フランスで「ポケモンGO」の人気が止まらない。7月24日午前、フランスでもポケモンGOがリリースされ禁猟が解けると、待ちわびたトレーナーたちは一斉に外へ飛び出した。
世界で初めて配信が開始された米国から3週間、他の欧州諸国からは1週間遅れての解禁だった。

テロで延期されていた仏版「ポケモンGO」がついに解禁 一斉に外へ飛び出すパリ市民
シャン・ド・マルス公園でポケモンを探すトレーナーたち


本来フランスでの解禁日は、日本より早い7月15日とされていた。しかしその前夜、南仏ニースでトラックによるテロ事件が起きた。結果、事件への配慮と全国的な服喪からリリースが延期された。解禁を待ち切れない一部ファンは、米国のものをダウンロードして遊んでいたものの、多くのフランス人トレーナーたちにとっては焦らされた分、待望のスタートになったのだ。


パリ市内の公園にはたくさんのトレーナーが


普段は家族連れが多い休日の公園も、ポケモンGO解禁後は、スマホ片手のトレーナーたちが目立つ。パリ市内、セーヌ川の南にあるリュクサンブール公園。
公園内の景色を写す観光客のように見えても、彼らの手元にあるスマホをのぞけば、そこにいるのはポケモンだ。予備バッテリー傍らに、木陰にあるベンチでポケモン集めに精を出す。友人同士やカップルで一緒にポケモンを探している姿が印象的だ。

テロで延期されていた仏版「ポケモンGO」がついに解禁 一斉に外へ飛び出すパリ市民
ルアーモジュールでポケモンだけじゃなく人も集まる


エッフェル塔すぐ南に広がるシャン・ド・マルス公園。ルアーモジュール(30分間ポケモンを引き寄せる道具)によってポケモンが出現しやすくなったポケストップ(地図上に設けられたアイテムを入手できる場所)の周りには、多くのトレーナーたちが集まっていた。観光客がエッフェル塔にカメラを向ける一方で、トレーナーたちが見つめるのはスマホの中に映るポケモン。
スーツを着たビジネスマンも、一瞬足を止め、モンスターボールを投げてポケモンをゲットしていた。

市内南部モンスリ公園内も狩場の1つだ。公園内でポケモン探しをしていた男性ユーザーは「一昨日から25km歩いた。ポケモンは幼い頃から遊んでいた。以前は家の中で遊ぶだけだったが、今では外に出て、仲間と話しながら一緒にポケモンを探すことができる」と現地メディアの問いかけに対し答えた。みんなポケモンが大好きだ。



盛り上がるポケモンにフランス当局が注意喚起


加熱するポケモン熱により、フランスでも私有地への無断侵入、交通事故など弊害が生じている。仏憲兵隊は「運転中はポケモンGOをしないこと」「歩きながらも十分に気をつけること」とツイッターで発信し、パリ消防旅団も「(ポケモンの)捕獲で人生を危険にさらさないように」と呼びかけた。また仏国家警察によると、運転中における携帯電話の使用には135ユーロ(約1万6000円)の罰金が科されるという。

テロで延期されていた仏版「ポケモンGO」がついに解禁 一斉に外へ飛び出すパリ市民
エッフェル塔を背にひたすらスマホの画面を見つめる


加えて、日本と比べスリ被害が多いパリでは、最新のiPhoneなど、高価なスマホを周囲に見えるよう持ち歩くことは、盗難のリスクを高める。ポケモン探しのため夜中に人気のない場所へ行くことで、犯罪に巻き込まれることもある。日本以上に注意は必要だ。


しかし、これら問題はあるものの、若者を中心にポケモンはがっちりとフランス人の心を捉えている。しばらくこの熱気は続きそうだ。
(加藤亨延)