世界主義コミュの2010.

「黙過」の罪悪と「共苦」のどちらを取るか。
現代の共通世界における富裕層―それは我々自身の境遇を最大限の皮肉を込めてあらわした蔑称だと認識して欲しい―は「黙過」に安住することに躊躇を覚えていないかのようである。
ラスコーリニコフは、「黙過」の当事者であった。しかもその立場は完全に両義のものであった。罪と罰が我々に与えてくれる意義は、そのようにラ青年が加害者から被害者に転落した、かの殺人を通じて初めて見えてくるものである。通常人は自身の苦しみを「黙過」されることに不条理を覚える。だからといって自分自身が「黙過」することには何の不都合も感じない。これは真実だ。

黙過に慣れた我々は、9.11に共苦する瞬間を迎える。勿論、その共苦の対象は、同じ富裕層である直接の被害者たち以外にはいない。テロリズムの真なる原因には一顧も払われることなく、9.11の再来を封じ込めた主権国家群―共通世界における富裕層つまり我々の、事実上の利益団体―は、引き続き黙過に安住する我々に温床を与えるのである。我々の本質は何も変わりはしない。そして何も変えることはできないのかも知れない。

振り返れば人類には、長い、長すぎる辛苦と過ちの期間があった。あるいは肉親の死を悲しみ、あるいは親友の裏切りを憂え、あるいは他人の痛みについて理解に欠けること数えきれなかったのである。我々は憎しみ合い、殺し合い、また病に苦しみ、ともすれば自殺し、また飢えたのである。人の不幸を嗤い、また見下し、同時に表向きには自身卑下することに何の苦痛も覚えなかったのである。
しかしこれからは違う。なぜならば、私たちがいま、はっきりと決意したからである。人類を一つにするという夢に、はっきりと目覚めたからである。

ここに、私たちは確信する。
即ち、すべての人間は、救われなければならないし、また私たちがすべての人間を救うことができることを、私たちは確信する。
ここに、私たちは私たちの生命を賭して、宣言する。
即ち、すべての人間は、愛されなければならないし、また私たちが全ての人間を愛することを、私たちは宣言する。
ここに、全ての苦しむ人々に対し、私たちは約束する。
即ち、全ての人間は、幸せにならなければならないし、また私たちが生涯を捧げ、全ての人間を幸せにすることを、私たちは約束する。
ここに、世界完全平和は、実現不能なユートピアではないことを、私たちは保障する。
即ち、世界完全平和は、必ず実現しなければならないし、私たちが生涯を捧げ、これを必ず実現することを、私たちは保障する。

願わくば、私たちの痛苦の代わりに、全ての人間が救われ、愛され、一つとならんことを。
そして願わくば、私たちの命の代わりに、全ての人間が癒され、守られ、一つとならんことを。