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最強(をめざす)ゼミ@WLSコミュの行政法・会社法ゼミ問題

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遅れてすいません。

【行政法】
 甲と乙とは、A行政庁に対し、ある事業の許可について競願の関係にある。Aは甲の申請を許可し乙の申請を不許可にした。乙はAの上級行政庁Bに対して審査請求をしたが、法定の審査期間(1箇月とされている。)を1日徒過していた。ところが、Bは誤ってこれを受理し、
 ⑴ 審査の上、乙の主張を認め、Aの甲に対する許可を取消す裁決をした。この裁決の効力を論ぜよ。
 ⑵ 審査の上、6箇月後に乙の審査請求を棄却する裁決をした。乙は、さらに訴訟をもって争うことができるか。この場合、審査請求前置の有無や、いわゆる裁決主義(Bの裁決に対してのみ取消しの訴えを提起できるものとする立法主義をいう。)がとられているかどうかをも考慮して論ぜよ。【実際の試験では3ヶ月とされていた】




会社法
株式会社の剰余金の配当に関して,下記の問に答えよ。
会計士試験平成16年1問改

問1
会社法461条2項所定の分配可能額を超えて剰余金の配当がなされた場合に,会社は?配当金の返還を株主に対して請求することができるか,?違法配当額の弁済を取締役に対して請求することができるか。

問2
決算期後,剰余金の配当を決議する株主総会又は取締役会までの間に,会社が自己株式を取得し,又は処分した場合,分配可能額にどのような影響があるか。





行政法解説
解説】
1 問題の論点
 本問においては、乙のBに対する審査請求の内容については触れていない。甲と乙は競願関係にあるので、㋑乙自らの不許可処分に対する審査請求の場合、㋺甲の許可処分に対する審査請求の場合、の二つの場合がありうる。しかし、甲乙は競願関係にあるので、実体的要件の点では共通するものと思われる。したがって、問題のポイントは、Bが法定の審査請求期間を1日徒過しているにもかかわらず、「誤ってこれを受理した」点にある。この手続的瑕疵が、小問⑴の認容裁決と小問⑵の棄却裁決の効力にどのように影響するのかが問題の核心である。

2 小問⑴―認容裁決
Bは、Aの乙に対する不許可処分を取り消したのではなく、甲に対する許可処分を取り消している。ここでは、Bは乙からの審査請求に応じて、Aの甲に対する許可を取り消すことができるということが前提になっている。甲と乙が競願関係にあるからである。競願関係においては、甲への許可処分が乙への不許可処分と不可分の関係にあるから、乙はAの甲に対する許可処分の取消しを求める不服申立ての利益があることはいうまでもない。
小問⑴は、Aの甲に対する許可を取り消す裁決の効力を問うものである。甲に対する取り消しは、乙に対する認容裁決を意味するのであるから、この裁決を争うのは甲のみである。仮に、Bの裁決が実体的に無効であれば、甲はいつでも争えるが、本問では実体的無効を導く決め手はないので、手続の瑕疵を争うほかない。
㋑甲が争わない場合は、出訴期間の徒過によって、裁決は不可争力を生じる。
㋺甲が争う場合には、取消訴訟を提起することになろう。問題はBの裁決が違法といえるかどうかである。ここでは、前述の通り手続的瑕疵がポイントである。
そもそも乙の審査請求は請求期間徒過後になされたものであり、Bは受理すべきではなかったものである。法定の期間経過後になされた審査請求は、「やむをえない理由」または「正当な理由」が認められないときは、不適法なものとして却下される(行政不服審査法40?)。審査請求を法定する趣旨は、期間を画一的、客観的に定めることによって、この点に関する行政庁の認定判断を裁判所のコントロールに服せしめることにある(東京地判昭和45年5月27日行集21巻5号836頁)。したがって、1日の徒過であっても、Bの裁決には違法の瑕疵があり、取り消し得る。
なお、瑕疵の治癒についても一言触れておこう。瑕疵の治癒は相対立利益の比較衡量によって決定すべきことである。少なくとも?処分によって不利益を受けた者を保護する必要性が高く、?適法処分の原則を重視すれば、瑕疵の治癒は認められない。これに対して、?処分によって利益を得ている第三者を保護する必要性が高く、?取り消しても同一の処分を繰り返すだけ無駄であることに力点をおけば、瑕疵の治癒をみとめることになる。要するに、瑕疵が軽微で処分相手方の利益を侵害しない場合に限定されるべきである。本問でこれを認めるとすれば、甲は手続的瑕疵を理由に裁決の効力を争う余地を残すべきであるから、瑕疵の治癒は認められない。

3 小問⑵〔棄却裁決〕
 乙の審査請求が棄却され、Aの甲に対する許可処分は維持されているのであるから、これを争うのは乙である。乙としては原処分を争うか、Bの裁決を争うか選択を迫られることになりそうである。しかし、本問の場合、全部棄却裁決であるから「審査請求を棄却した裁決」(行訴法10?)に当たるから、乙は原処分を争うほかない。
 第一に、乙が原処分を争う場合、乙自身に対する不許可処分を争うことも、甲に対する許可処分を争うこともできるが、競願ケースなので実体要件は同一である。したがって、いずれを争っても結論に違いはない。問題は、Bの棄却裁決が6ヵ月後になされている点である。
取消訴訟は、原則として処分のあったことを「知った日から6ヶ月を経過したときは提起することができない」(行訴法14?)。本問では、原処分の時点から、すでに6ヶ月を経過している。しかし、その原因はBにあるというべきであろう。すなわち、Bが乙の請求期間を1日徒過してなされた不適法な申請を受理したことに起因している。Bが乙の審査請求を直ちに却下していれば、乙は6ヶ月以内に提訴が可能であったのである。提訴期間の点で、乙に帰責事由がないとすれば、乙は「自己の責に帰すことのできない事由が消滅した後1週間以内に限り」出訴できることになる(行訴法7・民訴97?)。
 仮に、審査請求前置主義がとられている場合、出訴の要件として、適法に審査請求をし、本案について裁決を受けることが必要である。そこで、本問の場合、乙は「適法な審査請求」をしたといえるか。乙の審査請求は請求期間を徒過した点で違法であり、また、これによって、裁決の違法性は治癒されない。要するに、Bの裁決があっても、審査請求前置の要件は充足されず、乙は出訴できない(福岡地判昭和47年9月7日税務訴訟資料66-183、鳥取地判昭和53年1月26日訟務月報24-3-705)。期間の経過によって不服申立て期間は絶対的に消滅すると解されるからである。
 第二に、裁決主義がとられている場合について考察しよう。裁決主義とは、個別の法律で裁決の取消訴訟だけを認めるものである。裁決主義の下では原処分についての取消訴訟は提起できない。もっとも、裁決主義の下では裁決取消訴訟において、原処分の違法を主張することはできることには留意しておく必要がある(特許法178?、電波法96の2)。裁決主義は、原処分が単なる一応の処分にすぎず、行政の本格的判断は相手方の申立てに基づく慎重な不服審査手続を経て初めて形成されるものである。
本問の場合、裁決自体が不適法のものであるから、訴訟要件を充足せず、却下されることになる。


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