五行歌 mixiの会コミュの八王子五行歌会より歌会レポートを公表します。

八王子五行歌会ネット歌会
　　　　　　　　　　　　　　　　那田尚史
7月
　八王子五行歌会はネット歌会の可能性を探る日本唯一の歌会である。今回は常連投稿者が４人休む中、gent様が「初めての五行歌」のメンバーに参加を呼びかけられたおかげで無事開催することができた。早速レポートを書くことにする。

水一滴ずつ落ちて
やがて大海となる
自分の汗水も
やがて大海となって
報われる　　　　　　　　持国天（１席）

　この歌は前半と後半が対句になっており、ポジティブな内容が共感を呼んだ。現代社会では努力が報われることが難しくなっているので余計にこの歌が高得点を取ったのだと思う。作者もそうであってほしいとの気持ちを込めたと述べている。　　　　　

ラッピングフィルム
この薄い皮膜
地球を包む
母なる
海　　　　　　　　　　　　　genta（２席）

　作者によれば、「夏のある日、ラップに包まれた大きなスイカを見て何となく地球を思い海の深さを調べたら平均水深４㎞弱。ﾅﾝﾄ地球の直径の0.0004％、地球って大きいなぁが歌の出発でした」とのこと。地球を宇宙からの視線で見た歌で、行分けの造形も美しく、文句のつけようが無い秀歌だと思う。
　　　　　　
数々の/奇跡の果てに/生まれたる/青さ湛ゆる/水の惑星　　　　　みりん(２席)

作者によれば、歌を考えていた頃　宇宙飛行士､金井宣茂さんが宇宙から捉えた地球の画像をニュースで見ました。この青い水の惑星､美しい地球の表現が出来れば、とのことである。歌意はgenta様の作品とよく似ている。
　　　　　　　　　　　
ベランダの/花の咲かない/草花に/水やる心/ 誰か知るみつる（4席）

　4席の歌だが一部に非常な好評を得た。「これはデイサービスでもらった寄せ植えの植物にいくら水をあげても花が咲かないことを歌うと同時に、いくら待ってもあの可愛かった孫が帰って来ない気持ちを詠んでみました」と自作コメントにある。叙景の裏に隠された切実な思いが作品に余韻を与えている。

＜参加者＞持国天、genta、那田尚史、みりん、奇津、みつる、せん、sioko、とわ、santa

　