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The Chess Game 〜それぞれの戦い〜

The Chess Game 〜それぞれの戦い〜 2017年01月05日 22:28
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あかりさんの店で働き始めて数日が過ぎ、仕事にもだいぶ余裕が出てきた寺本だが、悩み事がある。

 数時間前

LINEのやり取りで、王先輩がチェス協会の正式なメンバーになれたと書き込んでいた。

兵堂先輩は大会を視野に過去の対局記録をベースにしてトレーニングプログラムを作成しているとか・・・。

・・・まいったな。と、頭を掻いた。

というのも高校の時、ノリでチェス同好会に入ってしまったからだ。

放課後、誰も居ない教室で燕がチェスの駒を動かしているのを、何度か目撃していた。

その時は、変わった事をする奴だ、としか思わずあまり気に留めていなかったのだ。

気になり始めたのは、王先輩が燕と一緒に駒を動かして遊んでいるのを見てからだ。

学校内でも、王先輩は女子に人気で付き合って欲しいと言う女子もいるくらいだ。

しかし、先輩自身は付き合っている人がいるから、ときっぱり断っていた。

そんな先輩が楽しそうに燕と遊んでいるのだ。意外過ぎる。

それで後をついて行くとチェス同好会に燕が入り、つけた事がバレ寺本も入ったのだ。

・・・大丈夫かな?

同好会の中でも一番弱い自分が先輩達や燕の足手まといにならないだろうか?

前回は、燕にあれこれ指導してもらい何とかなったが、今回は燕も先輩達も傍に居ないのである。

ホントの独りだ。

すると、再び携帯が鳴った。今度は、藤馬先輩からだ。

チェスの練習が出来そうなサイトを見付けてくれた様だ。

・・・よし、俺一人でも出来るって事を証明してやる。

そう、拳を握りしめた。

「寺本君、大丈夫?」

あかりさんが心配そうに声を掛けてきた。

「え、あっ、はい。大丈夫です」

突然の事に驚きながら返事をすると

「ホントかよ」と、安弘さんにツッコミを入れられた。

「何かあったの?」

「いや、先輩達が色々動いている中で俺も頑張らなきゃなと思って」

「そう」

カランカランカラン、とドアベルが鳴った。

「いら…っしゃい」

挨拶をしようと振り返ったら、

「寺本って子、いる?」と、女の人が入ってきた。

なかなかの美人である。

しかし、何処かで見掛けた事のある人だ。

「楓、どうしたの?」

心なしか、あかりさんの声が震えている。

「別に大した用じゃないけど、燕東京に帰る時に忘れて行ったようだから」

と、三冊の本とノートを置いた。

「・・・ついでに何企んでいるか、聞こうと思って」

・・・俺より背高い。

威圧感がありありだし・・・。と思わずたじろぐ寺本。

「何も企んでないよ、燕ちゃんが昔貰った物を返したいって言っていたから皆で協力しているだけ」

「ふうん・・・」

信用してない・・・。

「それならそれで良いけど?」

ジロリとあかりさんを睨んだ。
「あの・・・」

「寺本君。燕ちゃんのお姉さんの楓さん、僕と同期なんだ。
剣道の都大会が三連勝した凄い人」

と、あかりさんが紹介してくれた。

「そう、でしたか」

「楓、何か食べていく?」

「そうね、それとこの子借りたいんだけど?」

・・・俺は、借りられたくない。と心の中で呟く寺本であったが、

「・・・燕に連絡したら、寺本って言う子に渡してくれって言われてね。
何の本だか知らないけど、役に立つだろうって」

結局、楓とテーブルを挟んで話す事になってしまった。

「俺、アイツに言われた事ありますよ。
『定跡』を知っていないと相手に太刀打ち出来ないって・・・」

三冊の本をめくりながら寺本は言った。

・・・定跡が載っている、スキルアップの本まで。

チェスには定跡という、攻めや守りの典型的な形がある。

「燕は、何時もそれを見ていた。
うちにはチェスが出来る様な人が居なかったから、寂しかっただろう」

「アイツがこれを・・・」

「燕とはどういう仲なんだ?」

「え?」

「付き合っているのか?」

「あ・・・。いや、そういう仲じゃ」

「なんだ、期待して損した。
まあ、あの子は男嫌いだからね。チェス以外はあまり考えていないし・・・。それはそれで、楽だろうけど」

 ・・・燕がチェスの事以外に興味を持つ方が信じられない。

「そういえば、燕から父親の話はよく聞くけど母親はどうしているんですか?」

何気なく聞くと、その人は言い辛そうな顔をした。

そして、テーブルに置かれたアイスコーヒーを少し飲むと

「・・・離婚したんだ」と、呟いた。

「チェス協会っていう所に置いてきぼりにされたんだ。
ずっと迎えを待っているあの子を見兼ねて会長さんだかが、警察署でお父さんが来るまで一緒に待っていたらしい」

「そんな事があったんですか。
・・・って言うか、会長に会ってるわけ!?」

「それがどうしたの?」

あまりにも寺本が驚いたせいか、楓は怪訝そうな目をした。

「いや・・・今、その会長を探しているんです」

「何で?」

「アイツが子供の時誰かとチェスの駒を交換して、今度はそれを返そうとしているんです」

「それと会長さんがどう関わってくるの?」

「会長さんなら何か知っているんじゃないかっていう話になったんだ。
それで、みんなで探しているわけ」

と、あかりさんが会話の中に入ってきた。

「そう・・・」

「その会長さん、どういう人でした」

「あたしが知るわけないでしょ」

「ああ、すみせん。つい・・・」

「でも、あの後家に来た燕アメ玉をいっぱい持っていた。
何か嬉しそうだったよ」

「アメ玉ですか・・・。
御両親が離婚してからは?」

「家で預かるようになったよ。
お父さんが医者だからなかなか見てあげられないって言ってね、ただ毎晩電話で親子同士話していた休みの日は二人でよくドライブに行っていたね。
何処に行っているかは知らないけど」



〔LINE〕

木崎:大収穫だね。

藤馬:
そんな事があったなんて知らなかった。

王:確かに。

寺本:俺も初耳です。

兵:しかし、アメ玉か・・・。

木崎:それで強くなったとか?

兵:あり得るな。
負けたらアメ玉を没収され、勝てばアメ玉が増えていくルールとか。

藤馬:僕らのルールと同じだね(笑)

木崎:効果はイマイチだったけど(笑)

寺本:すみませんね(泣)

木崎:
ところで兵堂先輩、データの分析は進んでいますか?

兵:
ああ、大方な。今メニューを作成中だ。

王:
そうか、近いうちに全員集まった方が良いな。

木崎:
寺本はそれまでチェスの総復習をしておいた方が良いね。

寺本:ガンバリマス。




チェスゲームも将棋の様に序盤・中盤・終盤という流れがある。

が、8×8マスと将棋よりも盤が小さく駒が引っくり返って動きが変わるという事がない為ゲームの進行速度は速い。

その序盤戦にも様々な形があり、
e4と打ちe5と返して始まるオープン・ゲームと、e5以外の手で応戦するセミオープン・ゲームがある。

またd4と打ちd5、d5以外の手で始まるものや全く別の打ち方で始まるものがあり、
それらはクローズ・ゲームと呼ばれている。

それぞれの手筋から更に細かく分かれて、変化していく。

と、そこまでは寺本も理解している。

燕が持っていた本にはオープン・ゲームを正面衝突型、セミオープン・ゲームを攻め合い型、クローズ・ゲームをじんわり型と書かれている。

・・・以前、兵堂先輩が言っていたな。チェスの打ち方と性格は酷似していると。
 
「木崎と燕はクローズ・ゲーム型だな。
慎重で、失敗は少ないが堅くなりやすい。

特に燕、自分で自分の動きを封じてしまってはどうしようもないぞ。

俺と王はセミオープン・ゲーム型だ。
総力戦でいく事が多く、変化も多様だ。

藤馬と寺本はオープン・ゲーム型だな、ガッツリやり合うが暴走しやすい。

気をつけろよ、特に寺本。

最初の勢いは良いが後に続かないのでは困る」
 
・・・そうだ、それでよく俺は燕と組まされたな。

そういや、アイツ元気にしているかな?

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