ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

月を見ると悲しくなるコミュの月に包まれた悲しみ【第2話】

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
二人の出会いは、今思い返してみても、不思議なものであった。

現実の世界に突然現れた、虚構の世界…

その違和感に、何故気付かなかったのであろう。
いや、そんな教え込まれたような壁なんか、全て破壊してしまうぐらいの存在感がそこにはあった。


6年前…

目の前に広がる鮮やかな海に、夕陽の欠片が散りばめられる頃、カオリは海に向かいスケッチブックを広げていた。

あと数ヶ月もすれば大学も終わり…
それなりに行ってみたい会社からも内定はもらえた…
卒論も、昨日の教授の様子からすると、大丈夫だと思う…

まだ、数ヶ月も時間があると言うのに、全てが終わってしまったかのような安堵感に浸っていた。

今はただ、筆のすすむままに、絵を書きたかった。


不意に…

後ろに人の気配を感じた。
カオリが振り向くと、そこには全身から水を滴らせた青年が、まるで時を感じていないかのように、まっすぐな視線を投げかけながら、立ち尽くしていた。

驚く暇もなく、彼はカオリに近づき、一言呟いた…

「お姉さんの絵を、もっと見てみたいんだけど…」

歩み寄ったのであろうか、駆け寄ったのであろうか。
今では、もう記憶にないが、まるで滑るように近づいて来たのだけは確かであった。

いつものカオリなら、恐怖を感じ、「ごめんなさい…」と一言告げ、逃げ去るのであろう…
いや、彼を見た瞬間に、叫び声を上げていたのかもしれない…


しかし、この時カオリの発した言葉は…

「ああ、どうぞ…。こんな絵でよければ…」

恐怖なんて微塵も感じなかった。そんな事より、
彼が自分の絵に興味をしめしてくれたのが、心地よかった。

彼の瞳が、自分の絵に吸い込まれて行くのを感じた。
その瞳に、自分が吸い込まれていた事に気付いたのは、この出会いが懐かしい思い出話に変わる頃であった。


彼がびしょ濡れだった理由は、いまだにわからない。

その時に、聞けなかったから…
いや、その時には、そんな事に気が回らない程、彼の澄んだ
瞳に全てを奪われていたから…

勇気を搾りきって、やっと出てきた言葉…

「…名前は?」

そして、その日唯一知る事ができた事…

「ん……。レイジ………。」


海の彼方に、うっすらと見え隠れしはじめていた月なら、彼の全てを知っていたのかもしれない…。
そう、彼の悲しみまでも…

コメント(2)

>さっちー
(/ω\)ハズカシーィ
おいらが、主人公の名前を間違えていたなんて…
秘密です!!笑

レイジは………どんな青年なんだろう?
(マダ、カンガエテナイヤ…汗)

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

月を見ると悲しくなる 更新情報

月を見ると悲しくなるのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング