、ごみの不法投棄の減少など、環境面や治安面で大幅な改善を図ることができました。


 でも、それだけではこの街の問題を解決できません。西成は高齢化率も人口減少率も、生活保護を受ける人の割合も、大阪で一番高いのです。かつては西成にやって来るのは仕事を求める労働者でしたが、今は福祉を求める人たちです。もちろん福祉には今後も力を入れていきますが、福祉一辺倒ではこの街が停滞して、立ち行かなくなります。若者・子育て世帯の流入や地域経済の刺激などによって街を成長・活性化させる必要があります。

そこで第2期では、もう1つの車輪である「将来への戦略的投資」の取り組みを始めました。新今宮ワンダーランドは、その中の「街のイメージ向上」のための施策です。

──第1期の環境面、治安面の対策はやめてしまうのですか。

狩谷 いいえ、引き続き取り組んでいきます。これまでの施策を継続しつつ、プラスアルファとして街の成長と活性化に取り組むということです。

──なぜ、街のイメージ向上が必要なのでしょうか。

狩谷 西成は変わりつつありますが、残念ながらそのことが知られていない状況です。これでは若者・子育て世帯も入ってきません。まず、西成が大きく変わってきていることを多くの人に知っていただきたいのです。そして実際に来ていただいて、街の活性化につなげたい。新今宮エリアにはさまざまな観光資源があります。今はコロナなので「来てください」とはなかなか言えませんが、まずはこのエリアに興味を持っていただきたいと思います。

──この一帯にどんな観光資源があるのですか?


狩谷 「新今宮エリア」というのは、新今宮駅を中心とした半径約1キロのエリアを指しています。駅の北側には通天閣、新世界やジャンジャン横丁といった大阪を代表する観光地があります。また、西成にも昭和レトロな商店街や大衆演劇、上方落語の演芸場、西成ジャズのライブハウスといった観光資源があるんですよ。さらにコロナ前は、簡易宿所をリニューアルしたゲストハウスに、多くの外国人観光客が泊まりにきていました。

──街のイメージを向上して、“お金を落とす人”に来てほしいということでしょうか。結局は“儲かる街”にするために貧困層を追い出したいのではありませんか?

狩谷 そうではありません。貧困で本当に困っている人がいたら西成を頼って来てくださればいいし、例えば「困っている人を支援したい」という人にも来てほしいと思います。西成が、そうやってどんな人でも受け入れる“社会的包摂力”のある街であることは、これからも変わりません。

西成が怖くてこの街にたどり着けない人がいる
 狩谷さんは、西成は成長と活性化の施策を打ちながらも、ずっと“社会的包摂力”のある街であり続けるという。

 それでは、福祉の最前線の現場にいる小林大悟さんは、新今宮ワンダーランドをどのように見ているのか。

 小林さんは、西成のイメージ向上が必要な理由について次のように語った。


NPO法人釜ヶ崎支援機構の小林大悟さん
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「いま、仕事をせずにネットカフェなどで寝泊まりし、ホームレスになる一歩手前の若者が増えています。そういう人たちを僕らは受け入れて、生活や就労の支援をしています。

 僕たちに限らず、西成には、貧困な高齢者や、仕事や住まいをなくした若者の就労などを支援する団体や支援者が集まっています。無料で診てもらえる病院もあります。ここは、なにがしかの事情で流れ着いた人が“なんとかなる”力を持った街なんです。

 でもその一方で、『西成は怖くて行けない』という人がいます。支援が必要なぎりぎりの状態なのに、“西成は怖い、危ない”というイメージのせいでこの街にたどり着けない人がいる。そういう状況を変えたいと考えています。


 僕は西成の生まれです。西成の移り変わりをずっと見てきました。10年前、20年前の西成は確かに不法投棄のゴミがたくさんあったし、危ないと感じられる場所もありました。新今宮の駅を降りると小便の匂いが漂ってきたし、昼間から覚醒剤の密売人がうろうろしている場所だってありました。でも今は野宿する人もゴミの不法投棄も、完全になくなったとは言わないけど、ものすごく減っており、以前とは街の様子は大きく変わりました。だから安心してこの街にやって来てほしい。しんどい状況の人たちが最後の最後にこの街の社会資源を頼れるようになってほしいのです。そして、再チャレンジして羽ばたいていってほしい。そういう思いで、新今宮ワンダーランドに協力しています。西成の姿を正しく知ってほしいから、情報発信の際は、日雇い労働者や困窮者の存在、街の歴史などを覆い隠さないよう事務局に意見を出しました」

「今回の島田彩さんの記事や新今宮ワンダーランドを外から批判してくる人は、西成に対してある種の“思い込み”があるのではないかと思います。ホームレス状態の人たち10人ぐらいに今回の一件を『どう思う?』って聞いたけど、誰もなんとも思っていませんでした。むしろみんな新今宮ワンダーランドについて『いいんちゃう?』と肯定的に評価しています。

『観光地化するとホームレスが街から追い出される』と言って批判してくる人がいます。そこで僕はホームレスの人に『この街が観光地みたいになってあなたたちの行き場がなくなるって言う人がいるんだけど大丈夫?』と聞いてみたんです。すると、『俺らはどこでも寝れるよ。バカにするなっ』と言って怒る人もいました。今回の件で批判的に見ている人の中には『ホームレス状態の人たちは自分では何もできず助けを求めている、助けがなければ生きていけない』──という固定観念にとらわれている人もいるのかもしれないと思いました。ホームレス状態の人も一人ひとり考えや状況が違うので、そんなふうに決めつけるのは危険だと思っています」

大阪の人も知らない西成の変化
 西成の住民には、ビジネスを営む人もいる。たとえば、宿泊施設の経営者だ。

釜ヶ崎では景気の後退とともに1990年代後半から日雇い労働者の数が激減した。簡易宿所の宿泊者も減少の一途をたどる。その対策として、2005年頃から外国人旅行者向けに舵を切る簡易宿所が現れ始めた。1泊2000円以下で泊まれる安さが評判を呼び、外国人バックパッカーが押し寄せてくるようになる。現在では、釜ヶ崎の「太子」地区に、外国人旅行者向けのホテルが立ち並ぶ。

「ホテル東洋」もそんなホテルの1つだ。もともとは日雇い労働者向けの簡易宿所だったが、2代目経営者の浅田裕広さんが外国人旅行者向けに改装。コロナ禍の前には1日に100人以上の外国人観光客が泊まりにきていた人気ホテルである。


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 浅田裕広さんに、現地の人間として新今宮ワンダーランドをどう思うか尋ねてみた。浅田さんも、西成の変化を目の当たりにしてきた1人だ。また、街の変化を自ら生み出してきた当事者でもある。そんな立場から、次のように話してくれた。


ホテル東洋代表取締役の浅田裕広さん
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「新今宮ワンダーランドは、すごく魅力的なプロジェクトだと思っています。西成について『めちゃくちゃいいところです。きれいなところです』などとは言わずに、『このままの姿を見てよ』と訴えている。すごくいい試みだと思います。


 大阪の中でも、西成の今を知らない人が大勢います。うちにバイトの面接に来る子は、採用が決まって親に『西成でバイトする』と報告すると『やめなさい、あんな危ないところ』と言って止められます。そんな子が何人もいてます。大阪の人でも、西成が大きく変わってきたことを知らないんです。

 マスコミは、とかく昔のままのイメージで西成を伝えようとします。テレビ局なんかは、ここに泊まりに来る外国人に『ここは昔、暴動があったんですよ、こんなに治安が悪いんですよ、こんなところに泊まりに来て大丈夫ですか』とマイクを突きつけて驚かせたり怖がらせようとします。でも、外国人はなんとも思っていないし、場合によっては自分の国より断然ここのほうが治安がいいわけです。テレビ局は欲しい反応がもらえず、『これでは番組にならない』と言って帰っていきます。

 西成のことを何も知らずにイメージだけで『怖い、汚い』と言っている人は、とにかく1回来てもらいたい。自分の目ですべて見てもらいたい。そうしたら絶対にイメージが変わると思います。実際に見て、歩いてもらって、『めっちゃ面白かった』と言ってもらいたい。そんな人が増えたら、こんなに嬉しいことはありません」

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