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打海文三コミュの打海文三、「女性と性」について語る

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※以下は、4月のミクシィの日記に書いたものの引用です。
こちらでも紹介しましょう。打海さんのファンがすごく増えてきたようなので。

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※不調のノート型パソコンのデータを調べていたら、
地元(僕は山形市に住んでいます)の雑誌「やまがた街角」で
行った対談のまとめがあった。
相手は打海文三さん。『愛と悔恨のカーニバル』を出した時の模様。
活字になっているが、山形以外の人は読めないでしょうから、
一部分だけ抜粋します。対談のおよそ4分の1です。

完成したものではなく(打海さんの校正が入っているものではなく)、
その一歩手前の原稿のようで、ちょこちょこ空白がある。
でも、そのままはりつけます。
亡くなったいまとなっては貴重な対談になりました。

ゲストとして、山形の「小説家(ライター)になろう講座」出身の
深町秋生君も一部分加わっています。
僕と講座と深町君に関しては、深町秋生のデビュー作『果てしなき渇き』
(宝島社文庫)の解説をお読みください。
打海さんは常連講師でした(トピックの「追悼文」にも書いてあります)。


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■女性と性の問題

池上 話はもとに戻りますが、どうですか、山形の女性は? 講座に四年間来て。

打海 いやあ、なかなかチャーミングです。一年目の講座の時に、女性の生徒さんが、小説を読んではまりましたって言ってくれたんですよ。二年目のときには、別の女性が“(『Rの家』のヒロインの)ユウコさんの生き方に憧れます”って言ってくれた。

池上 誰かなあ、その女性たちは。

打海 それから二度と会ってない。

池上 誰だろう。

打海 ひどいなあ、誰も名前知らないんだ。講座の生徒のAさんが、それはたぶん亭主と寝室を別にしてる人だって言ってたけど、じゃあ名前なんていうのって聞いたら、Aさんも知らない。ひどいなあ、この会どうなってんだって。

池上 いやあ、そこまでタッチしてないからね。

深町 池上先生は、生徒の小説には関心があるけれど、私生活には関心がない(笑)。

池上 生徒の名前もときどきふっと出なくなるからね(笑)。

打海 書評した本も忘れる。生徒の名前も忘れる。まったくアバウトだよなあ。

池上 それはそれとして(笑)。打海さんの作品は、女性がみなすごく魅力的ですね。女性の美しさを書きたいという気持ちが強いのでは? とくに女性の場合、明るく欲情する場面がすごくいいですね。欲情の美しさを実に生き生きと描く。いかがわしいものやタブーとしては描かない。いや、タブーといわれるものすら乗り越えてしまう。

打海 結局ねえ、性の部分を書かないと欠落するって事があるんですよ。前に、元ミス日本が障害者になり、車椅子の生活を余儀なくされた生活を追う、テレビのドキュメンタリー番組があった。それを見ていたら、感動的な話だけども、じゃあセックスはどうなってるんだよって思った。結婚するんだけども、映像見てるとセックスは不可能な症状に受け止められるわけ。一緒に女房も見ていたんだけど、いや私もそう思うって。セックスは排除しても物語は成り立つんだけども、物語によってはセックスを欠落させると成立しない場合もある。それはひじょうに重要なんです。だから、どうせセックスを入れるなら肯定して、当然エロティックに描き、人を興奮させるようなものにしたい。しかも上品に。

池上 そう、上品に。それが打海さんのキーワードかもしれないなあ。

打海 僕はそういう風に狙って書く。でも苦労もするよ。

池上 どうですか、前にもいったけれど、官能小説とかいけるんじゃないですか?

打海 その事は日販のPR誌で書きましたよ。読書日記の依頼が来たから。だから、さる山形の評論家に官能小説を書いたらどうだって勧められてるって(笑)。

池上 いやいや、どうもどうも(笑)。

打海 その気がないわけではないし、書く条件が整ってきたんじゃないかと書いた。現実の生活における性というものが、リアル感を失っているからね。

池上 性にもうリアル感がない?

打海 だから性幻想の方がリアルに感じられる。つまり、性幻想の方が切実だと。一般的にいえば、ある年齢を重ねていかないとそうはならない。早川書房から翻訳の出た、フランスの美術史家の性の告白本(『      』)、あれ面白くてねえ。読書日記の中にそれも入れたの。ひどい内容なんだけどね、それが。

池上 女性があちこちでやっちゃうやつでしょ?

打海 全くただの乱交で、すごく馬鹿馬鹿しい。でも彼女がやってきた政治姿勢っていうのがねえ、度肝を抜かれるくらいひどい事をやってる。だからそれ自体で読む価値あり。でも書評とか訳者の後書きとかね、キャッチは違うのね。“フランスの知識人の告白”と言うけど、どう考えたって知性があるとは思えない。そんな事より彼女の踏み外しの仕方が凄い。だから本の内容が知的であるかどうかなんて関係ない。あとあれも書いた。・・・・の「溺れるままに」。女流官能小説アンソロジー。

池上 知らないなあ。

打海 それがお粗末でね。要するに全く興奮しない。書いてる女性たちがこれくらいでオヤジは興奮するだろうっていう書き方してるわけ。欲情すべき読者がぞんざいに扱われてる気がする。ほい、これで勃起しろっていう書き方してる。だけどその中の作家の一人、菜摘ひかるだけがね、違う。彼女の書いたのも全く欲情させてくれないんだけど、すごく切実。なんか響くものがある。

 性に関してなら、理想的に言えば気持ちよく興奮させる。それは考えますよ。あとは自分の性欲を恥じないような。要するに自分からエロチズムが滲み出る事を恐れない。そういう女性は素晴しいと思う。自分からエロチスムが出るのをね、安直に利用する女性ではなく。自分から出るのを隠そうとする女性でもなく。そのどちらでもなくて、自然と出てくるものを恐れず、つまり自覚した上で、その事を怖れないような生き方ができる女性が凄くチャーミングだと思う。そういう女性を書きたい。


コメント(1)

これは面白いなぁ。
内海さんの作品で何度となく泣き、笑い、そして抜いた者としては、なんとなく納得させられる対談。

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