【話題】幼稚園でのDJプレイ動画からの考察

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幼稚園でDJがかけたダンスミュージックに、園児が楽しげにぴょんぴょん飛び跳ねて踊っている動画が、先日ネット上で話題になった。紹介ページのツイート&Facebookボタンの反響は合計1万件を超えている。

www 幼稚園でDJをしたら熱狂の渦に。(UPLOAD MAGAZINE)
http://uploadmag.com/archives/1455

そもそもこの動画は何年か前にも話題に上がっていたものであるが、「幼稚園に出向いて」「DJをする」この2つがつながる意外性で注目されたのではないだろうか。



DJをしているのはアボカズヒロ氏。くだんの動画は8年ほど前、東京藝術大学在学時に研究として行っていたものだという。その後もライフワークとして、DJさせてくれる幼稚園などをあたってプレイしている。
(子どもが映っているということもあり全体公開できないものも多くあると思われるが、UPされている中での最新動画はこちら http://www.youtube.com/watch?v=PHv33j3U_2Q

今回話題になった幼稚園での動画が撮影された2005年から8年経った2013年の現在、子ども向けのダンスイベントや子連れOKのイベントも頻繁に目にするようになってきた。

サマーソニックの会場で行われたこともあったし、児童会館を場所にしたものや、DJセットが用意されているボウリング場、表参道ヒルズなど。DJに石野卓球(電気グルーヴ)や小西康陽(元・ピチカートファイヴ)をゲストに招いたイベントは音楽ニュースサイトにも時折取り上げられている。

しかし、園のアクティビティとしてのダンスミュージック体験というのは、音楽好きの親とともにイベントに出向くのとはまた違った趣がある。

もしご両親が音楽をさほど好きではないご家庭だったとして、園にDJがやってきて子どもが楽しい音楽を体験したとしよう。そしてその子が将来、音楽に関わる職に就いたのだとしたら、子どもがみんな持っている無限の可能性のひとつにポンッと背中を押したということになろう。

保育園でも、年長クラス向けに2科目ほど外部講師を招く時間を設けているところがあり、息子が通う公立園でも音楽と体育について講師が来ている。そういったカリキュラムの一貫として、「DJのおにいさん・おねえさん」が広く受け入れられていったら楽しいと思うのだ。

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前出のDJアボさん曰く、「童謡や子ども向けアニソンをかけると引きは強いが、ダンスの足は止まる。歌おうとしたり、お遊戯の振りをしたり」ということをうけ、うちの子はどういう反応を示すのだろうと、試しに動画を見せてみた。

◎息子スペック:2歳4ヵ月/歌・ダンス好き/テクノに関しては是でも非でもない

【最初に紹介した幼稚園でのDJプレイ動画】
・ポカーンとしながらテレビの前に立っている(YouTubeをテレビで再生したので)
・(画質の関係でもやもやする部分を指して)「こわい」と言って近づかない
・しばらくは園児たちを真似てジャンプする
・「ワンワン見たい!」とぐずり始めたので中断、録画の『いないいないばあっ!』を見せてクールダウン

【最近のプレイ動画】
・母親の顔をチラチラ見て何かを確かめる
・動画の子どもたちのように、そこにあったタオルを持ってブンブン振り回し始める
・私が踊ってみせると、その動きに合わせて踊り始める
・「マル・マル・モリ・モリ」がかかると「おや?」という顔をし、振付を踊り出した(運動会で踊っているので振りは知っている)

実験結果1:2歳児にはまだちょっと早いのかも……?
実験結果2:テレビで見た動きを真似るよりも、すぐそばで身近な人が踊って見せ、それを真似て踊りたい、という傾向はあるかもしれない。

やはりこれは「現場で体験しないと楽しさがわからない」ということの裏付けなのだろうか。

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大人のダンスは風営法の規制対象として騒ぎになっている一方、中学校の授業でダンスは必修になるなど、なんだか矛盾している気がしてならない2013年。

冒頭の動画が話題になったのと時期を同じくして、ベテランDJ・宇治田みのる氏が、先日小学1年生を対象に、DJとはなんたるかについて授業を行った、というブログが上がっていた。
http://ameblo.jp/minoru-ujita/entry-11464104050.html

こちらもやはり、「大人相手もそうだけど子ども相手のDJにおける選曲の難しさ」というポイントが挙げられていたが、黒板に書かれた字の中にあった「みんなをえがおにする しあわせにする」。一番の芯の部分はそこなのだろうなと、ハッとさせられた。これはDJに限らず、どの職業においても。


近所の児童センターにはなぜだかCDJ(DJ用CDプレーヤー)があり、夏祭りの時期になると、公募で集まった小6〜高校生までのDJがそこで練習し、お祭りに出演する。ここで誰かを踊らせる楽しみをつかんだ子どもたちが、大人になって活躍してくれたら嬉しいなあと思う。

それはもちろん、自分の息子にも同じように。アナログでもCDJでもPCDJでもいい、彼が大きくなる頃には全然別のスタイルが流行っていたりするのかもしれないけど……。何よりどうかその頃も、音楽が人を楽しませる大きなパワーを持っていますように。


ワシノ ミカ
1976年東京生まれ、都立北園高校出身。19歳の時にインディーズブランドを立ち上げ、以降フリーのデザイナーに。並行してWEBデザイナーとしてテレビ局等に勤務、2010年に長男を出産後は電子書籍サイトのデザイン業務を経て現在は日本テレビグループ・LIFE VIDEO株式会社のデジタルコンテンツ全般を担当。