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生活保護者の集いコミュの福島市の「生活保護中傷チラシ」に見る根深い低所得者バッシング

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コミュ内全体

http://diamond.jp/articles/-/134472

みわよしこ

昨冬から昨冬から福島市内で配布されている「生活保護中傷ビラ」からは、低所得者への根深い偏見と悪意が色濃く見える。この社会の歪みはどうしたらなくなるのか(写真はイメージです)
悪意に満ち溢れた内容に戦慄
福島市で配布された中傷チラシ

 本日は7月7日、七夕だ。日本のあちこちで、小さな短冊に託された願い事が、笹の小枝の先で揺れていることだろう。中には、「ライバルの○さんが活躍できなくなりますように」「△さんが□さんと別れてくれますように」といった内容の短冊も含まれているかもしれないが……。


生活保護中傷チラシ。福島市内で昨冬より複数回にわたって配布されている。生活保護に関する誤解・偏見・悪意でいっぱいだ。賛同の意を国会議員に示すための署名欄もある 拡大画像表示
 昨冬から数回にわたり、福島市内の複数の公営住宅で、「生活保護費は現物支給か大幅削減してこそ真の平等」「生活保護受給者を支える納税者にも生活権を」と大書されたチラシが住民の郵便受けに配布されている。現在のところ、作成者・配布者は不明だ。

 私にこのチラシを最初に見せてくれたのは、福島市内の公営住宅に住むミサトさん(仮名・41歳)だ。ミサトさんは必死で働きながら1人娘を育ててきたが、過労と困窮の末に心身を病んで倒れた。現在は治療を続けながら、高校生になった娘とともに生活保護で暮らしている。

 チラシの内容は、生活保護制度に対する無知と生活保護で暮らす人々に関する偏見に満ち溢れているのだが、「紋切り型の」という紋切り型の文言で評するのもはばかられるほど、手垢にまみれすぎた定型句と「テンプレ」を寄せ集め、過激にしてツギハギしたような代物だ。

また、「生活保護の人々に就労させるべき」という内容の記述の直後に、「生活保護の人々はもともと問題が多いので、就労支援は無駄」という内容が述べられているなどの矛盾がある。生活保護費に関する計算をはじめ、基本的な誤りも多い。

 このチラシには、署名に使用するための署名欄もある。選挙区の国会議員に署名を郵送、ファクス、持参などで届けるように勧める記述もあるが、実際に署名の送付が行われたかどうかは定かではない。

 私自身は、第一印象として「ネタ臭」を感じた。生活保護への悪意も痛いほど伝わってくるのだが、チラシに登場する生活保護制度と生活保護の人々は、現実離れした想像上、あるいは観念上の制度や人物にしか見えない。さらに、なぜか「ネットのどこかで見た」以上の既視感を覚える。

「税金は働かないヤツらに回すな」
低所得者の不満を爆発させる目的か

 ともあれ、チラシが配布された場所は、生活保護の人々を含む低所得層の人々が数多く居住している公営住宅である。まさに「わがこと」や自分の生活基盤に対する中傷をぶつけられて、平静でいられるわけはないだろう。内容が無知と偏見に基づいていればいるほど、その内容をチラシの形にして表明し、間違いなく当事者の目に触れるように公営住宅の郵便受けに投函するという行為にも、恐怖を感じずにいられないだろう。

 チラシを見せてくれたミサトさんは、「低所得者の不満を爆発させて『税金は働かないヤツらに回すな』と生活保護バッシングをさせたい……ということなのでしょう。でも、それで本人がどういう得をするのか、私もわかりませんが」と語り、「相模原の事件を思い出してしまいました」と付け足した。

 そこで私は、自分が覚えていた既視感の正体に思い当たった。2016年7月、神奈川県相模原市の障害者施設に侵入して、入所者である障害者19名を殺害したU容疑者の犯行予告文だ。U容疑者の「障害者は社会的コストだから殺したほうがいい」という考え方に、福島市のチラシの「働かない人間は社会的コストだから生かさず殺さずで十分」という内容が、そっくり重なっているではないか。

背後に何かの勢力がいるのか
メッセージに「洗脳」の意図が見える?

 それにしても疑問が残る。このチラシの宛先は、いったい誰なのだろうか。反福祉論を標榜する政治家なのだろうか。それとも、他の誰かなのだろうか。

 ミサトさんは「団地に撒かれたことを考えれば、低所得層に向けたメッセージだろうと思います」という。

「『自分たちは、必死に働いて税金を納めているのに!』『働きもせずに、生活保護を受給して“のうのう”と暮らしているやつらは許せない』という気持ちを植え付けたいのかな、と私は思いました。『生活保護は不正受給が多くて大変』『働けるのに働かない生活保護』というような偏見は偏見でしかありませんが、低所得層に向けて『保護世帯とは』という洗脳的な感じもします。不満を煽って、生活保護世帯を絶対悪に仕立て上げたいのでしょうか?」(ミサトさん)

 私は考えこんでしまった。“洗脳”と考えるには、あまりにも愚かすぎる内容であるようにも思える。しかし、貧困状態にある人を“絶対悪”とみなすような考え方をする人々は少なくない。ミサトさんによれば、「チラシを配布しているのは外国人の生活保護に反対する右翼的団体だろう」という説もあるということだ。私は「組織がバックにあるにしては、あまりにも“お粗末”ではないか」と思うが、コメントを求めた生活保護ケースワーカーからも「政治的勢力かも」という見方はあった。

「いずれにしても、なんだか偏りすぎている考え方だなあと感じます。憲法25条は国民全員のための権利です。権利であるということは、するかしないかを選べるということですよね? 保護を受けるも受けないも自由です。それなのに……」(ミサトさん)

 チラシには「生活保護は現物支給化すべき」という主張もあるが、ミサトさんはそこにも違和感を覚えている。「食べられていれば良い」という生活は、健康で「文化的」な最低限度の生活とは呼べないからだ。それに、生活費の何に重点を置いて支出配分を考えるかは、「最低生活保障」と並ぶ生活保護の目的、「自立の助長」の重要な側面だ。

かし、ミサトさんが何よりも憂慮するのは、生活保護で暮らす人々の中でも、さらに弱い側に立つ人々だ。

「生活保護受給者の70%以上が、高齢者、障害者、傷病者です。生活保護だけではなく、そういう人々に対する偏見にもつながりかねない問題だと思っています」(ミサトさん)


福島生健会チラシ。生活保護で暮らす福島市の人々を不安に陥れるチラシに対抗し、「福島県生活と健康を守る会」が作成・配布したもの。生活保護とその利用に関する事実がまとめられている
拡大画像表示
 なお、このチラシが投函されていることを知った「福島県生活と健康を守る会」は、生活保護制度とその利用に関する説明チラシを作成し、2017年2月と4月の2回にわたり、公営住宅を中心に、合計3万8000枚を地域に配布した。同会には、福島市、いわき市、会津若松市、白河市から、チラシを見た住民からの生活相談が寄せられたという。

 福島市内の公営住宅に配布された中傷チラシは、地域に対する情報提供チラシの配布というアクションを呼び起こし、結果として住民の社会保障へのニーズを掘り起こした。この点だけを見れば、「雨降って地固まる」かもしれない。

 しかし、チラシの内容と配布するという行為を、どう考えればよいのだろうか。間違っても“結果オーライ”で済ませるわけにはいかないだろう。

法的対処の手段はなし
粘り強い教育を続けるだけ

 生活保護問題に長く関わっている弁護士の小久保哲郎さんは、「いやらしい、気分の悪くなるビラですね」と鋭敏に反応したが、法的手段については「生活保護利用者に対する嫌がらせ行為であるとは言えると思います。不法行為に基づく慰謝料請求は、できると言えばできるでしょう。しかし、相手の特定と当事者の訴える意思が前提なので、実務的には難しいでしょう」という。

 内容については、特定の個人の名誉を棄損したり侮辱したりするものではないため、刑法上の名誉棄損罪や侮辱罪は成立せず、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」の解消を目的とするヘイトスピーチ解消法の対象にもならないそうだ。

東京都内の生活保護の現場で長期にわたって経験を重ねてきた渡辺潤さんは、私に中傷チラシを「事実を巧妙に歪曲した紋切り型」と評し、「相模原事件のような、とても恐ろしいものを感じます」と語る。現在、渡辺さんは専門学校で生活保護について教えているが、「自分が体験した一部の事例を根拠にして、このチラシのような主張をする学生もいます」ということだ。

「団体、個人名も連絡先も記載されていない無責任なチラシですが、生活保護に関する事実を知らずに読む人には、本当に大きな悪影響を与えると思いました……。当事者にとっては、精神的なショックは計り知れない……」と衝撃を隠せない中で、渡辺さんは、働いていながら生活保護以下の生活水準から脱却できないワーキングプアの急増という背景から目をそらさず、「まず、この人々の処遇改善、所得再分配、社会保障の拡充が必要」と言う。

 また、「生活保護基準が下がれば生活保護を使っていない低所得層の生活も苦しくなる」「生活保護は、医療、年金、介護などを削減しやすくするための“最初の生贄”として利用されている」「社会保障制度が縮小していくと、すべてが“家族の助け合い“に押し付けられる」という事実を丁寧に訴える必要性を強調する。

 同じく、東京都内で生活保護ケースワーカー・査察指導員(係長相当)として長年勤務していた田川英信さんは、「なかなかコメントしづらいというか……。ここまで他人を貶めるということに哀しくなりますが、このチラシを配った方も、本当はここまで生活保護利用者に反発せずに済んだはずです。日本は『自分の力で暮らしていけないときに国が面倒をみるのは当たり前』と考える人が少なくて、『自分の責任でしょ!』と考える人が6割以上、国際比較でダントツの第1位なんです。そういう価値観や社会認識があるからこその、このチラシでしょう。こんな錯覚をさせないような教育が必要だと思います」という。

 しかし、教育が結果として現実離れしてしまっては意味がない。厚労省はどう考えているのだろうか。私は、厚労省の生活保護担当者にもこのチラシを見せ、意見を求めた。

生活保護の意義と効果を
「費用対効果」で評価する愚

 このチラシの中で、私が最も気になったのは、チラシの文面に見られる“コスパ”感覚だ。チラシの中では、「生活保護の人々はもともと問題が多いので就労支援は無駄」「子どもがかわいそうだからといって、生活保護世帯の親に保護費を多く渡してはいけない」など、主に費用対効果という観点から生活保護が語られている。しかし、チラシの視点や観点は一面的・短期的で、長期的には極めて“コスパ”が悪い結果となりそうだ。

この点について、厚労省の生活保護担当者は「そもそも、費用対効果で判断していません」と述べる。担当者は「本人の能力や資産は活用した上で、働く意欲があるのなら就労支援をすることが、2015年度から法律上で位置づけられました。もちろん、最終的には経済的な自立、生活保護脱却までつながれば、最も良いということになります」と前置きしつつ、こうコメントした。

「それは、働くことが経済的自立につながるからではなく、日常生活、生活リズム、社会とのつながりなど、様々なものを大切にしているからです。生活保護の『自立の助長』とは、すべての方が働いて生活保護から脱却することではなく、すべての人が人間らしく生きるということを含んでいます」

 人間らしい生活という面からは、特に子どもたちや青少年に対しては、生活を支えるだけではなく教育の機会も必要だ。この点についても、厚労省の担当者は、生活保護制度の発足時には義務教育しか前提とされていなかったが、1970年に高校進学を認め、2000年代以後に高校生活の費用保障が開始された歴史を述べ、「子どもに対する支援は、大切だと意識しています」という。

大量の悪意を受け止めて
鈍感になってはいけない

 子どものいる世帯の生活保護基準・生活保護世帯の子どもたちに対する支援は、数多くの困難を含んだ課題だ。しかし人道的視点からも、日本の将来という面からも、国として取り組まないわけにはいかない重点課題であることは、もちろん厚労省も認めている。

 それも昨日や今日の話ではない。貧困状態にある子どもの生育に関する憂慮を動機として、戦前の日本の厚生当局は、数多くの研究を行なっていた。1950年に現在の形となった生活保護法は、もちろん、それらの研究成果を踏まえている。


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 福島市で配布された生活保護中傷チラシに対し、今回、私は思わず“ネタにマジレス”してしまった。このような内容に対して磨くべきものは鈍感力ではなく、怒ったり悲しんだり呆れたりする感受性であり、現在の世の中にある事実はそれはそれとして認識しつつも、目指すべき近未来像を丁寧に示し続ける楽観性、何よりも人間への信頼であろう。

 今回の福島市のチラシは、生活保護に対する大量の悪意を受け止め続けているうちに感受性が擦り切れてしまっていた自分、「ネタ?」「そんなもん」「あるある」という反応しかできなくなっていた自分を、反省するきっかけともなった。私は皮肉を込めて、チラシの作成者に「ありがとう」と言いたい。

(フリーランス・ライター みわよしこ)

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