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小説 ニョキニョキコミュの1

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人生が変わる瞬間ってよくいうけど、実はそんなのどこにでもあって、例えば今目の前にあるミカンをどうやって剥くか剥かないか投げるか煮るか、そんな選択ひとつであっけなく人生が変わったりするように思えるけど、実はそんな瞬間なんか全くなく選択自体も含めて一本道なんだっていう可能性もあるわけ。

だけど今思い返せばあの夕暮れ、糸に絡まった瞬間から私の人生だか現実だかは微妙にズレ始めたのかもしれない。
ロボは必然とか言ってるけれど所詮はロボの言うことだからあまり信用はしてない。
あの時私が変な呪文言わなかったら糸から抜け出せたんだろうし、こうやってセカイの命運をせおわされる事もなかったんだとおもう。

やっぱ、偶然じゃないのかなあ…。

さて、今現在、私、鬼殺 半分子はどうみても宇宙的存在と向かい合ってお茶してる真っ最中。
隣には、合体ロボ(命名・私)が所在なげに突っ立ってるわけだけど、そこに至る経緯を少しは話しておかないとわけわかんないよね。
めんどっちいけど、まぁ聞いて。


コメント(6)

まだ、残暑の厳しい夕暮れ。
部活動を終えて帰宅する途中のこと。
ちなみに私は料理研究部なんていうドメスティックなクラブに所属してるわけだけど
研究の成果は未だに発揮されてない。んなこたどーでもいい。
都心のターミナル駅から地上経由でローカル線に乗り換える。
同じ方向に向かう人込みはてんで好きな方向を向いているようにみえてその実一つの方向しか向いてないわけだけど
私はまだ物珍しくていろんなところを見物しながら帰るのが日課になっていた。
もちろん寄り道もだけど。

ふと、空をみあげると夕闇を背景にマント姿の人物が両手を空に突き出しているのがみえた。

普段ならなにかのプロモーションとかなにかだろうって無視しちゃうんだけど
電信柱の上っていうのが妙に気になった。
よくみたら指先から糸状のナニカを垂らしてる。
回りを見回しても誰も気付いてる気配がない。
おそるおそる近づいて糸を見たら地上スレスレまで垂れたあと、ぷっつりと切れていた。



おかしい。奇妙すぎる。

なにがおかしいって、それに気付いてるのが私だけってのがまずおかしい。
誰も彼も糸を素通りして歩いてるのが変だ。
いや、変なのは私かもしれない。
唯の幻覚か錯覚か。でもすんげーリアルな幻覚?
どっちにしろ糸が垂れている道を通らなければ駅に行けないので意を決して通ることにする。
なるべく糸に触らないようにして歩くけど、なぜか絡み付いてくる。
なんで?!
私が足に絡まった糸をほどこうとしてる横をOLやサラリーマンが何食わぬ顔ですりぬけていく。
なんかむかつく。
焦ってさらにパニクってると余計に糸が絡んでくる。
痛くはないけど不愉快。
とうとうがんじがらめになった。
鞄の中にカッターがあるのを思い出したけど時既におそし。
見かけ考えるヒトみたいなポーズで固まった。

うらわかき女子高生がこんなに困っているってのに
世間は目もくれずに流れていく。
都会は怖い所だよ、ママン。
そんな言葉を心の中で叫んでいても現実にフィードバックされる訳無いのでとりあえず女子の特権を行使しようと涙の一つでも零そうとしたときに、それは音も無く目の前に舞い降りた。
「なにしてんの、お前」
あんたがそれを言うか。
糸を紡いでいた張本人。
超長髪にクールメガネ、真夏なのにロングコート。
うざい!全力でうざい上に怪しさ大爆発!
どこぞのビジュアル系みたいにみえるけどなにか少しズレてるスタイルの怪人だった。
「あ…。」
余りにも突然なので声がでない。
「位相変換してるのになんで引っ掛かるんだよ」
わけわかんねー。
だけど、無表情ながらもすこしづつ糸をほどいてくれた。
後少しで糸が全部とれそうになった時、目の前がブラックアウト。
まるで留守電を再生するかのように得体の知れない呪文が勝手に口から流れ出した。

「ラ・ウスラ・デラ・ギポン・デ・リルカ」

それを受けたメガネ野郎はいきなり固まった。

「ラ・ウスラ・デラ・ギポン・デ・リルカ」

鸚返しに同じ呪文をつぶやくと

「モード変換実行。警護モード」
素早い動きで私に覆いかぶさった。
金属音。
火花が散った。
何が起きてるのかさっぱりわからない。

「動かないで。」
メガネが言う。
よくわからないのでうずくまりつつ状況を把握しようと顔をあげる。

さっきまで夕焼けに包まれていた街は一変してなんだかデジタルな背景にかわっていた。
(友達の姫子ん家でちょっとだけ観た)アダルトビデオのモザイクみたいに。
人込みは消え、私とメガネとあと一人。
いきなり襲い掛かって来た…女子高生?
「なによ…なに、あれ!」
「動くなと言っている!」
振り向きざまに腕を振り、飛来していた物体をたたき落とす。
「はう!」
言うことを聞いた方が無難。
うずくまった。
「実行エラーを検出。排斥する。」
「まて、エラーじゃない。優先コードだ。」
なに、それ。
襲って来た女子高生はよく見ると顔面傷だらけで首には不器用に縫い付けたあとがあった。
まるで、一回切り落とされたかのような。
「優先コードは未承認。解析を要求する。」
メガネが近づいて耳打ちした。
「承認した。任務は一時中断。」
はやっ!つか、仲間?
「あ、まあそんなとこだ。」
で、もう動いてもかまいませんか。
さっきから地べたにうずくまってて少し足が痛いし。
「あ、すまん、もう大丈夫だ。」
傷娘は直立不動でこっちを見てる。
焦点あってないけど。
死んだような目だけど。
「私は鬼殺半分子。あんたは?」
「は?俺が何?」
「名前くらい教えなさいよ!失礼ね!」
「あー…固体認識コードか?GAT‐E型だが…」
…どっと疲れる。
「はいはい、そういうことね…じゃあたし帰るから」
「ちょ、待てよ!」
腕掴まれた。
「何よ、なんか用事あんの」
「俺達はあんたの指揮下に入ることになった。コマンドを。」
は?
「なんですってぇぇ!?」
もういちどよく考えてみる。
私の指揮下にはいる?なにそれ?命令しちゃっていいの?
「っていうか、どういうことかよくわかりませんが・・・。」
クールメガネに言ってみた。
「だってお前、最優先コードしゃべったじゃねーか。
すべての作業を中断してお前の命令に従わなきゃならんのだ。俺らは。
早く命令しろよ。」
えらそーに!
「じゃー、命令するわ。状況説明しなさい!
あと、あんた態度でかすぎ!もう少しへりくだりなさいよ!」
「しゃーねーだろ。性分だ。
じゃ、説明すんぜ。
俺らは外宇宙時空連続体トンピリピが地球環境に対応できるように繭を紡いでたところだ。
俺たち環境調整デバイスの一番の仕事ってわけだな。
で、地球環境を糸に織り込むために通常空間から作業してたんだが
あんたが割り込んできたんだよ。
どういう仕組みかわからんが。
しかし、最優先コードしゃべったってことはうちらに縁のある個体なんだろうと思うけどな。」
傷娘が補足する。
「彼は糸を紡ぎ、私が繭を成型していた。
敵対勢力からの攻撃に対抗するために。
私は攻撃専門。」

さっぱりわかりません。

「えーっと。よくわかんないけどあんた、名前は?」
クールメガネに訊いてみた。
「さっき言わなかったか?GAT−E型。」
「そうじゃなくて。もっと人間っぽい名前あるでしょ?」
「ない。」
なんてこった。
「じゃ、どう呼べばいいかわからないじゃない。
生活とかどうしてるの?」
「生活?まだこの惑星に来たばっかりだからなー。
そういうのはよくわからん。」
傷娘にも訊いてみた。
「専門外。あなたが決めればいい。」
は?名前を?
「あなたがつけた名前に従う。私の個体認識コードはMAKーNA」
ふーん・・・・。
「じゃ、そこの長髪。GAT-Eだから・・・合体ロボね。」
「俺か?合体・・・ロボ・・・人の名前か?それ・・・。」
「うるさい。で、彼女は・・・糸を巻いてたからマキナね。
伊藤マキナなんてどう?」
「それでいい。」
わずかにうなずいた。
やば、ちょっとかわいいかもしれない。
「あの・・・俺の名前なんとかならない?」
「なりません。あんたは今日からロボ。わかった?」
「・・・・わかったよ。」
とりあえず名前は決まったもののこの先どうするかまったく見通しが立ちません。
私としてはさっさとお別れして家に帰ってお風呂に入りたいんだけど
この連中がずっとついてきそうで困る。
「で?とりあえずどうすりゃいいわけ?
私はなるべく早く家に帰りたいんだけど?」
「その前に、トンピリピに会ってもらえるか。状況の説明をしたい。」
げー。
「あー、はいはい。じゃ、それが終わったら帰してくれるのね?」
「ああ。約束しよう。」
というわけで外宇宙ナントカカントカに会うことになった。
「トンピリピはそのビルの屋上にいる。」
ロボはさっき立っていた電信柱の通りをはさんで真正面にあるビルを指差した。
ちなみにまだ変なデジタル背景のままだ。
「通常空間と重複させてある。地球人はここには入れない。
地球環境は有害なガスが多いため、トンピリピには耐え切れない。
そこで一旦、繭の中で変成してから通常空間に移行する予定だった。」
ビルの階段を登りながらロボが説明してくれた。
宇宙人はなにかとデリケートらしい。
「変成がまだ途中だったからどうなってるかわからん。あんまり驚くなよ。」
「へいへい。」
屋上の鉄扉を開け、外に出る。
3m強ほどの繭がそこにあった。
「彼がトンピリピだ。」
よく見ると繭の一部が薄くなっている。
「あのー、はじめまして…。」
よくわからないままに挨拶してみた。
日本語通じるのかな。
でもこいつらが日本語しゃべってるってことは通じるんだろう。
多分。
「ようこそ。半分子くん。私がトンピリピだ。」
繭の中からくぐもった声が聞こえた。
「変成は成功だが、外見が多少奇異かもしれない。驚かないでくれたまえ。」
ゆっくりと繭が割れていく。
中から出てきたのはスーツ姿の男性だった。
顔の半分が闇に覆われていて目の部分だけが星のように光っている。
それ以外は中肉中背のサラリーマンだった。
「どうかね?この惑星の人間に見えるかな?」
「えーっと、一部見えないところもあるけどあとはおおむねオッケーだとおもいますよ。」
率直な感想を述べた。
しかし、満員電車でこの人が乗り込んできたらまず周囲に空間ができると思う。
「トンピリピ、報告が。」
ロボが声をかけたが
「うむ。状況は把握しているよ。
半分子君は自分でも気がついてないようだが
そのルーツは君たちと同じだ。」
は?どういうこと?
「うむ。にわかには理解しがたいだろうが君の遺伝子の一部はわれわれがかつて訪れたときに破棄していった環境調整デバイスのものだろう」
えええええええ????!!!
「だからこそ、彼の糸に反応して最優先コードが出たわけだな。」
「つまり、よくわからないけど私のご先祖様が宇宙人だったってこと?」
「いやいや。環境調整デバイスはこの星の人間をベースにしていてな」
つまり、遺伝子レベルでいろいろ改造して土木機械のように使っていたってことらしい。
「通常なら拡散して消滅するはずのコードがどうやら何かの理由によって凝縮しているみたいだな。
しかも強化されている。
君は夢を見たときにその内容が現実に起こったりしたことはないかな?」
それを聞いたときに、いろいろと思い当たった。
子供のころから予知夢っぽい夢をたびたび見ていたのだった。
大半はどうでもいいことばっかりだったけど
一度だけ大事故の夢を見て旅行を延期したことがある。
飛行機は墜落してしばらくはワイドショーのネタになってたけど
私はそのエピソードを誰にも話していない。
恐ろしすぎたから。
「…もしかして頭の中覗いた?」
トンピリピの右目が光った。
「いやいや、頭の中は覗いていないよ。私は時空連続体だから君の過去を多少読ませてもらった。過去は確定しているのでたやすく読めるからね。」
なんだかとんでもない存在のようだ。
最初からわかってるけど…あらためてこーゆーことされるとやっぱり多少びっくりする。
「で、私は何をすればいいの?あんまり面倒なことはしたくないんだけど・・・。」
「うむ。気持ちはわかるよ。しかし、この件はこの惑星に生存するすべての生命体にとって重要な事柄なのだ。
まぁ、立ち話もなんだからお茶でも飲んで話さないかね?
通常空間に移行してどこか落ち着けるところを探そう。」
その意見にはまったく同感だったけど。
さっきからお腹がグーグー鳴ってるのを見透かされたようで少し恥ずかしかった。
テクテクあるいて近所のファミレスの前まで来た。
「さ、合体ロボ。通常空間に移行してくれたまえ」
「あんたまでその名で呼ぶのか。」
「ククク。いい名前じゃないか。合体ロボ。子供が喜びそうな名前だよ。」
「うるせぇ。」
ロボが片手を挙げて振り下ろす。
とたんにモザイクが外れて人々が現れた。
今まで気がつかなかった騒音が耳を襲う。
「気がつかなかったけど、普段こんな騒音の中で暮らしてたのね・・・。」
「ああ、私にも少し堪えるな・・・。しばらくしたら慣れるだろう。」
トンピリピがしかめ面でコメントした。
やっぱこの宇宙的存在はデリケートすぎる。
「えっと、お茶するのはいいけど、これっておごり?私あんまりお金もってないけど・・・。」
「お金?あぁ、通貨のことか。現代の通貨は持ち合わせがないな・・・。昔のなら多少都合できるんだが」
取り出したのは小判。
「げっ?!これ本物?!」
「ああ。以前この惑星に来たときに蓄えたものだ。今回は急だったから用意ができなくてな。」
「それくれたらおごったげる!」
「そうかね、それは助かるよ。」
なんつーか、ちょっと良心が咎めるけど、この程度だったら誰も文句は言わないと思う。
ほっぺたが緩むのを隠して席についた。

で、今に至るわけなんだけど、思い出しても疲れる展開だわ。
「さて、何をすればいいのかって話だったね。」
トンピリピは紅茶が苦手らしいので、私はカフェラテを注文した。
ロボとマキナも注文の仕方が良くわからないらしく、メニューを逆さに見たりしてたので
ひったくって勝手に決めてやった。
私の部下らしいのだから私が決めたものを飲めばいいのだ。
「世界は崩壊の危機に瀕している。」
カフェラテ吹いた。
「いきなり何を言い出すかと思えば・・・正気?」
ロボが袖でカフェラテをぬぐってるが気にしない。
「正気も何も、私がここにいる理由がそれだ。
この世界は崩壊の危機に瀕しているのだ。
正確に言えば、この惑星を含む空間全体だ。
実は世界は10の次元が重なり合って存在している。
この次元自体はその中心にあって、卵の卵黄のように護られている。
しかし、他の次元にはここには居ない危険な生命体が跋扈しているのだ。」
トンピリピはカフェラテに砂糖を2個入れた。
ゆっくりと味わって飲んでいる。
その間、私無言。
傍から見てたらすげー間抜けな顔だったと思う。
擬音で『ぽかーん』って出るくらいの。
「うんうん、よくある話かもね、で、私が変身かなんかして世界とかバーっと護ったりすればいいのね?」
トンピリピはにっこり笑ってうなずいた。
「変身はちょっと大げさだけど、まぁありていに言ってしまえばその通りだ。
我々はそのためにこの惑星に来たんだがキミにこの二人を取られてしまったのでね。
私はお役御免ってことさ。ハハハ」
ハハハじゃなーーーーーい!!
単なる一女子高生(しかも処女)に世界の命運を託すな!!
「あのー」
所在げなく突っ立ってたロボが手を挙げた。
「はい、合体君。」
「これ、どうやって飲めばいいの。」

その後の展開は支配人にやんわり追い出された私たちの姿を推して知るべし。

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