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生活保護者の集いコミュの生活保護受給者を追い詰める「就労指導プレッシャー」の功罪

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コミュ内全体

http://diamond.jp/articles/-/130292
生活保護のリアル みわよしこ
けるのに働かない」。生活保護受給者は、そんなレッテルを貼られがちだ。行政の就労指導にも、そんな偏見がにじみ出ていないだろうか(※写真はイメージです)
  2018年、政府は生活保護法再改正・生活保護基準見直し(≒引き下げ)を予定しており、2017年度に入って、それらを視野に入れたものと見られる動きが活発化している。大きな焦点の1つは、生活保護世帯に対する就労指導の強化と、従わない場合のペナルティの強化だ。

 しかしながら、「働けるのに働かず、生活保護に甘えている」という状態にある人が多数いるという実感は、私には全くない。私から見ると、「働きたくない」は「働けない」のバリエーションの1つだ。そもそも「働けるのに働きたくないから働かずに生活保護」という人に対して、就労意欲アップ、本人に適した仕事探しや仕事づくり、就労後の就労継続のためのフォローアップなどを丁寧に行うには、支援者の人件費その他の費用、受け入れ企業側の環境整備費用、もちろん本人の給料その他の費用が必要だ。

 もちろん、生活保護費コストを別のどこかに“付け替え”することに成功すれば、表面的には「就労促進によって、生活保護費削減に成功した」ということになる。税収も若干は増加するかもしれない。しかし、それらを考慮しても、社会的コストの総額は減少せず増加するかもしれない。

就労指導を受ければ
生活保護を抜け出せるのか?


野神さんは路上生活時代も、時折ネットカフェなどでエッセイやコラムを書き続けていた。作品の一部は電子書籍『風の星座のホームレス』『こころ安らぐ部屋』にまとめられ、KindleコンテンツとしてAmazonで販売されている。昇華され洗練された表現の数々が、かえって実体験の苛酷さを想起させる
 今回は、生活保護のもとで就労指導を受け、生活保護脱却へと向かう野神健次郎さん(仮名・53歳)の経験を通して、就労指導の“いま”を眺めてみたい。

 野神さんは高校卒業後、専門学校に進学したが、在学中に就職した。以後、メディア関連業界・ICT業界で10年以上にわたり、正社員として職業キャリアを構築していた。何日も泊まり込まなくてはならない激務が日常化しているブラック職場も、ほぼ毎日定時に帰れるホワイト職場もあったが、当時の野神さんは、若さと業務への関心から、ブラック職場を「ブラック」と感じず、「これが当たり前だろう」と思っていたそうだ。

 しかし、職場環境がホワイトかブラックかとは無関係に、野神さんは5年程度の勤続の後、精神的に勤務を続けられなくなるのだった。「精神科には行かなかったけれど、うつ病だったのだろうと思う」ということだ。

 幸い、父親の理解があり、30歳を超えていた野神さんは実家で療養生活を送ることとなった。しかし間もなく、血縁者とのトラブルが発生した。実家にいることもできなくなった野神さんは、やむなく路上生活を始めた。

 7年間の路上生活の後、野神さんはホームレス自立支援施設で11ヵ月間を過ごした。ホームレス施設職員として短期のアルバイトもしたが、就労によって自活する可能性は極めて薄かった。就労自立を焦る野神さんに、施設職員は生活保護という選択肢を示した。抵抗を感じる野神さんに、その職員は「生活保護を受けることは、自立するっていうことなんですよ」と語った。

当初「この人、何を言っているんだ?」と思った野神さんだが、生活保護が気になって調べ始めた。わかったことは、自分の就労収入だけで生きていくことが「自立」なのではなく、自分の生活を自分でつくり上げること、自分のことを自分が決定すること、そういう選択と決定の機会を増やしていくことの全てが「自立」だということだ。

 この自立観は、1960年代の米国で始まった障害者自立生活運動の「自立」観であり、厚労省に設置されていた生活保護関連の委員会が2004年に「3つの自立」として示した自立観とも重なる。野神さんは「今でも、その職員には感謝しています」という。

 そして2009年秋、野神さんは生活保護のもとでアパート暮らしを開始した。さらに8年弱が経過し、野神さんは再び、職業人としての生活を開始しようとしている。それは、生活保護での就労指導の成果でもある。

 野神さんにとって、「就労指導を受ける」ということは、どのような経験だったのだろうか?

一貫性のない就労指導に
翻弄される50代男性の戸惑い

 野神さんの担当ケースワーカーが就労指導を開始したのは、2013年のことだった。生命の危機と隣り合わせの路上でもなく、雨風には晒されず食事もシャワーもあるがプライバシーのない施設でもなく、賃貸アパートで落ち着いた毎日を送れるようになってから4年目だ。

 とはいえ2017年現在も、うつ病治療のための精神科通院は続いている。野神さんが初めて精神科医の診察を受け、「うつ病」と診断されたのは、施設にいた2009年のことだ。同年秋に生活保護でアパート暮らしを始めて以後も、ケースワーカーからは「通院して、うつ病を治療するように」と指導されていた。過酷な路上生活が7年間続いたにもかかわらず身体疾患がなかったことは、幸いだった。

 生活保護には、独自の「世帯類型」がある。生活保護世帯はすべて、高齢者世帯、傷病者世帯、障害者世帯、母子世帯、その他の世帯のいずれかに分類される。おそらく野神さんは、当初は傷病者世帯に分類されていたものと思われる。現在は「就労可能な傷病者の単身世帯とされているのではないかと思います」ということだ。

 ともあれ、30歳以後の職歴がほぼ空白、そろそろ50歳になろうとする野神さんは、就労指導の対象となった。内容はどんなものだろうか。

「担当ケースワーカーに就労支援員が加わり、その就労支援員の方が引っ張っていくという感じです。キャリアカウンセリングに近いんでしょうね」(野神さん)

 面談があり、野神さん自身の職務経験、現状、希望に関する聴き取りがなされた。その後、適職のマッチングが行われたようだ。

「就労支援員が職種を絞り込み、色々な求人を見せて『応募してはどうですか?』と」(野神さん)

 しかし、就労支援員が応募を勧める求人の職種には、まるで一貫性がなかった。過去のICT業界での職歴と、現在も維持しているパソコンの知識とスキルが活きる職種が提示されたかと思えば、次にはビル管理業務。その次は障害者施設職員。

「どうしようかなぁと悩んでいる間に、クルクル変わってしまうんです。じっくり考えたいのに、違う職種の求人を次から次へと繰り出してこられて。かなり混乱させられて。結局、何も決められませんでした」(野神さん)

 うつ病ならば、なおさら決断は鈍りやすい。新しいことを次から次に考えなくてはならない状況そのものも、精神的に大きな負荷となる。うつ病の悪化防止や治療という観点から見ると、本人の状態を十分に考慮した適切な就労指導であったかどうかには、大いに疑問が感じられる。

アルバイトを始めたものの
就労支援プレッシャーで健康悪化

 担当ケースワーカーは、野神さんに公園清掃ボランティアを勧めた。無給だが、「いきなりの就労ではなく、まず身体を慣らしては?」ということだったそうだ。野神さんは「うつ病に対する一定の考慮は、していただけたんだと思う」と考えている。

 週に3回、午前中に2時間半、公園で草むしりや落ち葉拾いをする日々が始まった。

「作業自体は単調で、創意工夫する余地がまったくないんです。すぐ飽きました」(野神さん)

 その公園清掃ボランティアに参加していた人々のほとんどは、野神さんと同じように生活保護で暮らしている人々で、おおむね半数は高齢者だった。その高齢者たちが参加している動機は、ほぼ「自分自身の身体と精神の健康のため」だった。

「みなさん、1人暮らしなんです。ふだん、1人で部屋の中にいて、毎日テレビを見て過ごしているんです。そんな生活をしていると、気が滅入っちゃうんでしょうね。だから、仲間に会うためにボランティアに来て、仲間の顔を見て、作業しながらおしゃべりして、気晴らしするんです。『居場所』ってことなんでしょうね」(野神さん)

 「単調だ」「もう飽きた」と感じながらも真面目に作業していた野神さんは、公園事務所の目に止まり、公園管理のアルバイトに従事することになった。週3日のフルタイム就労、給料は最低賃金より数十円高い910円だが、「結構キツい仕事」(野神さん)だったということだ。真面目に出勤して業務をこなしていた野神さんだったが、骨折してしまい、退職することになった。

 骨折が完治すると、また積極的な就労指導が開始された。野神さんの年齢と職歴のブランクを考えると、就労を成功させるには「資格職がよいのでは?」と考える方が多いだろう。もちろん、就労指導員もそう考え、野神さんに職業訓練をさかんに勧めた。

「就労支援員のイチオシはビル設備管理だったんです。『高齢でも就労している人がたくさんいて、求人も多いし、パソコンに詳しいのなら電気系の知識が活かせるだろう』と。でも、昔やってた仕事とは、あんまり関係ないんですよね。テキストも見てみたんですけど、『オームの法則』から始めるのかとゲンナリしました」(野神さん)

 そうこうするうちに、野神さんは体調を崩し、具体的に就労を考えることが難しい状況に陥った。うつ病は快方に向かっていたのだが、一気に悪化した。私からは、就労指導のプレッシャーが心身両方の体調を悪化させたように見える。

 体調が少し復調してくると、また就労指導が始まり、野神さんは介護職の職業訓練を受けることとなった。それが、状況を大きく変えるきっかけとなった。

選ぶことを余儀なくされた
進路への期待と不安

 野神さんは2016年冬から、職業訓練として介護実務者研修を受けることとなった。半年間のコースは今年5月に終了し、今は就職活動の真っ最中だ。

「研修は座学も実技も、結構ハードですよ。毎日、9時30分から16時までの6時限で、通学は片道1時間です。最初は『通えるかなあ?』と不安でしたが、通い慣れれば、特に負担は感じませんね」(野神さん)

 野神さんが最も驚いたのは、カリキュラムの内容だった。

「最初に教えられたのは、『人間の尊厳と自立』なんです。カリキュラムのうち5時間です」(野神さん)

 その介護実務者研修で教えられるのは、就労していなかろうが、生活保護を利用していようが、介護を受けていようが、すべての人に尊厳があり、その人のその状況下での「自立」があるということだ。

「びっくりしました。大切なことを、しっかり教えているんだ、と」(野神さん)
 
 さらに野神さんは、その職業訓練校の全ての授業で、教員全員が「利用者さんの尊厳を守りなさい」「介護者の都合や介護者主体で介護してはいけません、利用者さんが主体です」と繰り返すことに驚いたそうだ。

「個人の尊厳、自己選択、自己決定、利用者さん主体。これらを、繰り返し繰り返し叩き込まれるんです」(野神さん)

 野神さんはさらに、「福祉事務所の人たちは、こんな教育は受けていないのかなあ」という疑問も抱きはじめた。確かに、福祉職採用に積極的な一部自治体を除くと、生活保護の現場である福祉事務所にケースワーカーとして配属されるのは、行政職・技術職などで採用された一般職員であることの方が多い。

「でも、福祉を勉強した人が配属されているわけではないのなら、研修などで福祉の基本をしっかり教えていただかないと、利用者さんが困りますよね?」(野神さん)

 それどころか、福祉を学んで福祉の現場を歩んできた人々に、福祉事務所が福祉の理念を捨てさせてしまう場合もある。「個人の尊厳」「利用者主体」を学び、高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉の現場で実践してきた福祉職員が、福祉事務所で生活保護業務に就いたために、「上から目線」の指導や制度利用者への差別意識を疑わなくなってゆくことがある。高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉の利用者との違いは、その利用者が生活保護を利用していることだけだ。

やり切れない気持ちだが
結果オーライに持って行きたい

 ともあれ野神さんは、近々、介護職として職業生活を再スタートさせるだろう。

「ある意味では、押し付けられたわけです。就労指導に従わざるを得なかったわけです。そこに、やり切れない気持ちは、やはりあります。でも、結果オーライに持っていきたいです。そういうふうに前向きに捉えないと、自分がもちません」(野神さん)

 半年間の職業訓練は、自分の適性を再認識するきっかけにもなった。

「利用者さんとコミュニケーションを取るのは、楽しいです。もともと、他人様のお話を聞くのは好きでした。ホームレス自立支援センターにいたときも、ピアカウンセリング的なことをしていましたし」(野神さん)

そういう野神さんが、介護に関する知識とスキルと資格を手にしたことは、素晴らしいことだと思う。

「でも、仕事として続けられるかどうかというと……自信ありません」(野神さん)

 認知症が進行した利用者に対する介護は、「決まった時間にオムツ交換が行われるまで排泄物まみれの状態が継続」「食事・トイレ誘導などは、日課として決まった時刻・決まった時間でこなされる」ということになりがちだ。

「介護を受ける利用者さんにとっては、こんなキツい状態はないのではないかと思います。そういう介護を自分が続けられるのかという不安もあります」(野神さん)

 その思いは、自分自身に就労指導を行った就労支援員にも向けられる。

「就労支援をする側に立ったとき、非常に限られた選択肢の中で、対象者の自己決定権をどう確立していくのか……とても難しいだろうと思います。しかも、就労支援員さんにもノルマが課せられているわけですから」(野神さん)


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 それでも野神さんには、現在への後悔はない。とはいえ、現在までの成り行きを全面的に肯定できるわけではない。

「介護職を選んだことは自分にとって良かったと思っていますが、全くの結果論です。立て続けに示される選択肢に翻弄されながら、やむなく選ばざるを得なかったわけです。そこに偶然、自分を活かす道があることを発見できたわけですが」(野神さん)

「働けるのに働かない」という偏見
白紙にしないと何も始まらない

 もしも、自分の受ける就労支援を選べたとしたら、どうだろう。

「就労は、社会参加の延長線上にあるものと捉え、就労それ自体を目標としないほうが、むしろ就労意欲が高まるのではないかと思います。それに、それは個人の尊厳を守り、自己決定権を尊重することでもあり、福祉の理念の実践そのものです」(野神さん)

 就労による生活保護からの脱却を促進するためには、まず、都市伝説のような「生活保護があるから甘え、働けるのに働かない」という思い込みを日本から一旦消してしまい、1人1人の思いと歩みから学ぶことが必要そうだ。

 一見、気の遠くなりそうな遠回りに見えるけれども、最も着実な道のりであろう。

(フリーランス・ライター みわよしこ)

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