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日記ロワイアルコミュのバババースデー・バーババ

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こんばんわ。ガンジーにすら激しい暴力を振るわれる男、暴君です。

今年のバレンタインの話はあまりしたくないので、もうすぐ誕生日を迎える祖母の話をします。



俺の祖母、エツコは74歳で、数日後の誕生日で75歳になります。

3年ほど前、毎日の喧嘩相手であった祖父が亡くなり、一時は元気が無かったようにも見えましたが、今はとても元気で、

『あと半世紀後(50年後)は生きてられるかな?』

と、強気なんだか弱気なんだか全く分からない一人言を言って、他人の気をひきたがります。



祖母は、自分の事を“わたし”ではなく“オレ”と呼びます。
俺の住んでる地域は田舎なので、方言の一種なのだと思い、25年もの間スルーしてきましたが、うちの祖母以外は誰も“オレ”を使っていないことに気が付きました。

女性の声で『オレだよ、オレ。』という電話がかかってきた場合、犯人はうちの祖母、もしくは兵藤ゆきのどちらかとなります。絶対にお金を振り込まないように気をつけてください。



祖母は根っからの天然ボケです。
お菓子の包装の裏面に記載されている、子供向けのクイズに真剣に取り組みます。今日は、“パンの主な原料はなーんだ?”という問題に対し、

『パン粉!いや、パン粉!』

と、答えていました。こういうのを目の当たりにすると、ご長寿クイズもあながちヤラセでは無かったように思えます。




祖母は、同じ話を一日に何回もする上に、話を大げさに盛ります。

『今朝、血圧を測ったら150だった』

という話を、一日に6回繰り返すうち、150が200に。200が300にという具合に、話すたびに数値がグングンと加速していき、 最終的に400近くまで上がりました。あっという間に血圧の世界記録保持者です。

仮に、血圧計がスカウターのような形状だったとしたら、400の数値をたたき出したころには目もとで爆発していることでしょう。



祖母は表現が下手です。
俺が母親からおぎゃあと生まれた直後、病院に集まった親戚の人たちから

“お人形さんみたいな子だね。”

“天使みたいな寝顔ね。”

“おサルさんの子供みたい!”

などと言われている所に祖母は登場し、

『ちっちゃくてゴミみたい。』

と言ったそうです。人が一番可愛かったであろう時にゴミだと感じたのならば、あれから25年たった俺は、ゴミ以下のどのようなポジションにいるのでしょうか。もしくは何ゴミなのでしょうか。考えるのが怖いです。



祖母は毎日のように、

『このまま、孫の顔を見ないで死ぬのか・・・。早く孫の顔が見たい。』

と、遠い目をしながら小言をぼやきます。

俺に対し、結婚をまわりくどい言い方で急かしているのでしょうが、祖母にとっての孫は俺です。遠くではなくもっと近くを見てください。
25年間、毎日のように顔を合わせてるのにまだ不満なのでしょうか。それとも孫ではなく、やっぱりゴミにしか見えないのでしょうか。とにかく、孫は俺です。



祖母は常識にとらわれません。 そして、常識は祖母をとらえられません。

我が家に市議会議員さんがお客として来た際、お茶やコーヒーが戸棚にあったにも関わらず、冷蔵庫からヤクルトを取り出しました。

背広姿の政治家さんが、ヤクルトをちゅうちゅうと吸う姿を見たのは、後にも先にもこの時だけだと思います。

祖母も一緒になってヤクルトを飲みましたが、爪先で開けた飲み口にクチビルがくっついてしまい、市議さんにはずしてもらうというアクシデントも。

そんな優しい市議さんが次の選挙で落選したのは、あれだけしてもらった祖母が一票を入れなかったからでは無いと願いたいです。



祖母はとても恩着せがましいです。

人に料理を作ったり、プレゼントをするのが大嫌いな祖母。

“なぜ、人の為にオレが損しなくちゃならねえんだ”

という信条なので、俺がお小遣いをもらったのは今までにたったの一回。その時に身銭を切ったのがよっぽど嫌だったのか、法事などで親戚が集まる度に、

『15年前、(暴君に)小遣いをやったことがあるんですよ。』

と自慢をします。
5000円で15年間も恩を着させられてはこちらとしても割に合いません。



祖母は人の話を聞くのが苦手です。
隣の家のお婆さんと会話した際、

『岩崎さんちのお兄ちゃん、結婚するらしいね。』

という言葉に対し、

『そんな話はどうでもいいよ。そんな事より聞いた?噂だと岩崎のお兄ちゃん結婚するらしいね。』

と返事をしました。隣の家のお婆さんのスクープを横取り40万、ゴリ押し50万です。



祖母は自由です。

祖母が運転免許を書き換える際、警察署に同伴していったのですが、視力検査がてんやわんやの大騒ぎでした。祖母は視力検査の機械を覗き込み、

『右!あ、右って左の事な。』 『どっちから見て右?み、み、左!』『右か、左!左!右!』 『前!』 『右ってどっち?オレは左利きなんだけど』

・・・いくらなんでも自由すぎます。警察側も、右と左が分からなくなるような慌てん坊に免許の携帯を許可してはいけないと思います。



祖母は人や物を褒めません。

褒めると人間はダメになるという考えなので、俺も父親も、一回も褒められたことがありません。

NHKの“ためしてガッテン”で組まれた≪子供は褒めて伸ばそう≫という特集を見て、『子供は褒めると伸びるのか!知らなかった。』
と、大変びっくりしていました。気付くのが遅すぎです。

一年前の祖母の誕生日、俺はケーキ屋さんで働く友人に頼んで、バースデーケーキを作ってもらいました。モンブラン風のロールケーキで、見た目はもちろんのこと、味も素晴らしく、俺にとっては100点満点のケーキでした。
祖母も、むしゃむしゃとケーキを頬張り、フォークを置いて一言。

『んー。パサパサしてておいしかった!20点!』

言葉と点数が噛みあってないので、何が言いたいのかがさっぱりわかりません。



祖母は人間としての器が小さいです。

我が家では、近所の漁師の方からお歳暮として≪ハバ海苔≫という高級な海苔(普通の海苔の数倍の値段で、火であぶり、軽く手でほぐし、御飯にまぶして食べる。)を頂いたりします。

そのお返しを祖母と一緒に漁師さんの所へ持って行くことがありました。 挨拶もそこそこに、

『ハバ海苔、変なニオイがしてて美味しかったですよ。』

と祖母が言うと、その姿を見た漁師さんは“変なニオイ”という言葉には一切触れず、ただゲラゲラと笑いだしました。

良く見ると、歯、頬、眉毛の下、髪の毛、祖母の体のいたるところに海苔がくっついていたのです。漁師さんは、

『全身で美味しく食べて頂けたのが、一目でよーくわかります(笑)』

と、気の利いた返事をしたのですが、祖母はそれに対して激怒。
すぐさま家に帰り“コンリンザイ”という、普段はなかなか目にすることの無い言葉を含んだ、誤字脱字だらけの絶縁状を書き上げました。



祖母は何もかもすぐに忘れてしまいます。

生命保険の会社が主催する映画上映会に誘われた祖母。
映画を観終わり、家に帰ってきて『おもしろかった』と言ったものの、何の映画を見たのか、どんな内容の映画だったのか、誰が出ていたのか等を全く説明できません。 そして、“忘れてしまった。覚えていない”と言いました。

祖母はサラリと言いましたが、“おもしろかったのに全く覚えていない”というのは、どんな気持ちなのでしょう。言葉で言うのは簡単ですが、とても怖い事のように感じました。


『絵に描いたら思い出すかも』と、チラシの裏面へ、観てきた映画のワンシーンを書き記すのですが、祖母に絵心があるはずもなく、ウネウネとした2つの線が絡まりあう奇妙な絵を描き上げました。

例えるなら≪蛇の世界の四十八手≫のような。

結局それは何のヒントにもならず、その日は迷宮入りとなります。


後日、隣の家のお婆さんから、何の映画だったのかを聞いて驚きました。


渡辺謙主演 【明日の記憶】


皮肉なことに、若年性アルツハイマー病を題材にした映画でした。次の作品では、明日の記憶どころか、さっきの記憶を無くしてしまう祖母を主人公に抜擢してはどうか、その方が数字が取れるのではないか、などと思ってしまいます。

そして、ウネウネとした蛇のような線は渡辺謙だったのです。ラストサムライも、祖母の前ではただの線に過ぎません。



祖母の自由奔放な人間性が少しは伝わったでしょうか?



我が家には、3年前に死んだ祖父宛てで、ダイレクトメールが届きます。

そのほとんどが、生前に会員登録していたパチンコ屋さんからのもので、祖母は郵便受けの中にそれを見つけると、俺達の目の前でゴミ箱に捨てます。

店舗に電話を一本入れれば発送を止めるのだろうけど、家族は誰一人として電話をかけません。めんどくさいから、というのが表向きの理由です。

家庭をかえりみず、死ぬ間際までパチンコに没頭し続けた祖父。そんな恨みもあってか、祖母は叩きつけるようにゴミ箱にダンクします。




そして、誰にもばれない様、夜中にこっそりとゴミ箱からダイレクトメールを拾い上げ、

『おじいさんはもういないんですよ。いないんですよーだ。』

と小さい声で呟きながら廊下を歩き、自分の部屋に隠してある小箱に、大事そうにハガキを保管します。どんな形であっても、じいさんの断片を捨てられない祖母。たまにこんな一面をみせたりするから、何を言われても憎めないのかもしれません。



落合監督よりもオレ流で、ツンデレな婆さんの誕生日は数日後。 死ぬまでに何度でも食べたい、と言っていたお寿司を死ぬほど食わせてやろうかと思っています。

そして今年は無理そうだけど、婆さんが俺の存在を忘れないうちに、5000円くらいの結納金で嫁さんをもらい、50点くらいの評価を受け、それで長年の借りを返したいと思っています。

だから、もうちょっと(半世紀ほど)長生きしてください。

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