最新記事

人民元

中国は10━15%の元安必要、中国政府の政策顧問が急落容認求め人民銀に圧力

金利に下向きの圧力をかけて企業破綻や人員削減の回避を狙う

2016年1月8日(金)13時13分

1月7日、中国人民銀行に対し、政策顧問が10━15%の大幅な通貨下落を容認するよう求めていることが分かった。写真は100元紙幣。2013年11月撮影。(2016年 ロイター/ Jason Lee)

 中国人民銀行(中央銀行)に対し、政策顧問が10━15%の大幅な通貨下落を容認するよう求めていることが、関係筋の話で分かった。

 人民銀は数十億ドル規模の元買い介入を行っているものの、相場安定には至っていない。こうした中、元がじりじりと値を下げる状況は市場になお下げ余地があるとのシグナルとなり、かえって悪影響を及ぼしているとの指摘が出ているという。

 そのため政策顧問は、投機抑制や資本流出への対策を強化しつつ、人民元の急落を容認するよう中銀に圧力を強めている。

 政府の有力エコノミストはロイターに対し「人民元の大幅下落を容認すべきだ。肝心なのは、経済や金融システムに多大な影響を与えず、資本市場に大きなパニックを発生させないこと」と指摘。どの程度の期間をかけるのかは言及しなかったが、10━15%の下落を提案した。

 中国当局は「供給サイド」の改革を通じた産業再編を目指しているが、国内企業にはこれに耐えうる体力がないとの懸念がある。そのため人民元が急落すれば、高債務を抱える中国企業への衝撃を緩和する一助になるとみられている。

 多数の企業破綻や人員削減を回避しながら再編を進めるため、人民銀は元安を容認し、金利に下向きの圧力をかけて企業の債務返済負担を和らげるよう求められているという。

 

[北京/上海 7日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、5月28日─6月3日に軍事演習実施 黄海海域

ワールド

EU外相、ラファ国境管理支援再開で原則合意 「支援

ワールド

北朝鮮の衛星打ち上げ、国連決議の「あからさまな違反

ワールド

ラファ避難民密集地区攻撃、死者45人 イスラエルは
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 2

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 5

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 6

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 7

    台湾を威嚇する中国になぜかべったり、国民党は共産…

  • 8

    トランプ&米共和党、「捕まえて殺す」流儀への謎の執…

  • 9

    胸も脚も、こんなに出して大丈夫? サウジアラビアの…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 7

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中