『脳腫瘍』〜闘病記〜コミュの闘病記〜退院〜

平成17年11月17日。

私を祝福するかのように、外はこの季節最大限の晴天。
素晴らしかった。


そして、いよいよ記念すべき退院日がきた。


長かった様で･･･長かった。



やはり自分は癌患者だったという事。
人生で一番自分自身を褒めてあげたいと思った。よく手術後とかに
『頑張ったね』
と言われたけど、その時はそういった気は全くなくて、耐えただけと
いう気持ちしかなくって頑張ったなんて思ってなかった。
しかしながら、たしかに今考えたらそうかもしれないと思う。

しかし、いろんな意味で大きな山を越えた気がしてならない。
だから、今は本当に達成感もあるし、なりより『人間』として、人としての価値が何倍にもなり、一回り二回り大きくなった気がする。
この３カ月、人生の中のたった数%だが、何十年分の価値のある経験をさ
せてもらった。

たしかに、今後の生活や仕事に影響があると思うし、失ったものもあると
思う。でも、それ以上にこの経験は絶対プラスになっている。まさにお金じゃ買えない物。プライス・・・


勿論、嫁、家族、友達。感謝感謝感謝！
自分は本当に愛されていると凄く感じた。本当に支えになったし、みんなが
いなかったら乗り越えられなかったのではないか？言葉では言い足りない
そして見つからない。表現できない位感謝しています。


そして、｢こまっちゃん(担当医)｣をはじめ、先生方や看護師の皆様。
同じ病棟の人達。
また、よく話をさせてもらった癌患者の皆様。
本当に本当にお世話になりました。

先生方とは本当にたくさん言い合いもしたし、看護師にはわがままや文句も
言ったけれど、結局は皆さん優しく接してくれました。


いろんな人達に支えられ、晴れて退院・・・
病室の窓から見る殺伐とした、ただ病院の煙突しか見えないこの空しい風景
もある意味、感謝。


本当にいろんな人、出来事、風景に感謝しつつ退院。妻が迎えに来てくれた
時は、まさに今から初舞台に主役として立つような、手に汗握る気持？？
(実際はそんな舞台に上がった事などない･･･)

そして前日荷物をまとめていたものをいっぱい手に持ちいざ退院。
荷物といえば、皆からもらった沢山のお見舞い品や沢山の写真
(いたる所に写真を貼りまくっていた)。
なんかどれもこれも思い出深く･･･ちょっぴり切なかった。



退院手続きを済まして、いよいよ！


・・・そうして私は約３カ月という長くて長い(？)入院生活を無事に終える
事ができた。

約一年は化学療法が続き、副作用等の苦しみがあるだろうけど、麻痺等も
無く本当によかった。


そして、まさに三十路手前という事もあり、第二の人生が始まる瞬間でも
あるとこの時に思った。


私が妻に退院前日に送ったメールより
『期待と不安が今正直あり、明日からも病気との闘いをしていかなくては
いけないというﾌﾟﾚｯｼｬｰもあり、内心ﾄﾞｷﾄﾞｷしています！
でも、それに立ち向かえるだけの経験もしてきたつもりなので、強い決意
で明日から再ｽﾀｰﾄをしたいと思います！
やりたい事まだまだ沢山沢山沢山沢山沢山あるぞ！！』




再スタート。

簡単にいっても昔と同じ様な事をしても意味がない。

私は二度、生かされている。

生かされている理由。はっきり言って分からない。

何が出来るだろうか。私のような人間に。


その事は日々考えておりますが・・・



※私の実家にて、兄貴家族と私夫婦で退院祝いをしました。
なんか本当に今までが嘘みたいだし、この家族達でよかったと
安心しました。
しかし、愛犬を母に預けていたんですが、久しぶりに会ったというのに、
しっかり普通にされ･･･ある意味無視に近い？？ショック！
イメージではダッシュで走ってきて抱きつくというイメージだった･･･

退院して唯一の残念な出来事。でした☆