大映「妖怪百物語」3部作コミュの3つの「妖怪大戦争」（４）

（４）妖怪たちの戦い

さて、この３作を眺め観て妖怪たちはなぜ、何に対して戦うかが見えてきたと思う。基本的に妖怪たちは戦わない。「戦う」という観念がないからである。ではなぜ、鬼太郎版、大映映画版の妖怪たちは戦ったのか。
もちろん、彼らが生きるためである。外敵に対して戦うのはテリトリーの問題であり、異種の混合を避ける意味でもあるだろう。

ダイモンが強敵なのは自分たちの存在を無効化されてしまうからであり、鬼太郎たちが戦うのは単純にテリトリーの問題である。

いずれも人間とは戦っていないのである。

そもそも妖怪たちが人間と戦って得なことなど一つもない。人間が滅びてしまえば自分たちも滅びてしまうからである。つまり認識するものがいなくなれば妖怪は現れることなどないからである。

彼らは認識してもらうために戦う。ただそれだけである。自分たちの存在を無効にされないために戦うのである。

ならば、大映映画版「妖怪大戦争」は理にかなっているし、角川版「妖怪大戦争」はまさに戦わずしてその存在を守るというアクロバティックなことが出来たのである。

この３作はやはり脈々と続いていく妖怪たちの系譜を引き継いである。